コールセンターでは「隣席の声がうるさい」「お客様の声が聞き取りづらい」といった音の悩みがつきものです。とはいえ業務上、声を出さずに対応はできません。本記事では、コールセンターに最適なパーテーションの選び方4つのポイントから、施工有無別の事例、騒音対策まで、詳しく解説していきます。
コールセンターにパーテーションが必要な理由
複数の従業員が一斉に電話対応するコールセンターには、独特の音環境課題があります。パーテーションは単なる仕切りではなく、応対品質と従業員の定着率を左右する重要な設備です。ここでは、なぜパーテーションが必要なのか、3つの視点から解説していきます。
理由1.隣の声や音がうるさい
コールセンターの最大の悩みは、室内全体の騒音レベルの高さです。多くの従業員が同時に通話するため、隣席の話し声、キーボードのタイピング音、コール音などが入り混じります。
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理由2.何を話していたか分からなくなる
隣席の通話内容が混線して聞こえると、自分が今何の話をしているのか分からなくなる場面もあります。日本音響学会誌に掲載された研究によれば、騒音下では作業成績が低下するというデータもあり、応対ミスの増加につながるリスクが指摘されています(参考:短期記憶作業時における騒音の影響 : うるささの心理的印象と作業成績)
理由3.従業員の集中力・離職率に影響する
騒音はストレスの大きな原因であり、定着率にも影響します。厚生労働省の令和5年雇用動向調査によると、コールセンターを含む「サービス業(他に分類されないもの)」の離職率は19.3%と、全産業平均の15.4%を上回っています。(参考:令和5年 雇用動向調査結果の概要(産業別の入職と離職)|厚生労働省)
コールセンターのパーテーション選びで押さえたい4つのポイント
次に、本題であるコールセンターに最適なパーテーションを選ぶための4つのポイントを順に解説します。これらを押さえて、導入後のミスマッチを防ぎましょう。
ポイント1.防音・吸音性能
最優先で考えたいのが「音をどう抑えるか」です。コールセンター向けのパーテーションには、性質の異なる2種類の音対策性能が求められるためです。
遮音と吸音のイメージ▼
理想は両者の組み合わせです。例えば、フロア全体を区切るのは遮音性の高いスチール、デスク間の仕切りは吸音性の高い布張りローパーテーションを使うなど、目的に応じて使い分けると効果が最大化します。
ポイント2.高さ
パーテーションの高さは、業務効率と空間の開放感のバランスを左右する重要な要素です。コールセンターでは、高さ120〜180cm程度のローパーテーションが標準的。とはいえ、使い方や求める防音性によって高さは変わります。例えば、120cm以上の高さの場合、以下のような違いがあります。
<高さ別のメリット・デメリット>
| 高さ | メリット | デメリット | 向いているケース |
| 120〜140cm | ■着席時の視線をカット
■立てば隣と会話可 ■開放感あり ■SVから全体を見渡せる |
■立ち上がると音が抜けやすい
■集中度はやや低め |
■一般的なオペレーター席
■チーム連携を重視するセンター |
| 150〜180cm | ■立っていても視線が遮られる
■集中度が高い ■吸音効果も高まる |
■圧迫感が出やすい
■SVから席内が見えにくい |
■機密性の高い通話
■個別集中を優先するブース |
| 天井まで
(ハイパーテーション) |
■防音性が最も高い
■独立した部屋として機能 ■音漏れほぼゼロ |
■工事が必要
■コスト高 ■レイアウト変更が困難 |
■新設のコールセンター
■会議室 ■SV席 ■リフレッシュスペース |
※SV:スーパーバイザー(オペレーターを管理・指導する管理者・監督者)
パーテーションの選定時は業務内容と監督体制を考慮しましょう。低すぎれば音や視線が抜けて効果が薄れ、高すぎれば圧迫感が出たり、スーパーバイザー(SV)からの指示が通りにくくなったりするケースもあります。
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ポイント3.素材
パーテーションを選ぶ際は、素材も必ずチェックしましょう。素材によって防音性能、コスト、施工性が大きく変わってくるためです。
吸音フェルトや布張りタイプは、軽量で工事不要。デスク仕切りや小規模なブースに最適で、コストも抑えられます。
<主な素材の防音性・コスト・施工性の比較>
| 素材 | 防音性 | コスト | 施工性 | 適したシーン |
| スチール
(ハイパーテーション) |
◎
非常に高い |
△
高め |
△
施工が必要 |
大規模新設・機密重視 |
| アルミ
(ハイパーテーション) |
△
中〜やや低め |
◯
中程度 |
◯
比較的容易 |
中規模・将来変更あり |
| 吸音フェルト・布張り | ◯
吸音特化 |
◎
低め |
◎
工事不要 |
