オフィスに仮眠室を設けるメリット|潜む課題や設置のポイントも解説

従業員の健康対策や作業効率向上のために仮眠室の導入を検討する企業が増えてきました。適度な仮眠にはさまざまなメリットがあります。オフィスに仮眠室を設けるときの課題やポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

 

オフィスの仮眠室が注目されている背景

オフィスの仮眠室が注目されている背景

最初に仮眠室が注目されている背景について解説していきます。

 

パワーナップの効果が注目を集めている

まず、世界的にパワーナップ(Power Nap=積極的仮眠)の効果が注目を集めており、Google、三菱地所、P&G、Apple、Microsoftなどの企業ではすでにパワーナップ専用のスペースを取り入れていれています。

 

≫ Googleのオフィスデザインとは?そのコンセプトや工夫を解説

 

NASA(アメリカ航空宇宙局)ではパワーナップの研究がされており、昼の仮眠が認知能力や注意力の向上に効果があることをNASA Technical Reportsで証明しています。また、以下のように厚生労働省もパワーナップの効果を謳っています。

 

午後の早い時刻に 30 分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的
出典:健康づくりのための睡眠指針2014

 

よって、働き方改革の一環で仮眠室を取り入れようとしている企業が増えています。

 

日本人は慢性的な睡眠不足を抱えている

もう一つの背景には、日本人の慢性的な睡眠不足が挙げられます。厚生労働省の良い睡眠の概要(案)によると、成人の適切な睡眠時間は6~9時間とされています。しかし、以下のグラフを見ると6時間以上の睡眠を確保できているのは男女ともに6割程度です。

 

<日本人の1日の平均睡眠時間(男女別)>

日本人の1日の平均睡眠時間(男女別)

参考:厚生労働省(令和元年「国民健康・栄養調査」の結果)

 

つまり日本人の約4割は睡眠時間がそもそも足りていません。また6時間以上の睡眠時間が取れていたとしても、寝る直前までSNSやゲームなどでスマホを利用していれば、ブルーライトの影響で睡眠の質が下がり、十分な睡眠とは言えない場合もあるでしょう。

 

十分な睡眠がとれていなければ、昼間に眠気が襲ってくるのは当然のこと。生理現象は意識だけでコントロールはできません。エネルギッシュな状態で作業に取り組めるようにするためには、眠気のリセットができる仮眠は有効なのです。

 

オフィスに仮眠室を設ける3つのメリット

オフィスに仮眠室を設ける3つのメリット

続いて、オフィスに仮眠室を設けるメリットを3つ抜粋して解説します。

 

メリット1:生産性が向上する

まず、仮眠をとることで認知能力や注意力が上がることが証明されているため、仕事の生産性向上が期待できます。昼休憩で食事を摂ったあとは血糖値が急激に上昇します。血糖値の上昇が眠気を引き起こすのは生理学的に証明されており、仕方がないことです。加えて、人間の体内時計は夜中の2~4時、昼の14時~16時に眠気のピークがくるようになっています。

 

そのような状態で無理に仕事を続けても効率が悪いため、30分程度の仮眠を取り入れて眠気を解消するのが効果的です。

 

メリット2:従業員の健康維持につながる

仮眠は従業員の健康維持にもつながります。仕事量が多い繁忙期や連日の残業などで起こる睡眠不足を放置すると、日中の心身状態に支障をきたします。

 

特に慢性的な不眠は眠気だけでなく、意欲や記憶力の減退などの精神機能の低下を引き起こし、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼします。その結果、うつ病や生活習慣病の悪化などの原因になるため、睡眠不足は侮れません。

 

仮眠室で眠気がリセットできれば、心身のリフレッシュもでき、余裕をもって仕事に取り組めるでしょう。

 

メリット3:会社のイメージアップにつながる

そしてオフィスの仮眠室導入は、会社のイメージアップにもつながります。というのも、社員の健康維持や働きやすい環境作りに積極的な会社だとアピールできるためです。

 

従業員のために行っている取り組みは、企業の公式サイトや就職情報サイトなどにも掲載できます。従業員を大切にしていることを社内外へのアピールに有効活用し、ブランド力強化に役立てましょう。

 

オフィスの仮眠室に潜む課題

オフィスの仮眠室に潜む課題

オフィスの仮眠室導入には課題も潜んでいます。主な2つをあらかじめ把握し、対策を検討しておきましょう。

 

問題1:仮眠時間の調整が難しい

仮眠室は快適に眠れる環境だからこそ、一度眠ってしまうと長時間になってしまう可能性があります。長すぎる仮眠はかえって不効率です。目覚めが悪くなったり、頭がボーっとしたりしてしまうと、再度エンジンをかけるために時間がかかります。

 

厚生労働省の健康づくりのための睡眠指針 2014では最適な仮眠時間は30分程度までとされています。眠りすぎ防止のためにアラームを活用するなど、予定起床時間に目覚められる対策を考えましょう。

 

問題2:残業時間が増える

また仮眠をとった分、就業時間が後ろ倒しになる恐れもあります。仮眠のせいで残業が増え、夜の睡眠時間が短くなってしまっては本末転倒です。

 

仮眠は作業効率アップなどを目的に取り入れる制度なため、就業時間を伸ばさないための施策を講じなければいけません。利用時間を制限し、仮眠時間を考慮したスケジュールを立てるなど、具体的な対策を検討してください。

 

オフィスの仮眠室に設けたい3つのルール

オフィスの仮眠室に設けたい3つのルール

ここからはオフィスの仮眠室に設けるべきルールを紹介していきます。

 

