会議室や応接室、ミーティングルームなどを作るとき、どんなパーテーションを選ぶべきでしょうか。コロナ禍以降、会議室に大勢集まることは減り、Web会議やカジュアルなミーティングが増えたという企業も多いと思います。今回は、会議室向けのパーテーションの種類と選び方、性能別の事例4選も解説します。
会議室向けパーテーションの種類
会議室やミーティングルームを作るのなら、ローパーテーションやハイパーテーションが利用できます。また、パネルが移動できるスライディングウォールという選択肢もあります。それぞれの特徴とおすすめの使い方を解説します。
ローパーテーションとは?
床に置いて使う、簡易的な間仕切りのことです。置くだけの衝立タイプと、組み立てタイプがあり、横幅や高さにもバリエーションがあります。高さは1m程度から、ドアを付けて個室にできる2m程度まで揃っています。ミーティングや打ち合わせ用のブースを作るには、1m50~80cmくらいの高さを選ぶと良いでしょう。天井や床に固定する工事がいらず、手軽に設置できます。
・衝立タイプ
キャスターやT字型の脚が付いていて、施工不要な自立式です。横幅サイズは、1m程度で移動がスムーズなものや、3連などの2m程度のものがあります。木製や半透明のタイプがあり、軽量で動かしやすいのがメリットです。
〈おすすめの使い方〉
簡易的な応対スペース、カフェミーティングコーナー
・組み立てタイプ
パネルや支柱、コーナーカバーなどの部材を組み立てる間仕切りです。一度組み立てても、解体してほかのレイアウトに変えることができます。オフィス什器メーカーでは、主にこのタイプを『ローパーテーション』と呼んでいます。組み立て作業が必要な分、L型やコの字型、H型やロの字型(個室)など、様々なレイアウトが可能です。
〈おすすめの使い方〉
ミーティングルーム、応接ブース
ハイパーテーションとは?
ハイパーテーションには、『施工型パーテーション』と『LGS造作壁』の2種類があります。どちらも工事が必要で、天井と床に固定します。施工型パーテーションは、規格化された部材を組み合わせて建てる間仕切りで、移設が可能です。さらに3つに分類され、スチールパーテーション、アルミパーテーション、ガラスパーテーションの3種類があります。
≫ 施工型パーテーション・間仕切り工事はオフィスボール|施工事例と費用相場
・スチールパーテーション
スチール製の頑丈な間仕切りです。パネル2枚で支柱を挟み込んだ中空構造になっています。不燃性、防音性、耐震性などに優れた、高機能パーテーションです。中間にグラスウールやロックウールを入れると、防音性能がさらにアップします。しかし、設置費用は高めで、重量もあります。
〈おすすめの使い方〉
役員会議室、Web会議室、テレビ会議室
≫ スチールパーティションの性能や価格を徹底比較!事例4選も解説
・アルミパーテーション
1枚仕立てのパネルとアルミ製の支柱からなる、シンプルな構造の間仕切りです。スチールパーテーションより安価で軽量です。また、片側からでも施工できるため、壁面や窓面に沿って建てたり、レールは付けずに支柱だけで突っ張らせたりなど、設置する場所を選びません。
〈おすすめの使い方〉
一般会議室、研修室
≫ アルミパーテーション|施工手順と間仕切りの使い方事例9選
・ガラスパーテーション
スチールパーテーションまたはアルミパーテーションの枠を利用し、パネルの代わりにガラスを使った間仕切りです。明るくおしゃれで、オープンな空間が作れます。採光性があり、広くない部屋でも圧迫感や閉塞感がありません。ガラスは透明のまま使うだけでなく、半透明にすることや、製品によってはカラーガラスを選ぶことも可能です。スタイルにもバリエーションがあり、全面ガラス、ブロックガラス、腰上ガラスなどから選べます。パネルと組み合わせたデザインも可能です。室内が見えることで、使用状況が分かったり、企業の透明性を印象付けたりという効果も期待できます。
〈おすすめの使い方〉
商談ルーム、窓のない会議室
≫ ガラスパーテーションとは?価格や使い方を解説【施工事例アリ】
・LGS造作壁
直線にも曲線にも自由に造作できる間仕切りです。住まいの壁のようにクロスを貼って仕上げたり、石材や塩ビシートを貼ったりなど、幅広いデザイン表現が可能です。壁を建てたい位置にLGSという軽量鉄骨を建て、石膏ボードを貼って壁を作ります。その場に合わせて造作するので、移設はできません。費用は高めで、スチールパーテーションより少し高くなることが多いでしょう。また、一から壁を建てるので、施工には時間がかかります。
〈おすすめの使い方〉
応接室、プレゼンテーションルーム
スライディングウォール
レールに沿ってパネルを移動できるパーテーションです。人数に合わせて会議室の大きさを変えられ、空間が有効利用できます。例えば、普段は6人程度で使っている部屋を、研修や新入社員説明会の際には、繋げて大きなひと部屋にすることなどが可能です。部材は特注になり、工事も手間がかかるため、費用はハイパーテーションよりも高くなります。しかし、賃貸オフィスで会議室分の広さを余分に借りることと比較し、検討してみても良いでしょう。
〈おすすめの使い方〉
ミーティングルーム兼大会議室、ホテルなどの会議室・研修室
≫ スライディングウォールの種類と価格、動かし方を解説【図解】
会議室向けパーテーション比較一覧
ここまでご紹介してきたパーテーションの比較一覧です。それぞれの特徴を比較する際にご活用下さい。
会議室向けパーテーション 比較一覧 | |||||||
分類 | 名称 | 費用 | 防音性 | 不燃性 | 耐震性 | 可動性 | 中古の有無 |
ローパーテーション | 衝立タイプ | ◎ | × | × | × | ◎ | △ |
