ファクトリーブースは、工場や倉庫を間仕切って作る個室です。施工型パーテーションが用いられ、天井が付いていることが特徴です。休憩室やサーバールームなどの用途に使われるほか、騒音対策や粉じん対策としても役立てられています。導入メリットや価格、消防法など注意すべき法令について解説します。
ファクトリーブースの基本情報
最初に特徴や違い、用途について紹介します。
ファクトリーブースとは
工場や倉庫のなかに設ける天井(屋根)付きの個室を指します。天井の高い場所でも、間仕切って新たな部屋を設けることが可能です。加工がしやすい施工型パーテーションを使うため、自在なレイアウトが組めます。また、後でレイアウトを変えたり、移設したりすることもできるフレキシブルさも魅力です。
他のパーテーションとの3つの違い
ファクトリーブースが他のパーテーションと異なっている3つのポイントを解説します。
天井(屋根)がある
ファクトリーブースには天井を付けることができます。天井には照明や空調設備を取り付けられるため、工場や倉庫内でもデスクワークやリフレッシュに適した部屋を設けられます。また、天井によって防じん性や防音性が高められるので様々な使い方ができます。
天井が高い場所でもOK
ファクトリーブースは天井が高い場所にも設置できます。一般的なハイパーテーションが設置できる場所は、天井の高さが3m程度までに限られます。
住宅やオフィスは、平均的な天井高が2m30~80㎝程度である一方、工場や倉庫の天井は3m以上が多く、建てられない場合があります。しかし、ファクトリーブースなら天井高に左右されずに設置可能です。
密閉性が高い
壁と天井に囲まれて密閉性が高まり、騒音が多くなりがちな工場内にも静かな場所が生まれます。また、ホコリから機器を保護することや、煙やニオイを漏らさないことにも役立ちます。
ファクトリーブースの使い方
主に次のような利用方法があります。
ファクトリーブースの導入メリット
ファクトリーブースを導入するメリットを7つ紹介します。
①作業環境の改善
ファクトリーブースの採用は作業環境の改善につながります。従業員の休憩室として使うと作業場の近くで効率良く休めます。例えば、木目調のパネルを用いると作業エリアとは違った落ち着いた雰囲気になり、気分転換がしやすくなります。
②安全性の向上
粉じんや臭気、有害物質などを分離して限定的に管理することで拡散を抑制し、従業員の健康と安全を保護します。また、温度や湿度を調整して快適な作業環境を提供し、夏の暑さによる熱中症対策や安全衛生対策にも役立ちます。
③作業効率UP
作業エリアを独立させて集中しやすい環境を整え、効率を高めます。必要な設備や工具をブースに集約することで動線もスムーズになります。また、ファクトリーブースはレイアウト変更に柔軟に対応できることも魅力です。
④品質管理の向上
ファクトリーブースで適切に仕切ることで、精密機器やデリケートな製品でも品質管理が可能になります。異物混入や振動、衝撃などのリスクから保護し、製品の品質維持に貢献します。
⑤セキュリティ性UP
ファクトリーブースで仕切ることで部外者の侵入を防ぎ、機密情報や重要設備の保護にも役立ちます。また、秘匿性の高い作業でも外部から見られずに行えるようになります。
⑥騒音対策
独立した空間を作ることで周囲からの騒音を抑え、音漏れも軽減します。またファクトリーブースをリフレッシュに利用する場合には静かな休憩スペースを確保できます。従業員は騒音から解放され、リラックスした休憩時間を過ごせます。
⑦コスト削減
ファクトリーブースは既存のスペースに比較的簡単に設置できるため、導入コストやスペースの無駄を削減できます。規格のパネルを利用するため、大がかりな改修工事や造作工事を行うより費用を抑えられます。
ファクトリーブースの価格はどれくらい?
| ファクトリーブースの価格の目安 | |||||
| *条件:10人程度利用・アルミパーテーション | |||||
| レイアウト | 面数 | 価格の目安 | パネル1スパンの価格 | ||
| 独立タイプ | 四方 | 約120万円~ | 一般的な新品の価格 | 25,000円~ | |
| 壁沿いタイプ | 三方 | 約100万円~ | オフィスボール・新品 | 12,000円~ | |
| コーナータイプ | 二方 | 約80万円~ | オフィスボール・中古 | 7,400円~ | |
| ライン上タイプ | 二~四方 | 約50万円~ | |||
主な4つのレイアウトパターン別に価格の目安を解説します。
独立タイプ
壁に接していない独立タイプは、「パーテーション四方向+天井」で構成されます。パネルの枚数が多くなるため、価格は高くなりやすいと言えます。費用を抑えるにはアルミパーテーションがおすすめです。また、遮音性や断熱性を優先したい場合にはスチールパーテーションを選ぶと良いでしょう。
壁沿いタイプ
壁沿いにファクトリーブースを設置する場合、「壁面+パーテーション三方向+天井」で構成されます。壁を利用できるため独立タイプより価格が抑えられます。
コーナータイプ
建物のコーナー部分にファクトリーブースを設置すると「壁面+パーテーション二方向+天井」で構成されます。例えば窓のある壁を利用すると、自然光を取り込んだり換気ができたりという利点があります。
製造ライン上タイプ
ライン管理や検品作業用として製造ライン上にも設置できます。ファクトリーブースは加工のしやすいパネルを使うため、ベルトコンベアなどを避けて建てられます。例えば、視認性の高いガラスや窓を組み合わせたり、不燃材を使ったりというケースが多いです。
ファクトリーブースは消防法や建築基準法に注意!
