オフィスのレイアウト検討をする際に、ゾーニングという作業があります。ゾーニングを行うことで、快適なオフィスを作ることが可能です。本記事では、オフィスレイアウトにおけるゾーニングについての解説や、考え方のポイント、事例などを紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
オフィスレイアウトにおけるゾーニングとは?
ゾーニングとは、オフィスレイアウトを検討する前に行う必要があり、空間やエリアの配置を行う大事な作業です。レイアウトの基本となり、快適なオフィスを作るために必要となります。従業員の人数や働き方、オフィスの面積等に応じて検討する必要があり、慎重に決める必要があります。
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ゾーニングの種類
ゾーニングには、いくつかの種類があります。ここでは、動線という観点で分類した3つの種類を紹介します。
動線を完全に分けるスタイル
クローズスタイルともよばれ、オフィスを利用する従業員・役員・来客のすべての動線を独立させます。来客は、エントランスから応接エリアまで直結の導線を作り、従業員や役員は専用の通路から執務エリア・役員室へ入ることができます。
来客の動線のみ分けるスタイル
ハーフオープンスタイルともよばれ、来客と従業員・役員など社外の人間と社内関係者の動線を分けるスタイルです。クローズスタイルと同様に、エントランスから応接エリアまでを直結させることで、執務エリアなど社内関係者エリアに立ち入ることがなくセキュリティを守ることができます。一方で、従業員と役員は同じ空間で業務を行うため、クローズスタイルとは異なり、コミュニケーションを円滑に行うことができます。
動線を分けないスタイル
動線を分けないスタイルは、オープンスタイルともよばれ、来客や従業員・役員などの動線が一つにまとめられています。面積にゆとりがないオフィスなどで採用されることが多く、クローズスタイルやハーフオープンスタイルと比較して工事価格を安くすることが可能です。デメリットとしては、来客が執務エリアなど社内関係者専用の空間に立ち入ることができるため、セキュリティ面に気を付ける必要があります。
ゾーニングを考える際の6つのポイント
ゾーニングを考える際は、好きなように配置を決めるのではなく、ルールに則した方法で検討する必要があります。ここでは、ゾーニングを考える際に知っておくべき6つのポイントについて解説します。
ポイント1:必要な機能をすべて反映する
ゾーニングを行う際は、オフィスに必要な機能をすべて洗い出して反映する必要があります。
- 執務エリア
- 会議室
- 応接室
- 打合せスペース
- 備品置場
- 通路
など必要な機能をすべて反映するようにしましょう。今のオフィスにある機能で、必要なものをすべて書き出すことで漏れなく進めることが可能です。
ポイント2:動線も検討する
ゾーニングは、部屋の配置だけでなく動線も検討するようにしましょう。
- 出勤時退勤時のルート
- 昼休みのルート
- 会議室や応接室へのルート
- 他部署へのルート
など業務中にどのような動きを行うのかを検討し、ゾーニングに反映する必要があります。動線を反映しておくことで、無駄な動きを減らすことができ業務効率化にもつながります。
ポイント3:適切な寸法を押さえておく
項目 | 基準寸法 |
1人が通る通路幅 | 600mm以上 |
2人がギリギリすれ違える通路幅 | 1200mm以上 |
2人が余裕を持ってすれ違える通路幅 | 1600mm以上 |
デスクサイズ | 1200mm×700mm程度 |
隣接する机間の離隔 | 600mm以上 |
着席時の机と椅子の距離 | 450mm以上 |
- デスクの寸法やデスク間の距離
- 通路寸法
- 会議室や応接室の寸法
など、基準寸法や現在のオフィスの寸法を参考にしながら、ゾーニングの検討を行いましょう。
ポイント4:デスクレイアウトを決める
ゾーニングの際に、執務エリアにおけるデスクレイアウトを決めておく必要があります。理由としては、デスクレイアウトによって執務エリアの面積が変動するからです。
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デスクレイアウトは、一般的な対向式や背面式のほかにも、左右対向式(クラスター式)や同向式など様々な配置方法があります。オフィスの状況や業務内容に応じて選定すると良いでしょう。
ポイント5:将来的な従業員を予測する
従業員数の変動が起こる可能性がある場合は、将来的な従業員数も視野にいれたゾーニングを行いましょう。特に、執務エリアの面積に大きく関わるため、従業員の増減を吸収できるようにスペースに余裕を持たせて検討することをおすすめします。
ポイント6:従業員の意見を取り入れる
