オフィスのドアは、来客の第一印象や従業員の動線、セキュリティを左右する重要な設備です。種類が多く、どれを選ぶべきか迷う担当者の方も多いはず。本記事では施工会社の視点から、扉タイプや取っ手・施錠の種類、関わる法令、費用の考え方、工事の流れまでを一気に整理していきます。
オフィスドアを扉タイプから選ぶ
オフィスドアは、開き方によって大きく5種類に分かれます。動線や設置スペース、出入りする人数によって最適なタイプが変わるため、まずは開閉方式の違いを押さえておきましょう。
1.片開き扉
片開き扉は以下のように、1枚の扉を押す、もしくは引いて開閉する、最も主流なタイプです。
片開き扉の例▼
構造がシンプルで取り付けコストを抑えやすく、執務室や会議室の入口など、幅広く採用されており、当社の施工でも採用比率が高い扉です。ただし扉を開く方向に可動スペースが必要となるため、通路が狭い場所では動線を妨げる場合があります。設置場所の前後に十分な空きがあるかを確認したうえで選びましょう。
2.親子扉
以下の事例のように、大きい親扉(右:スリットドア)と小さい子扉(左:細長のドア)を組み合わせ、普段は親扉のみで開閉する扉を親子扉と呼びます。
親子扉の例▼
子扉も開ければ開口を広げられるため、什器の搬入が多い倉庫や、人の出入りが集中するエントランスに向いています。普段使いの利便性と、搬入時の大開口を両立できる点が強みの扉です。
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3.両開き扉
両開き扉とは、左右2枚の扉を中央から開く扉で、引き分け戸や観音開き扉とも呼ばれます。以下の事例のように、一度に大きな開口を確保できるため、大人数が往来する入口や大型機器の搬入経路に適したタイプ。
両開き扉の例▼
開放感を演出しやすい反面、左右に可動スペースが要るため、設置には一定の幅が必要です。
4.引き扉(スライドドア)
引き扉は、扉を左右へスライドさせて開閉する扉のこと。開閉時に前後のスペースを取らないため、通路が狭い場所や、扉の干渉を避けたい場所で重宝されています。
≫【プロ解説】ハンガードアのメリット!引き戸との違いや注意点も
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スライドドアの例▼
上部のレールから吊り下げる「上吊り式(ハンガードア)」なら、床にレール溝が出ず清掃性やバリアフリー性にも優れています。省スペース性を重視するなら有力な選択肢です。
5.自動ドア
人や物の接近をセンサーで感知し、モーターで自動開閉する扉です。手がふさがっていても通行でき、衛生面やバリアフリーの観点からエントランスへの採用が増えています。
自動ドアの例▼
出典:ナブコシステム
高級感を演出しやすい一方、導入・維持のコストは高め。設置には電源工事を伴うため、施工計画の段階で電気工事まで含めて検討してください。
オフィスドアをパネルタイプから選ぶ
扉タイプ(開き方)と並んで検討したいのが、面材の構成によるパネルタイプです。中が見える・見えない、明るさ、デザイン性が変わるため、部屋の役割に合わせて選んでください。
1.フラッシュドア(パネルドア)
フラッシュドアとは以下の事例のような、木材や金属の芯材の両面に合板や鋼板を張った、窓のない一枚板の扉を指します。
フラッシュドアの例▼
最も一般的で安価なため、コストを抑えたい執務室や倉庫で多く採用されています。中が見えないためプライバシーを確保しやすい反面、閉塞感を与える場合がある点には配慮が必要です。
2.ガラスドア
ガラスドアは以下の事例のような、大部分にガラスを用いた扉、もしくは扉の全面がガラスの扉を指します。
ガラスドアの例▼
室内に光を通し、開放的でオープンな印象を与えられるのが特徴。フィルムを貼れば視線を遮ったり、社名やロゴを入れたりとアレンジも自在。来客の目に触れるエントランスや、開放感を出したい部屋におすすめなタイプです。
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3.スリットドア
以下の事例のように、扉の中央などに縦長のガラスを部分的に組み込んだ扉をスリットドアと呼んでいます。
スリットドアの例▼
スリットがあるタイプは、室内の気配をほどよく伝えつつ、プライバシーも守れるバランス型です。デザイン性が高く、役員会議室など視認性と落ち着きを両立させたい部屋に適しています。
4.ガラリ付きドア
扉の下部などに「ガラリ」と呼ばれる通気ルーバーを設けた扉をガラリ付きと呼んでいて、扉を閉めたまま空気を通せるパネルです。
ガラリ付きドアの例▼
出典:LIXIL
空調効率と機器の放熱対策を両立できるのが特徴で、熱がこもりやすいサーバー室や、換気が必要な機械室・書庫などに選ばれやすいタイプです。
オフィスドアを取手タイプから選ぶ
