狭いオフィスでも、レイアウトやデザインの工夫によって広く使うことができます。人員の増加で手狭になったり、必要なスペースが確保できなかったりすると、業務効率が下がるだけでなく、ストレスに感じる場合もあります。今回は、狭いオフィスの改善策と狭く見せないデザイン事例を解説します。
オフィスが狭いと感じる基準や要因とは?
まず、従業員がオフィスを狭いと感じる面積や高さの基準、配色について解説します。
狭いと感じるオフィスの面積とは?
狭いと感じるオフィスの面積は、従業員1人あたりの就業空間が10立方メートル未満とします。労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則にて、従業員1人あたりの就業空間は10立方メートル以上と基準が設けられているためです。
狭いと感じさせる高さ
オフィスの天井高は、2.4m以下だと狭いと感じます。現在の住宅の標準的な天井高が2.4m程度のため、オフィスの天井高が住宅よりも低いと、圧迫感や窮屈さを感じてしまうでしょう。建築基準法では居室の天井高は2.1m以上と定められており、オフィスの天井高の標準は2.5m~2.8m程度です。
狭いと感じさせる配色
オフィスに暗い色を多く使うと、実際より狭いと感じる場合があります。色には膨張色と収縮色があります。膨張色は、実際より大きく見える色のことで、白などの明るい色や、黄色やオレンジといった暖色系の色を指します。
狭いオフィスに実践できる7つの改善策
オフィスが狭いと感じても、すぐに移転や拡張をすることは簡単ではありません。狭いオフィスに実践できる改善策を7つ解説します。
①レイアウトの無駄を見直す
狭いオフィスでは、レイアウトに次のような無駄がないか、見直してみましょう。
- 来客が少ないのにエントランスが広すぎないか
- 稼働率の低い応接室や会議室はないか
- 動線はスムーズか
使われていないスペースがあれば、パーテーションや什器の移設を検討して下さい。施工型パーテーションなら、解体して他の場所に再設置が可能です。オフィス内の動線についても、行ったり来たりが多いと業務効率が下がってしまいます。動線を短くできれば、スムーズに移動できるだけでなく省スペース化につながり、レイアウトや時間の無駄を改善できます。
≫【パーテーション移設】パーテーション工事・間仕切りはオフィスボール
②通路幅を見直す
オフィス内の通路幅を見直すことでも、狭い印象を改善できます。とくに、デスクの後ろが狭いと窮屈に感じやすいため、1m程度は確保して下さい。後ろを人が通る場合は1m20cm以上必要になります。
また、背中合わせで席を配置する場合は、1m60cm以上は確保しましょう。十分な通路幅が確保できていると、移動がスムーズになり、集中力や業務効率の向上が期待できます。
③兼用スペースを設ける
狭い事務所や小規模オフィスでは、兼用スペースを設けることで、狭くて諦めていたリフレッシュスペースも確保できます。オフィス面積が狭いと、業務スペースが優先されてしまいます。しかし、リフレッシュスペースは業務効率アップや従業員同士のコミュニケーション活性化に役立ちます。
≫ リフレッシュスペースはオフィスに必要?メリットと事例4選
ミーティングスペースと兼用すれば、従業員の休憩場所を確保できます。複数の用途に活用するためには、配置や遮音性を考慮しなければなりません。また、時間で使い分けたり、使用後の清掃を徹底したり、運用ルールの周知も大切です。
≫ ミーティングスペースの事例7選|メリットや注意点、アイデアを紹介
④透明性のあるパーテーションを選ぶ
狭い空間を間仕切る際は、透明性のあるガラスパーテーションを選ぶと、圧迫感を与えずにすっきりと仕切れます。小規模オフィスやワンルーム事務所でも、エントランスや会議室を間仕切りたいというケースは多いでしょう。
≫ エントランス・受付用パーテーションのおしゃれな施工事例4選
しかし、狭い空間に壁を建てると、圧迫感を与えてしまう場合があります。施工型のガラスパーテーションならすっきりと仕切れて採光性や開放感があり、狭さを改善できます。プライバシーを確保したい場合は、ガラスに半透明のシートやデザインシートを張ることで、丸見えにならず、デザイン性もアップします。