ルール1:利用時間や頻度の上限を決める

特定の人しか使用していない仮眠室では、会社全体に期待した効果が得られません。全従業員が一律に利用できるように、利用時間や週の利用回数の上限をあらかじめ決めてください。特に利用時間は適切な仮眠時間になるように30分程度を上限の目安にしましょう。

 

また、スムーズに利用できるように予約制にしておくと便利です。仮眠室のルールは使用する従業員から意見を聞くのも良いでしょう。

 

ルール2:アラームの音量を決める

利用時間の管理にはアラームが必須ですが、音量には配慮が必要です。休み始めるタイミングは人それぞれなため、アラーム音が他の人の仮眠を妨げてしまいます。ぐっすり眠るわけではないため、大抵の人はバイブレーションのみのアラームで目覚められるでしょう。アラーム音や音楽を鳴らす場合はイヤホンをするなど、音の設定に関わるルールも明確にしてください。

 

ルール3:清潔に利用する

仮眠室はさまざまな人が利用するため、清潔な状態を維持できるルールも欠かせません。仮眠室の部屋や物品について利用方法を定めておきましょう。

 

<部屋や物品の利用ルール例>

  • 清掃当番を部署ごとの交代制にする
  • 使用した毛布などは元の状態に戻す
  • 枕には使い捨ての不織布を敷いて使用する
  • 使用後は除菌スプレーをまんべんなく(〇プッシュ以上)散布する

 

また、香水や食べ物などの匂いを発するものの使用ルールも決めるべき事項です。香水や食べ物はシミなどの汚れの原因になりますし、敏感な人は匂いが気になって眠れない場合があります。仮眠室を清潔かつ快適に利用できるように具体的なルールを定めていきましょう。

 

オフィスに仮眠室を設置するときのポイント

オフィスに仮眠室を設置するときのポイント

仮眠室を設置する前に、気を付けるべきポイントをおさえておきましょう。それぞれのポイントについて解説していきます。

 

ポイント1:男女別に分ける

仮眠室はプライベートな空間なので、部屋は男女別にしましょう。寝ている姿を異性に見られたくないと思うのは当たり前です。また、セクハラをはじめとしたハラスメントに敏感なご時世なため、余計なトラブルを防ぐためにも男女で部屋を分ける施策は欠かせません。利用しやすい仮眠室にするためには、誰でも安心安全に使用できるスペースにすることが大前提です。

 

ポイント2:執務スペースから離れた場所に作る

仮眠室は執務スペースから離れた場所に設置してください。人の歩く音やオフィス機器の稼働音が聞こえると仮眠に集中できないため、人通りが少ない静かな場所が好ましいです。仕事とリフレッシュの区切りを明確にすれば、質の良い休憩がとりやすくなります。安らげる場所を吟味して仮眠室を設置してください。

 

≫ リフレッシュスペースはオフィスに必要?メリットと事例4選

 

ポイント3:眠りやすい環境を整える

仮眠室内も眠りやすさを意識して環境を整えましょう。静かな場所に仮眠室を設置しても、利用中に人の視線や動きが気になるとリラックスの妨げになります。利用者同士の動きや音の対策にはパーテーションやカーテンなどを利用し、個室や半個室を作るのがおすすめです。また、入口や通路から室内が見えないように目隠しをするのも忘れてはいけません。

 

≫ 半個室とは?メリット・デメリットと注意点【おすすめ業態】

 

防音効果の高いスチールパーテーションの施工例

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≫ スチールパーティションの性能や価格を徹底比較!事例4選も解説

 

また、仮眠室内の明るさも意識したいポイントです。人が落ち着いて眠れる明るさは1~30ルクスと言われているため、薄暗く調光するのがおすすめです。そして電灯の色はリラックス効果がある暖色系をチョイスすると良いでしょう。動きや音、光などが眠りを妨害する要素なので、まずは仕切りを用いた対策を検討してください。

 

≫【オフィス照明の選び方ガイド】種類や特徴を知り賢い選択を

 

仮眠室に便利なアイテム例

仮眠室に便利なアイテム例

最後に仮眠室に便利なアイテムを紹介していきます。具体例を以下で紹介します。

 

<仮眠室に便利なアイテム例と使用目的・用途>

アイテム例 使用目的・用途
パーテーション ・光や音、視線をシャットアウトできる
リクライニングソファ ・仮眠のとりやすい角度にチェアを調整できる
ホワイトノイズ ・波の音などの自然界の音をBGMにすると、雑音が聞こえにくくなり眠りに集中しやすくなる
アイマスク ・光を遮断するとより眠りに集中できる
・視線が気にならなくなる
・使い捨てが衛生的
コーヒー ・仮眠前に飲むと目覚めがすっきりする
耳栓 ・静かな環境を確保する
・使い捨てが衛生的

 

アイテムを上手く取り入れると眠りやすい環境が実現しやすくなります。従業員の意見を取り入れながら必要なアイテムを揃えていくと良いでしょう。

 

オフィスの仮眠室はルールを定めて効果的に活用できるようにしよう【まとめ】

オフィスの仮眠室はルールを定めて効果的に活用できるようにしよう【まとめ】

オフィスに仮眠室を設けるメリットや設置のポイントなどを解説しました。仮眠は仕事の作業効率を上げるために取り入れるべき施策と言えます。そのために導入する仮眠室には全社員が効率的、かつ公平に利用できるようなルールやアイテムが欠かせません。

 

仮眠室を設置する際には施工型パーテーションで区切ると防音ができるうえに見栄えが綺麗に仕上がります。施工型パーテーションのことなら、ぜひ当社にご相談ください。

 

 

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