続いて、取手の種類について紹介していきます。取手は、ドアの使い勝手を決めるもので、施錠の有無の選択が可能です。
取手の種類
まずは取手の主な種類と概要について、一覧で紹介していきます。
<取手の主な種類と概要>
| 主な取手の種類 | イメージ | 概要 |
| レバーハンドル | ![]() |
■下げるだけで開閉できる棒状の取っ手
■軽い力で操作でき握りやすい ■執務室・会議室で選ばれやすい |
| ドアハンドル/バーハンドル | ![]() |
■握って前後に引く棒状・板状の取っ手
■開き戸・引き戸どちらにも対応 ■デザイン性が高くエントランス向き |
| ドアノブ(握り玉) | ![]() |
■回して開閉する球状の取っ手
■シンプルな構造で交換しやすい ■小部屋・付帯室で使われる |
| 取手/引手 | 出典:シロクマ |
■引き戸を開閉する掘り込み・出っ張り型
■木製・金物などバリエーション豊富 ■省スペースな引き戸に必須 |
当社では、握り玉からレバーハンドルへの交換など、既存扉の使い勝手を高める小規模工事も承ります。
施錠方法の種類
施錠は、扉そのものに付く錠だけでなく、後付けできる電子的な仕組みまで多様化しています。施錠の有無やタイプは、情報管理の重要度に応じて選びましょう。
<施錠の主な種類と概要>
| 主な施錠の種類 | イメージ | 概要 |
| シリンダー錠 | ![]() |
■鍵を差し込んで施解錠する一般的な錠
■片側はサムターンで施錠できる ■執務室・収納など幅広く使用 |
| サムターン錠 | ![]() |
■内側のつまみをひねって施錠する仕組み
■シリンダー錠とセットで使う ■内側からの素早い施錠に便利 |
| 表示錠 | ![]() |
■施錠状態を色で表示する錠
■非常時は外から解錠できる ■トイレ・更衣室などで使用 |
| 電気錠(カードキー・ICカード) | ![]() |
■カードや社員証をかざして解錠
■入退室の履歴管理ができるものもある ■役員室・サーバー室の管理に最適 |
| 暗証番号錠(テンキー) | ![]() |
■番号入力で解錠する鍵不要のタイプ
■鍵の貸し借り・紛失リスクがない ■多人数が出入りする部屋向き |
| スマートロック(生体認証など) | ![]() |
■スマホ・指紋・顔認証で解錠
■後付けでき配線工事が不要な製品もある ■入退室管理システムと連携可能 |
オフィスドアの部品用語
ドアは扉本体だけでなく、開閉や固定を支える部品などで構成されています。打ち合わせや見積書で登場しやすい用語を、簡単に整理しておきますので、ぜひご参考にしてください。
<オフィスドアに関連する主な用語>
| 用語 | イメージ | 概要 |
| 蝶番(ちょうつがい)/丁番(ちょうばん) | ![]() |
■扉と枠をつなぎ開閉の軸となる金具
■開き戸に不可欠な部品 |
| ドアクローザー | ![]() |
■扉を自動でゆっくり閉める装置
■防火戸の自閉機能にも用いる |
| フランス落とし | 出典:Atom |
■親子扉・両開き扉の子扉を固定する金具
■上げ落とし式で床に固定して施錠 |
| 戸当たり | 出典:金物スタイル |
■扉の開きすぎや壁への衝突を防ぐ部材
■床付け・壁付けなどがある |
| 沓摺(くつずり) | ![]() |
■扉下部の枠材で気密・遮音を補助
■バリアフリーではフラットに納める |
その他、打合せなどで不明な用語があった際はお気軽にご質問ください。不明点は、その場で解決して、疑問なく打合せを進めていきましょう。
オフィスドアを選ぶポイント【判断軸/部屋・場所】
オフィスドアを選ぶときは「どのような機能を重視するか」「どの部屋に取り付けるか」など、目的によって異なります。今回は、判断軸と部屋・場所、それぞれで確認ポイントを整理していきます。
判断軸別の確認ポイント
まず、機能や目的など、何を重視すべきかについて整理していきます。
<オフィスドアで重視する要素に対応する確認事項とおすすめ扉>
| 重視する要素 | 確認事項の代表例 | おすすめ扉や仕様 |
| 遮音性 | ■会話を外に漏らしたくないか
■JIS遮音など級・すき間の処理 |
■フラッシュドア
■遮音など級の高い扉 |
| セキュリティ | ■入退室を管理・記録したいか
■鍵の貸し借り・紛失リスク |
■電気錠・カードキー
■スマートロック |
| 動線・省スペース | ■扉の前後にスペースがあるか
■人の出入りの多さ |
■引き戸
■自動ドア |
| デザイン・採光 | ■来客の印象・明るさ
■中を見せるか隠すか |
■ガラスドア
■スリットドア |
| 搬入性 | ■什器・機器の搬入経路か
■必要な開口の広さ |
■親子扉
■両開き扉 |
| 換気・放熱 | ■扉を閉めたまま通気したいか
■機器の発熱量 |
■ガラリ付きドア |
