オフィス照明を選ぶとき「種類が多くて選べない..」「オフィスに合っている照明はどれ?」などの疑問を感じませんか。各メーカーから豊富な種類の照明が販売されているので、決めかねてしまう気持ちもよくわかります。この記事ではオフィス照明の選び方・注意点などについて、詳しくまとめました。オフィスの雰囲気を変える照明選びの参考にしてください。
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オフィス照明の選び方
次で紹介している4つの基準をもとにすると、理想的な照明を選べます。
- 電球の種類
- 電球の色
- 照明器具
- 光の広がり方
照明の選び方をもとに、快適なスペースを作っていきましょう。
①電球の種類
「白熱電球」「蛍光灯」「LED」の3種類の電球があります。白熱電球は、柔らかい印象のある電球。落ち着きのあるスペースを作り出してくれるので、社員がリラックスする空間に取り入れたいモノです。オフィスによく使用されている蛍光灯は、明るい空間を作りだします。約5,000時間使用でき、白熱電球よりもエネルギーを効率よく使えます。LEDは他の照明に比べて、よりエネルギー効率がよく、約40,000時間と長い間利用可能。CO2の排出を抑えているエコ商品で、スイッチを入れたらすぐに点灯する反応性の高さも魅力的です。LED本体の価格は下落傾向にあり、新規工事を行うときにはLEDを導入する方が増えています。それぞれに特徴がありますが、基本的にはLEDをおすすめします。
②電球の色
電球の色には、「電球色」「昼白色」「昼光色」の3つの種類があります。オレンジ色の光を放つ電球色は、奥行きのある空間を演出可能。リラックス効果があり、就寝前に光を浴びても目が覚めにくいため、住宅ではリビング・寝室などにも使用されています。昼白色は、太陽の明るさに近い自然な色の電球。蛍光灯・LEDで使用されており、目に優しい明るさだといわれています。昼光色は1番明るい、青白い光を放つ電球です。周囲を明るく照らしてくれるため細かい文字が見やすく、集中力が高まるといわれていますが、明るすぎると感じる人もいます。そのほかにも光の色を変えられる調色機能・明るさを変えられる調光機能を備えたものもありますが、その分、初期投資にかかる費用も割高になるのが一般的です。また極端に低価格な照明のなかには、電源接続部が通常の照明と違うものがあるので注意が必要です。
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③照明器具のタイプ
照明器具のタイプはさまざまで、空間・用途によって使い分ける必要があります。シーリングライトは天井に設置する、広範囲を照らせる照明です。なかにはスピーカーを搭載したモノや和紙を張っているタイプなどもあります。シャンデリアは天井から吊り下げる、華やかな雰囲気が漂う照明。スワロフスキーがついている、高価なシャンデリアも販売されています。スポットライトは光を当てる角度を調整できるため、絵・オブジェ・会社のロゴなどに当てて、存在感を際立たせることが可能です。コード・チェーンなどを用いて天井から吊るすペンダントライトを使用すれば、執務室・会議室のデザイン性を高められます。
住宅では、ダイニングで使用する方が増えています。天井に埋め込んで使用するダウンライトは、落ち着きある空間を作り出せる照明です。ブラケットライトは壁に設置し、特定のモノを照らしたり空間のアクセントとして設置したりできます。ウォールウォッシャーで壁を照らせば、空間を広くみせられます。お洒落な空間を演出できるので、印象付けたい空間に設置するといいでしょう。机・床などに置いて使用するスタンドライトは、コンセントに挿して使用するタイプの照明。読書・仕事などを効率良くする、補助照明として使えます。
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④光の広がり方
電球によって光の広がり方が異なるので、購入前に確認するといいでしょう。白熱電球・蛍光灯は全方向に明かりが広がる照明です。LEDは下方向に光るモノが多くありますが、全体を照らせるモノも販売されています。また照明・設置場所によっても光の広がり方は変わります。例えばダウンライトは下(床)方向を照らし、スポットライトは上(天井)・下・横(壁)方向など照らす方向を変えられます。ライティングレールを天井につけた場合、基本的には下・横を照らすスポットライトとして使用するのが一般的。しかし壁面にライティングレールを設置し、天井を照らす手法も存在しています。設置場所によって光の方向が変わるので、照明の位置にも気を遣いたいところです。
