オフィスの天井をあえてフラットにせず、構造や配管を見せた天井を「スケルトン天井」と呼びます。開放感やデザイン性の高さから注目される一方、空調効率や防音面への配慮も欠かせません。本記事では、スケルトン天井の基礎知識からメリット・デメリット、導入時の注意点、実際のオフィス事例まで専門業者の視点で解説します。
スケルトン天井とは?
建築でいう「スケルトン」は、内装を取り払って構造体や設備配管が見える状態を指します。つまり「スケルトン天井」とは、天井材で覆わず、梁や配管などを露出させた天井仕様です。
通常天井とスケルトン天井の違い▼
施工は、既存の天井材(ボード・パネル)を撤去して構造や設備を露出させる方法が一般的です。新設の場合は、天井材を張らずに設備を見せる設計で仕上げます。
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スケルトン天井のメリット
次に、オフィスの天井をスケルトンにするメリットを紹介していきます。
メリット1.開放感がある
まず、天井材を撤去するスケルトン天井は、実際の天井高を最大限活かせる構造になるため、開放感があるのが特徴です。天井板がなくなることで、一般的には70~80cm高くなると言われていて、構造によっては1m以上高くできるケースもあります。
物理的な高さを確保でき、視線が上に抜けやすくなります。そのため、ワンフロアオフィスや小規模オフィスでも圧迫感を抑えやすくなり、空間を広く見せたい場合に有効です。
メリット2.意匠性に優れた空間をつくりやすい
オフィスの天井をスケルトンにすると、デザイン性が高まりやすいのも特徴です。その理由は、ダクトや配管を意匠として活用でき、スタイリッシュなデザインに仕上げられるためです。
スケルトン天井を採用したオフィス例▼
例のような、無骨めでシックなデザイン(左)、木目と組み合わせたナチュラルテイスト(右)など、企業イメージに合わせた演出が可能です。そのため、来訪者への印象づくりなど、ブランディング施策としてもスケルトン天井の採用はおすすめです。
メリット3.メンテナンスがしやすい
天井板を取り付けないスケルトン天井は、設備トラブル時のメンテナンスがしやすいのもメリット。そして、復旧までの時間を短縮しやすい点も魅力です。
一方、スケルトン天井であれば、配管や設備が露出しているため、不具合箇所の確認で天井を開口する必要はありません。設備が露出しているため調整や修理が行いやすく、見た目に違和感を残さず復旧できます。日常的な運用や将来的な修繕を考えると、スケルトン天井は便利な面もあります。
メリット4.レイアウト変更の自由度が高い
スケルトン天井は、天井材がないため、照明や電気設備の位置を比較的自由に調整できます。
一方、スケルトン天井であれば、ダクトレール照明や配線の引き直しが行いやすく、梁の位置を確認しながら最適な場所に照明を配置し直せます。そのため、将来的な組織変更や働き方の変化に伴う席替えや間仕切り変更などにも柔軟に対応しやすくなります。
メリット5.職場環境の満足度を高めやすい
おしゃれで居心地の良いオフィスにできると、当然、従業員の満足度は上がりやすいです。そのための手段の一つがスケルトン天井を採用し、開放感とデザイン性が高い空間に整えること。
一方、スケルトン天井では視線が上や奥に抜けやすく、空間を広く明るく感じやすくなります。また、ダクトレール照明やペンダントライトなど、インテリアにこだわったおしゃれなオフィスだと、従業員の好感度が上がりやすく、モチベーションの向上にもつながります。機能面だけでなく、気分や意欲に影響する環境づくりという点でも、スケルトン天井は効果的です。
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スケルトン天井のデメリット
さまざまなメリットが期待できるスケルトン天井ですが、注意点もあります。デメリットに納得したうえで施工を決めてください。
デメリット1.空調効率が下がりやすい
スケルトン天井は、フラット天井に比べて空調効率が下がりやすい傾向があります。天井が高い分、冷暖房の空気が天井付近に偏ったり、分散したりしやすくなります。
デメリット2.防音性や音響の快適性が下がりやすい
フラット天井では、天井材や吸音材が音を和らげる役割を果たしますが、スケルトン天井では梁やコンクリートがむき出しになります。音を吸収する天井材がないため、防音性や音環境が悪化しやすい点にも注意が必要です。
特に、コンクリートは硬く、音を跳ね返しやすい素材です。電話や打ち合わせの声など、想定以上に反響音が大きいと、集中しづらいと感じる従業員が増える可能性があります。そのため、スケルトン天井を採用する際は、吸音材の追加やレイアウト設計による音対策も検討する必要があります。
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デメリット3.内装工事費用が高くなりやすい
天井構造を「見せる前提」で整理や仕上げを行うため、内装工事費用が高くなる可能性があります。
<スケルトン天井で必要になりやすい仕上げ例>
| 対象部位 | 必要になる仕上げ例 | 仕上げを行う理由・目的 |
| ダクト | ■塗装・補修
■配置整理 |
■存在感が強いため、色を統一し空間になじませる |
| 配管 | ■塗装・補修
■配管ルートを整理 |
■無塗装だと雑然と見えるため |
| 電気配線 | ■金属管やケーブルラックを使用
■直線的に整理 |
■ケーブルの垂れ下がりを防ぎ、見た目と安全性を確保するため |
| 梁・スラブ(コンクリート) | ■塗装・補修 | ■コンクリートのムラや汚れを抑え、反射や印象を整えるため |
| エアコン本体 | ■色指定
■機器位置の調整 |
■機器そのものが目立つため、空間デザインと調和させる |
| 照明 | ■ダクトレール照明やペンダントライトの採用 | ■天井埋込ができないため、照明自体をデザイン要素にする |
| ボルト・金物類 | ■塗装
■色統一 |