ゾーニングを検討する際は、上層部だけで決めるのではなく可能な限り従業員の意見を取り入れることをおすすめします。まずは素案を作り、従業員に確認を行いながら案を固めていきましょう。オフィスを使用する従業員の方の意見を取り入れることで、レイアウト変更後に快適な環境を作ることが可能となります。
オフィスのゾーニング~レイアウト設計までの手順
レイアウト設計を行う際にゾーニングは必須の作業ですが、ゾーニングだけで終わりではありません。ここでは、初めてオフィスのレイアウト変更を行う方に向けて、ゾーニングからレイアウト設計までの手順を解説します。
手順1:必要なエリアの洗い出し
まずは、ゾーニングを行う前に必要なエリアを洗い出します。現状のオフィスを参考にしながら、ピックアップしていきましょう。ゾーニングでは、ここで検討する必要なエリアがとても重要となるため、漏れが無いように洗い出しましょう。必要なエリアは、会議室や執務エリアのような空間だけでなく通路や什器などすべて洗い出すことをおすすめします。
手順2:動線スタイルの検討
次に動線スタイルを検討します。先ほど紹介した3つの動線スタイルの中から、自社のオフィスに最適なものを選定しましょう。動線スタイルは、オフィス面積や、業務内容、工事予算にも関わるため、慎重な検討が必要です。ただし、この先の検討のなかで、変更が発生する可能性もあるため、この段階では確定せずに優先順位を決める程度で構いません。
手順3:大まかなゾーニング
必要なエリア、動線スタイルが決まったら大まかなゾーニングを行いましょう。この段階では、寸法等は気にせずざっくりとしたオフィスの図を紙に書いて、各エリアと動線を明記します。動線スタイルを複数検討したり、エリアの配置バリエーションを検討したりと複数プランを作成することをおすすめします。完成した大まかなゾーニングは、可能であれば従業員に提示して意見を収集しても良いでしょう。
手順4:詳細なゾーニング
大まかなゾーニングプランが固まったら、詳細なゾーニングを行います。進め方としては、オフィスの寸法を測り、図面を作成します。その後、大まかなゾーニングプランに基づき細かなゾーニングを行います。必要な寸法や面積なども記載しておくと良いでしょう。
手順5:レイアウトに落とし込み
次に、詳細なゾーニングプランに基づいてレイアウトに落とし込みます。方法としては、間仕切り壁の位置や扉の位置、デスクや備品の配置など細かく設定していきます。ポイントとしては、縮尺を合わせて現実に沿ったレイアウトを作成すると、より詳細な検討が可能となります。
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手順6:間仕切りの検討
レイアウトが決まったら、間仕切り壁の種類を検討します。間仕切り壁は、造作壁とアルミ(又はスチール)パーテーション、ガラスパーテーションの中から検討します。内装デザインや遮音など必要な機能に応じて選定すると良いでしょう。
手順7:仕上げ・デザインの検討
最後に、仕上げやデザインを検討します。
- 床仕上げ
- 壁仕上
- 天井仕上
- 建具の仕様
- 照明器具の配置や仕様
- 空調設備などの配置や仕様
このような内容を検討していきます。ただし、手順5~7は、一般的に工事業者と共に計画を進めるため、要望や参考にしたいデザインのオフィスなどがあれば資料をまとめておくと良いでしょう。
オフィスレイアウトにおけるゾーニングの事例
オフィスレイアウトにおけるゾーニングの事例を紹介します。あくまでゾーニングですので、詳細なレイアウトなどは記載していませんが、自社のレイアウトを検討する際に参考にしてみてください。
事例1:小規模オフィス
こちらは、小規模オフィスのゾーニング事例です。小規模オフィスの場合は面積が限られているため、来客と従業員・役員の動線を分けずにレイアウトを行います。こちらの事例では、圧迫感のある空間を避けるため、間仕切りを設置せずにオープンなオフィスにすることを意識しました。
事例2:中規模・大規模オフィス
こちらは、中規模・大規模オフィスゾーニング事例です。中規模・大規模オフィスの場合は、オフィス面積にゆとりがある場合が多いため、来客と従業員・役員の導線を分けて検討しました。本事例では、ハーフオープンスタイルにて検討しています。応接室は、エントランスから直接アクセスできるようなレイアウトとしており、外部の方が執務エリアに立ち入ることができないような動線としています。
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オフィスのレイアウト検討の前にゾーニングは必須
本記事では、オフィスレイアウトのゾーニングについて、検討する際のポイントや事例などを解説しました。ゾーニングは、レイアウト検討前に必須の作業といえます。ゾーニング図は、見た目はシンプルですが、必要なエリアを洗い出したり必要な寸法を確保したりと重要な内容が詰め込まれている重要な資料となります。オフィスレイアウトの変更や、新規オフィスの立上げを計画されている方は、本記事の内容を参考にぜひゾーニングを行ってみてください。