オフィスへパーテーションを導入する際、費用の安さだけで業者を選ぶと、退去時の原状回復や工事区分で想定外の出費を招くケースもあります。本記事では施工型と設置型の違いから費用相場、失敗しない業者選び、施工前に見落としがちな注意点まで、現場を担う従業員の経験を交えて解説します。
オフィスパーテーションの基本:施工型と設置型の違い
オフィスで使われるパーテーションには、大きく分けて「施工型(ハイパーテーション)」と「設置型(ローパーテーション)」の2つがあります。両者の大きな違いは、専門業者による施工が必要か否かにあります。
| 比較項目 | 施工型(ハイパーテーション) | 設置型(ローパーテーション) |
|---|---|---|
| イメージ | ![]() |
出典:PPM 0814-NW |
| 固定方法 | 床・壁・天井に固定 | 床に置くだけ |
| 専門業者の施工 | 必要 | 不要 |
| 遮音性 | 高い(天井まで密閉) | 低い(隙間が生じる) |
| 耐震性 | 高い | 低め(転倒リスク) |
| レイアウト変更 | 工事が必要 | 容易 |
| 費用の目安 | 中〜高 | 低い |
このように違いがあるため、手軽さやコストを優先し、レイアウトを頻繁に変えたい場合は設置型が向きます。一方、遮音性や防火性が求められる会議室や役員室など、しっかりした個室化が必要な場合は施工型が適しています。
オフィスパーテーションの施工費用相場
オフィスパーテーション施工の費用は、パネルの種類と工法で大きく変動します。結論として、アルミパーテーションが最も安く、造作壁が最も高額になる傾向です。素材の単価に加え、下地補強・遮音処理・防火認定パネルの有無で必要な手間が変わるためです。同じ面積でも、求める性能によって数倍の差が生じるケースもあります。
<種類別・工法別の費用相場(当社の場合)>
| 種類・工法 | イメージ | 費用相場の目安
(税別) |
特徴 |
|---|---|---|---|
| 設置型(ローパーテーション) | 出典:PW0712 |
約10,000円/枚〜 | ■工事不要
■手軽 |
| アルミパーテーション | ![]() |
7,400円~/枚 | ■軽量
■低コスト ■移設しやすい |
| スチールパーテーション | ![]() |
12,400円~/枚 | ■遮音が高い
■防火性が高い ■丈夫 |
| ガラスパーテーション | ![]() |
12,900円~/枚 | ■開放感がある
■明るさを確保しやすい ■デザイン性が高い |
そのため、正確な費用は現地調査とお見積もりで確認するのが確実です。当社では現地調査とお見積もりを無料で行っているため、まずはお気軽にお問い合わせください。
オフィスのパーテーション施工における準備と業者選びのポイント
業者選びで失敗しないためには、「自社で用意しておくべきもの」と「自社に合った業者を選ぶときのポイント」の大きく2つの要素があります。特に見落とされがちなのが前者で、見積もり前に自社が渡す情報の質を高めるほど、見積もりの精度は上がります。
自社で用意しておくべき情報
情報が曖昧なまま概算を取ると、着工後に追加費用が発生し、金額の妥当性も検証できません。逆に、必要な情報を揃えて渡すほど、見積もりは「概算」から「実行金額」に近づきます。まずは、自社側で次の3つの情報を用意しておきましょう。
<自社で用意しておくべき3つの情報>
| 項目 | 主な情報内容 |
| ビルの工事区分表・館内工事規定 | ■指定業者の有無
■施工可能な曜日・時間帯 |
| 図面 | ■天井伏図・平面図
■梁・空調・感知器・スプリンクラーの位置がわかるもの |
| 求める性能 | ■遮音・防火・将来の可動性
■デザインの方向性 ■使用する時間帯 |
自社に合った業者を選ぶためのポイント
自社で情報を揃えたうえで、次は自社に合った業者を見極めます。パーテーションは設置して終わりではなく、退去時の撤去や設備と一体の設計まで見据えると、対応できる業者が限られます。以下のポイントを確認して選びましょう。
<自社に合った業者を選ぶための確認ポイント>
- 設置だけでなく撤去(原状回復)まで自社施工できるか
- 内装・電気工事まで一括対応できるか(設備と間仕切りを一体で設計できるか)
- 同規模・同業種の施工実績が豊富で、事例を提示できるか
こうした確認が必要なのは、パーテーション施工には図面や費用だけでは見えない「落とし穴」が数多く潜んでいるためです。続いて、施工前に必ず押さえたい注意点を具体的に解説します。
≫オフィスのレイアウト変更を業者に依頼する流れと施工事例を紹介!
