一般的なオフィスでは他の従業員と同じ空間で業務を行うことが多く、集中力の低下やプライバシーの確保が課題となります。そこで注目されているのが「オフィスの個室化」です。本記事では、個室化のメリット・デメリット、導入の流れなどを詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
オフィスの個室化とは?その背景と注目される理由
昨今、リモートワークやハイブリッド勤務が普及したことで、オフィスに求められる役割が変化しています。これまでのオープン型レイアウトでは、Web会議や電話対応が増える中で集中しづらいという課題が顕在化してきました。
オフィスを個室化する方法
個室化の種類 | 特徴 |
ローパーテーション | 工事不要で設置や移動が簡単 |
施工型パーテーション | 施工日数がかからず個室化に最適 |
造作壁 | 豊富なレイアウトやデザイン |
個室ブース | 少ないスペースで簡単に設置可能 |
個室化にはいくつかの方法があり、目的や予算に応じて最適な方法を選ぶことが重要です。それぞれの特徴と活用例を理解しましょう。
パーテーションの設置
パーテーションは最も手軽に個室化を実現できる方法のひとつです。パネルの種類も豊富なため、用途に応じて導入することが可能です。
ローパーテーション
ローパーテーションは、視線を遮る程度の高さのため開放感を残しつつ、集中できる環境を整えることができます。設置から移動、片付けなど工事不要で行うことができるため、汎用性が高い間仕切りです。ただし、遮音性は期待できないため、周りの視界を遮ることができる環境を作りたい場合におすすめです。
施工型パーテーション
床から天井まで仕切る施工型パーテーションは、完全個室の環境を作る場合に最適といえるでしょう。パネルの種類により防音性も確保できるため、Web会議用や休憩室として利用することができます。価格重視ならアルミパーテーション、遮音性重視ならスチールパーテーション、見た目重視ならガラスパーテーションがおすすめです。
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造作壁の設置
造作壁は、空間に合わせた間仕切りを設置できるため、自由なレイアウトで個室空間をつくる場合に適した手法です。壁材や扉の仕様によって防音性やデザインなど幅広く選定することができ、様々な場面で採用することができます。多くのメリットがある反面、施工に日数やコストがかかるため、中長期的な活用を前提とした場合におすすめです。
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個室ブースの導入
個室ブースは、少ないスペースでも設置が可能なため、導入のハードルが低いことが特徴です。電話専用のブースや、Web会議用のブースなど、用途に合わせた個室を作ることができます。設置方法としては、組み立てたボックスを置くだけなのでオフィスの内装を傷をつけることもなく、貸しオフィスでも問題なく設置することができます。
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オフィスを個室化するメリット
オフィスの個室化には、単に空間を区切る以上の多くの利点があります。業務効率化や従業員の満足度向上など、さまざまな角度から効果が期待できるでしょう。
作業効率がアップする
オフィスを個室化することで、周囲の視線や雑音を遮断できるため、作業効率がアップするというメリットがあります。特にクリエイティブ職や資料作成時など、一人で集中して行う業務に最適です。
通話やWeb会議が可能
Web会議や電話対応の際、個室があることで気を遣うことなく業務を行うことが可能です。オープンな空間では、周りに気を遣うだけでなく、周囲の人の集中力が低下することも考えられます。そのため、専用の個室を設置することで、快適に業務を行うことができるだけでなく、周囲にも迷惑をかけにくくなります。
プライバシーの確保
オフィスを個室化することで、従業員のプライバシー確保にもつながります。完全な個室ではなく半個室の業務スペースを設置するだけでも視線を遮ることができるため、一定の効果が期待できるでしょう。
オフィスを個室化するデメリット
一方で、オフィスを個室化するには一定のコストや課題も伴います。導入前にその影響を正しく理解することで、設置後に後悔することなく運用することができます。
コミュニケーションがとりづらい
