内装工事において、間仕切り壁を作る際に欠かせない造作壁。LGS壁と呼ばれることもありますが、一体どのような壁なのでしょうか。本記事では、造作壁(LGS壁)についての説明や、パーテーションとの違いについて詳しく紹介します。また、当社で造作壁を施工した事例も紹介しますので、是非参考にしてください。
造作壁(LGS壁)とは
造作壁は、部屋の間仕切りを作る際に最も使用される壁です。金属性の下地(LGS)を使用する場合は、LGS壁と呼ばれることもあります。下地については、LGSだけでなく木軸で下地を作ることもあり、その上に石膏ボードを貼り付け、さらに表面に仕上げを施します。住宅やオフィスなど、室内の壁の多くは造作壁からできており、汎用性の高い間仕切です。
クロス仕上げ
最も一般的な仕上げはクロスです。壁紙とも呼ばれ、住宅の壁などで使われることが多く、普段から目にする機会も多いのではないでしょうか。クロスは様々なメーカー、品番があり、シンプルなものから凹凸のあるもの、模様の付いたものまで種類が豊富です。また、クロス仕上げの造作壁は、床との接点に巾木を施工します。巾木は、木製とビニル製、金属製の3種類あり、部屋の雰囲気に合わせて選択できます。
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ダイノックシート仕上げ
ダイノックシートとは高級な薄いシートを指し、壁に貼り付けて表面を仕上げます。施工方法はクロスと似ています。しかし、クロスと違い高級感のある材質が特徴で、木目調や石調、メタリックなデザインなどがあり、実際に木や石、金属パネルを貼り付けたようなデザインを演出できます。価格はクロスよりも高いですが、高級感のある空間を作りたい場合はおすすめです。
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塗装仕上げ
塗装はシンプルに色を付ける方法だけでなく、塗り方により様々な模様(凹凸)を付けることもできます。ローラーで塗る方法や、スプレーガンで吹き付ける方法、コテで塗る方法など、模様によって塗り方が変わります。クロスやダイノックシートでは表現できないような重厚感のある仕上がりを作ることができます。
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タイル仕上げ
タイルには大きさや模様など様々な種類があります。1枚1枚その場で貼り付け、目地をモルタルで埋めて施工します。マンションのエントランスなどで使用されることが多いですが、価格が高いため室内で使用するケースは少ないです。
エコカラット仕上げ
エコカラットとは、多孔質セラミック素材からできたタイルや石のような見た目の内装材です。デザイン性だけでなく、脱臭機能や調湿機能もあり、非常に優れた内装材です。住宅で使用されることが多いですが、オフィスのエントランスなどで使用されることもあります。
造作壁とパーテーションの違い
造作壁のほかに、部屋に間仕切を設置する方法としてパーテーションがあります。見た目の違いだけでなく、機能的な違いなどもあるため、部屋の用途に応じた使い分けが必要です。ここでは、パーテーションと造作壁のメリットデメリットや価格について紹介します。
造作壁のメリットとデメリット
造作壁のメリットとデメリットを3つずつ紹介します。
メリット1:施工の自由度が高い
造作壁は、LGSまたは木軸の下地を現地に合わせて加工し、その下地にボードを張って間仕切りを作ります。下地、ボード共に自由に加工ができるため、施工の自由度が高いという特徴があります。壁の中に収納スペースを作ったり、曲面の壁や天井を作ったりと、パーテーションでは再現できないレイアウトも実現することができます。
メリット2:機能性が高い
造作壁は、防火区画壁、遮音間仕切、断熱仕様など機能的な間仕切を作ることができます。下地と壁を、上階のコンクリート床まで伸ばし、規定のボードを張ることで防火区画壁や遮音性の高い間仕切を作ることができます。また、壁の中に断熱材を仕込む事で断熱性能を有する間仕切にもなります。用途に応じて、下地の組み方、ボードの張り方を変えることで様々な機能を持たせる事ができます。
メリット3:デザインが豊富
造作壁は、先ほど紹介したように様々な表面仕上げを選ぶことができます。オフィスの壁であればシンプルなクロスや塗装で仕上げることもできますし、オフィスのエントランス等はエコカラットやダイノックシートを張り、おしゃれな空間を演出することもできます。表面仕上げのデザインが豊富なため、設置場所に応じた仕上げを選定することができます。
デメリット1:工期がかかる
造作壁は、工期がかかるというデメリットがあります。下地+ボード張りの作業と表面仕上げの作業があり、それぞれ別の職人が施工するため、工期がかかるというデメリットがあります。特に、リフォームなど施工数量が少ない場合はパーテーションに比べて工期が長くなるケースがあります。
デメリット2:粉塵が出る
造作壁は、下地材(LGS又は木軸)と石膏ボードを現地に合わせてカットするため、粉塵がでます。特に、ボードをカットする際はかなりの粉が出るため、養生したとしても床が汚れてしまうことがあります。ただし、床の張替えも同時に行うなど間仕切以外の改修を行う場合は問題ありません。
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デメリット3:移設ができない
