オフィスの内装工事は、移転やレイアウト変更の際に行われます。昨今では、働き方改革によっても、内装を見直す企業が増えています。おしゃれで居心地のよいオフィスは、様々な効果が期待できます。今回は、オフィス内装工事によって期待できる効果や費用相場、工事の種類やおしゃれな事例についても解説します。
≫ オフィスの内装工事とは?費用相場や施工事例を工事会社が解説!
オフィス内装工事がもたらす効果と費用相場
オフィスの内装工事によって期待できる効果は、どのようなことがあるのでしょうか。また、費用相場についても解説します。
内装工事によって期待できる効果
●オフィスが快適になる
オフィスの内装工事によって、現在の働き方に合った快適な空間に変えられます。近年、新型コロナウィルスの感染予防や働き方改革などにより、在宅ワークやWeb会議、Webでの商談が増えました。従業員の働き方が変わっているのに、オフィスがそのままでは、使いづらさを感じる人も多いのではないでしょうか。
●業務効率アップや生産性の向上
内装工事によって快適なオフィス空間が実現できれば、業務に集中できるようになり、効率アップが期待できます。また、おしゃれで心地良いオフィスは、従業員のモチベーションを上げて、生産性の向上にもつながります。
●対外的なイメージアップになる
おしゃれで快適なオフィスは、来社した顧客や取引先にポジティブな印象を与え、イメージアップになります。また、会社説明会などで訪れる学生さんにも好印象を与え、採用力アップにつながるでしょう。
●コミュニケーションの活性化
オフィスのレイアウト変更や内装工事により、従業員同士のコミュニケーションの活性化も期待できます。動線を良くすると、新たにミーティングスペースやリフレッシュスペースを設けられることがあります。また、在宅勤務の増加などにより、固定席をやめてフリーアドレスを導入する企業もあるでしょう。
内装工事の費用相場
内装工事の費用相場は、引き渡しを受ける状態により、大きく金額が変わります。主なケースは、事務所仕様、居抜き、スケルトンの3つで、それぞれの特徴と費用相場を解説します。
●事務所仕様
オフィス用の賃貸ビルの場合、引き渡し時点で『事務所仕様』に仕上げられているケースも多くあります。一般的な事務所仕様は、床はOAフロアやカーペットが敷かれ、壁と天井はクロスや塗装で仕上げられています。
〈費用相場〉
事務所仕様での相場は、坪10万~30万円程度です。ある程度内装が出来ているため、初期費用は抑えやすいでしょう。しかし、退去時には原状回復工事を行う必要があるため、費用が高くなる場合もあります。
●居抜き
居抜きとは、前のテナントが使っていた内装やパーテーション、家具などを、そのままの状態で残してもらい、転用することを言います。前テナントは退去費用が安く抑えられ、新規テナントは初期費用が抑えられるため、双方のメリットになります。
〈費用相場〉
居抜きでの相場は、坪5万~20万円程度と言われています。居抜きでも、一部の内装工事やサイン工事、セキュリティ工事などが必要になります。
●スケルトン
スケルトンとは、床、壁、天井の内装仕上げが何もされていない状態のことを言います。躯体のコンクリートがむき出しになっていて、空調や照明も付いていない、または、最低限の数量が付いている状態を言います。
〈費用相場〉
スケルトンでの費用相場は、坪20万~40万円程度です。
オフィス内装工事の工事区分と種類
次に、賃貸オフィスでの工事区分について説明し、内装や関連する工事の種類についても解説します。
賃貸オフィスでの工事区分とは
賃貸オフィスでは、内装工事を行う上で、まず工事区分を確認する必要があります。工事区分は、A、B、Cの3種類に分かれていて、それぞれ、業者を指定したり、費用を負担したりする人(企業)が異なります。内装工事は、主にC工事に区分されているケースが多いです。
賃貸オフィスにおける工事区分 | |||
A工事 | B工事 | C工事 | |
主な工事場所 | 共用部 | テナント専有部 共用部 |
テナント専有部 |
対象工事 | 躯体や建物全体に関わる工事など | 建物全体に影響を与えるもの | 建物全体には影響しないもの |
対象工事・例 *建物により異なる場合あり |
エントランス、外壁、窓、サッシ、トイレ、階段、エレベーターなど | 消防設備、給排水設備、空調、電気、照明、共用のサイン・セキュリティ工事など | 内装工事、パーテーション工事、区画内サイン・セキュリティ工事など |
業者の指定 | オーナー | オーナー | テナント |
費用の負担 | オーナー | テナント | テナント |
オフィスの内装工事や関連工事の種類
一般的に、内装工事はテナントが業者を選び、費用も負担するケースが多いでしょう。内装工事や、一緒に行われることの多い関連工事には、次の種類があります。
●造作壁工事
オフィスの間仕切りは、大きく分けると2種類あり、LGS造作壁と施工型パーテーションに分類されます。LGS造作壁は、設置したい場所に軽鉄で骨組みを建て、両面から石膏ボードを貼って、クロスなどで仕上げます。LGS造作壁のメリットは、直線だけでなく曲線にも建てられる自由度の高さや、仕上げ材の豊富さが挙げられます。
≫ 造作壁(LGS壁)とは?パーテーションとの違いや施工事例を紹介
●パーテーション工事
