小規模オフィスは名前の通り面積が小さめなため、活用できるスペースが限られています。そのため、レイアウトを決める際にはあらゆる要素を検討し、それぞれに対して工夫を施さなくてはなりません。本記事では、小規模オフィスにおけるレイアウト手順や、小規模ならではのレイアウトポイントを紹介していきます。
小規模オフィスとは?
小規模オフィスに明確な定義はありませんが、名前の通り面積が小さめの50坪未満のオフィスを指すのが一般的です。小規模ならではの主なメリットは以下の通り。
<小規模オフィスの主なメリット>
- コストを抑えやすい
- 統一感を持たせやすい
- レイアウトが変更しやすい
- コミュニケーションが取りやすい
従業員にとって働きやすい環境を整えるのは、オフィス規模に関わらず大切なことです。小規模オフィスの場合は家具の数もそれほど多くないため、従業員の声を取り入れつつレイアウトのカスタマイズがしやすいのが特徴と言えるでしょう。
小規模オフィスのレイアウト手順4Step
早速、小規模オフィスのレイアウト手順を紹介していきます。
Step1:課題を洗い出す
小規模オフィスのレイアウトは計画を詰める前に、まずは課題を洗い出しておきましょう。スペースが限られているからこそ課題になりやすい代表例は以下の通りです。
<小規模オフィスのレイアウト課題例>
- 圧迫感がある
- 通行しにくい
- 収納スペースが少ない
- 感染症が広がりやすい
- セキュリティ対策やプライバシー確保がしにくい
あらかじめ課題になりそうなことを念頭に置き、改善策を検討しながら、レイアウト計画を進めてください。
Step2:コンセプトを決める
次に、どのようなオフィスにしたいかコンセプトを決めましょう。オフィスで考えるべきは「かっこいい」「おしゃれ」などの単なる空間の雰囲気だけでなく、企業の理念や方針も加味しなければなりません。
Step3:ゾーニング計画を立てる
コンセプトが決まったらゾーニングを行いましょう。ゾーニングとは、オフィス空間を必要な機能や用途ごとに区分けをし、分けたエリアの配置を決める作業を指します。ゾーニングの手順は以下の通りです。
<ゾーニングの基本手順>
手順 | やること | 概要 |
1 | 必要なエリアを洗い出す | ■従業員数やオフィスの広さを考慮しながら、必要なエリアを決める 必要なエリア:執務室、会議室、応接室、リフレッシュスペースなど |
2 | 動線を検討する | ■エリア間をスムーズに行き来できる動線を考える |
3 | 大まかにく分ける | ■必要なエリアを大まかに図面に落とす ■各エリアの広さや配置を決める |
4 | 詳細に区分ける | ■オフィスの寸法を測り、図面を作成する |
ゾーニングを丁寧に行うと、レイアウトも決めやすくなり、従業員が働きやすい環境が作りやすくなります。
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Step4:レイアウトを決める
最後に、ゾーニング結果に沿って家具やインテリアなどのレイアウトを具体的に決めていきます。このとき、天井の高さなども考慮し、効率的な空間を作ることが大切です。エリアをより明確にするための仕切りの有無も一緒に検討していきましょう。レイアウトが決まったら、壁や床などのデザインや照明の種類や数などを決め、内装を詰めていきます。内装のデザインまで固まったら施工スタートです。
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小規模のオフィスレイアウトならではのポイント7つ
ここでは、小規模オフィスならではのレイアウトポイントを紹介していきます。
ポイント1:収納スペースを確保する
まずは、収納スペースの確保。スペースには限りがあるため、収納力不足は小規模オフィスにおいて課題になりやすい事項の一つです。そこで、スペースを確保するための工夫を考えてみましょう。
例えば、収納と仕切りを兼用するなど、収納に他の役割を担わせるのが有効です。そもそも、小規模オフィスでは広く収納スペースが確保しにくいため、保管すべきデータはペーパーレス化を進めて物理的な量を減らすのが得策です。
ポイント2:反響対策をする
レイアウトの検討の際には反響対策も行ってください。小規模オフィスは部屋が広くないため、壁や天井が近く、その分音が反響しやすい特徴があります。反響を減らすためには、吸音材となる素材を取り入れるのが効果的です。
<吸音効果のある素材例>
- カーペット
- 吸音カーテン
- 壁や床の吸音材
- 布張りのパーテーション
著者の経験上、特に気になるのが足音で、革靴やヒールはフローリングだとかなり音が響きます。しかも、硬い床は脚が疲れやすく、雨の日は滑りやすいため危険です。疲れにくい安全な環境づくりの一環としても床はカーペットがおすすめです。
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ポイント3:大きな仕切りを減らす
