内装工事で使用される石膏ボードとは?特徴と貼り方について解説

天井や壁の下地として使用されている石膏ボードですが、多くの特徴や種類があることはご存じでしたか?自宅やオフィスなどで使用していても、普段はあまり目にしないため、気にしたことがない方も多いと思います。この記事では、内装工事で使用する石膏ボードの特徴や種類について解説していきます。

 

石膏ボードとは

内装工事で使用する石膏ボード

石膏ボードとは、硫酸カルシウムが主成分の芯材(石膏)を、ボード用の原紙で包んだ板状の資材のことです。一般住宅やオフィスなどの天井や壁などを作るときの下地材として、幅広い場面で使用されています。石膏の建築資材としての歴史は、紀元前7000年の古代エジプトで始まったと言われており、王の石棺(せっかん)に石膏が使われていたようです。日本で本格的に石膏が製造され始めたのは大正時代(1912年)で、当時はアルミ板の上に石膏を流し込み、天日干しを行い製造していました。ちなみにプラスターボードと呼ばれることもありますが、呼び方が違うだけで、石膏ボードと同じものだと考えて頂いて構いません。

 

【内装工事】石膏ボードの6つの特徴

石膏ボードには6つの特徴があります。それぞれについて、各見出しで言及していきます。

 

①低価格で施工できる

石膏ボードは、商品価格が安く、低価格で施工できるのが魅力的です。1枚¥500くらいで購入でき、そのほかの下地材料と比べても、低コストで導入できます。例えば、同じく下地材として使用されている、ベニヤ板を積み重ねて作られている木製の構造用合板(ごうはん)の価格は、¥2,000〜¥3,000くらいです。10枚購入した場合の価格差は¥5,000〜¥25,000で、石膏ボードと比べるとコストがかかってしまいます。

 

②耐火性・断熱性能に優れている

石膏ボードは、耐火・断熱性能に優れています。石膏には約21%の結晶水が含まれており、火災のような高温にさらされると、熱分解を起こし水蒸気が蒸発します。水蒸気が蒸発している間は、熱を抑える働きをするため、温度が一定以上あがりません。例えば、石膏ボード1枚には約3ℓの水分が含まれており、これを約30坪の住宅に換算して考えると、約800ℓの水分が含まれている計算になります。通常、火災が発生してから5〜10分で500℃に達するため、石膏ボードのように耐火性能に優れている材料を使用する必要があります。例えるなら、火災時に水を噴出するスプリンクラーが内蔵されているイメージです。

 

また、熱伝導率が比較的低い石膏ボードは、断熱性能にも優れています。冬は室内の暖かさを外に逃がさないため暖かさを保ち、夏は外の熱気の侵入を防ぐため、冷暖房の効率を高め、快適な温度で過ごしやすいのです。このように、石膏ボードは、耐火性と断熱性能に優れている材料なのです。

 

③遮音性に優れている

石膏ボードは遮音性に優れているため、住宅や集合住宅、オフィスや映画館など、遮音が必要な場所で活用されています。石膏ボードで施工すると、壁の内部に空間が生まれるため、音が外に漏れにくくなるのです。とくに、厚くて重い材料ほど、遮音性を発揮します。

 

例えば、オフィスの会議室で使用すれば、情報漏洩のリスクを軽減できるでしょう。また、吸音ボードのように遮音性の高い素材と組み合わせることで、より高い効果を見込めます。

 

オフィスでは、パーテーションと石膏ボードのどちらを使用すればいいか悩むケースもあると思います。防音性の高いパーテーションもありますので、ご相談いただければ、費用や使用方法などを加味した最善の方法をご提案可能です。

 

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④施工性に優れている

石膏ボードは、その他の下地材と比べて、施工性に優れています。切断や釘打ち、ビス留めや接着工法などを簡単に行えるのが特徴です。例えば、コンセントやスイッチを設置するさいに壁下地に穴をあける必要がありますが、石膏ボードだとカッターや引き廻し鋸などで簡単に開口できます。同じく壁下地で使用される構造用合板も引き廻し鋸で開口できるものの、引き廻し単体では差し込めないため、合板に穴を開けてから引き廻しで開口する必要があります。また、カッターでも開口できるとは思いますが、相当な時間と労力がかかるため現実的ではありません。ほかにも、湿度や温度の影響による寸法変化がほとんどないのも特徴です。

 

⑤横からの力に強い

横からの力に強い点も、石膏ボードを使用するメリットです。木造住宅では、柱や土台、梁(はり)などだけでは、地震や台風などで簡単に変形してしまいます。そのため筋交い(すじかい)、または石膏ボードを使用して耐力壁(たいりょくへき、たいりょくかべ)と呼ばれる、変形に強い壁を作る必要があるのです。その耐力壁として、国土交通省から認定されているのが石膏ボードです。その半面、点の衝撃には弱い特性があります。

 

⑥耐水性が低い

石膏ボードを使用するデメリットは、耐水性が低いことです。石膏と紙で作られているため、水分や湿気に弱いのです。一例を挙げると、水を使用するキッチンや洗面所などの使用には向きません。ほかにも、常に結露するような場所で使用していると、カビが発生するだけではなく、石膏ボードの破損や変形に繋がってしまいます。このように、基本的には水に弱い材料ですが、耐水性に優れている石膏ボードも販売されています。

 

石膏ボードの種類

石膏ボードには多くの種類のものがあり、それぞれに特徴があります。表にしてまとめましたので、次の表をご覧ください。

 

