オフィスのパーテーション工事では、欄間(ランマ)オープンや欄間(ランマ)クローズという言葉が使われます。しかし、欄間がどの部分なのか、違いやメリットは何か、よく分からないという人も多いでしょう。今回は、オフィスパーテーションの欄間オープンとクローズの違いやメリット・デメリット、設置時のポイントも解説します。ぜひ参考にして下さい。
欄間(ランマ)とは?種類や高さなどの基礎知識
まず、欄間(ランマ)がどの部分かをご紹介し、種類や高さなど基礎知識を解説します。
欄間(ランマ)とは
パーテーションの欄間(ランマ)とは、ドア程度の高さから天井までの間の部分を指します。元々は、日本の伝統的な建築様式に見られる、鴨居と天井との間に取付ける部材を意味します。日本家屋の欄間は、透かし彫りなどが施され、装飾として暮らしを彩りながら、採光や換気に役立てられていました。
ランマオープンとは
欄間部分に、パネルなどを付けず、天井付近が空いている状態を言います。
欄間(ランマ)の種類
続いて、オフィスパーテーションの欄間の種類を解説します。
ランマパネル
欄間用のパネルのことです。ランマパネルを使って天井まで塞ぐと、欄間クローズのスタイルになります。ランマパネルは、オフィスの天井の高さに合わせ、現場でカットして使います。また、床から天井まで塞ぐ際、分割せずに、1枚の全面パネルを使う方法もあります。
ランマガラス
欄間部分にガラスを入れることもできます。ランマガラスを使うと、オフィスの廊下や隣室から採光がとれて明るい印象になり、部屋が狭くても圧迫感が軽減できます。また、欄間オープンの時より防音性がアップします。
回転式ランマ
回転式ランマは、開けたり、閉めたりができます。パネルでも、ガラスでも製作可能です。会議や打ち合わせの時は、ランマを閉めてオフィスの防音性を高め、換気したい時だけ開ける、といった使い方ができます。
欄間(ランマ)オープン時のパネルの高さ
オープンにしたときの標準的なパネルの高さは、約2m10cmです。一般的なドアパネルの上部と同じ高さです。そこから天井までの間は支柱だけが立ち上がり、開口になります。また、パーテーションの多くは、レールや支柱の一部をカットできるため、オフィスでパーテーションを建てたい位置に空調や照明があっても、よけて建てることができます。
欄間(ランマ)オープン、欄間(ランマ)クローズの違いとは
次に、違いや消防法との関係について詳しく解説します。
オープンとクローズの違い
●見た目
オープンはパーテーションの上部が空いているのに対して、クローズは床から天井まで塞がれている状態を指します。
●防音性・遮音性
防音性や遮音性は、上まで塞いでいる欄間クローズの方が高くなります。
●セキュリティ性
セキュリティ性も、床から天井まですき間がないため、欄間クローズの方が高いと言えます。
●空調や照明工事の有無
天井まで塞いで個室を作ると、空調がない部屋になってしまったり、照明器具が不足して暗くなってしまったりする場合があります。クローズを選ぶと、空調や照明の移設、増設が発生する可能性が高くなります。
●消防法に基づく消防設備工事の有無
天井には、消防法に基づき、消防設備が取り付けられています。欄間オープンの場合は、消防設備工事はあまり発生しません。消防法の対象になるのは、主に、天井まで塞ぐ欄間クローズのパーテーションです。
欄間(ランマ)と消防法の関係
消防法は、火災を予防したり、もしオフィスなどで火災が発生しても、被害を広げないようにしたりするための法律です。消防設備とは、例えば、スプリンクラーや煙感知器、熱感知器、誘導灯などです。設備によって必要な個数や、パーテーションからの距離などの規定が異なります。
書類準備や届け出は複雑なため、パーテーションの専門業者に相談するとスムーズでしょう。
欄間(ランマ)オープンのメリット・デメリット
続いて、オープンにした場合のメリット・デメリットを詳しく解説します。まずはメリットからご紹介します。
欄間(ランマ)オープンのメリット
●通気性が良く明るい
パーテーションでオフィスを仕切っても、上部が空いていることで通気性が良く、空気を循環できます。コロナ禍以降、換気が気になる人も増えているのではないでしょうか。とくに、個室が小さい場合には、天井までしっかり塞がれていると、圧迫感が出てしまうこともあります。
●設備工事が発生しない可能性が高い
オフィスを仕切っても、欄間を空けておくと同室と見なされ、設備工事が発生しない可能性が高いと言えます。一方クローズにすると、設備の移設や増設が必要になるケースが多くなります。オフィスビルの天井には、消防設備や空調設備、照明器具などが設置されています。
また、移設や増設をすると、オフィスの退去時に原状回復しなければなりません。設備工事が発生しなければ、費用も手間も軽減できます。
