いざ会社の引っ越しをすることになったけど、何から手をつければ良いのだろうと頭を抱える総務部の方は多いのではないでしょうか。今回は総務部の引っ越し担当であるあなたに向けて、会社の引っ越しをスムーズに行うための業務のポイントをまとめました。
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会社の引っ越し指示が出たら総務がまず最初に行うことは?
会社の引っ越しが立案されてから、ここは欠かさず行って欲しいというポイントをまとめました。
オフィスやテナントの解約時期の確認する
一番初めにしなければならないこと、それは今のオフィスから退去がいつできるかを確認することです。退去できる時期は、入居した時にビルオーナーと交わした「賃貸借契約書」の「退去」や「解約」の項目に記載されています。多くは「解約の申し出から○か月後」と記載されています。今のオフィスから出たい、と申請してから何か月後に退去ができるかを確認しましょう。
次項に「全体スケジュールの作成」とありますが、こちらは解約できる時期を明確にしてからスケジュールを立ててください。ビルオーナーによっては、オフィスの解約をする時に記入する届出用紙の雛形がある場合があります。現オフィスのビルオーナーに解約の届出について必ず確認してください。
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【注意点】解約予告の提出タイミング
新オフィスを契約すると同時に解約予告を提出する企業がある一方で、入居するオフィスが決まる前に解約予告を出してしまう企業もあります。新オフィスの場所や条件がすでに決まっていて、早く引っ越しがしたい企業は解約予告を前もって提出してしまう傾向があります。自社の引っ越しに関しての内容がまるで決まっていない場合は、引っ越し先の条件を決めてから提出してください。
一番避けたいのは、退去日が迫っているから、新オフィスへの条件を妥協して決めることです。
引っ越しのスケジュール表を作成する
上記の図は、100坪程度のオフィスへ引っ越しする時のスケジュールの目安です。100坪よりも小さなオフィスの場合はこれよりもスケジュールが縮小する場合があります。自社の新オフィスの規模はどれくらいかを想定してスケジュールの目安として利用してください。また、今いるオフィスの原状回復工事について、上記の表では解約日前と記載していますが、稀に解約日後に行うケースもあります。原状回復工事を行うタイミングについてもビルオーナーにあらかじめ確認しましょう。
外注する業務の確認する
オフィスデザイン、オフィスレイアウト、内装工事、引っ越し、LAN工事、電気工事、産業廃棄物の撤去など、業務を外注しなければならない業者の目処をつけておきましょう。オフィスの引っ越し立案が出た時点で業者選定を急ぐ必要はありません。しかし、オフィス移転時期が春や秋などの引っ越し繁忙期シーズンと重なる場合はトラックの手配や職人の手配をしにくくなる場合があります。引っ越しの繁忙期が会社の引っ越しと重なる可能性があるかをオフィス移転が立案された時点で確認してください。もし重なりそうであれば新オフィスの入居日が決まり次第すぐに業者の手配をしてください。
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物件探しをするときに総務が行うこと
では次に物件探しをする時に業務がスムーズになるポイントを解説します。
新しいオフィス物件への申し込み
いつでもすぐに入居の申し込みができるように、必要書類は事前に準備しておきましょう。なぜかというと、申し込みは先着順で優遇されることが多いからです。総務部として、決済者の申し込みについてGoサインが出た時にその日のうちに申し込みをすることは超重要な役割です。申し込みをいつでもすぐにできるように以下のものは事前に準備しておきましょう。
- 会社概要(パンフレット)
- 登記簿謄本(履歴事項全部証明書は3ヶ月以内に取得した原本)
- 印鑑証明(3ヶ月以内に取得した原本)
- 連帯保証人の身分証明書のコピー(会社代表の運転免許は表面、裏面をコピー)
- 決算書(3期分。創立したてで3期分ない法人は創立してからの期間分)
上記に合わせて、申込書という会社のプロフィールと入居時期、希望家賃などを記載する書類を提出します。この申込書はビルを案内した不動産仲介業者から入手できます。ファックスかメールでもらえるものなので、内覧に行った時に、申し込みはせずとも念のため申込書をもらっておくと良いでしょう。
内覧をして入居先の物件を契約する
ここで気をつけたいのは自社に不利な内容の契約でないか、ということです。明らかに不利な契約はのちに無効となることもありますが、無効の判決が出るまでに相当の時間を要します。事前に不利な内容が書かれていないか、特に見ておきたい部分をピックアップしました。
家賃の滞納について
新オフィスの契約に1ヶ月、と記載があったら2ヶ月に変更してもらいましょう。稀に、家賃の支払いが1か月滞った場合に契約を解除(退去)する、という契約があります。銀行の切り替えなどでうっかり支払われなかったなどのトラブルもありえるので、多くの賃貸借契約書では滞納猶予期間を2ヶ月としています。
禁止行為について
よく見かけるのが、借りた事務所スペースを転貸することを禁止行為としているビルオーナーです。その他に、楽器の使用やペットの禁止などもあります。また、不特定多数の出入りを禁ずる場合もあるので、自社の業態に契約内容が都合の悪いものになっていないかを確認してください。
解約について
多くの場合は、退去したいと解約予告を出してから3か月〜6か月に退去ができるように記載しています。万が一解約までの期間が1年などと長くなっている場合は3か月〜6か月に変更の交渉してください。
新しいオフィスが決まってから引っ越しまで
社内向け通知
社員に引っ越しの日にちを通達します。引っ越しを何度も行っている場合は社内メール等でお知らせするだけの企業もありますが、引っ越し自体に慣れていない企業は丁寧に説明会を行うケースもあります。社内のスケジュール調整により、社内通知で済ますかどうか、検討して社内向けに通知しましょう。
外注する業者の相見積もり
新オフィスが決まると、内装工事業社、引越し業社など外注業社への依頼が可能となります。社内からの紹介や各業者からの紹介などある場合もありますが、必ず相見積もりを行いましょう。相見積もりは手間と時間がかかりますが、同業者に同じ時間に来てもらい同時に見積もりを行うと価格交渉やサービスを受けやすくなります。引っ越しは、知識の多さから業者が優位に立ちやすく、知らない間に金額が膨れ上がっていた、ということもあります。そうならないように必ず相見積もりを取るようにしましょう。
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挨拶も含め事務所移転の案内を出す
新しいオフィスの入居1か月前あたりに、メールやハガキで移転の案内を出しましょう。企業によりプレスリリースを出す場合もあるので広報部と連携して社外への案内を出しましょう。なお、電話番号を事前に把握できる可能性がある場合は電気通信工事業者に新オフィスの番号を確認をしてから案内の作成をすることをお勧めします。
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申請関係の届出ラッシュがある
会社の引っ越しにおける届け出は少なくとも10件近くあります。中には移転前にも出さなければいけないものもあるので、提出期限に遅れないようにスケジュール管理を徹底しましょう。届出によって新しい登記簿謄本が必要になるものもあります。事前に提出書類を確認して提出の順序などを決めてください。
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できる総務は知ってる会社を引っ越しする時の業務ポイント
総務の方が特に気をつけて欲しい会社の引っ越しにまつわる業務をまとめました。会社の引っ越しは多くの人や工程をまとめ上げるマルチタスクな業務です。抜けや漏れが起きないように全体像を把握しながら進めていくことがポイントとなります。まずは移転に向けたスケジュール表を作り、修正しながら各ポイントで重要なことを確認し、スムーズに引っ越しができるよう頑張ってくださいね。