種類 特徴
石膏ボード ・価格が安い
・入手しやすい
強化石膏ボード ・耐火性能を強化
構造用石膏ボード ・側面抵抗を強化
シージング石膏ボード ・防水性、耐水性に優れている
化粧石膏ボード ・化粧加工されている
石膏ラスボード ・表面に孔が空いている
吸放湿石膏ボード ・吸放湿性能に優れている
不燃積層石膏ボード ・9.5㎜でも不燃材料として使用できる

 

各見出しで、それぞれについてより詳しく解説していきます。

 

①石膏ボード

安価で入手しやすいのが特徴で、主に、9.5、12.5、15.0㎜の3種類の厚みのものが販売されています。さきほども解説した通り、耐火性に優れている材料ですが、9.5㎜で準不燃材料、12㎜以上の厚みのもので不燃材料になります。これらの防火材料になる条件としては、次の3つが挙げられます。

 

  1. 燃焼しない
  2. 防火上、有害な損傷(変形・溶接・き裂など)を生じない
  3. 避難上、有害な煙やガスを発生しない

 

これら3つの条件を満たさなくなるまでの時間は、準不燃材料では加熱開始後10分、不燃材料では加熱開始後20分までとされています。ですから、耐火性能を求めて購入する場合は、石膏ボードの厚みも気にする必要があります。

 

②強化石膏ボード

より耐火基準を強化しているのが、強化石膏ボードです。石膏の芯材に無機繊維や無機骨材、ガラス網などを混ぜ、耐火性能を向上させています。主に、建築基準法で定められている耐火構造や準耐火構造、防火構造や木造耐火構造の材料として使用されています。ちなみに、木造耐火構造は断熱性にも優れているため、冷暖房の節約にも繋がります。防水性や防カビ性能に優れている、強化石膏ボードも販売されています。

 

③構造用石膏ボード

強化石膏ボードに、釘(くぎ)側面抵抗を強化したものが構造用石膏ボードです。側面抵抗とは、ボードを間柱(まばしら)や胴縁(どうぶち)に釘で打ち付けた状態で圧力がかかったときに、破壊されずに耐える力のことをいいます。つまり、耐震性能が高い下地材なのです。主に、木造(軸組工法、2×4)の耐力壁に使用され、A種とB種の2種類があるのが特徴です。A種では釘側面抵抗を3倍、B種では2倍に強化されています。

 

④シージング石膏ボード

石膏ボードの弱点である、防水や耐水に優れている点が特徴です。石膏ボードの表面にモルタルやセメント、特殊な耐水材などを塗ることで、耐水性を高めているのです。耐水性に優れているため、洗面所や台所などの水回り、外壁材の内側や屋根下地として使用されています。また、仕上げにタイルを張り付けるときの、下地材としても優秀です。ほかにも、湿気のある箇所でも活用できます。

 

⑤化粧石膏ボード

表面に化粧加工(印刷や塗装など)しているのが、化粧石膏ボードです。和洋の柄から選べ、壁やクローゼットの仕上げ材として使用されています。有名なのが、店舗やオフィスの天井でよく使用されているジプトーンです。通常の石膏ボードは、張り付けた後にパテ処理を行い、クロスや塗装などで仕上げる必要があります。しかし、ジプトーンは張り付けてしまえば完成するため、仕上げまでの工程を省略できます。また、施工後の取り外しも容易に行えるため、点検や改修工事、破損時の交換などを行いやすくなるのがメリットです。

 

⑥石膏ラスボード

石膏ラスボードは、石膏プラスター塗装の下地材として使用されています。ボードの表面に孔(あな)が空いており、施工性や耐火性などに優れているのが特徴です。

 

⑦吸放湿石膏ボード

吸放湿石膏ボードは、珪藻土の3倍以上の吸放湿性能があります。使用するだけで、室内湿度を40~70%に安定させ、カビやダニが発生しにくい環境にしてくれます。北海道の稚内地方で採掘される、自然素材の稚内層珪藻土(わっかないけいそうど)を使用しているため、夏場のじめじめ感を軽減してくれます。電気を必要とせず、半永久的に機能が持続するのが魅力的です。

 

⑧不燃積層石膏ボード

不燃積層石膏ボードは、表面に不燃性の紙を巻いており、建築基準法や消防法の内装制限などの不燃材料として使用されます。不燃積層石膏ボードの場合は、9.5㎜でも不燃材料として認められ、通常の石膏ボードよりも軽量化されている点が特徴的です。

 

石膏ボードの貼り方

石膏ボードは、木や軽量鉄骨下地などにビスを用いて固定します。鉄筋コンクリート造などでは、コンクリートに「だんご」と呼ばれる特殊なボンドを使って張る、直張り工法が採用されることもあります。ビスピッチなどの決まりがありますので、気になる方は以下で紹介する記事もご覧ください。

 

≫【ボード工事】内装仕上工事でのポイントや施工例を徹底解説

≫ 内装工事で行うボード張りのビスピッチには決まりがある【仕様書】

 

内装工事で使用される石膏ボードとは?特徴と貼り方について解説【まとめ】

この記事では、内装工事で使用される石膏ボードについて解説しました。石膏ボードは価格が安く、耐火性や断熱性などに優れている材料です。加工しやすい材料ですが、水に弱いのが欠点です。水回りや湿度の高い場所で使用する場合は、防水性のあるシージング石膏ボードを使用してください。

 

 

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