オフィス照明にこだわる3つのメリット
オフィス照明にこだわると、3つのメリットがあります。
- コストカットできる
- おしゃれな空間を演出できる
- 生産性アップ・ストレス軽減
従業員が快適に働ける環境を作れば、仕事の成果にも繋がるでしょう。
①コストカットできる
使用エネルギーの少ない電球を選ぶと、電気料金を削減できます。白熱電球・蛍光灯・LEDのなかで1番電気料金が安いのがLED。約40,000時間使用でき、使用エネルギーがほかの電球より少ないのが特徴です。その次にコストカットに繋がるのが蛍光灯、白熱電球と続きます。反対にLED、蛍光灯、白熱電球の順に導入コストが高くなります。しかし最近では、LEDの導入コストは下落しています。ほかにもトイレ・給湯室などには、人が近くにいるときに光る人感センサーを設置すると、無駄な電気の使用を避けられます。オン・オフを自動でしてくれるので、照明を消し忘れる心配がありません。電球・蛍光灯を部分的に外して使う間引き点灯もコストカットに繋がる可能性がありますが、事故に繋がったり電気料金が変わらなかったりする場合もあるので、メーカー・工事業者に確認してから施工するといいでしょう。
②おしゃれな空間を演出できる
照明にこだわると、おしゃれな空間を演出可能です。例えば、スポットライトを活用してカフェのような空間にしたりシャンデリアを設置して高級感のある空間にするなど、部屋の雰囲気を変えられます。しかし、おしゃれな空間にこだわるあまり、作業効率の悪い空間にしてしまっては本末転倒。会社が利益をだすためには、働きやすい空間を作り出すことも重要です。明るすぎる照明を導入したことが原因で、目の負担が強くなり従業員の眼精疲労・視力低下などに繋がる可能性があります。
③生産性アップ・ストレス軽減
利用シーンに合わせた照明を選ぶことで、書類・パソコン作業を行いやすかったりリラックスしやすかったりします。照度と呼ばれている光の強さを表すLx(ルクス)の単位を活用し、オフィスに必要な明るさを取り入れるといいでしょう。
場所 | Em(Lx) |
事務所・設計室・役員室 | 750 |
受付 | 300 |
会議室・応接室 | 500 |
食堂 | 300 |
休憩室・廊下 | 100 |
更衣室 | 200 |
玄関ホール | 750(昼間)、100(夜間) |
参考|照明基準総則
Lx(ルクス)とは、設置場所に対する明るさの度合いを表す単位です。Lx(ルクス)は「lm(ルーメン)÷m2(平方メートル)=Lx(ルクス)」という式によって求められます。lm(ルーメン)は照明のスペック欄に記載されていることが多いので、商品の公式ページを確認し計算するのがおすすめ。しかし設置場所の面積だけではなく、壁の色・時間によっても光の感じ方が変わるので、注意が必要です。壁が白色だと明るく感じ、黒色だと暗めに感じます。必要に応じて机を照らすスタンドライトを導入したり、調光機能が搭載されている照明を導入したり工夫を凝らしてみてください。電気工事会社には、過去の経験から照明の数・電球の種類などを提案してくれる会社もあるので、相談しながら照明プランを決めていくと理想に近づけます。
オフィス照明を選ぶときの注意点
照明を選ぶときは、次の2つに注意しましょう。
- 天井の配線器具の確認
- 個人差による明るさの違い
電気工事会社に依頼し、相談・助言をもらいながら照明を選んでいきましょう。
①天井の配線器具の確認
照明を設置するときは、適切な配線器具を使用しましょう。シーリングライトの設置は、引掛リーシング(ローゼット)と呼ばれるモノを使用しなければいけません。そもそも、引掛シーリングを使用しないと取り付けられないので、注意が必要。ほかにもスポットライトのなかにも、ライティングレールを使用するモノ、壁・天井に直接設置するモノなどがあるので、注意してください。同じようなモノでも照明・設置面などによって取り付け方法が異なります。配線器具は基本的に自分で用意せず、電気工事会社に用意してもらうのがおすすめです。
②個人差による明るさの違い
年齢・人の違いにより、明るさの感じ方が変わります。同じモノでも「明る過ぎて目が疲れる」「暗くすぎて眠くなる」など個人差があるので、感覚で明るさを決めるのではなく、Lx(ルクス)の数値を基に計算して決めるのがおすすめです。Lx(ルクス)を計算すると明るすぎず、暗すぎない一般的な明るさを確保できるので、中立的な明るさの空間を作り出せます。またLEDは比較的目に優しいため、個人差による明るさの違いにも対応しやすいモノです。
場所に適した照明選び
利用シーン・場所に適している照明を選びましょう。場所に合っている理想的な電球の色・照明を紹介していきます。
①執務室【昼白色・昼光色】
1日の多くの時間を過ごす場所では、昼白色・昼光色を選ぶといいでしょう。パソコン作業・書類確認などをスムーズに行える明るさを確保し、目の負担も和らげる配慮も必要です。例えば、蛍光灯のような形をしているベースライトを使用すれば、作業で求められる明るさを確保できます。LEDを用いたベースライトを使用し、電気代の削減にも繋げられます。また日中は明るく、夜になると暗くなる自動照明も人気です。照明による刺激を抑え、帰宅後に従業員がゆっくり休める環境を作り出せます。作業効率を考え、最適な照明プランを組みましょう。
②会議室【昼白色・昼光色】
資料や参加者の顔を確認しやすいように、昼白色・昼光色を取り入れるといいでしょう。意見交換をスムーズに行うためには、周囲を確認しやすい明るさを確保する必要があります。また調光機能が搭載されている照明を使用すれば、プロジェクター使用時に暗くしたりホワイトボード使用時に明るくしたり、光の加減を調節できます。種類の違う照明を組み合わせ、スイッチで明るさを調整するのも効果的です。コミュニケーションを促す空間にするためには、照明選びを工夫し、環境を整える必要があります。
③エントランス【電球色】
会社の顔ともいえるエントランスでは、来客者の印象に残るようなモノを選ぶといいでしょう。インパクトのあるエントランスにすることで、来客者だけではなく従業員のモチベーションアップに繋がるはずです。会社のロゴにスポットライトの光を当てたり間接照明を取り入れたりすると、お洒落な場所を演出できます。またシャンデリアを設置し、高級感のある空間を作り出すのもいいでしょう。落ち着いた雰囲気のある電球色を取り入れ、印象的なエントランスにしたいところです。
④リフレッシュスペース【電球色】
疲れた心と体を休める場所では、穏やかな雰囲気を醸しだす電球色がおすすめです。リラックスできる場所を演出し、社員のリフレッシュ・コミュニケーションを促していきましょう。そのためには充分な明かるさを確保するのではなく、落ち着きのある空間になるような照明選びが重要です。またしっかり休息できる場所があると、次の仕事にフレッシュな気持ちで臨めます。カウンター・段差に間接照明を仕込み、お洒落な雰囲気を演出するのもいいでしょう。
⑤集中ブース【昼白色・昼光色】
集中するときに活用する集中ブースには、昼白色・昼光色がおすすめ。書類・パソコンなどを確認をするときに、内容を見やすくなるように配慮してあげる必要があります。誰でも使える個室空間である集中ブースでは、あえて執務室・ワークスペースとは異なる照明を選択するのもいいでしょう。オンライン会議でも使用する可能性があるので、従業員が使いたくなる場所にするのが大切です。電球色を変えて、ほかの場所とは違う雰囲気のある空間にするのもおすすめです。
⑥役員室・応接室【昼白色・昼光色】
作業だけではなく来客者の対応も行う場所では、書類・パソコンの確認、相手の表情がよく見える明るさを確保するといいでしょう。例えば、相手の表情が影にならないような均一な明るさがあると、コミュニケーションを取りやすくなるはずです。アクセントとしてダウンライトを設置し、奥行きを演出するのもいいでしょう。また置物・絵などに、スポットライト・ウォールウォッシャーなどで光を当てれば、特別な雰囲気を演出できます。
【オフィス照明の選び方ガイド】種類や特徴を知り賢い選択をしましょう
この記事では、オフィス照明の選び方を解説しました。快適なオフィス空間を作り出すには、空間に合っている照明を選ぶことが大切です。電球の種類・色・照明器具などにこだわり、従業員・来客者が過ごしやすくなる場所を提供できるといいでしょう。LEDを導入すればコストカットにも繋がるので、新しく照明を設置する方はご検討ください。