スライディングウォールの種類と価格、動かし方を解説【図解】

スライディングウォールは、移動式のパーテーションです。例えば、大きな部屋を仕切って使いたい時、パネルをレールに沿って動かし、簡単に間仕切ることができます。家庭やオフィスの会議室、ホテルの宴会場、病院、空港など、用途や場所に合わせて種類が選べます。今回は、スライディングウォールの種類や性能、価格についてご紹介し、動かし方についても解説します。

 

スライディングウォールとは?

スライディングウォール

■スライディングウォールとは

スライディングウォールとは、簡単に動かせる移動間仕切りです。動かす際に、特別な工事をしなくても、用途や人数に応じて、部屋を間仕切ることができます。移動式パーテーションとも呼ばれています。あらかじめ天井にレールを埋め込み、パネルを吊って、動かせるようにしています。使用しない時は、パネルを壁側に格納しておきます。空間を広々と使ったり、必要な時に間仕切ったり、フレキシブルに利用できます。動かす方法には、手動と電動があります。解体して移設もできることから、施工型パーテーションの1つ、とされています。

 

■スライディングウォールに求められる性能

スライディングウォールは、移動できるだけでなく、色々な性能が求められます。例えば、遮音性、不燃性、操作性、走行性、静音性、採光性、気密性などです。もちろん、安全性はどの製品にも、第一に求められています。求める性能により、製品を選択できるバリエーションがあり、価格も仕様も異なっています。

 

■スライディングウォールの厚み

スライディングウォールのパネルの厚みは、薄いものだと、アクリル樹脂製などで5mm程度からあります。強化ガラスの場合は、1㎝程度の厚みです。また、ガラスでも、遮音性の高いダブルガラスの仕様では、8㎝程度の厚みになります。オフィスや公共施設などで使われる、スチールやアルミ製のパネルは5㎝~8㎝程度です。大会議室やホテルの宴会場など、天井の高い場所や、高遮音仕様では、10㎝~15㎝程度の、かなり厚いタイプになります。

 

■スライディングウォールの高さ

スライディングウォールが対応できる天井の高さは、家庭用やオフィス、学校向けの一般的な製品では、1.5m~4m程度です。また、天井が高い、ホテルの宴会場などに向けた製品では、7m程度の高さまで対応できる製品もあります。

 

■スライディングウォールの重量

スライディングウォールの重さは、軽いものでは、アクリルやポリカーボネート製で8㎏/㎡程度からになります。一般的なパネルで15㎏/㎡くらいです。不燃性、遮音性が高く、厚みも10㎝程度あるものでは、50㎏/㎡もあります。さらに、ホテルの宴会場用など、厚みが15㎝程度にもなると、約100㎏/㎡になります。厚みが増すと、遮音性や気密性が高まり、重量も重くなっていきます。重いパネルは、電動で動かすことが多くなります。

 

■スライディングウォールの天井裏補強

スライディングウォールは、重いパネルを少ない力で、スムーズに動かす必要があります。パネルを吊るには、天井ボードだけでは、重さに耐えることができません。天井裏でしっかりと補強することが重要です。しかし、既存の建物では、天井裏には、たくさんの設備が配置されています。天井にレールを設置する際は、できるだけ既存の設備と干渉しないよう、注意しなければなりません。設備の移設や増設工事が必要な場合は、スライディングウォール以外にもコストがかかります。設備工事についても、あらかじめ見積もりを取り、全体の費用を把握しておくようにしましょう。

 

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スライディングウォールの種類と価格

■スライディングウォールの種類

次に、スライディングウォールには、用途や場所に合わせて、色々な種類があります。どのような種類があるのかご紹介し、価格についても解説していきます。

 

