【プロ解説】オフィス工事の費用とABC区分等の確認ポイント

オフィスの工事には、費用も期間もかかりますし、気軽にやり直すものでもありません。特に費用相場を把握せず、追加費用を生む「A工事・B工事・C工事」の工事区分を知らないまま進めると、見積超過や工期遅延を招く危険があります。本記事ではプロの視点で、費用相場と内装工事の種類、失敗しない確認ポイントまでを解説します。

 

オフィス工事の費用相場と内訳

オフィス工事の費用相場と内訳

オフィス工事の費用は「坪単価×面積」を基準に考えますが、物件の状態と工事項目で大きく変わります。まずは工事項目ごとの坪単価を押さえてください。

 

坪単価に幅が出る理由は、既存設備をどこまで流用できるかで工事範囲が変わるためです。既存を活かせるほど安く、ゼロから構築するほど高くなる傾向にあります。

 

坪単価は10万〜30万円が目安。スケルトンからの構築では40万円/坪程度になる場合もあります。主な工事項目別の相場は次のとおりです。

 

<工事項目別 費用相場表>

工事項目の例 坪単価の目安 主な内容
間仕切り(パーテーション) 3万〜15万円/坪 ■施工型・可動式の間仕切り

■会議室・個室の新設

LED照明改修 2万〜4万円/坪 ■照明のLED化

■照度・演色性の見直し

防音・吸音工事 4万〜10万円/坪 ■会議室・WEB会議ブースの遮音

■吸音材の施工

通信・LAN/スマート化 5万〜12万円/坪 ■LAN配線

■OAフロア

■電源・通信インフラ整備

 

見落としがちなのが諸経費です。工事費本体のほかに、廃材処分費、搬入運搬費、養生費、そしてビル指定業者が担う「B工事」分の費用が上乗せされます。関東は関西と比べて坪単価が約15%高い傾向もあり、地域差も加味が必要です。

 

つまり相場はあくまで出発点です。実際の総額は「本体+諸経費+工事区分」で確定するため、内訳まで見て判断してください。

 

≫オフィスパーテーション施工の失敗を防ぐ!費用と業者選びの極意

 

オフィス内装工事の種類と主な項目

オフィス内装工事の種類と主な項目

一言にオフィスの内装工事と言ってもさまざまな項目があります。ここでは主な工事項目について紹介していきます。

 

① 建築関連

建築関連の工事は、間仕切り・床・壁・天井の造作など、空間の骨格をつくる工事等が含まれます。会議室や個室の新設、床のOAフロア化、天井の張り替えが該当します。

 

建築工事イメージ▼

建築工事

施工型パーテーションを使えば、造作壁より初期費用を抑えつつレイアウト変更にも対応できます。建築関連は、空間の使い勝手を決める土台となる工事です。

 

② 電気関連

電気関連の工事は、分電盤・幹線、コンセント、照明、スイッチ回路など、オフィスの電源環境を整える工事等が含まれます。レイアウト変更ではコンセントやLANの位置替えが必ず発生するため、図面段階での配線計画が欠かせません。

 

電気工事のイメージ▼

電気工事

照明は事務所衛生基準規則で一般的な事務作業に300ルクス以上が求められており(参照:厚生労働省)、基準を満たしつつLED化すると省エネと両立できます。電源計画の精度が、入居後の使い勝手を決めます。

 

≫オフィス移転で必要な配線ノウハウ【電気・電話・LAN工事】

 

③ 空調関連

空調関連の工事は、エアコンの増設・移設、吹出口の位置調整、換気設備の工事等が含まれます。間仕切りで個室を新設すると、区画をまたぐ気流や温度ムラが生じるため、建具上部の開口やガラリで空調ゾーニングを調整します。

 

空調工事のイメージ▼

空調工事

空調は天井内設備に絡みやすく、後述のB工事に該当しやすい分野です。空調は快適性と省エネを両立させる要でもある重要な項目です。

 

④ 防災関連

防災関連の工事は、スプリンクラー、自動火災報知設備の感知器、排煙設備などに関わる工事等が含まれます。

 

防災工事のイメージ▼

防災工事

間仕切りで区画を変えると、感知器やスプリンクラーの増設・移設が必要になり、消防への届出も伴います。防火区画をまたぐ場合は防火認定パネルや区画処理が求められます。安全に直結し、削れない分野です。

 

≫オフィスの地震対策ポイント5つと家具にやるべき転倒防止法

 

⑤ LAN関連

LAN関連の工事は、ネットワーク配線、電話、OAフロア内の配線ルート整備を行う工事等が含まれます。ハイブリッドワークやWEB会議の普及で、安定した通信環境の重要性は増しています。

 

LAN工事のイメージ▼

LAN工事

パーテーション内配線は図面段階で確定させないと露出配線になりやすいため、早期の計画が肝心です。業務の生産性を支えるインフラです。

 

≫LAN工事の流れや施工費用は?有線の最大のメリットも解説!

