内装・外装工事の違いについてご存じでしょうか。工事関係者でない限り、工事の区分について考えたことがない方のほうが多いはずです。そこで、この記事では、内装・外装工事の違いについて解説していきます。ほかにも、建築・土木工事についても解説しているので、ぜひご覧ください。
内装工事と外装工事の違い
内装工事と外装工事の違いは、次の表の通りです。
工事名 | 内容 |
内装工事 | 建物内部の工事 |
外装工事 | 建物外部の工事 |
どちらも見た目の美しさに関わり、耐火性や耐水性などの機能を向上させるために欠かせない工事です。
室内を仕上げる内装工事
内装工事は、躯体(くたい)が完成した建物内部の床や壁などの仕上げ、設備の取り付けなどを行うものです。利用目的に合わせた内装にすることで、快適に過ごせる空間を作れます。具体例を挙げると、主に床や壁、天井などを、LGSや石膏ボード、クロスなどを用いて施工します。そのほかにも、ガスや水道などの配管の敷設や設備の取り付けなどをして、ガスや水道などを使用できる状態にする工事も当てはまります。
建物の外部を仕上げる外装工事とは
外装工事とは、建物の外から見える屋根や外壁などの工事を行うことです。屋根や外壁は、雨や風などから建物内部を守ってくれますが、雨風や紫外線を浴び続けることで劣化してしまうため、定期的なメンテナンスが必要です。例えば、外壁の塗装を行えば、外壁の劣化による雨漏れを防ぎ、建物を長持ちさせることができます。しかし、どんなに耐久性の高い塗料を使用していても時間がたてば必ず劣化してしまうため、新しい塗料を上塗りしてコーティングする必要があるのです。
工事の種類はほかにもある(建築・土木工事)
内装・外装工事だけではなく、建築・土木工事と呼ばれているものも存在しています。はっきりと区切られている訳ではありませんが、次の表に違いをまとめているのでご覧ください。
工事名 | 内容 |
建築工事 | 建物を作る工事 |
土木工事 | 橋やダムなどを作る工事 |
建築物を建設する建築工事
建築工事とは、建築物を建設するために行われる工事のことです。建築基準法には、建築物の定義を次のように言及しています。
一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)
十三 建築 建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。参考:e-Gov法令検索
つまり、住宅やビル、工場や倉庫などを作る工事が建築工事といえます。建築工事を進めるうえで、さきほど解説した内装・外装工事が必要になる形です。近い言葉に、建設工事と呼ばれるものがありますが、言葉の意味は異なります。建設工事という言葉には法律上の定義はありませんが、建築工事に含まれるマンションや住宅など以外にも、橋や道路などを作るという意味も含まれています。
建築にあたらない工事
土木工事とは、建築にあたらない工事のことです。例えば、橋や空港、ダムやトンネルなどを作るのが土木工事といわれています。トンネルでいうと、土を掘り進めながら吹き付けコンクリートや鉄枠などで全体を支える山岳工法、一度トンネルを造ってから埋め戻す開削工法などの技術を用いて工事を進めるのです。ほかにも、造園や舗装などの外構工事も土木工事に含まれます。
内装工事と外装工事の内容
ここからは、内装・外装工事の具体的な内容について解説します。どのような工事をするのか把握していると、工事を依頼するときにスムーズです。
内装工事の内容
内装工事は、主に次のような工事を行い進めていきます。
- 床
- 下地
- 壁・天井
- 壁・天井仕上げ
- 建具
- 電気
それぞれについて詳しく解説していきます。
①フローリングなどを貼る床
床に仕上げ材を貼ることで、生活できるようにする工事です。木造住宅では、床の上にフローリングを貼るのが一般的ですが、コンクリート造の店舗やオフィスではフローリングを貼るのは一般的ではありません。例を挙げると、コテやローラーなどで樹脂を塗り上げる塗床(ぬりゆか)は、スラブ(鉄筋コンクリートで作られている床など)で用いられます。つまり、床をコンクリートむき出しの状態のまま使用するときに活用する方法です。
ほかにも、オフィスのように卓上に配線が必要になるケースでは、スラブ上にOAフロアを敷き詰め、各デスクに電気・通信線などを配線する場合もあります。このとき、支柱タイプのOAフロアを選べば、がたつきのある床でもレベル調整できるので便利です。
②壁や天井の下地になるLGS
空間を仕切るための天井や壁などを作るために、下地になるLGSを施工します。LGSとはLight Gauge Steelの略称で、オフィス・店舗などの内装工事の現場でよく使用されている薄い鉄製の材料です。LGSで施工することで、木下地に比べてスピーディーに施工できます。もちろん加工は必要ですが、基本的には既に出来上がっているスタッドやランナーなどを組み立てれば完成します。また、耐火性に優れているため防火基準を満たせるのも特徴です。
≫ LGSとは?軽天工事・軽鉄工事について施工のプロが解説!
