サーバールームに必要な性能とは?設置時の注意点3つも解説

サーバールームは重要なファイルやデータなどを保管する場所です。現状のオフィスにはなくても、将来的に設置したいと考えていたり、オフィス移転時に検討したりという企業も多いのではないでしょうか。今回は、サーバールームの基礎知識と必要な性能、設置時の注意点について解説します。

 

サーバールームの基礎知識と必要な性能とは

サーバールーム

まず、サーバールームとは何か、設置を検討すべきケースや、必要な性能について解説します。

 

サーバールームとは

サーバールームは、サーバーを保管するために作られた部屋のことです。サーバーとは、分かりやすく言うと、パワーアップしたパソコンです。個人が使うパソコンとは異なり、社内や組織内のデータや情報ファイルの共有、サービスの提供などができ、業務の効率化を図るために使われています。サーバールームは、熱がこもらないような温度管理や、セキュリティ性が重要です。

 

サーバールームの設置を検討すべきケース

大手企業やIT系企業では、自社でサーバールームを設置している企業が多くあります。しかし、情報の保管は、外部のクラウドサービスを利用することも可能なため、中小企業や団体などでは、自社にはないというケースもあるでしょう。クラウドサービスを利用すれば、初期費用が抑えられたり、管理の手間が不要だったりというメリットがあります。

 

ところが、下記のようなケースでは、初期費用や運用費をかけても、自社サーバーの導入やサーバールームの設置を検討すべきだと言えます。

 

  • 外部クラウドサービスでは拡張性や自由度が低く、ビジネスチャンスを逃してしまった
  • ユーザーに充実したコンテンツを提供したい
  • 情報漏えい防止や個人情報管理の観点から、自社で情報管理をしたい
  • オフィスの一角にむき出しで置いているサーバーを、きちんと保管したい
  • サーバーを新たに購入する予定があり、設置場所を検討している
  • 既存のサーバールームを拡張、改善したい

 

サーバールームに必要な性能5つ

次に、サーバールームに必要な主な性能5つを解説します。

 

●防音性、遮音性

サーバーなどの機器類は、意外と稼働音が大きいため、騒音対策が必要です。他の業務に支障が出たり、従業員のストレスになったりしないよう、防音性の高いパーテーションでサーバールームを作るようにしましょう。また、執務スペースから離れた位置にゾーニングする方法も有効です。

 

●セキュリティ性

セキュリティ性

サーバールームは、企業にとって重要な情報やデータを保管する場所なので、高いセキュリティ性が求められます。外部の人を侵入させないだけでなく、従業員であっても、誰もが簡単に入れる状況では困ります。サーバールームは、特定の人だけに入退室権限を持たせたり、入退室の記録をする必要があります。

 

部屋を間仕切るパーテーション自体も、壊されたり、侵入されづらい仕様を選ばなければなりません。室内の異変に気付きやすくするために、視認性の高さも重要です。防犯カメラの設置や入退室管理システムの導入なども検討しましょう。

 

●放熱性

サーバーは精密機器なので高温多湿を嫌います。しかし、常に稼働しているため、高温になりやすい状況にあります。熱がこもってトラブルになるのを避けるために、サーバールームやサーバーラックは、放熱性が高い仕様でなければなりません。常に適切な温度に保ち、冷却設備を準備しておくことが大切です。

 

●不燃性、断熱性

重要なデータを保管しているサーバーは、火災のリスクからも守らなければなりません。万が一建物内で火災が発生しても、サーバールームのパーテーションに優れた不燃性があれば、リスクを軽減できます。また、サーバールームは適切な温度で維持しなければなりません。断熱性も高ければ、外気の温度の影響を受けにくく、空調での温度管理がしやすくなります。

 

●耐震性

日本では地震が多いため、地震対策も欠かせません。ベルトを使ってサーバー本体を天板や棚板に固定したり、ラックを床に固定したりといった対策は後からでも可能です。しかし、万全ではありません。もし地震で間仕切り壁が崩れてくると、サーバーが壊れてしまう場合もあります。サーバールームの間仕切りには、高い耐震性が必要です。

 

サーバールーム向きのパーテーションとは

サーバールーム向きのパーテーションとは

サーバールームには、性能面や拡張のしやすさなどから、施工型パーテーションが適しています。なかでも、スチールパーテーション、ガラスパーテーション、不燃アルミパーテーションの3種類がおすすめです。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

 

スチールパーテーション

スチール

スチールパーテーションは、パネルや支柱などの部材を組み合わせて建てる、施工型パーテーションの1つです。施工型パーテーションは、将来的に移設したり、部屋を拡張、縮小したりできるというメリットがあります。スチールパーテーションは、丈夫なスチール製パネルを2枚使い、支柱を間に挟んだ中空構造になっています。

 

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パネルには、不燃素材の石膏ボードが裏打ちされ、パネル中空部の空気層よって断熱効果も期待できます。また、中空部には、グラスウールやロックウールを充填することで、断熱性や防音性、遮音性をさらに高めることができます。

 

