オフィス移転やレイアウト変更の際、部屋や廊下を間仕切っているパーテーションが不要になることがあります。解体・撤去・処分にいくらかかるか、費用が気になりますよね。今回はパーテーションの解体・撤去・処分の費用を解説します。また、コスト削減のために、処分以外にどんな方法があるかご紹介します。
パーテーションの種類と解体・撤去・処分費用の相場
パーテーションのなかには、卓上型や置き型など、不要になったらそのまま廃棄できるものがあります。一方で、壁や床に固定されていて、解体時に大きな音や粉塵が発生する、工事が必要なタイプもあります。まずは、解体工事が必要なパーテーションにはどんな種類があり、それぞれ解体・撤去・処分にどれくらいの費用がかかるかを解説します。
解体工事が必要なパーテーションの種類とは
解体工事が必要なパーテーションには、主に次の2種類があります。
施工型パーテーション
施工型パーテーションは、スチールやアルミなどの鉄素材で作られています。一度設置工事をしても、後から解体し、部材を転用して移設できることが魅力です。可動間仕切りと呼ばれているタイプは、アルミパーテーション、スチールパーテーション、ガラスパーテーションの3種類に分けられます。
LGS造作壁
LGS造作壁は、造り付けの間仕切りです。内装工事で建てられる後付けの壁で、断熱性や遮音性に優れています。軽量鉄骨(LGS)の骨組みに、石膏ボードを貼り、表面はシートや塗装、タイルや石などで仕上げます。
パーテーションの解体・撤去・処分の費用項目
パーテーションを解体撤去し、処分するためにかかる費用には、下記のような項目があります。
●解体作業費
解体作業費は1㎡当たりで計算されることが多く、平米が小さい場合には、あらかじめ決められた最低料金が適用される場合もあります。
横幅90cm、高さ2m50cmのパネルが10枚では・・・・
0.9×2.5×10=22.5㎡ 900円×22.5㎡≒20,000円
●搬出費
パネルの枚数や搬出経路の長さ、エレベーターの有無などにより変動します。1式いくら、1人工いくらという単位で表記される場合もあります。作業員が増えると費用は上がります。
●養生費
パーテーションを搬出する際、作業場所や建物の廊下、エレベーターの床、壁を傷つけないために、プラダンボールなどを使って養生をします。必要箇所や、搬出経路の長さなどによって金額は変動します。
●運搬費(車両費)
運搬に使うトラックの大きさや台数で金額が決まります。パネルの枚数や部材が多ければ大きなトラックになり、大きいほど費用は上がります。
●廃棄処分費
パーテーションの廃棄処分は、パネルのほかにも支柱やレールなど細々とした部材もあり、物量によって費用が変動します。また、産業廃棄物収集運搬業許可を得ている業者でなければ運搬や処分ができません。直接依頼するのか、解体業者を通して下請け会社に依頼するのかによっても、費用は変わります。解体も処分も、両方できる業者を選ぶと費用を抑えられます。
パーテーション解体・撤去・処分費用の相場
施工型パーテーション3種類と、LGS造作壁を解体・撤去・処分する際にかかる費用相場を一覧にまとめました。概算で費用を知りたい場合に、参考にしてください。
パーテーション解体・撤去・処分の費用相場 | |||||
作業名 | 解体作業費 | 搬出費 | 養生費 | 運搬費 | 廃棄処分費 |
種類 単位 | ㎡ | 人工 | 一式 | 2トン車の場合 | ㎥ |
アルミパーテーション | 700円~ | 25,000円~ | 5,000円~ | 25,000円~ | 20,000円~ |
スチールパーテーション | 900円~ | 25,000円~ | 5,000円~ | 25,000円~ | 20,000円~ |
ガラスパーテーション | 2,500円~ | 25,000円~ | 5,000円~ | 25,000円~ | 20,000円~ |
LGS造作壁 | 1,500円~ | 25,000円~ | 5,000円~ | 25,000円~ | 20,000円~ |
パーテーションの解体・撤去、作業手順と注意点
次に、パーテーション解体・撤去・処分を依頼する際の流れと、解体作業の手順、注意点についても解説します。
パーテーション解体・撤去・処分を依頼する際の流れ
解体・撤去・処分したいと思ったら、まず何をすれば良いのか、流れをご紹介します。
〈依頼の流れ〉
-
- 解体業者に問い合わせる
- 現地調査に来てもらう
- 解体・撤去・処分の範囲や内容を伝える
- 見積もりをもらう
- 内容を確認し、発注をする
- 作業日や時間を決める(音が出るので夜間や休日など)
- 賃貸オフィスなら、入居ビルに作業届を提出する
- 解体工事着工
パーテーション解体撤去の作業手順
工事当日の解体作業の手順をご紹介します。今回はガラスパーテーションの場合について解説します。ガラスパーテーションはアルミやスチールのフレームにガラスをはめたものです。アルミ製よりもスチール製の方が構造は複雑になっています。下記は、スチール製ガラスパーテーション解体作業の手順です。