| 消防法と建築基準法の特徴と違い | ||
| 消防法 | 建築基準法 | |
| 特徴 | 建物を安全に使い続けるためのルール | 安全な建物を建てるためのルール |
| 対象 | 全ての建物 | |
| 目的 | 火災の予防・被害の最小化 | 建物の最低限の安全基準の確保 |
| 主な規制内容 | 消防設備、防火管理、危険物の取扱い | 構造、耐震性、避難規定、内装制限 |
| 規制の範囲 | 防火管理などソフト面も含む | ハード面のみ |
| 管轄 | 消防署 | 特定行政庁 |
| 適用時 | 建物の使用前、使用中 | 主に建物建築時、増築時 |
ファクトリーブースを新設する際は、法令を遵守して設置する必要があります。とくに消防法と建築基準法が大きく関わるので詳しく解説します。
消防法と建築基準法はどんな法律?
消防法と建築基準法は全ての建物に適用されるので、オフィスだけでなく工場や倉庫も対象です。2つの法令の特徴を一覧にしました。
消防法との関係
オフィスや工場、倉庫では、建物の用途や規模に応じて防火管理者の選任、消防設備の設置、工事に関する届け出が必要です。
防火管理者
一般的に、建物の収容人数が50人以上なら防火管理者を置かねばなりません。ただし、自社の従業員が50人未満でも選任が必要になるケースもあります。例えば著者が以前働いていたオフィスでは、自社は30人程度だったもののビル全体では50人を超えたため、テナント各社で選任が必要とされていました。
消防設備
消火設備や警報設備、排煙設備、避難設備などの設置が必要です。ファクトリーブースなどの密閉性の高い部屋を新たに設ける際には、消防設備を移設したり増設したりすることが求められます。
消防署への届け出
工事を行う際には地域の消防署に下記の2点の提出が必要です。
- 防火対象物工事等計画届出書:ファクトリーブース工事の開始7日前まで
- 防火対象物使用開始届出書:ファクトリーブースを使用開始する7日前まで
建築基準法との関係
建築基準法では、工場や倉庫は特殊建築物に分類されています。特殊建築物は防火や避難対策が特に重要な建物です。万が一火災が発生しても延焼や有害物質の発生を防ぐために、高さ1.2m以上の壁と天井に使える内装材が制限されます。
ファクトリーブースのオプション5選
最後にファクトリーブースに付けられる主なオプションを5つ解説します。
1.電気・照明
ファクトリーブースには天井があるので照明器具を取り付けられます。ブース内の壁にはコンセントやスイッチも設置できるので、例えば、パソコンでの事務作業を行ったり、電子レンジなどを置いて休憩所にしたりすることも可能です。また、スチールパーテーションならパネル間の空洞を利用して電気配線を通せます。見た目がすっきりとしてモダンな印象になります。
2.空調・換気設備
近年夏の暑さが一段と厳しくなり、工場や倉庫にも空調の効いた部屋が必須になっています。ファクトリーブースにはエアコンや換気設備を取り付けられるので、従業員を熱中症や感染症、有害物質などから守るために役立ちます。とくに断熱性の高いパネルを使うとブース内を一年中快適な室温に保てます。また、サーバーなどの重要な機器類を熱や湿気から保護してくれます。
3.ガラス・窓
内部が見やすいように、ファクトリーブースにガラスを取り付けるケースは多くあります。また、開閉できる窓を取り付ければ、換気にも役立ちます。しかし、工場や倉庫では荷物の運搬も多いため、全面がガラスのタイプは向いていません。下半分がパネル、上半分がガラスになっている腰上ガラスのスタイルなら、万が一台車などがぶつかっても割れないので安心です。
4.セキュリティ
ファクトリーブース内に重要な機器類を置いたり、秘匿性が高い作業を行ったりする場合にはセキュリティ対策が必要になります。出入口のドアに電子錠やスマートロックを取り付けることで、入退室管理ができます。また、ブース内には防犯カメラも取付けられます。侵入や不正のリスクに備えると同時に、設置自体が抑止力として働くことが期待できます。
5.防音・吸音
工場や倉庫は騒音対策も欠かせません。ファクトリーブースの防音性を高めるには、防音仕様のパネルや吸音材を使う方法があります。スチールパーテーションは中空構造のため、パネルの間に防音材を充填できます。
ファクトリーブースを導入して快適な環境を整えよう
ファクトリーブースは、工場や倉庫など天井が高い場所にも設置できる天井付きの個室です。休憩室や事務室、喫煙室、管理・検品ブースなど幅広い用途があり、騒音対策や粉じん対策として役立てられています。加工のしやすい施工型パーテーションが用いられ、独立した個室だけでなく生産ライン上などにも設置が可能です。従業員が健康で快適に働ける環境を整えるためにも、導入を検討してみてはいかがでしょうか。




