デスク仕切り・小規模 |
このように、素材ごとに得意分野と価格帯が大きく異なります。「どの規模のコールセンターで使うか」「予算はどのくらいか」「将来的にレイアウト変更する可能性はあるか」を整理したうえで、最適な素材を選びましょう。
ポイント4.設置スタイル
設置スタイルは大きく分けて2種類あります。事業規模や導入スピードの希望によって最適な選択が変わります。
<主な設置スタイルと特徴>
| タイプ | 特徴 | 工事 | 防音性 | 向いているケース |
| ハイパーテーション(施工型) | ■床と天井を固定する
■独立した部屋として機能 ■安定性が高い |
必要 | 最も高い | 新設の本格コールセンター |
| ローパーテーション(組み立て型) | ■天井に届かない自立型
■レイアウト変更が自由 |
不要 | 標準的 | 既存オフィス内の席単位仕切り |
新設のコールセンターならハイパーテーションは取り入れやすく、既存環境に手早く取り入れるならローパーテーションが一般的です。両者を組み合わせて部屋の外周はハイ、内部の席仕切りはローという構成も人気があります。
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【施工なし】コールセンター向けパーテーション例
続いて、工事不要で、すぐに導入できるパーテーションを一覧で紹介します。コストを抑えたい、短期間で環境を整えたいという方におすすめな選択肢です。
<施工なしで設置できるパーテーション例>
| タイプ | 商品例 | 特徴 |
| ローパーテーション(布張り) | ![]() 出典:PN1218 |
■吸音性に優れる
■連結・解体が容易 |
| 卓上吸音パーテーション | ![]() 出典:GL-1400 |
■デスクに置くだけ
■軽量で持ち運びできるタイプもある |
| セミクローズ型ワークブース | 出典:ASO-SP3W |
■周囲を囲うことで音を遮断
■連結・折りたたみ収納可 |
短期導入や試験運用には、まず卓上パーテーションから始めて効果を見る方法もおすすめです。本格的に席を仕切るならローパーテーション、在宅オペレーター向けならワークブースなど、用途に合わせて使い分けましょう。
【施工あり】コールセンター向けパーテーションの活用例
本格的なコールセンターを構築するなら、施工型パーテーションが基本です。防音を最優先するならスチールが定番。パネルの間にロックウールやガラスウールを充填するなどして、遮音と吸音を両立できます。
≫【都内某所案件】防音材のグラスウールを使用し、スチールパーテーション工事を行いました
施工型パーテーションで囲う+各デスクにデスクトップパネルを設置するイメージ▼
この方法なら、外部への音漏れはスチールパーテーションで遮断しつつ、隣席との音問題はデスクトップ型吸音パネルで緩和できます。完全個室化と比べてコストを抑えられたり、管理者からの指示も通りやすかったりと、運用面のメリットも大きい構成です。
コールセンターの騒音対策一覧
パーテーション以外にも、コールセンターの騒音対策にはさまざまな方法があります。複数の対策を組み合わせれば、効果はさらに高まります。代表的な5つの対策は以下の通り。
<パーテーション以外の主な騒音対策方法>
| 対策方法 | 概要 | メリット | 向いているケース |
| ノイズキャンセリングヘッドセット | ■マイクが周囲の雑音を抑える
■相手の声だけを拾いやすくする |
■導入コストが低い
■即効性あり ■通話品質が向上 |
■すぐ取り入れたい
■個人単位での対策 |
| 防音パネル・吸音材 | ■天井や壁面に取り付けて反響音を軽減 | ■空間全体の騒音を下げられる
■デザイン性も豊富 |
■パーテーションと併用したい
■内装にこだわりたい |
| 内窓 | ■既存の窓の内側にもう一つ窓を設置し二重窓構造にする | ■外部騒音をカット
■遮音性が高い |
■車の走行音や近隣の生活音が気になる |
| 防音ボックス | ■1人用の小型防音ブースを設置 | ■声漏れ・外部音の侵入を最小限に
■多目的に活用可 |
■重要な通話
■Web会議 ■商談用スペース |
| 会議室・コワーキングスペースの利用 | ■自宅以外の業務スペースを確保 | ■家族の声や生活音から離れて集中できる | ■在宅オペレーターの集中環境確保 |
すべての対策を一度に導入する必要はありません。自社の規模・予算・課題感に合わせて、優先順位の高いものから取り入れていきましょう。
コールセンターはパーテーションで騒音対策をしよう!
コールセンターの騒音問題は、応対品質、従業員の集中力、離職率といった経営指標に直結します。パーテーションは、これらの課題に対する有効かつ現実的な解決策です。本記事で紹介した「防音・吸音性能」「高さ」「素材」「設置スタイル」を確認して、自社にあったアイテムを導入しましょう。







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