オフィスのパーテーション施工で見落としがちなチェックポイント
ここからは、施工前に見落とすと費用や工程に響くチェックポイントを6つ取り上げていきます。いずれも、確認を怠ると数十万円単位の追加費用や工程遅延につながる項目なので、必ず確認してください。
ポイント1. 工事区分(A・B・C工事)の落とし穴
まず、オフィスに関わる工事には、A・B・Cの工事区分があります。工事箇所ごとに「誰が費用を負担し、誰が業者を選ぶか」が決められており、主な区分は以下のとおりです。
<A・B・C工事の区分>
| 区分 | 対象箇所の例 | 費用負担 | 業者選定 |
|---|---|---|---|
| A工事 | ■建物躯体
■外壁 ■共用部 |
オーナー | オーナー |
| B工事 | ■天井内の空調
■防災設備 ■防火区画 ■電気幹線 |
テナント | ビル指定 |
| C工事 | ■専有部の内装
■LAN ■パーテーション本体 |
テナント | テナント(自由) |
このうちA工事とC工事は比較的わかりやすく、A工事は費用も業者選定もすべてオーナーが担い、C工事は費用も業者選定もテナントが自由に行えます。
実際に、パーテーションで会議室を新設した際、天井の感知器やスプリンクラーの移設・増設がB工事判定となり、C工事で組んだパーテーション費用の何割にもなる追加費用が後から発生した事例があります。同じ工事でもビルによって判定が変わるため、区分表を取り寄せずに着工し、区分でもめて工程が止まる失敗も少なくありません。
そのため、パーテーション施工を進める前には、工事区分表を入手したり、天井内設備に触れるかを施工業者と洗い出したり、B工事分をビル指定業者へ早めに概算依頼したりと、複数の確認を並行して進めておくと安心です。
≫A工事・B工事・C工事の違いとは?オフィス移転時の工事区分を解説
ポイント2. 賃貸オフィスの原状回復リスク
賃貸オフィスでは、退去時に原状回復を求められるケースが大半です。そのためパーテーションも「付けたら原則すべて撤去して元に戻す」前提で考える必要があります。そのため、退去時のトラブルを防ぐには、以下のポイントを押さえておきましょう。
<退去時トラブルを防ぐ主な事前確認ポイント>
- 賃貸借契約書と工事区分表の原状回復条項を着工前に確認する
- 退去時の撤去・原状回復にかかる費用と工期を、導入前に概算しておく
- 固定用のビス・アンカーがどの下地に打たれるかを記録し、補修範囲を最小化する
- 入居時の現況写真を残し、既存の傷や変色を撤去時の請求から切り分ける
- 天井仕上げへの固定は跡が残りやすいため、復旧しやすい工法を選ぶ
設置のしやすさだけでなく「撤去のしやすさ・原状回復コスト」まで見据えて工法を選ぶと、退去時のトラブルを防げます。
≫オフィス退去時の撤去費用や原状回復工事・トラブル事例について解説
ポイント3. 減価償却・資産価値を踏まえた材質選び
材質は見た目や遮音性だけでなく、税務上の耐用年数(経費化のスピード)でも選ぶと経営的に有利になる場合があります。国税庁が可動間仕切りの耐用年数を固定度と再使用性で区分しており、おおまかには「動かせる=短期償却」「造り込む=長期償却」という関係です(減価償却資産の耐用年数等に関する省令/国税庁「耐用年数の適用等に関する取扱通達(建物附属設備)」)。
<材質・構造別の耐用年数と選び方>
| 区分 | 内容の目安 | 勘定科目 | 法定耐用年数 |
|---|---|---|---|
| 可動間仕切り
(簡易なもの) |
簡単に移動・撤去できる簡易な間仕切り | 建物附属設備 | 3年 |
| 可動間仕切り
(その他のもの) |