 

⑥ その他

ここまで紹介した5分野以外にも、次のような工事項目があります。規模や物件によって要否が変わるため、必要なものを見積もりに含めてください。

 

その他の工事項目 主な内容
内装仕上げ クロス・タイルカーペット・塗装などの仕上げ
建具・サイン工事 ドア・受付サイン・社名表示の設置
セキュリティ工事 電気錠・入退室管理・防犯カメラ
消防・防火区画申請 感知器・区画処理・消防への届出
給排水工事 給湯室・ミニキッチンの設置
解体・原状回復 既存設備の撤去、退去時のスケルトン戻し

 

これらを含めて全体で見積もることで、着工後の「想定外」を防ぎやすくなります。

 

≫事務所・オフィスの内装工事の費用や種類!おしゃれな施工例も紹介

 

イマイチなオフィス工事にしないための必須確認ポイント

イマイチなオフィス工事にしないための必須確認ポイント

満足できるオフィス工事には、着工前に押さえるべき5つの確認ポイントがあります。欠かせない主なポイントについて解説していきます。

 

ポイント1.コンセプト

最初に決めるべきは、費用でも業者でもなく「オフィスの利用方法・コンセプト」です。コンセプトが曖昧なままレイアウトを決めると、工事後に「使いにくい」と感じ、早期の作り直しコストが発生する危険があるためです。

 

集中作業を重視するのか、コミュニケーションを促すのか、来客対応を重視するのかで、最適な間取りは変わります。

 

たとえば、現状の人数だけで割り付けず、2〜3年後の増員や組織変更まで織り込むと、会議室不足による再工事を避けられます。まず「どう働きたいか」を言語化して、すべての判断基準となる軸を決めていきましょう。

 

≫小規模オフィスのレイアウト手引き|失敗しないためのポイント

 

ポイント2.見積り

費用感を把握するために、見積りの確認も欠かせません。見積書は単に「総額」だけを確認するのではなく「内訳」までしっかり確認してください。

 

総額が安く見えても必要な工程の記載が抜けていれば、着工後に追加請求がくるケースも考えられます。材料費だけでなく、人件費・加工費・運搬費・廃材処分費まで明記された見積書こそ、金額の妥当性を検証しやすい見積りと言えます。

 

一方で「一式」表記が多い見積書は、後から金額が振れやすい危険があります。そのため「見積書に記載のある金額以外に発生する費用はありますか?」と業者に確認しておきましょう。

 

当社では、現地調査・お見積もり・ご相談を無料で承り、独自のチェックリストで抜け漏れのない確認を行っています。机上では見えない現場条件を先に潰して、追加費用のリスクを最小化しています。内訳の透明性は、その業者の誠実さを映す鏡だと考えております。

 

なお見積りは、1社のみでなく、複数社で相見積もりをとって比較検討を進めることが、自社にとってベストかつ、お得な選択に近づく鍵です。

 

ポイント3.工事区分(ABC工事)

費用トラブルが特に起きやすいのが、A・B・C工事の区分、なかでも「B工事」です。工事区分の違いは以下の通りです。

 

<A工事・B工事・C工事の主な違い>

区分 対象箇所の例 費用負担 業者選定
A工事 ■建物躯体

■外壁

■共用部

オーナー オーナー
B工事 ■天井内の空調

■防災設備

■防火区画

■電気幹線

テナント ビル指定
C工事 ■専有部の内装

■LAN

■パーテーション本体

テナント テナント(自由)

 

表の通り、B工事は、費用はテナント負担なのに、業者選定と発注はビル側という「ねじれ」が生じます。天井内の空調・防災がここに該当しやすく、相見積もりが取れず価格交渉が効かないケースがあります。

 

実際に、会議室を新設する現場で、工事区分表を取り寄せないまま着工しようとした案件がありました。天井の感知器・スプリンクラー移設がB工事判定となり、C工事分のパーテーション費用に対して無視できない追加費用が後から発生する構図でした。

 

着工前に区分を精査したため事なきを得ましたが、区分表の未確認は工程停止に直結します。分からない場合は、必ず専門会社に相談してください。

 

≫A工事・B工事・C工事の違いとは?オフィス移転時の工事区分を解説

 

ポイント4.スケジュール

オフィス工事の準備期間は「工事規模」で決まります。まず自社の工事がどの規模に当たるかを見極めてください。一般に「オフィス工事は計画から引き渡しまで3〜6ヶ月」と言われますが、これはあくまで大規模工事の目安です。

 

どの部分をどれだけ工事するかで必要日数は大きく変わるため、一律に半年前から動くと、簡易な工事では過剰、大規模では逆に不足します。下表を目安に、規模に応じて検討開始時期を設定してください。

 

<オフィス工事の規模と検討開始の目安>

工事規模 工事期間の

目安

検討開始の

目安

該当する工事内容の例
簡易・小規模 1〜2日程度 約1ヶ月前

(3〜4週間前)