≫ ガラスパーテーションとは?価格や使い方を解説【施工事例アリ】
⑤オフィス什器を見直す
オフィス什器を見直すことでも、狭さを改善できる場合があります。既存のデスクが大きすぎたり、不要なサイドワゴンを置いていたりする場合、コンパクトなものに変更できないか、不要なら処分できないか検討しましょう。デスクの幅や奥行きを見直すことで、スペースにゆとりが生まれます。
≫ 什器とは?オフィスに必要な什器の種類やメーカーについて紹介
例えば、デスクの奥行きは70cmが標準サイズと言われています。しかし、ノートPCを使う場合は、奥行き60cm~65cmのデスクも活用できます。在席率の低い事務所や部署などでは、フリーアドレスの導入もおすすめです。
⑥置き型を壁付けに変更
置き型の什器やディスプレイを壁面に取付けることも、狭さの改善に有効です。例えば、ホワイトボードは、パーテーションやローパーテーションにホワイトボードシートを張ることができます。フロア内に置いていた低い収納は、上下に連結して壁面収納として使う方がフロアを広く使えます。
⑦オフィスデザインや色を見直す
オフィスデザインや色によっても、空間に開放感を演出でき、狭さの改善につながります。色が与える効果やイメージによって、空間の印象は大きく変わります。白や暖色系の明るい色は、広さや開放感を印象付けます。壁や床、天井といった、大きな面に使うと、空間を広く見せてくれます。しかし、汚れが目立ちやすいため、床面に選ぶのは難しい場合があるでしょう。
収縮色と膨張色 特徴とイメージ・効果 | |||
種類 | 特徴 | 代表色 | イメージ・効果 |
収縮色 | 実際より 小さく、狭く見える | 黒 | 重厚、高級 |
紺 | 冷静、安定 | ||
濃い青 | 鎮静、集中 | ||
濃い緑 | リラックス、癒し | ||
濃い紫 | 上品、優雅 | ||
膨張色 | 実際より 大きく、広く見える | 白 | 清潔、シンプル |
ベージュ | 安らぎ、平穏 | ||
黄色 | 希望、注目 | ||
オレンジ | 活気、温かみ | ||
赤 | 興奮 |
ワンルーム事務所や小規模オフィスを狭く見せないデザイン事例4つ
最後に、狭いワンルームの事務所や小規模オフィスにおいて、広く見せるために工夫している事例を紹介します。
ガラスパーテーションで間仕切った事例
小規模オフィスで、ガラスパーテーションを用いて空間を間仕切っている事例です。ガラスパーテーションのフレームとミーティングチェアの背もたれなどをホワイトで統一しています。色の効果とガラスの透明性によって、圧迫感を与えず、明るく爽やかな印象を演出しています。また、カーペットも明るめのグレーを選ぶことで、狭く感じにくくなるよう工夫されています。
ブラック基調でも狭く見せない事例
ブラックを基調にしたオフィスでも、狭く感じさせない工夫をしている事例です。黒系の色は狭さを感じさせやすい色ではあるものの、使う分量を減らすことや、ガラスと組み合わせることなどで圧迫感が軽減されています。
床に石目タイルを使った事例
クリニックの診察室の床に、石目タイルを貼って広く見せている事例です。診察室はプライバシー確保の必要性から、遮音性のあるパーテーションを使っているため、圧迫感が出やすくなりますが、目につきやすい床に白系の明るい石目タイルを使うことで、狭さや圧迫感を改善しています。
ミーティングルームとリフレッシュルームを兼用している事例
オフィスでミーティングにも、従業員の休憩にも利用できる兼用スペースを設けている事例です。テーブルとチェアだけでなく、ソファなども置くことで、複数の用途に利用できるようにしています。また、飲食可能エリアの什器は、メンテナンスや清掃のしやすい、メラミンや合皮などの素材を選ぶと良いでしょう。
狭いオフィスに実践できる7つの改善策!狭さの基準や要因とは?【まとめ】
オフィスの狭さは、面積だけでなく、天井高や什器の高さ、配色などによっても感じる場合があります。狭いオフィスに実践できる改善策には、兼用スペースを設けたり、パーテーションや什器を見直したり、オフィスデザインを白系の明るい配色にする方法などがあります。狭いオフィスを改善したいなら、ぜひ参考にしてみてください。