昨今、テレワーク・フレックスタイムのような新しい働き方が増えている中で「出社したくなるオフィス」を作る重要性が高まっています。本記事では、メリットや導入手順、実際の方法などを交えて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
出社したくなるオフィスとは?
出社したくなるオフィスとは、心理的な負担がなく業務を行うことができ、仕事がしやすい空間のことを指します。ここでは、実際にどのような場所を指すのかを紹介します。
個々の状況に応じて座席を選べる
個々の状況に応じて座席を選べる仕組みを作ることで働きやすい職場環境になります。一人で集中したい日や、チームと話し合いながら仕事を進めたい日など様々な状況に対応できるように、集中して業務に取り組めたり、他のメンバーと会話がしやすかったりといったバリエーション豊富な座席を配置すると良いでしょう。
おしゃれで清潔感がある
おしゃれな内装デザインや清潔感のある空間は、働く意欲を高められます。シンプルで統一感のある色使いや、企業のイメージカラーを取り入れた内装、観葉植物の設置などにより、視覚的な快適さだけでなく心理的にも安心感を与えることが可能になります。
コミュニケーションが取れる場所がある
雑談や立ち話ができる空間を作ることで、仕事以外のつながりを生み出し、チームの結束力を高めることができます。固定席中心の職場では、部署間の会話が限定されがちですが、オープンな打ち合わせスペースや共有ラウンジを設けることで、偶発的な会話が生まれるきっかけにもなります。結果として、組織の結束力アップにもつながるでしょう。
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魅力的な仕掛けを作る
魅力的な仕掛けをつくることも重要です。筆者が、他社の事例で魅力的だと感じたのは、サウナやジムなどを併設するオフィスです。仕事中だけでなく仕事後も楽しめるような仕掛けを作ることで、会社にいたいと思えるのではないかと感じます。
出社したくなるオフィスを作るメリット
働く環境を整えることは、社員のモチベーションを高めるだけでなく、組織力や採用力にも大きく影響します。ここでは出社したくなるオフィスを作るメリットを紹介します。
メリット1:社員のモチベーションアップ
快適な環境が整った空間では、社員が業務へ取り組む意欲を高めることができます。「オフィス=仕事をする場所」といった固定概念を撤廃し、メリハリのある時間を過ごせる空間を作ることで仕事への意欲を引き出すことができます。心理的な負担の少ない環境を作ることで、業務効率の向上にもつながります。
メリット2:組織の結束力が高まる
出社したくなる空間を作ることで、組織の結束力が高まることが期待できます。出社することで生まれる「たわいもない会話」や「コミュニケーション」は、組織にとって欠かせない要素の一つです。共通の空間で顔を合わせることで、チーム内の連携がスムーズになり、ちょっとした相談やアイデアの共有も行いやすくなります。
メリット3:採用時のアピールができる
昨今、企業選びの基準として「働く環境」を重視する求職者は少なくありません。おしゃれで快適な空間は、「ここで働いてみたい」と感じさせる重要なポイントになります。採用サイトやSNSで内装や働く風景を発信することで、企業イメージの向上や応募率アップにもつながるでしょう。
出社したくなるオフィスの作り方
出社したくなるような魅力的な空間を作るためには、単に設備を整えるだけでは不十分です。社員の声を反映しながら段階的に検討・設計・実施を進めていくことで、初めて本当に働きやすい空間が生まれます。ここでは、具体的な8つの手順を紹介します。
手順1:目的を明確化する
出社したくなる環境づくりを始める前に、「なぜ作るのか」という目的を明確にすることが重要です。例えば、社員の定着率を上げることや、採用を増やしたいなど、企業ごとに異なる課題があるはずです。出社したくなるような魅力的な場所を作った結果、どのような未来を求めるのかを明確にしておきましょう。
手順2:社員からヒアリングする
次に、実際に働く社員からヒアリングを行います。要望や現状の不満点などを把握するためにも、アンケートやヒアリングを通じてリアルな声を集めることが重要です。「どんな空間が欲しいか」「今不便に感じている点は何か」などを聞き取ることで、具体的な改善ポイントを洗い出しましょう。
<ポイント>
リフォームして綺麗にしたり、おしゃれな休憩スペースを作ったりして見かけ上「綺麗な空間」を作るだけでは意味がありません。実際に働く社員が、本当に働きたくなるような空間を作り上げることが重要です。
- 昼休みに寝転がれる畳スペースがほしい
- 土足じゃなくて靴を脱いでリラックスして仕事がしたい
- イヤホンをつけて仕事がしたい
すべて叶えることは難しいとは思いますが、社員の生の意見を聞いて理想の形に近づけられるようなオフィスを作りましょう。
手順3:構想を練る
ヒアリング内容をもとに、理想とする空間の構想を練ります。どのようなエリアを設けるか、固定席を撤廃する or 残すなど、コンセプトを固めていきましょう。この段階では、具体的なレイアウトを検討するよりも出社したくなる空間をイメージして様々な案を出すことが大切です。
手順4:図面に落とし込む
手順3で検討した構想をもとに、実際の図面に落とし込みます。現状の面積の中に納まるような設計を行い、通路の幅や家具の配置、各エリアの導線など、実際の使い勝手を意識した設計を行います。集中スペース・ミーティングスペース・休憩スペースといった新たに作るスペースの広さなども考慮しながら具体的な図面を作りましょう。
<ポイント>
図面に落とし込む際はやみくもに検討するのではなく、ゾーニングを行ってから詳細な設計を行うといった手順がおすすめです。この方法は、オフィス内装工事を専門に行う当社も実際に行っており、手戻りが無く実態に基づいた設計が行えます。
≫ オフィスレイアウトにおけるゾーニングとは?考え方や事例を紹介