■施工型パーテーション1〜2室の設置

■既存レイアウトの一部変更

■コンセント・LANの増設

■照明の部分的なLED化

中規模 数日 2〜3ヶ月前 ■フロア一部の内装刷新

■複数会議室の新設

■間仕切り+電気・空調・LANの再配置

■居抜き物件の内装調整

大規模・特殊仕様 3週間〜数ヶ月 半年前

(約6ヶ月前)

■スケルトンからの内装構築

■オフィス移転全体

■防音室・特殊空調・防火区画をまたぐ工事

■全館・ビル全体の調整

 

自社で行いたい工事がどの規模に当てはまるかなど、スケジュール感に不明点がある場合は、まずは専門業者に相談してみましょう。

 

≫【オフィス移転】成功のポイント・スケジュールと流れを徹底解明

 

ポイント5.業者選定

最後のポイントは業者選びです。業者は「価格」だけでなく「対応範囲」と「実績の質」で選びましょう。安さだけで選ぶと、分野をまたぐ調整の抜けや追加費用、工期遅延を招く可能性があります。

 

一方で、内装・電気・防災までワンストップで担える業者は、伝達ロスが少なく、責任の所在も明確になります。次のチェックリストを、複数社の比較の参考にご活用ください。

 

<オフィス工事 業者選定チェックリスト>

チェック項目 確認するポイント
施工実績 同規模・同業種の施工事例が豊富か
対応範囲 内装・電気・空調・防災までワンストップか
工事区分の説明 A・B・C工事の区分を明確に説明できるか
見積の透明性 内訳が「一式」でなく項目別に明記されているか
対応スピード 問い合わせ・見積の返答が迅速か
図面作成・現地調査 契約前に現地調査・図面作成へ対応するか
無料相談の有無 現地調査・見積・相談が無料か
撤去・原状回復 設置だけでなく撤去・原状回復まで見据えているか

 

横並びで比較すれば、価格以外の実力差が明確になりやすくなります。

 

≫オフィスのレイアウト変更を業者に依頼する流れと施工事例を紹介!

 

現代の働き方に合わせたオフィス工事事例

現代の働き方に合わせたオフィス工事事例

ハイブリッドワークが定着した今、テレワークと出社が混在する前提での空間設計が求められているため、オフィスは見た目だけではなく「働きやすさの機能」を重視する必要があります。ここでは代表的な3事例を紹介します。

 

事例1.WEB会議に対応した防音会議室

事例1.WEB会議に対応した防音会議室

WEB会議の増加を見越して、防音会議室を新設した事例です。国土交通省の令和6年度テレワーク人口実態調査でも、継続意向のある労働者の約70%以上が週1日以上出社するハイブリッドワークを希望しており、社内でWEB会議に臨む従業員が一定数残ると見込まれます(参照:国土交通省 令和6年度テレワーク人口実態調査)。

 

このお客様では、まず「どのレベルの防音を求めるか」をヒアリングしたうえで、会議の機密性に合わせてスチールパーテーションを採用しました。

 

過剰投資を避けるため、パネル内に入れる充填材(詰め物)の仕様まで調整し、必要十分な遮音性に仕上げています。求める防音レベル次第ではスチール以外で足りる場合もあるため、仕様はスタッフと相談しながら決めていきましょう。

 

≫【オフィスの防音対策事例】音漏れを防ぐ方法8選と費用の比較

 

事例2.採光とコミュニケーションを両立する間仕切り

事例2.採光とコミュニケーションを両立する間仕切り

ここでは、採光性とコミュニケーションの両立を目指した異なる2つの間仕切りの事例を紹介します。まず、Wow-Food様の会議室では、しっかり仕切りつつも、欄間を開けることで採光性を確保し、明るさを維持させています。

 

事例2.採光とコミュニケーションを両立する間仕切り2

一方、同じく採光性とコミュニケーション重視でも、ガラス素材を採用すると違った風合いにできます。上越産業様では、視線を適度に遮りたいという要望に合わせ、木目調の引き戸とかすみガラスを組み合わせ、デザイン性と視線コントロールを両立させています。

 

このように、同じ目的でも仕様する素材や施工方法によって変えられるため、ぜひ当社の専門スタッフと納得がいくまで話し合ってください。

 

≫【施工会社直伝】ガラス張り会議室のメリット|種類や事例も解説

 

【まとめ】オフィス環境を内装工事でベストにしよう!

【まとめ】オフィス環境を内装工事でベストにしよう!

オフィス工事を成功させる鍵は、費用相場の把握、工事の種類の理解、そして今回解説した5つの確認ポイント(コンセプト・見積り・工事区分・スケジュール・業者選定)の徹底です。これらを早い段階で押さえることで、見積超過や工期遅延の多くは防げます。

 

当社では、施工型パーテーションの設置から撤去、内装工事、オフィス移転、電気工事までをワンストップで対応し、工事区分や原状回復まで見据えた提案を行っています。まずはオフィスの施工事例をご覧いただき、無料の現地調査・相談から始めてみてください。計画的な準備こそが、適正コストで理想のオフィスを実現する最短ルートです。

 

 

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