ワークブースは、Web会議や集中作業などに使われる、ソロワークに適したスペースです。近年、テレワークが普及し、オンラインでの商談や面接も増えました。オフィスでも自宅でも、静かで落ち着く環境が求められています。そこで今回は、ワークブースの価格や選び方、設置する際のポイントについて解説します。
ワークブースとは?
ワークブースは、仕事や作業に使う、小さな個室空間のことです。『個室ブース』や『集中ブース』とも呼ばれています。オフィスや自宅をはじめ、商業施設や駅、空港などにも設置されています。吸音パネルなどで囲った簡易的なタイプや、本格的な個室タイプなど、様々な種類があります。
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ワークブース/個室ブース導入のメリット4つ
①集中できる
ワークブースは、パネルや壁で囲われているため、雑音や視線が遮られ、集中できることがメリットです。オープンスペースでの業務は、周りとコミュニケーションが取りやすい反面、上司や同僚に話しかけられたり、用事を頼まれて作業が中断したり、集中しづらいと思います。
②周囲の音を軽減してくれる
ワークブースは、壁やパネルが周囲の音を軽減してくれるため、静かな環境で仕事や作業ができます。自席などのオープンスペースでオンライン商談やWeb会議に参加すると、集中できないだけでなく、相手の声が聞き取りづらかったり、相手側も音がうるさかったりします。静かな個室では、お互いに意思疎通しやすく、スムーズに会話ができます。
③会議室を効率よく運用できる
オフィスにワークブースがあれば、会議室を本来の用途で利用でき、効率よく運用できます。例えば、会議室以外に個室がない場合、Web会議やオンライン商談のために、1人で広い会議室を独占することになります。本来の目的で利用したい人達が会議室を使えず、効率が悪くなります。1人や少人数で使えるワークブースを設置すれば、会議室やミーティングルームは、目的に合った利用ができて効率的です。
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④プライバシーが確保できる
ワークブースは、音漏れを軽減できるため、プライバシー確保や情報漏洩防止にも役立ちます。オンライン商談やWeb会議の際は、クライアントの機密情報や、プライバシーに関わる内容を扱うこともあるでしょう。たとえ社内の人でも、情報漏洩は防ぐ必要があります。
ワークブースのタイプとサイズ
ここからは、ワークブースの導入を検討する際に欠かせない、サイズや価格について解説します。タイプによっても異なるため、まずはどんなタイプがあるのかご紹介します。
タイプ
ワークブースには、個室型、半個室型、卓上型という3つのタイプがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。
●個室型
個室型にはドアがあり、電話ボックスのような見た目をしています。四方を壁やガラスで囲い、静かで集中できる空間になっています。Web会議やオンライン商談・面接、機密情報や個人情報を扱う業務などに活用されます。天井が付いているフルクローズタイプと、天井が開口になっているセミクローズタイプがあります。
床面は付いていない製品も多く、オフィスのタイルカーペットなどをそのまま活かし、空間のつながりを分断させません。段差のないユニバーサル仕様の製品は、車いすなどでも利用しやすく、誰にでも出入りしやすい工夫がされています。
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●半個室型
半個室型は、ドアのない簡易的な個人ブースです。ローパーテーションや吸音パネルで囲われ、コの字型やL字型、Cの字型など、様々な形やデザインの製品があります。パネルによって周囲の雑音が軽減されるため、集中作業に向いています。
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●卓上型
卓上型は、デスクに置いて使う、3面の卓上パネルです。周囲からの雑音や視線をガードしてくれるため、集中作業やソロワークに適した環境が整います。卓上型のなかには、折りたたんで持ち運べるポータブルタイプや、正面のパネルに折り返しの付いた、飛沫拡散防止にも配慮したタイプなどがあります。卓上パネルのサイズは、幅が80cm~1m程度、奥行きは50cm程度、高さは50~70cm程度です。
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サイズに合わせた用途
ブースのサイズは、1人、2人、4人用などのバリエーションがあります。それぞれの大きさと主な用途を表にまとめたので、検討する際の参考にして下さい。
ワークブースのサイズと用途 | ||||