③天井や壁になるボード
LGSで組まれた天井や壁の下地に石膏ボードを貼れば、完成に近づきます。LGSに石膏ボードを合わせて、組まれている下地にめがけてビス留めする形です。石膏ボードは、低価格で施工できるだけではなく、耐火性・断熱性・遮音性に優れているというメリットがあります。石膏ボードの種類によって機能性も異なりますので、詳しく知りたい方は次の記事もご覧ください。
≫ 内装工事で使用される石膏ボードとは?特徴と貼り方について解説
④天井や壁に貼るクロス
石膏ボードの上にクロスを貼ることで、内装の雰囲気を変えられます。低コストで雰囲気を変えられるだけではなく、防カビや消臭効果などの機能性の高い商品が販売されています。例を挙げると、大量生産されているビニールクロスで施工すれば、低コストでクロス工事が可能です。さきほど紹介したように、豊富な種類のクロスが販売されているので、求めている機能やデザインで商品を選ぶといいでしょう。次の記事で、クロスの種類と機能について解説しているので、気になる方はご覧ください。
⑤扉や窓などの建具
建具とは、戸や障子、窓やふすま(ふすま)などの総称のことです。これらの建具の制作や取り付け、調整などを行うのが建具工事です。大きく2種類に分類でき、木質系の建具を木製建具、金属系を金属製建具といいます。室内の扉のほとんどが木質系で施工され、玄関のドアや窓のサッシは金属系で施工されることが多いのです。
⑥照明やコンセントなどを使用できるようにする電気
電気工事では、電気ケーブルの配線や照明やコンセントなどの取り付けなどを行います。照明やコンセントなども欠かせないものですが、導入する設備によって電気工事の範囲も異なります。例えば、オフィスではプリンターやパソコンの電源を確保するために、OAフロアや天井内などに電気配線を施し、OAタップを設置します。このときに分電盤から電気配線を行う接続する必要がありますが、これも電気工事の仕事のひとつです。ほかにも、照明をオン・オフするスイッチ、空調を動かすための電源など、電気で動くものには電気工事が欠かせません。
≫ 電気工事の費用相場と快適なオフィス空間に魅せるポイント!
外装工事の内容
外装工事では、主に次の2つの工事を行います。
- 外壁
- 屋根
それぞれ、詳しく解説していきます。
①建物の外観の印象を左右する外壁
外壁工事では、さまざまな種類のものが使用されており、建物によっても使用する材料が異なります。ビルの外壁では、コンクリートの約4分の1の重さのACLパネルが多く使用されています。コンクリートの約10倍の断熱性があり、耐久性に優れている点が特徴です。ほかにも、取り外し可能な壁を取り付けるカーテンウォール工法を用いて、全面ガラス張りにすることもあります。
②建物内部を雨風から守る屋根
屋根工事を行うことで、建物内部への雨風の侵入を防いでくれます。室内に雨が侵入してしまうと水浸しになってしまい、カビの発生や建物の劣化が起きてしまうため、重要な工事です。日本で使われている屋根材には、低価格で施工できるスレート屋根、耐久性や耐震性に優れているガルバリウム鋼板などがあります。
まとめ
この記事では、内装・外装工事の違いについて解説しました。内装工事は建物内部、外装工事は建物外部の工事を行うものです。また、工事にはほかにも種類があり、建築・土木工事などもあります。工事を依頼する前に知識として頭に入れておくと、どこの業者に依頼すればいいか明確になります。