ゾーニングは、ざっくりとしたエリア分けを行います。その後、オフィスの縮尺図を用いて実寸に基づいたレイアウトの検討を進めると良いでしょう。
手順5:費用の算出
理想のレイアウトが固まったら、それを実現するために必要な費用を算出します。什器や内装工事、通信設備の整備など、項目ごとに費用を出していくと良いでしょう。そうすることで、予算に合わせて取捨選択することができます。コストと効果のバランスを見ながら、現実的な範囲で計画を立てていくことが重要です。
≫【事例有】オフィスレイアウト変更の手順は?費用と効果も解説
<ポイント>
工事などを伴う場合は、工事業者によって費用が大きく異なる場合もあります。必ず相見積もりを徴収し、適正価格にて工事が行えるようにしましょう。また、各社条件が異なる場合もあるため、具体的な仕様などが確定した段階で、条件をそろえて再度相見積もりを徴収することをおすすめします。
手順6:社内で協議
具体的な費用や内容が固まったら、社内の関係者と協議を行い、必要に応じて修正を加えましょう。経営層や総務部門だけでなく、実際に働く社員も交えてさまざまな立場からの意見を聞くことが重要です。運用前に社内全体で協議することで、導入後の運用もスムーズに進められるようになります。
手順7:計画の実施
社内での調整が終わり、計画が完成した段階で計画を実施します。必要に応じて工事業者との調整や什器の手配、スケジュールの調整など、業務に支障がないように進行させることがポイントです。また、工事などにより業務上支障が出てしまう場合は、社外への周知も行いましょう。
手順8:見直し・改善
導入して終わりではなく、実際に運用した上で適宜見直しや改善を行うことが重要です。定期的にアンケートやフィードバックを行い、必要に応じてレイアウトやルールを見直していきましょう。
出社したくなるオフィスを作る方法
事例 | コスト | 効果 |
集中スペース | △ | ◎ |
フリーアドレス | ◎ | ◎ |
ファミレス席 | 〇 | 〇 |
休憩エリア | 〇 | 〇 |
什器の入れ替え | △ | 〇 |
デスクレイアウト変更 | ◎ | 〇 |
その1:集中スペースの整備
業務の中でも特に集中が必要な作業を行うために、可動間仕切りで囲まれた半個室や防音ブースを設けることでより集中して業務を行うことができます。オフィスでは他の社員も業務を行っているため、視界や音を遮ることで静かな空間で業務に専念することが可能です。
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設置する際は、コストやある程度の面積が必要なため予算と効果の兼ね合いを検証する必要があります。
<ポイント>
集中スペースを作る方法は、様々な方法があります。簡易的にローパーテーションで半個室を作る方法や、造作壁や可動間仕切りで完全個室を作る方法まで、状況に応じて選定できます。当社では、オフィスの内装工事を専門で行っているため、お気軽にご相談ください。
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その2:フリーアドレス化
従来の固定席を廃止し、好きな場所で働けるフリーアドレス制を導入することも効果的です。日によって働く場所を変えることができるため、出社のモチベーションが向上しやすくなります。また、固定席よりも省スペース化できるため、スペースの有効活用にもつながります。
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その3:ファミレス席の設置
ファミレス席を導入することで、気軽にミーティングや雑談でき、働きやすい環境をつくることができます。気軽な打合せから休憩用としても使用できるため、社員同士のコミュニケーションも活性化され、組織としても一体感が生まれやすくなります。
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その4:休憩エリアの増設
しっかりと休憩が取れるスペースを確保することで、業務のメリハリがつき、結果的に生産性の向上にもつながります。リクライニングチェアや仮眠スペース、自販機を備えたラウンジなどを設けている企業もあるため、面積に余裕があれば採用すると良いでしょう。
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その5:什器の入れ替え
古くなった什器を最新のデザインに一新することで、オフィス全体の印象が大きく変わります。見た目だけでなく、昇降デスクなど機能的な什器を導入することで、快適性が向上し、働く意欲を高めることができます。すべての什器を入れ替えると予算が高くなるため、段階的に導入すると良いでしょう。
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その6:デスクレイアウトの変更
コストをかけずに環境を変えるためにはデスクレイアウトの変更も有効です。例えば、対向型からクロス型(卍型)レイアウトやクラスターレイアウトなどに変更することで、コミュニケーションが取りやすくなったり、業務効率が改善されたりといった効果が期待できます。
≫ クロス型(卍型)レイアウトとは?メリットデメリットや注意点を解説
業務内容やチーム構成に応じて最適なレイアウトを選択すると良いでしょう。
職場環境を改善して出社したくなるオフィスを作りましょう
本記事では、「出社したくなるオフィス」について導入手順や具体的な事例を紹介しました。オフィス環境をすべて改善するためには多くのコストが発生するため、期待できる効果と照らし合わせながら自社に合った方法を取り入れると良いでしょう。
当社では、オフィス内装に特化して様々な工事を行っております。出社したくなるような魅力的なオフィスを作りたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。