造作壁は現地に合わせて加工するため、パーテーションと異なり、移設ができません。造作壁は一度解体してしまうと材料の再利用ができないため、移設の場合は作り直しとなります。移設や引っ越しで間仕切り壁を再利用する場合はパーテーションを選定しましょう。
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パーテーションのメリットとデメリット
パーテーションのメリットとデメリットを3つずつ紹介します。
メリット1:工期が短い
パーテーションは、工場で製作した下地とパネルを現地で組み立てて施工するため、工期が短いというメリットがあります。細かな調整で下地やパネルをカットすることはありますが、基本的に工場にて現地に合わせた商品を製作するため、造作壁に比べて施工が早いです。工期が短いだけでなく粉塵などもほとんど無いため、業務への支障がほとんどなく工事を進めることができます。
メリット2:価格が安い
パーテーションの中でも、アルミパーテーションは特に価格が安いです。見た目がシンプルで、遮音性もほとんどありませんが、なるべく価格を抑えた間仕切を設置したいという場合にはアルミパーテーションを選定することをおすすめします。
メリット3:移設・レイアウト変更が可能
パーテーションは、移設やレイアウト変更による設置場所の変更が可能です。造作壁と異なり、材料を再利用することができるため、将来的に引っ越しやレイアウト変更の予定がある場合は、パーテーションがおすすめです。
デメリット1:デザインがシンプル
パーテーションのデメリットとして、デザインがシンプルなことが挙げられます。特に、アルミパーテーションとスチールパーテーションは、金属製のパネルがそのまま仕上げ面となるため、無機質な印象となります。デザインにこだわりたい場合は、ガラスパーテーションを仕様することで、解放感のある空間を演出できます。
デメリット2:遮音性が劣る
パーテーションは、造作壁に比べると遮音性に劣ります。特にアルミパーテーション、ガラスパーテーションは遮音性能が無いため、応接室などには向かないでしょう。パーテーションで遮音性を求める場合は、スチールパーテーションがおすすめです。パネル内部に、石膏ボードやグラスウールが仕込まれており、遮音性能を発揮することができます。
デメリット3:機能を求めると価格も上がる
パーテーションを設置する場合、アルミパーテーションを採用することで、価格を抑えて間仕切を設置することができます。しかし、遮音性、不燃性、デザイン性を追及すると価格は上がります。特に、遮音性や不燃性に適合したスチールパーテーションは価格も高くなるため、造作壁と比較した上で検討することをオススメします。
パーテーションと造作壁の価格
間仕切種別 | 価格 |
造作壁(クロス) | 6,200円/㎡~ |
造作壁(塗装) | 6,000円/㎡~ |
アルミパーテーション(W900) | 12,000円/枚~ |
スチールパーテーション(W900) | 22,500円/枚~ |
ガラスパーテーション(W900) | 14,080円/枚~ |
パーテーションと造作壁(クロスや塗装)を比較すると、パーテーションの方が価格が高くなる傾向にあります。しかし、中古アルミパーテーションであれば、1枚あたり7,400円~となるため造作壁より安く抑える事ができます。価格については、間仕切を設置する場所の条件にもよるため、詳細な価格については当社までお問合せ頂ければ、無料でお見積りをさせて頂きます。
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間仕切壁の選び方
間仕切壁を設置する選択肢として、造作壁とパーテーションがあります。ここでは、2つの間仕切壁をどのように使い分けるべきかを紹介します。
造作壁を選ぶ場合
施工面積が多い場合やデザインをこだわりたい場合は造作壁を選びましょう。オフィス全体の改修や新装工事など、施工面積の多い場合は造作壁の間仕切を設置する場合が多いです。クロスや塗装など一般的な仕上げの場合はパーテーションより価格を抑えることができます。また、豊富な仕上げのバリエーションから選ぶことができるというメリットもあります。
パーテーションを選ぶ場合
オフィス内の一部に間仕切を設置するといった小規模なリフォームや、今後移設や引っ越しの可能性のある場合はパーテーションを選定しましょう。小規模であれば、1日程度で施工が完了するため、業務への支障がほとんど出ません。また、パーテーションは移設・再利用することが可能なため、将来的に移設などする場合はトータルコストを抑えることができます。
造作壁の施工事例
当社にて造作壁を施工した事例を紹介します。
オフィス全体の改修
オフィス全体に、造作壁にて間仕切り壁を設置した事例です。造作壁表面はクロスにて仕上げました。
執務室の施工
オフィス内に、執務室と隣の部屋を仕切る壁を設置した事例です。表面は、木目調のクロスで仕上げました。造作壁であれば、遮音性とデザイン性を兼ね備えることもできる為、応接室などデザインにこだわりたい場所の施工に向いています。
造作壁の長所を生かしてパーテーションと使い分けよう
造作壁の特徴やパーテーションとの違いについて紹介しました。間仕切の設置を検討する場合は、本記事の内容を参考にしていただき、造作壁とパーテーションを上手く使い分けましょう。当社では、パーテーション工事、造作壁工事、共に施工実績が御座いますので、お気軽にお問合せください。