物理的な仕切りが増えることで、従業員間の会話や雑談が減少し、風通しが悪くなるケースも考えられます。こうしたデメリットを防ぐためには、定期的なミーティングを開催したり、休憩スペースを設置するなどして、コミュニケーションを活性化させる工夫も必要です。
設置スペースが必要
限られたオフィス空間に個室を設けるには、全体のレイアウト見直しが不可欠です。狭いオフィスに個室を設置する場合は、1人あたりの面積が狭くなったり、通路が圧迫されたりする可能性もあるため、オフィスに合わせたレイアウトを検討する必要があります。
工事費用がかかる
個室を設置するためには費用が発生しますが、方法によっては内装工事や設備の追加などが発生し、費用負担が大きくなるケースもあります。特に造作壁や空調・電源工事を伴う場合は、費用が増大するケースもあるため、補助金の活用や段階的な導入など、コストを抑える工夫も検討しましょう。
オフィス個室化する具体的な手順
オフィスの個室化を行う場合、適切な手順で進める必要があります。ここでは、オフィスの内装工事を専門に行う当社が、失敗しない手順を5つのステップに分けて解説します。
手順1:目的の明確化
まずは、個室化を行う目的を明確にしましょう。「Web会議の音が他の従業員の迷惑となっている可能性がある」「集中して作業できる空間を整備したい」など、ニーズを洗い出すことで、最適な個室の仕様や設置箇所が明確になります。目的が曖昧なままだと、完成後に「使いにくい」「活用されない」といったことにも繋がるため、慎重に検討を行いましょう。
手順2:個室化の方法を検討
目的が決まったら、予算やスペースに応じて最適な方法を選びましょう。例えば、防音性が必要なら施工型パーテーション、柔軟性を重視するならブース型など、選択肢ごとの特徴と費用を比較検討します。費用に関しては、相見積もりの際に確認できるため、まずはオフィスに最適な個室化の方法を決めておきましょう。
手順3:レイアウト検討
個室のレイアウトは、オフィス面積や、従業員の動線に大きく影響します。動線が交差する箇所での設置は避け、設置により業務に支障が無いようなレイアウト設計を心がけましょう。
手順4:見積り依頼
個室化の方法やある程度のレイアウトが決まったら、複数の業者に見積もりを依頼しましょう。同じ仕様でも費用や工期が業者によって異なるため、必ず比較検討することが大切です。また、検討した個室化の方法やレイアウトについて、プロ目線で最適な提案をもらうことをおすすめします。
手順5:業者決定、施工
納得できる業者が見つかれば、いよいよ施工に入ります。施工時には、稼働中のオフィス業務への影響を最小限に抑えるよう、スケジュール調整を慎重に行う必要があります。また、施工中は打合せ通り工事が行われているかの確認も実施しましょう。
オフィス個室化を検討する際の注意点
個室化を成功させるには、レイアウトや費用だけでなく様々な注意点を抑えておく必要があります。ここで紹介する注意点を事前に確認しておくことで、トラブルや手戻りなどを防ぐことができるでしょう。
管理会社に確認
賃貸オフィスの場合、造作壁や什器の固定などが契約で制限されていることがあります。個室化の前には、必ずビルの管理会社やオーナーに工事の可否を確認しましょう。特に、原状回復義務や消防設備の扱いについては、工事区分の関係もあるため、工事業者を交えて確認を行いましょう。
個室化に伴う防災設備の可否を確認
天井まで仕切るタイプの個室は、スプリンクラーや火災報知器の新設や移設が必要なケースがあります。基本的には工事業者が適切に判断を行いますが、ご自身で見積り内容を確認することをおすすめします。
設備工事の追加も検討
個室内は密閉空間になるため、照明や空調、コンセントなどの追加が必要になる場合があります。たとえば、既存の照明が行き届かない場合は新たにダウンライトを設置する必要がありますし、空気がこもるようであれば換気設備の導入も検討が必要です。工事業者と相談しながら使用目的に応じて最適な設備条件を検討しましょう。
最適な什器の選定
個室内に設置するデスクや椅子のサイズなどは、事前に検討しておくことをおすすめします。特に狭いスペースでは、一般的なオフィスデスクや椅子が設置できないことも考えられます。設置する什器にこだわりがある場合は、最初に什器選定を行い、その後什器サイズに合わせた個室を設計するのも一つの方法です。
オフィスの個室化により快適な空間をつくりましょう
本記事では、オフィスの個室化について、具体的な方法やメリットデメリット、導入の手順などを紹介しました。従業員の業務効率アップや、快適な作業空間を確保するためには、オフィスの個室化をおすすめします。