固定するが移設・再使用できる構造 | 建物附属設備 | 15年 |
| 造作・固定式
(建物と一体) |
移設を前提とせず建物に一体化 | 建物 | 構造に応じ長期 |
短期で経費化してキャッシュを厚くしたい、あるいはレイアウト変更が多い場合は、移設・再使用できるアルミ系の可動パネルが相性の良い選択です。遮音・意匠・堅牢性を優先し長く使うなら、スチール下地の固定式が向きます。最終的な税務判断は、必ず顧問税理士・所轄税務署に確認しましょう。
ポイント4. 消防法・防火区画への対応
パーテーションで空間を区画すると、消防法上、感知器やスプリンクラーの増設・移設が必要になる場合があります。ここを見落とすと、竣工後の是正工事や追加費用につながります。
さらに着工前には、消防・防災センターへの届出の要否まで含めてご提案しながら進めます。区画の状況によっては感知器やスプリンクラーの増設を省略できる場合もあるため、事前の確認で無駄な追加費用も抑えられます。
≫パーテーション工事に関わる法令とは?感知器等の設置基準を解説
ポイント5. 休日・夜間工事の隠れたハードル
休日・夜間工事で工程を止める要因は、費用の割増ではなくビル管理会社との「使用条件」の詰めです。ここを事前に潰せているかで成否が決まります。
そのため、事前に搬入経路と大型パネルが入るエレベーター寸法を確認したり、時間外の空調・電源供給を申請したり、防災設備の一時停止を消防・防災センターへ届け出たりと、コスト以外の交渉事項を一つずつ潰す必要があります。騒音を伴うアンカー打ち込みは、他テナントへの事前周知も欠かせません。
ポイント6. 将来を見据えたレイアウト設計
「今」ではなく「2〜3年後の働き方」まで描いてレイアウト設計をするのが、失敗を防ぐポイントでもあります。パーテーションは一度立てると移設に費用がかかるため、図面段階のわずかな配慮不足が早期の作り直しにつながる可能性があります。
| 検討すべき要素 | 見落とすと起きる失敗 | おすすめの対応例 |
| 将来の増員・組織変更 | 半年後に会議室が足りず再工事 | 席増や部署変更を見越し、移設しやすい割付にする |
| 扉の開き勝手・動線 | 開けた扉が通路や他の扉とぶつかる | 避難・車椅子動線の有効幅まで確認して配置する |
| 照明・空調のゾーニング | 個室が「暗い・効かない部屋」になる | 天井伏図と重ね、スイッチや吹出口の位置を合わせる |
| コンセント・LAN・電話 | 壁内配線ができず露出配線になる | 配線位置を図面段階で確定させる |
| 遮音性能 | 会議の声が隣に漏れる | 用途別に必要な遮音等級を先に決めて割付する |
パーテーションは組み立てて設置すれば終わりではなく、内装や電気など付随する工事が伴う場合もあります。そうした工程まで一気通貫で対応できる業者を選ぶと、設備と間仕切りをまとめて図面化でき、自社の要望に合った施工が叶いやすくなります。
最適なパーテーション施工で理想のオフィスへ
オフィスパーテーション施工で失敗しないためには、施工型と設置型の違いを理解し、費用相場を把握したうえで、見積もり前に工事区分表・図面・求める性能を揃えることが出発点となります。
パーテーションは「内装費」であると同時に「償却資産」であり、退去まで見据えた設計が求められます。設置から撤去、内装・電気工事までを一体で任せられる業者を選ぶことが、理想のオフィスへの近道です。当社であれば、一気通貫でパーテーション施工を請け負えるため、ぜひお気軽にご相談ください。



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出典:













