スチールパーテーションはオフィスをしっかりと仕切る間仕切りとして活用されています。比較や検討がしやすいようにアルミパーテーションとの違いや費用を解説します。さらに施工時のトラブル防止策や移設時のコスト削減術まで、担当の方が押さえるべき重要ポイントをまとめました。
スチールパーテーションとは?
まず特徴やアルミタイプと大きく異なる点について紹介します。
スチールパーテーションの特徴6つ
①丈夫で長持ち
スチールや石膏ボードが使われているため、頑丈で長く使える間仕切りです。オフィスで毎日安心して使える耐久性を備えています。また、スチールは経年劣化が少なく、長期間にわたって高い性能を維持できます。
②施工しやすい
スチールパーテーションはモジュール化されたパネルや支柱、巾木などの部材を現場に合わせてカットして使います。施工性が高く、納期や工期が比較的短く済むため、スピーディーにオフィスを刷新できます。
③移設が可能
スチールパーテーションは移設・再利用が可能です。オフィス移転時の解体でも廃棄せず再利用でき、環境負荷を低減します。不要になっても買取でリユース可能なため、ESG経営にも適しています。
④おしゃれで高級感がある
スチールは重厚感があり、おしゃれでスタイリッシュな間仕切りです。シンプルなデザインで高級感と落ち着きを演出します。
⑤遮音・不燃性能が高い
スチールや石膏ボードを組み合わせているため、防音や耐火の機能が高いことも魅力です。静かで安全なオフィスでは、集中して業務に取り組めます。
⑥配線を通せる
2枚のパネルで支柱を挟む中空構造のため、配線が容易でスッキリと見えます。空洞部分に断熱材を充填すれば、防音性能のアップも可能です。
スチールパーテーションとアルミパーテーションとの決定的な違い
アルミとスチールはどちらも移設が可能です。決定的な違いはコスト・遮音性・不燃性の3点です。費用はアルミタイプの方が安価である一方、遮音・不燃性能はスチールパーテーションが優れています。
スチールとアルミの比較表(費用と特徴)
| スチールパーテーション | アルミパーテーション | |
| 厚み | 5~6㎝ | 3~5㎝ |
| 移設 | 〇 | 〇 |
| 遮音性 | 〇 | ×(低め) |
| 不燃性 | 〇 | △(限定的) |
| コスト | ×(高め) | 〇 |
| 費用 | 40,000円程度/1枚(W900) | 25,000円程度/1枚(W900) |
遮音・不燃性能がもたらすオフィスの快適性
スチールパーテーションが持つ優れた遮音・不燃性能は、日々の業務環境に次のようなメリットをもたらします。
音漏れしにくい安心感
高い遮音性能により、会議室や面談室での会話が筒抜けになりません。取引先との商談やプライベートな相談なども安心して行えます。また、大切な情報を漏洩させてしまうリスクも軽減できます。
集中しやすい静かさ
スチールパーテーションの個室・集中ブースは、電話の声や雑音を抑え、集中しやすい環境を作ります。ストレスの少ない快適なスペースはプログラミングやデザイン、緻密な計算など没頭作業に適しています。
延焼を防ぐ安全性
スチールパーテーションは鉄鋼と石膏ボードを主材とし、不燃性能を備えています。火災時も燃え広がりにくく、従業員が安全に逃げるための通路の維持に寄与します。
法令遵守のパーテーション選び
パーテーション選びで失敗しないためには、費用や性能だけでなく法令に準じたものかを確認することが大切です。
法令の確認
パーテーションの設置に関係する主な法令は次の2つです。
建築基準法
消防法
2つの法令では、オフィス等で使う建材について『内装制限』を設けています。内装制限を受けるオフィスでは、不燃性能を備えたパーテーションを選ぶ必要があります。
内装制限ってなに?
一定の要件を満たす建物で、内装仕上げや間仕切りなどに防火材料の使用を義務付けたルールです。火災の延焼防止と避難経路の確保を目的としています。対象となる建物は用途や規模などの条件によって決まります。
自社も対象?内装制限チェックリスト
内装制限の対象となるオフィスの主な条件は次の5つです。
| 対象となる条件 | 具体例 | |
| 1 | 大規模なビルに入居している | 3階建て以上で延べ面積500㎡超、2階建てで1000㎡超、平屋で3000㎡超 |
| 2 | 火気を使用する部屋がある | 給湯室・調理スペースなど火気使用室がある場合、 その部屋が対象 |
| 3 | 無窓居室がある | 採光・排煙に必要な開口部のある窓がない会議室・ブース等 |
| 4 | 地下階にオフィスや店舗がある | 地下のオフィス空間や地下街・地下通路に面している |
| 5 | 「特殊建築物」に入居している | 大型商業施設等の特殊建築物のテナント・区画として入居している |
プロが教える現場での確認ポイントと準備すべき書類
パーテーションの現場調査のポイントと工事の際に準備すべき書類を解説します。
現場での確認ポイント
見積りやパーテーションの位置決めに大きく影響するため、プロは次に挙げる項目を確認しています。
| 天井 | ・高さ
・消防設備や空調、照明器具の位置 ・防炎垂れ壁や防火区画への干渉 |
| 壁 | ・スイッチ類や排煙ハンドルの位置
・窓やブラインドとの干渉 |
| 床 | ・床・OAフロアの素材
・不陸(高さのずれ) |
| 避難経路 | ・塞いだり、狭めたりしないか(通路幅等に規定あり) |
消防設備や避難経路への干渉
パーテーションの位置によっては、スプリンクラーや火災報知器の動作に支障が出たり、未警戒区域が発生したりする場合があります。設備の移設や増設を行うと、パーテーション本体の工事費に加えて、さらなる出費が求められます。 また、パーテーションを避難経路上に新設の際は、通路幅やドアの開閉方向に規定があるので注意して下さい。
工事の際に準備すべき書類
不燃認定番号・認定書
内装制限の対象時に必要となる書類です。燃えにくい建材には不燃認定番号が付与され、認定書はメーカーから直接、または公式サイトで入手できます。工事の届け出の際にビル管理会社や消防署への提出が求められます。
防火対象物工事等計画届出書
パーテーションの設置によって部屋の区画を変える場合、工事の7日前までに地域の消防署への提出が必須です。計画届出書に加え、平面図や仕上げ表、先に説明した不燃材料を示す認定書などを合わせて提出します。
防火対象物使用開始届出書
オフィスを含む事業用・商業用の建物では、新たに使用を開始する7日前までに地域の消防署への提出が必要です。ただし、パーテーション工事等を行う場合に計画届出書を先に提出していれば、変更した内容について届け出れば足ります。
工事申請書・作業届
スチールパーテーションなどの工事は音や振動が発生します。一般的に入居しているビルへの工事申請や作業届の提出が求められます。ビルによっては工程表や搬入届が必要になるケースもあるため、あらかじめ管理会社や貸主に確認しておきましょう。
書類作成や提出は業者が代行できる
オフィスのパーテーション施工にあたっては、多くの場合、書類や図面の準備と提出を業者に代行してもらうことができます。慣れない消防署とのやり取りや確認作業は、予想以上に時間と労力を消費します。 専門の業者に代行してもらえば、手間や労力を省くことができ、提出漏れも防げます。
移設コストを抑えるための設計テクニック
将来の移設を見越して、設計時にできるコストを抑えるコツを紹介します。
パネルサイズを揃える
スチールパーテーションの移設コストを抑えるには、パネルサイズの統一をおすすめします。横幅は90㎝・1m20㎝など標準規格と特注幅から選べ、統一しておくと再利用性が高まります。特に90㎝は片開きドアやガラスパネルの標準幅であり、施工や搬入がしやすいこともコストの抑制に寄与します。
目地までシート張りをしない