オフィスの間仕切りには、施工型パーテーションもよく利用されています。施工型パーテーションは、スチールやアルミ、ガラスなどを使った間仕切りです。工場で生産されたパネルや支柱、レール、ドア、ガラスなどのパーツを、現場に合わせてカットして組み立てます。
●床仕上げ工事
オフィスの床仕上げ工事では、タイルカーペットやタイルが主に使われます。タイルカーペットは、柔らかく、衝撃を吸収してくれるため、疲れにくいというメリットがあります。また、汚れた部分だけを交換できる手軽さも魅力です。
Pタイルはプラスチック樹脂が原料で、ツルツルとした表面が特徴的です。フロアタイルはポリ塩化ビニル製で、木目や石目など、デザイン性に優れています。どちらも耐久性があり、掃除がしやすいというメリットがあります。オフィスのほか、学校や病院などでも使われています。
●OAフロア工事
OAフロアとは、オフィスの床を1段上げて、配線を通し、収納するためのフロアシステムです。フリーアクセスフロアとも呼ばれています。昨今、オフィスではほとんどの人がパソコンや電話を使うため、OAフロアがないと、床が配線で溢れてしまいます。配線に足を引っかけると、危険なだけでなく、断線して業務に支障が出てしまう恐れもあります。
●天井工事
スケルトンの場合、天井を設置するためには、ボードを貼ったり、塗装をしたりという作業が必要になります。既設の天井がある場合でも、おしゃれなエントランスやショールームを作る際などに、天井の高さを変えるというケースもあるでしょう。
●サイン工事
サインの取付けは、内装工事の最後に行われることが多い作業です。LGS造作壁や施工型パーテーションに取付けたり、ガラスに貼ったりします。サインの種類は、エントランス付近に取付ける社名サインや、各部屋のドア付近に取付ける室名サインなどがあります。
●セキュリティ工事
セキュリティ工事も、内装の関連工事の1つです。オフィスの出入り口に入退室管理システムを導入したり、防犯カメラやセンサーを設置したりして、従業員の安全を守り、情報漏洩を防ぐ役割も果たします。
内装が完全に仕上がってから取付けると、配線が外に出て見た目が悪くなってしまうので注意しましょう。電子錠は電池で動く錠前なので、後からでも取付けられる手軽さが魅力です。しかし、電池交換が必要なため、管理の手間は増えてしまいます。内装工事では、関連工事も上手くスケジュールに入れ込み、段取りの良い工程を組んでおくことが大切です。
オフィス内装工事のおしゃれな事例6選
最後に、オフィスの場所ごとに選んだ、内装工事のおしゃれな事例6選を解説します。内装工事を検討する際は、ぜひ参考にしてください。
フェイクグリーン
おしゃれで入りやすい雰囲気のエントランスの事例です。執務空間との間にLGS造作壁を建て、木目のシートで仕上げてフェイクグリーンを飾っています。ホワイトの社名サインが、グリーンによく映えています。また、造作壁にはカウンターを取付けているため、受付台を置く必要がありません。カウンターは場所を取らないため、エントランスが広くとれない場合にも有効です。
切り文字サイン
アルミパーテーションに社名サインを取付けたシンプルな事例です。サインの素材は、カルプという発砲ウレタン樹脂を土台として、表面はコーポレートカラーのシートを貼っています。立体的な切り文字にすることで、シートを直接貼るより、視認性がアップします。
ロゴデザインシート
ガラスパーテーションにロゴデザインシートを貼り、執務空間をおしゃれな雰囲気に仕上げた事例です。シートを貼ることで、デザイン性がアップするだけでなく、室内が丸見えになることを防いでいます。程よい緊張感がありながらも、業務に集中できる空間になっています。
フロアタイル
本物のフローリングのように見える、木目柄のフロアタイルを貼った事例です。パソコンなどの機器類が多いからこそ、殺伐とした雰囲気にならないよう、木の温かみをうまく取り入れています。パーテーションやチェアはブラックで揃え、カッコよさも兼ね備えた内装に仕上げています。
スチールパーテーション
スチールパーテーションと木目のフロアタイルを合わせた、さわやかな印象の会議室の事例です。
会議室は、静かな環境が求められるため、防音性の高いスチールパーテーションを使い、天井まで閉じた、ランマクローズのスタイルにしています。また、フロアタイルは、パーテーションの下にあらかじめ敷いて施工しています。パーテーションを先に建ててしまうと、移設後にも床工事が必要になり、余計な手間や費用がかかるので注意しましょう。
ガラスパーテーション
ガラスパーテーションを使った、明るく、コミュニケーションしやすいミーティングスペースの事例です。この事例では、天井までのフルガラスを使い、高さを強調して圧迫感を感じさせないようにしています。
2つめの事例は、ブロックのガラスパーテーションを使って木目を取り入れることで、採光性やデザイン性に加え、落ち着き感もプラスしています。
オフィス内装工事の費用とおしゃれなデザイン事例6選を解説【まとめ】
今回は、オフィス内装工事によって期待できる効果や費用相場、工事の種類やおしゃれな事例について解説しました。内装工事によってオフィスが快適になると、業務効率や生産性のアップ、コミュニケーションの活性化などが期待できます。また、オフィスの内装工事は、引き渡しをうける状態によって費用相場が大きく変わります。賃貸オフィスでは、工事区分も事前に確認しておきましょう。おしゃれな事例は、ガラスパーテーションやフロアタイルを使った内装を紹介しました。内装工事を検討の際は、ぜひ参考にして下さい。