| バリアフリー | ■車いす・台車が通るか
■有効幅員80cm以上の確保 |
■引き戸
■自動ドア(フラット納まり) |
ドアの新設・交換だけですべての要望に対応できるとは限らないため、重視する要素に優先順位をつけておくと、検討がスムーズです。
部屋・場所別の確認ポイント
先ほどの判断軸を部屋ごとに当てはめると、以下のようにも整理できます。
| 部屋・場所 | 重視するポイント | おすすめの扉や仕様 |
| 会議室・応接室 | ■遮音性
■落ち着いた印象 |
■フラッシュドア
■遮音等級の高い扉 |
| 役員室・書庫 | ■セキュリティ
■情報漏えい対策 |
■電気錠・カードキー付きの扉 |
| エントランス・受付 | ■第一印象
■バリアフリー |
■ガラスドア
■自動ドア |
| 執務室 | ■コスト
■日常の使いやすさ |
■片開きフラッシュドア
■レバーハンドル |
| 倉庫・搬入口 | ■搬入性
■大開口の確保 |
■親子扉
■両開き扉 |
| サーバー室・機械室 | ■換気・放熱
■入室制限 |
■ガラリ付きドア+電気錠 |
オフィスドアに関わる法令・安全基準
オフィスドアは、見た目や使い勝手だけでなく、法令や規格への適合も欠かせません。とくにビル内のオフィスでは、防火・避難・バリアフリーの観点から守るべき基準があります。施工前に押さえておくべき要点を、公的な根拠とあわせて解説していきます。
建築基準法|防火戸・防火設備
一定規模以上の建築物では、火災の延焼を防ぐため「防火区画」を設け、その開口部に防火設備や特定防火設備を用いる必要があります。防火設備・特定防火設備は、国土交通大臣が定めた構造方法、または認定を受けたものに限られます。
バリアフリー法|バリアフリー・有効幅員
国土交通省の「建築物移動等円滑化基準チェックリスト」では、建物の入口から目的の部屋までをつなぐ、車いすの人や高齢者の通行が想定される主要な経路上の出入口について、内のり幅80cm以上を確保するよう求めています。
JIS遮音等級|遮音・防音性能
会議室や役員室の遮音性は、扉のJIS遮音等級が一つの指標です。日本産業規格 JIS A 4702(ドアセット)では、遮音性能をT-1〜T-4の等級で区分しており、数値が大きいほど遮音性が高いことを示します。これは、扉が音をどれだけ遮るか(音響透過損失)を一定の方法で測定し、等級化しているためです。
国民生活センター|自動ドアの安全
自動ドアは便利な反面、駆け込みや立ち止まりによる挟まれ・衝突事故が報告されています。国民生活センターや消費者庁は、自動ドアでの事故に注意を促し、指を挟まれて骨折に至った事例などを紹介しています。センサーが人を検知してから開くまでに時間差があるためで、立ち止まって扉が開くのを待つことを徹底させましょう。
オフィスドアの新設・交換にかかる費用の考え方
オフィスドアの費用は、扉の種類・サイズ・施工内容によって大きく変動します。そのため、本体価格だけで判断すると総額が想定とずれやすい点に注意が必要です。ここでは、費用を構成する内訳と、金額を左右する変動要因を整理していきます。費用は、主に次の項目で構成されます。
<費用変動の要素例>
- ドア本体の価格:扉・枠・取っ手・施錠などの仕様による
- 取り付け工事費:枠の固定、扉の吊り込み、動作調整
- 既存扉の撤去・処分費:交換の場合
- 電気工事費:自動ドア・電気錠を導入する場合の電源確保・配線
ここで実務上の注意点がもうひとつ。お問い合わせの際、本体価格だけを比較されるケースが多いのですが、見落とされがちなのが撤去処分費や電気工事費、設置・撤去の費用など、付帯する費用です。総額で比較しないと予算が膨らまないように、コスト試算をする際は、ドア本体価格だけでなく、付帯費用すべてを含んだ費用の見積依頼をするようにしましょう。
≫パーテーション工事の費用を種類ごとに解説!選び方や施工事例も紹介
オフィスドア工事の流れと事例
そして、実際にどの手順で工事を進めるのかも、事例と合わせて紹介していきます。
工事の流れと工期目安
当社のオフィスドアの設置・交換は、現地調査から引き渡しまで、おおむね半日〜1日程度で完了します。当社では、扉と枠を事前に製作・調整したうえで現場に搬入し、撤去から取り付けまでを段取りよく進めていきます。当社の基本的な施工手順は次のとおり。
- 要望の聞き取り・現地調査(設置場所・用途・サイズ計測)
- 仕様・設置プランの決定(種類・開き方・施錠の選定とお見積り)
- 既存扉の撤去・開口部の確認
- 枠(フレーム)の組み立て・固定
- 扉本体の設置・動作調整
- 仕上げ・清掃、引き渡し
ご要望の工事内容によって、手順や工期が変わる可能性があります。こちらは目安としてご承知おきください。続いて、当社の事例を紹介していきます。
≫パーテーションを活用してオフィス内に個室を作る方法を紹介!