■細部が目立ちやすく、未処理だと安っぽく見えるため |
| 吸音・断熱対策 | ■壁面吸音材
■家具配置で補完 |
■天井材を貼れないため、別の方法で音・熱環境を整える |
すべての仕上げを施すとは限りませんが、高いデザイン性を求めるなら細部にもこだわらなければなりません。天井構造をそのまま見せるだけなく、意匠性を意識した調整が必要になり、結果として工事費が想定以上に膨らむケースがあります。
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デメリット4.清掃に手間がかかる
天井構造が露出しているスケルトン天井は、清掃や維持管理の手間が増えやすい点にも注意が必要です。理由は単純に「溜まったホコリが落ちてくるから」です。
そのため、通常の床清掃だけでは対応できず、脚立などを使った天井周りの清掃が必要になるケースもあります。結果として、清掃の手間や外注コストが増えることがあるため、清掃方法や維持管理コストまで含めて導入を検討しましょう。
【プロ直伝】スケルトン天井を導入する際のポイント
続いて、スケルトン天井を導入するときのポイントを、施工を専門に行う当社が解説していきます。
ポイント1.ビル管理会社やオーナーに許可をとる
天井をスケルトンに変える場合、賃貸契約の違反リスクを避けるために「オーナーもしくは管理会社の承諾」が必須です。許可がもらえたあとは、工事計画をオーナーもしくは管理会社に伝え、書面で合意を得ておくと良いでしょう。また退去時は原状回復範囲が問題になりやすいため、条件や範囲も具体的に確認しておくと安心です。
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なお天井のスケルトン化は、騒音や粉じんが出やすい工事です。そのため、同一フロアや上下階テナントへ事前に周知したり、作業時間を調整したりなど、周囲のテナントへの配慮も忘れないでください。
ポイント2.専門知識を持つ施工会社へ相談する
天井をスケルトンにしたい場合、経験のある専門業者に早期相談しましょう。そもそも内装工事は、建築基準法や消防法の範囲内で行うことが大前提。法令や消防署との協議が必要になるケースもあり、素人判断で進めると法令違反のリスクが高まります。
また、照明の設置位置は梁の位置に大きく左右されます。「ここにデスクを置きたい」「この位置を会議スペースにしたい」と考えても、天井構造によっては実現できない場合もあります。ただし、梁自体の移動が可能なケースもあるため、専門業者と相談しながらレイアウト計画を詰めていきましょう。
このように、専門業者に相談すれば、天井構造を踏まえた現実的な選択肢の中から「この配置はできない」「こうすれば実現できる」など、アドバイスを受けながら無理のない計画に落とし込めます。
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ポイント3.従業員に意見を聞く
導入前に従業員の声を取り入れて、満足度の取りこぼしを防ぐのも大切です。
見た目の好みだけで決めず、働き方も考慮し、従業員が満足するデザインに整えていきましょう。
ポイント4.メンテナンス計画を立てる
そして、維持管理まで含めてスケルトン天井の導入を判断してください。梁や配管の上にホコリが溜まりやすく、空調の風で舞いやすいため、高所清掃が必要になる場合があります。
スケルトン天井の導入事例
最後に、スケルトン天井をオフィスに導入した事例を見ていきましょう。天井を単にスケルトンにするだけでは雑な印象になりますが、組合せ方やデザインを工夫するとワンランク上のオフィス空間に仕上がります。
事例1.無機質な素材感に遊びを効かせたクリエイト空間
コンクリートの素材感をあえて隠さず活かし、無機質になりすぎないよう配管を赤でカラーリングした事例です。配管に色を加えて、空間全体の冷たさを和らげつつ、視覚的なアクセントとして遊び心を取り入れています。
余計な装飾を抑えたシンプルな構成のため、思考や発想を妨げにくく、会話やアイデアが自然に生まれやすいのも特長です。リラックスしながら使える、コミュニケーション重視のクリエイティブ空間と言えます。
事例2.無骨さをグリーンで調和させたワークスペース
天井の構造や設備をあえて見せ、無骨な印象を残しながらも、作業スペースにはグリーンを多く取り入れた事例です。細身の直線的な照明を配置し、空間全体をすっきりとまとめつつ、植物や木目家具によって冷たさを和らげています。
構造はラフでも、グリーンを取り入れると過ごす場所としては落ち着きがあり、集中とリラックスのバランスが取りやすい空間に仕上がっています。
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事例3.構造美を活かした上質なワークスペース
スケルトン構造を活かしながら、一部に装飾天井を取り入れ、見せる部分と隠す部分を意図的に切り分けた事例です。見せる天井構造と、木目の装飾天井や家具とバランスを取り、無骨さの中に洗練された印象を加えています。
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装飾天井を設ける分、天井高はやや制限されますが、天井の高いオフィスビルであれば圧迫感を抑えつつ、上質な空間を演出できます。
天井をスケルトンにしておしゃれなオフィスにしよう!
スケルトン天井は、空間に開放感やデザイン性をもたらす一方、空調・音環境・メンテナンス・法令対応など、事前に検討すべき点も多い内装仕様です。無骨さを活かすのか、グリーンや装飾天井で調和を取るのかによって、オフィスの印象や使い勝手は大きく変わります。重要なのは、見た目だけで判断せず、働き方や建物条件に合った設計を行うことです。
なお当社は、内装計画から内装工事全般まで一括請負が可能です。工程の分断を抑えながら全体を効率的に進めさせていただきますので、スケルトン天井をご検討の際は、お気軽にご相談ください。