小規模オフィスでは、大きな仕切りはできるだけ減らしましょう。狭いスペースに大きなパーテーションをいくつも設置すると、圧迫感を与えかねません。会議室など防音対策が必要な場合は、施工型パーテーションなど大きい仕切りが必要です。しかし、着座したときに視線を遮る程度であれば、コンパクトな仕切りでも役割を果たせます。仕切りの高さ目安は以下の通り。
<仕切りの高さの目安>
仕切りの高さ(床からの高さ) | 高さの目安 |
180cm | ■立ち上がっても目線が隠れる |
150cm | ■着座状態で視線が隠れる |
120cm | ■着座状態で視線を落とすと周りの視線が気になりにくい ■着座して視線を上げると周りを見渡しやすい |
仕切りは床からの高さを検討すれば良いため、必ずしも床置きでなくても構いません。デスクに置くなら「デスクの高さ+仕切りの高さ」で計算をしてみましょう。目的に応じた適切な高さを選び、圧迫感の少ないオフィスに仕上げてください。
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ポイント4:通路幅を確保する
オフィスの通路幅は快適性と安全性に関係するため、小規模オフィスであっても十分なスペースの確保が必要です。適切な通路幅はデスクレイアウトによって多少異なりますが、以下の幅を目安にしてください。
<通路幅の目安>
1人が通行する場合:600mm
すれ違う場合:1,200mm
日本オフィス家具協会(JOIFA)は災害時の避難経路幅を1.2m以上と推奨しているため、オフィス規模に関わらず通路幅の基準は1.2mと覚えておくと良いでしょう。
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ポイント5:セキュリティ対策をする
セキュリティ対策も考慮してレイアウトを考えましょう。部屋として区切らなくてもオフィスである以上、機密情報を保管するサーバールームや保管庫の役割を担うスペースが必要であったり、業務で社外秘データを扱ったりします。
ポイント6:プライバシーへの配慮をする
プライバシーへの配慮も忘れずにレイアウト検討をしてください。小規模オフィスは圧迫感を出さないために、オープンなレイアウトが選択されやすいです。オープンなレイアウトはコミュニケーションが取りやすいなどの利点が多いですが、プライバシーが確保しにくい欠点もあります。
そのため、手元が隠れる程度のデスクトップパネルを導入したり、視線が合わないデスクレイアウトを検討したりしてみましょう。また、各スペースとの距離が近いため、トイレや会議室の音漏れ対策もプライバシー確保のうえで重要です。
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ポイント7:感染対策をする
従業員同士の物理的距離が近くなりやすい小規模オフィスだからこそ、感染対策も大切です。対策を講じないと従業員全員が感染症に罹るという事態になりかねません。すると、当然業務に支障をきたしますし、会社への信頼性が下がる要因にもなります。感染症の感染経路は大きく「接触感染」と「飛沫感染」に分けられ、対策には以下のような方法があります。
<感染経路と対策例>
感染経路 | 感染理由 | 対策例 |
接触感染 | ■感染者に直接接触して感染に至る ■菌が付いたドアノブやデスクなどを触り、それが口や鼻などに触れて感染に至る |
■こまめな手洗い・うがい ■会議室やトイレなどの共有スペースの定期的な清掃・消毒 |
飛沫感染 | ■感染者の咳やくしゃみなどで飛び散った飛沫を口や鼻から吸い込むことで感染に至る | ■マスクの着用 ■パーテーションの活用 |
小規模オフィスにおすすめなレイアウト事例
小規模オフィスはいかにスペースを有効活用するかが大切です。スペースを区切る場合は圧迫感を減らす工夫が大切ですし、音への配慮も必要です。ここでは当社の施工実績から、圧迫感を出さず、防音を兼ね備えた施工型パーテーションの事例を紹介します。小規模オフィスで施工型パーテーションを活用するなら、ガラスパネルがおすすめです。
<ガラスパーティションの施工事例>
ガラスで仕切れば空間が狭くなりにくく、明るく開放的なデザインに仕上げられます。施工事例を見て分かる通り、ガラスは何色とも相性が良いため、コンセプトを崩さず取り入れられます。
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小規模オフィスはレイアウトにこだわろう!
小規模オフィスのレイアウト手順や、小規模オフィスならではのレイアウトポイントを紹介しました。限りあるスペースを有効活用するためには、コンセプト決めやゾーニングが欠かせません。加えて、小規模ならではの課題を改善できる工夫もしていきましょう。当社はオフィスデザインのご相談も承っておりますため、課題の洗い出しやコンセプト決めの段階からお気軽にご相談ください。