ホテリングは、オフィスにフリーアドレスを導入する際の課題解決に有効です。既にフリーアドレスを採用している場合も、利便性アップが期待できます。しかし、『ホテリング』という言葉を聞いたことがない、意味を知らないという人も多いと思います。基本情報や導入のメリット、おすすめのシステムを詳しく解説します。
ホテリングとは
まずはホテリングとは何か、注目されている理由やフリーアドレスとの関係を解説します。
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ホテリングとは
ホテリングとは、複数の人が共有する座席やブースの予約管理システムのことを言います。フリーアドレスを導入しているオフィスでは、従業員は固定席を持ちません。ホテリングを活用することで、複数の人が同時に同じ場所を使うことを避けられたり、グループで利用できたり、効率的なオフィス運用が可能になります。ホテルの予約システムと似ていることから『ホテリング』と呼ばれています。
ホテリングはなぜ今注目されているの?
コロナ禍以降テレワークが普及し、働き方が多様化しています。出社人数が減ったオフィスでは、従来の広さや従業員一人ひとりの固定席が必要なのか検討されるようになりました。経費削減のためにオフィスの縮小を図る場合には、フリーアドレスの導入が有効です。フリーアドレスの導入に合わせ、座席の予約管理システムである『ホテリング』も注目されるようになっています。
フリーアドレスとホテリングの関係
フリーアドレスとホテリングは、実はどちらも約30年前に提案されています。フリーアドレスは1987年に日本で生まれ、当初は、オフィスにいる人が空いている席を広く使うことを目的としていました。その後、コスト削減効果も期待されるようになり、オフィスレイアウトの1つとして浸透しました。
フリーアドレスの課題って?
これまでフリーアドレスの運用では、下記のことが課題となっていました。
- 誰がどこに座っているか分からない
- 席が固定席化してしまう
- グループワークがしにくい
- 出社しても空いている席がない
ホテリングは、これらの課題解決に有効だとされています。とくに、オフィスの省スペース化を目的としてフリーアドレスを採用する場合、座席数は従業員数より少なくなります。座席の予約管理システムを活用しないと、出社時に席を確保することが難しくなるでしょう。
ホテリングを導入するメリットや効果
次に、ホテリングの導入メリットや効果を解説します。
コスト削減
ホテリングを導入してオフィススペースの最適化を図れば、コスト削減につながります。テレワークやリモートワークの多い部署や企業では、全員分のデスクを設置する必要がありません。デスクを減らすことで、オフィスの縮小が可能になります。賃貸オフィスでは、賃料や光熱費など、固定費の大幅な削減が見込めるでしょう。
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コミュニケーションの活性化
ホテリングを活用すれば、社内コミュニケーションの活性化が期待できます。フリーアドレスの導入によって従業員同士の交流が増えコラボレーションの促進やイノベーションの創出が期待されます。ホテリングのなかには、席がランダムに選択される機能が付いたシステムもあります。
所在か分かりやすい
ホテリングを利用すれば、誰がどこにいるのか簡単に分かります。フリーアドレスだけの運用では、所在が分かりにくいというデメリットがありました。ホテリングを活用することで、チームメンバーや上司の予約状況、座席の空き状況などが視覚的に確認できます。人を探す手間がかからず、業務がスムーズに行えるでしょう。
働き方の自由度が高まる
ホテリングの活用により、働き方の自由度が高まります。テレワークは、通勤時間や労力の軽減などのメリットが多い一方、社内コミュニケーションや帰属意識の低下といったデメリットも併せ持ちます。
オフィススペースの効率化
デスクを減らしてホテリングを活用すると、オフィススペースの効率化が可能になります。働き方が多様化するなか、オフィスには多様なスペースが求められています。デスクが減った分のスペースを活用し、従業員のニーズに合わせた環境を整えましょう。例えば、集中ブースやリフレッシュルーム、オフィスカフェなどを設けられ、スペースを有効活用できます。
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ホテリング・座席予約管理システムの選び方
ホテリングにはさまざまなタイプがあるため、自社に最適なシステムの選び方を解説します。
スマートフォンから利用可能
ホテリングは、PCだけでなくスマートフォンから利用可能なものを選ぶようにして下さい。スマートフォンなら、いつでもどこからでも座席やブース、会議室などの予約や変更が可能になります。
自動キャンセル機能が付いている
予約時間を過ぎてもチェックインがされない場合に、自動キャンセル機能が付いていると便利です。急にオフィスに立ち寄りたいと思っても、席が空いていなければ業務が行えません。自動的にキャンセルされることで座席や会議室の空予約を抑制し、効率よく運用できます。システムによってはメールを送った上でキャンセルされるため、トラブル回避も可能です。