スチールパーテーションは内装デザインに合わせて表面に塩ビシートを張れます。木目やコーポレートカラーは印象を大きく変えてくれます。しかし、目地まで全て張ってしまうと補修や再利用が難しくなり、結果的に負担が増える要因となり得ます。 コスト優先なら移設を見越した張り方をしましょう。
施工トラブルと追加工事の防止策
スチールパーテーションの施工時に起こりがちなトラブルや追加工事の防止策を解説します。
電気工事との調整トラブル防止策
パーテーション施工では、現場で電気工事と調整を図らねばなりません。スチールパーテーションはパネルの内側に配線が通せるため、スイッチなどの取付け位置に穴を開けます。現場では、位置を打ち合わせてから開けないとトラブルになります。また、パネルの間に遮音・断熱材を充填した場合、後からの配線は難しいため先に通しておきましょう。
費用アップのトラブル防止策
パーテーション工事は見積りの後で費用がアップしてしまうことがあります。例えば、内装や電気等の工事を別発注すると作業待ちや手直しで費用が膨らみやすくなります。また、搬入経路や時間、休日・夜間変更も費用に影響します。複数工事を同時に行う場合は、ワンストップ業者を選ぶとコストを抑えられ、手配もスムーズです。
失敗事例から学ぶ、追加工事の防止策
著者が現場で聞いた、スチールパーテーション設置後の後悔・失敗事例から、追加費用を防ぐ対策を説明します。
ランマオープンでの後悔
初期費用を抑えるためにランマオープンを選んだものの、後からランマの取り付け・設備工事が必要になった事例がありました。Web会議や面談などに利用される部屋には防音性を求める声が多いため、用途をヒアリングしておくことが大切です。ランマはパネルを取り付ける他に、採光性に優れたガラスや、空調対策になる回転窓などが選べます。
» 欄間(ランマ)オープン・欄間(ランマ)クローズの違いとは?【メリット、デメリットを解説】
ドアに窓を付けずに失敗
室内が見えないように窓のないドアを設置したところ、出入りが多く衝突が起きたため、後日ガラス入りに変更した事例もあります。安全面からもオフィスのドアは窓付きがおすすめです。曇りガラスなら視認性とプライバシーの両立が可能です。
» オフィスドアの種類はこれで完璧!選ぶポイントや関連法令も解説
【設置後のメンテナンス】セルフケアとプロの対応
スチールパーテーションは設置後のメンテナンスも大切です。日常的にセルフケアできるものと業者に依頼すべきものを解説します。
セルフケアが可能なメンテナンス
汚れの拭き取り
パーテーションに付いた手垢やホコリ、軽い汚れは、中性洗剤を薄めた布で拭き取ることができます。また、消しゴムで軽くこすることも有効です。
キズのタッチアップ
パネルの軽いキズや剥がれの補修は、タッチアップ材やペンで修正が可能です。キズのある箇所だけをポイントで直す程度ならセルフケアで対応しましょう。
ネジの締め直し
ドアの建て付けや取っ手のネジが緩んだ時は、ドライバーで軽く締める程度であれば日常メンテナンスとして行って下さい。
業者に頼むべきメンテナンス
パネルの大きな凹みや穴
衝撃でパネルに凹みや穴ができた場合、パテ埋めやパネル交換が必要です。歪みやズレが生じている場合は交換になるため、専門業者に相談して下さい。
歪みや建て付けの悪化
ドアやパネルなどの歪みや建て付けが悪くなった場合は、パーテーションが転倒する恐れがあるため、業者に頼んで修繕してもらいましょう。
移設・増設・撤去
パーテーションの移設や撤去は、DIYでは怪我や破損の恐れがあります。特に重量のあるスチール製は必ず業者へ依頼してください。
高性能なスチールパーテーションで安全で快適なオフィスに
スチールパーテーションは遮音・不燃性に優れた高機能な間仕切りです。安全性と堅牢性を備え、内装制限のあるオフィスでも使用できます。移設・再利用で長期活用できるため、コスト削減にもつながります。また、買取・リユースが可能なため、環境配慮・ESG経営にも適しています。ぜひスチールパーテーションで快適なオフィスを実現して下さい。





