〈作業手順〉
- 養生をする
- 解体作業に使う道具の搬入
- ガラスの押さえ縁とガラスをはずす
- ドアや目地、巾木をはずす
- パネルと支柱の連結部分をはずす
- 表と裏、2枚のパネルと支柱をはずす
- 解体した部材を搬出する
- 掃除をする
- 道具を搬出する
- 養生をはずす
- 撤去跡以外に傷や破損がないか完了検査をする
- 処分する場合は、廃棄処分場へ運搬する
パーテーション解体・撤去・処分の注意点
続いて、解体・撤去・処分をする際の注意点を解説します。
●解体作業をするスペースを確保しておく
パーテーションを解体する際は、周辺に置いてあるキャビネット収納や家具は、移動する必要があります。キャビネットは主にスチール製で、棚そのものがかなりの重さになります。高さ1m80㎝程度のキャビネットに書類が入っていると、重量は200キロ近くになります。中身を出さないと動かせません。面倒でも、事前に中身を出しておくようにして下さい。
●壊して良い壁なのか、確認する
とくにLGS造作壁の場合、建物の躯体壁と似たような仕上げにしている場合があります。「賃貸入居時につくったはずだけど、本当に壊して良い壁か分からない」という場合は、専門の業者に見てもらいましょう。自分たちで造作した部分は、解体撤去しても問題ありません。また、LGS造作壁は、施工型パーテーションのように、移設することはできません。
●壁、床、天井の補修が必要
施工型パーテーションやLGS造作壁を解体撤去すると、建物の床、壁、天井には、穴が残ってしまいます。設置する際、ビスやアンカーボルトなどをコンクリートまで打ち込んでいるためです。パーテーションを撤去したことで、塗装が剥げてしまったり、穴が空いてしまったりということもあります。パテや塗装、コーキング材などでの補修が必要になります。また、パーテーションを撤去した部分だけ、カーペットが貼られていない場合もあります。
パーテーション解体・撤去・処分のコスト削減方法4つ
最後に、施工型パーテーションを解体撤去する際、処分以外にどんな方法があるかをご紹介します。処分しないで有効利用できれば、費用を抑えることが期待でき、地球環境にも配慮できます。
引っ越しの場合、移転先に移設する
施工型パーテーションなら、解体後、部材を転用してほかの場所で再設置できます。パーテーションの種類や移転先の天井高によっては、支柱や目地、レールなど、一部の部材は買い足しが必要な場合もあります。もし、中古品販売もしている業者なら、不足部材を中古品で揃えることができ、費用を抑えられるケースもあります。
レイアウト変更の場合、再利用する
例えば、大きな会議室が不要になった場合、中間に壁やドアを新設し、いくつかのミーティングルームに分ける方法があります。また、コピーコーナーやパントリーを囲ったり、Web会議用のブースをつくったり、形を変えて再利用する方法もあります。
既存のパーテーションが汚れている場合や、雰囲気を変えたい場合には、塩ビシートを貼って、デザインを変えるのがおすすめです。木目調やコーポレートカラーのシートを貼れば、転用したことが分からない、おしゃれな仕上がりになります。もちろん、移設費用やシート貼りの費用は新たにかかります。しかし、既存を処分し、新規で設置するよりはコスト削減になります。
解体した部材を買取してもらう
不要になったパーテーションは、買取してもらえるのをご存知ですか。パネルや支柱などの主要な部材は、処分ではなく、買取ってもらうことが、もっともコスト削減につながります。費用を抑えるために、自分たちで解体して、パネルなどの部材を傷つけてしまうと、買取ができなくなる場合もあります。パーテーション専門の業者に依頼することで、中古として再販売できるように、丁寧に解体してもらえます。
解体から買取、中古販売まで全て扱っている業者に依頼する
業者を選ぶ際は、解体や買取、中古販売まで全て取り扱っている専門店がおすすめです。破損していないものは買取し、買取できない部材や状態の悪いものは処分してもらえます。汚れていても、クリーニングをすると、新品に近い状態にできるので問題ありません。
パーテーション解体・撤去・処分の費用とコスト削減方法を解説【まとめ】
今回は、パーテーションの解体・撤去・処分の費用相場を解説し、費用を抑えるために、処分以外にどんな方法があるかをご紹介しました。工事が必要なパーテーションは、施工型パーテーションとLGS造作壁です。施工型パーテーションの解体後は、移転先やほかの場所に移設したり、塩ビシートを貼ってデザインを変えたりできます。また、不要な場合には、買取ってもらうことで費用が抑えられます。業者選びでは、解体撤去から買取までワンストップで取り扱う専門店に依頼すると、もっともコスト削減につながります。
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