ガラスパーテーション

ガラスパーテーションも施工型パーテーションの1つで、アルミやスチール製の枠にガラスをはめた間仕切りです。このうち、スチール製のガラスパーテーションがサーバールームに向いています。スチールパーテーションに、ガラスの視認性がプラスされます。サーバールームでは重要なデータを保管しているため、高いセキュリティ性が必要です。視認性を良くすることで、外部からの侵入や、故障などの異変に気付きやすく、不正の抑止力アップにも繋がります。

 

≫ ガラスパーテーションとは?価格や使い方を解説【施工事例アリ】

 

また、ガラスパーテーションはスタイルを選ぶことができます。全面ガラスタイプだけでなく、腰高より上部がガラスになっているタイプや、パネルとガラスを組み合わせたブロックタイプなどがあります。ガラスの種類も選ぶことができるため、セキュリティ性を高めたい場合は、強化ガラスや樹脂膜を挟んだ合わせガラスなどを使っても良いでしょう。

 

不燃アルミパーテーション

アルミパーテーションも施工型パーテーションの1つで、安価で、コストパフォーマンスの良い間仕切りです。部材がシンプルで、比較的短時間で施工できることも魅力です。カラーバリエーションも豊富で、オフィスなど様々な場所で利用されています。標準的なアルミパーテーションは、防音性は低く、不燃性能もないことがデメリットでしょう。

 

≫ アルミパーテーション|施工手順と間仕切りの使い方事例9選

 

製品によっては、不燃認定を受けているアルミパーテーションもあります。スチールパーテーションやスチール製ガラスパーテーションは、高機能なために価格が高く、予算に合わないケースもあるでしょう。費用を抑えたい場合には不燃アルミパーテーションがおすすめです。

 

サーバールーム向きパーテーション3種類の比較

それぞれのパーテーションの性能を比較した一覧を作成しました。選ぶ際の参考にして下さい。

 

サーバールーム向きパーテーション 性能比較
性能 スチールパーテーション ガラスパーテーション
(スチール)
不燃アルミパーテーション
防音性
遮音性
×
セキュリティ性
不燃性
断熱性 ×
耐震性
経済性
(費用)
×
新品価格
w900,施工費別
40,000円程度 70,000円程度 30,000円程度

 

サーバールームを設置する際の3つの注意点

サーバールームを設置する際の3つの注意点

最後に、サーバールームを設置する際の注意点を3つご紹介します。

 

通路や作業スペースを十分に確保する

サーバールームには、ラックや冷却装置などが置かれます。レイアウトを検討する際は、機器類の置き場だけでなく、通路や作業スペースも十分に確保するようにして下さい。トラブルなどの際には、迅速な対応をするためにも、作業環境は重要になります。また、スチールパーテーションは2枚構造のため、施工時は両側にスペースが必要です。既存のラックを囲ってサーバールームを作る際などは、気を付けてレイアウトしましょう。

 

消防設備や空調の工事が必要な場合がある

サーバールーム内は精密機器類が置かれるため、防塵性を高めた仕様がおすすめです。パーテーションは、上部の欄間(ランマ)まで閉じてホコリを入りにくくした、ランマクローズのスタイルが理想です。しかし、密閉した個室を設置する場合は、天井にある火災報知器やスプリンクラーなどの消防設備や空調の移設、増設が必要になる場合があるので注意しましょう。

 

消防法に基づき、個室内の消防設備や空調の吹き出し口の位置や数が決められています。サーバールーム設置を検討し始めたら、パーテーションの施工業者や入居ビルの管理会社に相談し、工事の必要があるのか、また費用がどれくらいかかるのかなど、事前に確認してください。設備工事は、ビルの指定業者に依頼しなければならないケースも多いため、早めに相談しておきましょう。

 

適切な消火器を設置しよう

サーバールーム内には、消火器を設置しておくと良いでしょう。室外で発生した火災は、不燃素材で間仕切ることで、リスクを軽減できます。しかし、室内での火災発生リスクもあるため、消火器を準備しておくと安心です。サーバーなどの精密機器は、水分や粉末が内部に入り込むと故障の原因になります。適切な消火器を選ばないと、火災発生時に鎮火はできても、重大な二次被害を起こしてしまいます。

 

一般的にもっとも普及している消火器は、ABC粉末消火器です。薬剤の粒子が電子機器のすき間に入り込み、サビや故障の原因になる可能性があるため、適していません。精密機器への影響が少ないタイプは、二酸化炭素消火器です。しかし、地下や窓がない部屋、換気が十分にできない場所などでは使用できないため、環境によっては不向きでしょう。

 

現時点で、サーバールームにもっとも向いているのは、純水ベースの消火器です。消防法に適合し、消火後の二次被害も最小限に抑えられます。

 

サーバールームに必要な性能とは?設置時の注意点3つも解説【まとめ】

今回は、サーバールーム設置で必要な基礎知識や向いているパーテーションをご紹介し、注意点についても解説しました。サーバールームでは、精密機器を保管するため、防音性やセキュリティ性、不燃性や耐震性など、多くの性能が求められます。サーバールームを作るには、スチールパーテーションやスチールのガラスパーテーション、不燃アルミパーテーションの3つがおすすめです。設置の際には、パーテーションの性能や費用を比較し、注意点も参考にして下さい。

 

 

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