●費用が安く抑えられる
欄間オープンにすると、ランマパネルやガラスなどの材料費が軽減できます。オフィスパーテーション以外の設備工事を行わずに済む場合も多く、工事全体の費用が安く抑えられます。また、現場でパネルをカットしたり、ガラスをはめ込んだりする手間が減るため、施工時間を短くできる可能性もあります。
欄間(ランマ)オープンのデメリット
●防音性・遮音性が低くなる
オフィスパーテーションの上部が空いていると、防音性や遮音性は低くなります。しかし、主な用途が社内のミーティングだったり、書類の保管だったりなど、オフィスには防音性が重要視されない部屋もあります。用途に合わせて、オープンとクローズを使い分けるようにして下さい。
●セキュリティ性が低くなる
パーテーションの上部が空いていると、セキュリティ性も低くなってしまいます。一般的なオフィスの天井高は、2m50cm~2m80cm程度です。欄間部分は50cm程度空くため、泥棒などが通り抜けようと思えば、通れてしまいます。
●欄間(ランマ)が目立ってしまう場合がある
オフィスでデザイン性が重視される場所では、欄間を空けると目立ってしまう場合があります。天井まで塞ぐと、スッキリとした印象になり、天井が高く感じられるでしょう。しかし、オープンの場合は、約2mでデザインが途切れてしまいます。天井の高さまで目いっぱい使った、ダイナミックなデザイン表現などは難しくなります。
欄間(ランマ)オープンのメリット・デメリットまとめ
オープンにした場合のメリット・デメリットを一覧にまとめました。
ランマオープンのメリット・デメリット | |
メリット | デメリット |
・通気性(換気できる) | ・防音性・遮音性が低い |
・明るい | ・機密性が低い |
・設備工事が不要の可能性が高い | ・セキュリティ性が低い |
・消防への届出など、手間も軽減できる | ・欄間が目立ってしまう場合がある |
・費用を安く抑えられる | ・ダイナミックなデザイン表現が難しい |
・施工時間を短くできる可能性もある |
欄間(ランマ)オープンにする際のポイント3つ
最後に、オフィスパーテーションの欄間をオープンにする際のポイント3つを解説します。
セキュリティ性を高めたいなら侵入防止バーを使う
欄間オープンにしても、侵入防止バーを使えば、セキュリティ性を高められます。侵入防止バーとは、欄間部分に取付けるための横桟のことです。メーカーにより、侵入防止パイプや侵入抑止バーなどとも呼ばれます。主に、強度と耐久性に優れたステンレス製です。
≫ パーテーションドアの種類・特徴を解説!今すべき防犯対策4選
侵入防止バーを約20cm間隔で取付けることで、泥棒などの侵入を防ぎ、セキュリティ性をアップできます。オフィスのエントランスや役員室、重要書類用の書庫、サーバールームなどに取付けると良いでしょう。また、パーテーションのドアに電気錠を付け、入退室管理を行うと、さらにセキュリティ性を高められます。
≫ サーバールームに必要な性能とは?設置時の注意点3つも解説
欄間(ランマ)が目立たないのはガラスパーテーション
欄間を目立たせたくないという場合は、ガラスパーテーションがおすすめです。ガラスパーテーションは、アルミやスチール製のフレームにガラスをはめ込んだ、採光性やデザイン性の高い間仕切りです。ガラスパーテーションのスタイルには、全面ガラス、腰上ガラス、ブロックガラスがあります。とくにブロックガラスは、オープンでも目立ちにくく、おしゃれでスタイリッシュな雰囲気になります。
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開口面積や寸法によっては消防法等に注意
欄間オープンにした場合、消防法の対象になることは、ほとんどありません。しかし、開口面積や寸法によっては、消防法等に関わる場合があります。例えば、スプリンクラーは、高層ビルの11階以上や地下階などに設置が義務付けられています。
排煙設備についても、必要な開口面積が規定されています。オフィスでパーテーションを建てる際は、欄間オープンにする場合でも、消防法等の法令に注意しましょう。
≫ オフィスパーテーションのレイアウト事例と注意するポイント4つ
欄間(ランマ)オープン・欄間(ランマ)クローズの違いとは?【まとめ】
今回は、オフィスパーテーションの欄間(ランマ)の基礎知識や、オープンとクローズの違いをご紹介しました。違いは、見た目や防音性、空調や消防設備工事の有無などが挙げられます。消防法と関係してくるのは、主にクローズの時です。しかし、オープンでも、開口面積や寸法によっては、設備工事が必要になるケースも。オフィスでパーテーションを建てる際は、専門業者に早めにご相談下さい。