家庭用タイプ

お子さんの誕生や成長、家族の高齢化など、同じ家に住みながらも、生活スタイルや必要な空間は変わっていきます。家庭でも、レイアウトを簡単に変えられるのが、家庭用のスライディングウォールです。家庭用は、美観性を大切にし、レールや吊車も小さなものが使われます。パネルの素材は、木製やガラス、格子、和室向けには、ふすまや障子などがあります。また、天井レールを外付けできるものや、引き戸タイプ、折れ戸タイプなどバリエーション豊富です。価格相場は、1スパン約6万円~です。

 

一般タイプ

オフィスや学校、病院、公共施設などで広く使われる一般用は、垂直で、水平に移動するタイプです。操作性、走行性の良さを重視し、比較的、軽量になっています。パネルの厚みは、5㎝~8㎝で、他の施工型パーテーションと同等です。素材は、表面がポリエステル合板やカラー鋼板、芯材はペーパーハニカムなどです。表面がホワイトボードになる製品もあります。天井の高さは、4mくらいまで対応できるものが多いでしょう。価格相場は、1スパン約8万円~になります。費用を抑えたい場合は、レールを天井下に後付けできるタイプにすると、施工費を抑えることが可能です。

 

薄型・軽量タイプ

軽量なスライディングウォールは、だれにでも簡単に設置できることが魅力です。厚みは、3㎝~5㎝程度です。例えば、コミュニティセンターや保育園、高齢者施設などで、イベントに合わせて利用できます。ワンタッチで床や壁と固定できるなど、操作も簡単なものが多くあります。また、薄型は、格納場所も小さくてすみます。狭いお部屋を仕切りたい場合も、空間をより広く使うことができます。パネルは、MDFという木材に近い素材や、アクリル板、ポリカーボネート樹脂板などです。ポリカーボネート樹脂板は、重量がガラスの1/2程度で、軽くて強度がある素材です。価格相場は、1スパン約8万円~です。

 

ガラスタイプ

開放感や透過性、採光性をもち、美しく、自由に空間を間仕切れるガラスタイプのスライディングウォール。ご家庭や、オフィスや公共施設のエントランス、ホールなどに適しています。強化ガラスやダブルガラスを使用し、防音性、遮音性が高い仕様もあります。価格相場は、1スパン約20万円~です。

 

防音・遮音タイプ

会議室や研修室、ホテルの宴会場などのスライディングウォールは、遮音性が求められます。遮音性とは、音や声がパーテーションの反対側へ透過することを、防ぐ性能のことです。遮音性の高いスライディングウォールは、パネル自体の遮音性が高いだけでなく、床・壁・天井部の優れた圧接機構によっても、音の漏れや侵入を防ぎ、高い遮音性能を発揮しています。壁の厚みは8㎝~12㎝あり、重量も大きくなります。そのため、電動で移動させるケースもあります。電動では、ボタン1つで、パーテーションの移動が可能です。価格相場は、1スパン約25万円~になります。

 

ランニングタイプ

ランニングタイプは、大型の移動壁です。旅館や、飲食店の宴会場などを仕切るのに適しています。最大で横幅20m程度にもできるパネルの壁が、そのまま動きます。パネルの枚数が少ないことで、音漏れしやすい接続部分が、少なくなります。価格相場は、1スパン約30万円~です。

 

大型ホール・宴会場タイプ

ホールやホテルの大型宴会場は、天井が高いのが特徴です。このタイプのスライディングウォールは、天井の高さが7m程度まで対応できます。その分パネルの厚みも増し、10~15㎝程度になります。ギア式の圧接機構によって、天井、床、壁のすき間をしっかりとふさがれ、固定壁と同等の高い遮音性が期待できます。価格相場は、1スパン約40万円~です。

 

展示タイプ

美術館や博物館、ギャラリーや催事場など、パネルを自在に配置したい場所に適しています。あらかじめ、レールを碁盤の目のように設置しておくことで、テーマやイベントに合わせて、パネルを好きな場所に固定できます。動線をつくる役割も果たします。絵画や展示を飾るために、通常のシングルパネルに加え、2枚連なったダブルパネルの製品もあります。価格相場は、1スパン約8万円〜です。

 