組み立てタイプ (ローパーテーション) |
〇 | × | 一部〇 | × | 〇 | △ | |
ハイパーテーション | スチールパーテーション | △ | ◎ | ◎ | ◎ | △ | 〇 |
アルミパーテーション | 〇 | 〇 | 一部〇 | △ | △ | 〇 | |
ガラスパーテーション | △ | 〇 | 一部〇 | △ | △ | 〇 | |
LGS造作壁 | △ | 一部〇 | △ | × | × | ||
移動パーテーション | スライディングウォール | × | △~◎ | 一部〇 | 一部〇 | ◎ | × |
会議室向けパーテーションの選び方
会議室向けのパーテーションには、様々な種類があることをご紹介しました。次に、会議室を作る手順を解説します。
①主な用途を決める
会議室や応接室、ミーティングルームを作る際は、まずは主な用途を決めましょう。用途によって、使うべきパーテーションが異なります。来客応対や会議用には、落ち着いて話せる空間がつくれるハイパーテーションがおすすめです。少人数でのミーティングや社内での利用には、簡易的なローパーテーションが適しています。
②おおよその利用人数を決める
何人くらいの会議をイメージしているかによっても、選ぶべきパーテーションは変わります。2~6人くらいのブースなら、ローパーテーションでもハイパーテーションでも作れます。しかし、6人以上の大きな個室を作るなら、自由なレイアウトができるハイパーテーションが適しています。ローパーテーションは、安全に使うために、直線に連結できる枚数やドアを付ける位置などに決まりがあり、レイアウトが制限されてしまうからです。
③広さを決める
おおよその使用人数が決まると、テーブルの大きさが決まり、会議室に必要な広さの目安も分かります。例えば、4~6人で使うミーティングルームでは、テーブルは片側に3人座れるような1m50cm~2m程度を選びます。ドアを開くスペースや通路を考慮すると、部屋の横幅は3~4m必要になります。奥行きは、座るスペースやテーブルの奥行きを考慮すると、横幅と同様に3m以上となります。
④防音性や不燃性は必要か?
会議室や応接室、ミーティングルームにどんな性能を求めるかによっても、選ぶべきパーテーションは違ってきます。静かで落ち着いた、防音性の高い空間が作りたいなら、天井まで塞げるハイパーテーションがおすすめです。近年増えているWeb会議では、相手の声は聞き取りやすく、自分も大きな声を出さなくて良いことが求められます。
⑤ランマオープンかランマクローズかを決める
求める防音性によって、天井に近い欄間(ランマ)部分を塞ぐか、開けるかを決めます。防音性の高いスチールパーテーションを使っても、ランマオープンにすると音漏れしてしまいます。一方、ランマクローズにして天井までしっかり塞げば、アルミパーテーションでも小さな声は漏れず、ある程度の遮音性は確保されます。
⑥デザイン性も大切にする
せっかく作るなら、おしゃれで開放感のある会議室にして、活発な議論やアイデアを期待したいという企業も多いでしょう。おしゃれさではガラスパーテーションがおすすめです。なかでも、フレームの色をブラックにし、ガラスブロックのスタイルにすると、スタイリッシュな会議スペースになります。ドアにもブラックを選ぶとクールな雰囲気になり、木目を選ぶとモダンな印象になります。また、白のフレームとガラスの組み合わせも人気です。清潔感や開放感があり、広くとれない個室でも閉塞感を感じさせません。
⑦中古パーテーションも検討してみる
会議室に選ぶべきパーテーションが分かったら、新品だけではなく、中古パーテーションを検討してみても良いでしょう。とくに施工型パーテーションは、中古品の在庫も多く出回っています。
会議室向けパーテーション、性能別の事例4選
最後に、会議室向けパーテーションを使った、性能別の事例4選を解説します。
音漏れを防いで集中できる会議室の事例(防音性、不燃性)
防音性、遮音性に優れ、不燃性や耐震性もあるスチールパーテーション。声が室外に漏れにくく、経営会議や役員会議、面談や商談など、数字や人事の話をする会議も安心して行えます。執務空間の音や声も気にならず、会議に集中できます。
おしゃれで経済的な会議室の事例(デザイン性、施工性)
アルミフレームのガラスパーテーションを使ったミーティングルームの事例です。おしゃれでデザイン性のある空間では、活発な意見交換や、新たなアイデアが出る効果を期待できます。アルミフレームはスチールより安価で、比較的短時間で組み立てられる施工性の良さも魅力です。
ドアを引き戸にした会議室の事例(機能性、意匠性)
クールで意匠性の高いブラックのガラスブロックパーテーション。引き戸にすることで、ドア前後のスペースを有効利用でき、バリアフリーの機能性の高い空間になっています。また、引き戸を木目にし、モダンで入りやすい印象になっています。
明るくプライバシーも確保された会議室の事例(採光性、プライバシー性)
ガラスとパネルを組み合わせ、採光性とプライバシー性を両立させた事例です。ブロックデザインがおしゃれで、メリハリのある雰囲気になっています。上下のガラスからは明るさを取り込み、圧迫感の軽減にもなっています。プライバシーは確保しながらも、会議室の使用状況が分かりやすいこともメリットです。
会議室向けパーテーションはどれにすべき?選び方と事例4選【まとめ】
今回は会議室や応接室、ミーティングルーム向けのパーテーションについて解説しました。働き方が多様化し、会議のスタイルや人数も変わってきています。用途や求める性能に合うパーテーションを選び、有意義な会議やミーティングができる空間づくりをして下さい。