外部サービスと連携できる
外部サービスと連携できるシステムを選べば、業務効率アップが期待できます。例えばGoogle WorkspaceやOutlookなど既存システムと連携できるものがあります。座席予約情報はスケジュールシステムにも反映でき、チームメンバーとの調整もしやすくなります。また、コミュニケーションツールであるMicrosoft Teamsと連携できるホテリングでは、通話やチャットが手軽に行えます。
ホテリングの主な機能まとめ
ホテリング・座席予約管理システムの主要な機能を一覧にまとめました。選ぶ際の参考にして下さい。
ホテリング・座席予約管理システムの主な機能 | |
機能 | 特徴 |
座席の予約管理 | PCやスマートフォンから、リアルタイムで利用可能な座席を検索し、事前に予約できる |
フロアマップ表示 | オフィスのフロアマップ上で、座席の空き状況や予約状況を視覚的に確認できる |
予約の⾃動キャンセル | 予約時間を過ぎてもチェックインがされない場合に、システムから予約をキャンセル |
外部システムとの連携 | カレンダーツール(Outlook, Google Calendarなど)や社内チャット、入退室管理システムなどと連携 |
チェックイン・アウトの管理 | QRコードやシステムからの操作で、座席の利用開始・終了を記録 |
会議室・共有設備予約 | 会議室やプロジェクター、ホワイトボードなどの共有設備も予約可能 |
利用データ分析 | 座席や設備の利用率、利用時間帯などのデータを収集し、レポートとして効果や課題を可視化 |
座席のランダム選択 | 席が固定することを防ぐため、ランダムに席を選択してくれる機能 |
ホテリング・座席予約管理システムおすすめ4選
最後に、ホテリングに活用できるシステムのなかで、使いやすいおすすめ4選を解説します。
WORK AGILE(ワークアジャイル)
リーズナブルな導入費用が魅力の、クラウド型座席管理システムです。初期費用は無料で、月契約では1アカウントごとに税別270円で利用できます(2025年6月現在)。全プランで機能制限はなく、30日間の無料お試しも可能です。また、専用の図面は不要で、オフィスのレイアウトをそのままアップロードすれば、WEB座席表が作成できます。Outlook や Google Calendar と同期させるなど、外部サービスとの連携も可能です。
4-2. YourDesk(ユアデスク)
初心者でもマニュアル不要で使いやすい、シンプルな設計のシステムです。検索機能の活用により、オフィスワーク・テレワーク・外出・出張・休みなど、従業員の勤務状況が可視化されます。予約やチェックインの際には、社員証やQRコードなどが利用可能です。
PC・スマートフォン・タブレットなどマルチデバイスに対応し、充実した機能で業務の効率化を図れます。例えば、グループ席の予約や座席のランダム予約、役職者向けの固定席予約、同一席の連続予約禁止機能などがあります。また、運営会社は多くの金融機関にサービスを提供しており、セキュリティ性の高さも魅力となっています。
EXOffice(エックスオフィス)
オフィスや働き方改革に必要な4大機能がオールインワンになったシステムです。導入実績が豊富で、1,400社以上、7万人以上(※2023年3月末時点)に利用されています。座席の予約管理のほかには、位置情報、グループウェア連携、データ分析の機能があります。
スマートフォンとの連動によりリアルタイムで位置情報を可視化し、オフィス内だけでなく、テレワークや外出も一覧表示が可能です。また、サポートが充実しており、アップデートや定期メンテナンス、設定変更などもスピーディに対応できます。
Colorkrew Biz (カラクルビズ)
オフィスの座席管理システムとスケジュール調整システムを兼ねた、多機能型ツールです。QRコードとアプリを用意すれば、すぐに利用開始が可能です。3Dマップにも対応しているため、より視覚的に在席状況が確認できます。外部サービスとの連携も可能です。
例えばOffice 365のOutlookと連携すると、人と会議室の空き状況から最適な時間を選択してくれます。また、備品管理機能や社内決済機能など、拡張性があります。料金は人数に応じて価格が変動するため、導入しやすいことも魅力と言えます。
【まとめ】
ホテリングは、オフィスの座席や会議室などの予約管理システムのことを言います。近年、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドな働き方をする人が増えています。ホテリングは、オフィスの省スペース化や最適化を目指す企業に注目されています。
導入メリットは、コストの削減や社内コミュニケーションの活性化、スペースの効率化などです。選ぶ際は、自動キャンセル機能や外部サービス連携などが付いているものを選ぶと利便性がアップします。オフィスの縮小やスペースの最適化を図る際は、フリーアドレスとホテリングの導入をぜひ検討してみて下さい。