■スライディングウォールの比較表

スライディングウォール 比較表
種類 使用場所 例 求められる性能 1スパンの価格相場
家庭用タイプ 住宅 美観性、操作性、走行性 約6万円~
一般タイプ オフィス、学校、病院、公共施設 操作性、静音性、走行性 約8万円~
薄型・軽量タイプ コミュニティセンター、保育園、高齢者施設 操作性、静音性、走行性 約8万円~
ガラスタイプ 住宅、オフィス等のエントランス、ホール 美観性、採光性、遮音性 約20万円~
防音・遮音タイプ 会議室、研修室、ホテルの宴会場 遮音性、不燃性、走行性 約25万円~
ランニングタイプ 旅館や飲食店の宴会場 遮音性、操作性、走行性 約30万円~
大型ホール・宴会場タイプ 大型ホール、ホテルの宴会場、結婚式場 遮音性、不燃性、気密性 約40万円~
展示タイプ 美術館や博物館、ギャラリー、催事場 操作性、静音性、走行性 約8万円~

 

スライディングウォールの動かし方

最後に、スライディングウォールの、手動での一般的な動かし方と、パネルの上下にできる、すき間をふさぐ仕組みについて解説します。

 

■スライディングウォールの動かし方

1,格納されている先頭パネルのストッパーを解除し、平行に引き出し、レールに沿って動かす。

 

スライディングウォール図解1

 

2,レールが交差するところでは、吊車(ランナー・ローラー)が交差ポイントに入ったのを確認してから進める。

3,先頭パネルを固定場所まで移動させたら、壁やサイドフレームに押しあてる。

4,天井と床に隙間ができないように、上下のシール材を圧接させる。

5,2枚目以降のパネルも移動させ、前のパネルに押し当てて、上下を圧接する。

 

スライディングウォール図解2

 

6,最終パネルを移動させ、前のパネルに押し当て、ハンドル操作などにより、上下やサイドを圧接させたら完成。パネルの1枚をドアパネルにすることで、2つの部屋を簡単に行き来することも可能になる。

 

スライディングウォール図解3

 

■スライディングウォールの圧接(シール)の仕組み

スライディングウォールには、パネルを動かした後に、音や光がもれないように、天井と床の隙間をふさぐ仕組みがあります。その仕組みを圧接(シール)と言います。手動のスライディングウォールの圧接の仕方には、下記の方法があります。

 

プッシュ式、スライドシール式

家庭用タイプや薄型タイプなど、比較的軽量なスライディングウォールには、前のパネルに押し当てるだけで上下の隙間がふさがる、圧接機構が使われています。プッシュ式、スライドシール式など、メーカーにより呼び方が異なります。ワンタッチなど、簡単な仕組みのものが多く、誰にでも、少ない力で設置できる点が魅力です。しかし、その分、遮音性などは期待できない場合が多くなります。

 

レバー式

高さ約3mを超えるパネルでは、レバー式やギア式が採用されます。レバー式では、パネルに内蔵されている操作レバーを引き出し、上下するだけで圧接できます。

 

ギア式

高遮音タイプや、ガラスタイプには、ハンドルを差し込んで回し、上下や壁に圧接させる機構が使われます。メーカーにより、回転ギア式などとも呼ばれ、やり方も異なります。重量が重く、パネルの厚みが大きい場合に採用されます。

 

スライディングウォールの種類と価格、動かし方を解説【図解】まとめ

スライディングウォールは、フレキシブルに空間を間仕切れる、移動式パーテーションです。部屋を間仕切りたい時に、手動や電動でパネルを動かし、個室や通路をつくることができます。家庭やオフィスだけでなく、学校やレストラン、保育園や公共施設など、様々な場所で活用されています。軽量タイプや、遮音タイプ、ガラスタイプなど、バリエーション豊富です。オフィスでも、大会議室としては、年に数回しか使用しない部屋も、間仕切ることで、普段はミーティングスペースなどとして、使うことが可能になります。空間の活用に、スライディングウォールを検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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