事例1.中古パーテーション+新品ガラスで会議室を新設
こちらは会議室の間仕切りを、中古のアルミ・スチールパーテーションで新設した事例です。ガラスのみ新品とし、中央に縦長ガラスを入れたスリットドアを設置。
≫【株式会社レボーン様】中古アルミ・スチールパーテーション工事を行いました
入口まわりの壁下半分もガラスにしたため、室内の透明性が高く、使用中かどうかをひと目で把握できます。照明の消し忘れも防げるため、省エネにもつながる仕様です。中古の活用でコストを抑えながら、施工期間は1日で完了しました。
事例2.新品スチールパーテーションに電子錠を設置
エントランスと会議室の間仕切りを、新品スチールパーテーションで施工した事例です。エントランス側の扉には電子錠を取り付け、欄間(ランマ)まで塞ぐことで、セキュリティと遮音性を両立させました。
≫【株式会社港開発様】スチールパーテーション工事【電子錠】とブラインド工事【新品】の設置をおこないました
電子錠は電源の確保や配線をともなうため、パーテーション工事と電気工事をあわせて段取りよく進め、施工期間は1日で仕上げています。
オフィスドアに関するよくある質問【FAQ】
最後に、オフィスドアに関するよくある質問に回答していきます。その他、不明点等あれば、お気軽にお問い合わせください。
Q.オフィスドアの交換にはどれくらいの期間がかかりますか?
A.片開き扉の交換であれば、現地調査を済ませている場合、当日半日〜1日程度で完了するケースが多いです。自動ドアや電気錠を伴う場合は、電気工事の有無により日数が変わります。
Q.費用を抑えるコツはありますか?
A.本体価格だけでなく、撤去処分費や電気工事費を含めた総額で比較することがポイントです。あわせて、内装やレイアウト変更と同時に施工すると、工事を一括化でき効率的です。
Q.今あるドアの取っ手や鍵だけ交換できますか?
A.できます。握り玉からレバーハンドルへの交換や、シリンダー錠から電気錠への変更など、扉本体を残した部分的な更新にも対応しています。
Q.賃貸オフィスでもドアを交換できますか?
A.可能な場合が多いものの、賃貸物件では原状回復義務があるため、事前に貸主・管理会社の確認が必要です。退去時に戻せる仕様や、工事不要で後付けできるスマートロックなど、条件に合わせた方法をご提案します。
Q.防火戸かどうかは見て分かりますか?
A.外観だけでの判断は難しいため、扉や枠に表示されたラベル、設計書での確認が確実です。防火区画に関わる扉は基準を満たす製品が必須となるため、施工会社による確認をおすすめします。
オフィスに合ったドアを慎重に選ぼう!
オフィスドアは、扉タイプ・パネル・取っ手・施錠の組み合わせで、使い勝手も印象も大きく変わる設備です。会議室は遮音、役員室はセキュリティ、エントランスはデザインとバリアフリーなど、部屋の用途を起点に選ぶと過不足がありません。あわせて、防火やバリアフリーといった法令・規格への適合も忘れずに確認しましょう。
ドア一枚の交換から、レイアウト変更を伴う大規模な工事まで、現地調査と無料お見積りで最適なプランをご提案します。オフィスドアの新設・交換をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
















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