サイズ | 主な用途 | |||
幅(w) | 奥行き(D) | 高さ(H) | ||
1人用 | 1m~1.2m | 1m~1.2m | 1.8m~2.3m | Web会議、オンライン商談、 電話、集中作業、休憩など |
2人用 | 2m~2.4m | 1m~1.2m | 1.8m~2.3m | 1on1ミーティング Web会議など |
4人用 | 2m~2.4m | 1.4m~1.6m | 1.8m~2.3m | ミーティング、Web会議、 簡易スタジオ、少人数での作業など |
ワークブースの価格・費用相場
個室型の価格は、サイズや素材などによって大きく異なります。防音性の高い製品の素材は、主にスチール製です。ほかにも亜鉛メッキ鋼板製や簡易的なプラスチックボード製など、様々な素材があるため、価格の幅が広くなっています。
ワークブース/個室ブースの選び方
様々なタイプのワークブースをご紹介してきました。続いて、ワークブースの選び方を解説します。
防音性で選ぶ
防音性で選ぶなら、フルクローズタイプの個室型ブースがおすすめです。天井とドアが付いた完全な個室で、雑音や周囲の視線を遮り、静かな環境をつくり出します。Web会議や電話の際の音漏れが気になる場合に適しています。さらに防音性を高めた製品は、壁の内部にグラスウールが入っていたり、防音合わせガラスが使われたりしています。
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用途で選ぶ
ワークブースは、様々な用途に活用できます。集中作業やWeb会議に使う以外にも、例えば、アイデアを練ったり、思考をめぐらせたり、リフレッシュしたい時にも利用できます。防音性を重視しないケースでは、ローパーテーションや吸音パネルで囲う、半個室型のワークスペースがおすすめです。
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手軽さで選ぶ
手軽さで選ぶなら、卓上型がおすすめです。自席に置いて使えば、簡単に集中スペースが完成します。卓上パネルで囲うことで、周りの視線を遮り、作業に没頭できます。ポータブルタイプなら、カフェスペースなどに移動して使い、アイデアを練ったり、1人でリフレッシュしたりと幅広く活用できます。フリーアドレスなど、複数人で広いスペースを共有している場合でも、簡易的にソロワークスペースを作り出せます。隣席との仕切りとして設置しても良いでしょう。
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ワークブース/個室ブースを設置する際のポイント3つ
最後に、ワークブースを設置する際のポイントを3つ解説します。
①人通りの少ない場所に設置
ワークブースは、人通りが少なく、雑音が届きにくい場所に設置しましょう。通路の近くや出入口付近に設置してしまうと、人の気配や周囲の音が気になって集中できません。ある程度の広さがあり、なるべく静かな場所を選んで、落ち着いて作業できる環境を作りましょう。動線の邪魔にならないことも大切です。
②使用ルールを決めて、周知させる
オフィスや公共施設のワークブースは、多数の人が使うため、使用ルールを決めておくことが重要です。利用時間や飲食の可否など、分かりやすい内容を設定して下さい。ルールは従業員や使用者に周知されていないと意味がありません。
③消防法への配慮が必要
ワークブース設置の際は、消防法への配慮が必要になります。消防法は、火災の予防と被害を最小限におさえるための法律です。違反してしまうと、罰金または勾留の対象となります。一般的に、オフィス内に新たな個室を作る場合は、火災報知器やスプリンクラーなど、消防設備の移設や増設が必要です。
*総務省消防庁 https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/20230330_kadousiki.pdf
天井付きのブースには、消火装置があらかじめ付いている製品も多く、高機能な分、価格も高くなります。導入を検討しているワークブースが消防法の対象になるのか、手続きが必要か、事前にメーカーや販売店に確認して下さい。
ワークブース/個室ブースの選び方や価格、設置する際のポイント【まとめ】
今回は、ワークブース/個室ブースの選び方や価格、設置する際のポイントについて解説しました。ワークブースは、仕事や作業をするための、個室空間のことで、Web会議や集中作業などに活用されます。導入のメリットには、集中できることや、周囲の音を軽減してくれること、会議室を効率よく運用できること、プライバシーが確保できることがあります。価格は、素材やサイズによって大きく異なります。設置の際は、人通りの少ない場所を選び、使用ルールを決めて、周知させて下さい。ワークブースのタイプによっては、消防法への配慮も忘れないようにしましょう。