電気設備とは?種類や資格・法令を詳しく知ろう【基礎知識】

電気設備という言葉をご存知ですか?電気には難しい名前の専門用語が多いため、よくわからない方も多いと思います。実は著者も電気の仕事を行うまでは専門用語を理解できませんでした。そこでこの記事では電気設備について電気屋で働いている著者が解説します。関連資格や守るべき法令についても解説しているので、ぜひご覧ください。

 

電気設備とは?

電気設備とは?

電気を作ったり送ったり、使用するための設備です。例えば風の力を利用して発電する風力発電、電柱と電柱の間を繋いでいる電線のことを挿します。ほかにも家庭で使用しているコンセントや食洗器、洗濯機なども当てはまります。もちろんキュービクルのような変圧器を指していても間違いではありません。

 

多くの種類がある電気設備

前述したとおり電気設備には多くの種類のものが当てはまりますので、一例を表にしました。

 

発電設備 水力・火力・風力・太陽光・原子力発電など
送電設備 電線
構内電気設備 スイッチ・コンセント・照明・分電盤・動力設備など
受変電設備 キュービクル・開閉器・変圧器など
非常電源設備 防災用発電設備・蓄電池など

 

これらは使用電力が大きく、エネルギーとして活用するため強電(きょうでん)とも呼ばれています。現場で働いていると、電気屋さんのことを「強電」と呼ぶ業者に出会うことがあります。反対に、電気を情報通信で使用することを弱電(じゃくでん)と呼びます。弱電を取り扱っている工事会社のことを「弱電屋」と呼んだりもします。弱電設備についても、下部で表にしました。

 

情報通信設備 電話、LANなど
防災設備 スプリンクラー、火災報知器など
防犯設備 防犯カメラ、侵入警報設備など

 

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電気工作物は2種類に分類できる

電気工作物とは電気設備(発電所・トランス・コンセントなど)をひっくるめた総称です。発電設備や送配電している電線、住宅やマンションで使用している照明やスイッチなど、全体のことをさしています。そんな電気工作物を大きく分類すると、一般電気工作物と事業用電気工作物のふたつに分けられます。この2種類の電気工作物について深堀していきます。

 

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一般用電気工作物は低圧(600V以下)

一般用電気工作物とは、住宅や小規模な店舗などで使用されている低圧(600V以下)で受電している電気工作物のことです。建物内に設置されている電線や分電盤、コンセントなども含まれています。普段から使用する機会の多い照明やスイッチなどは、なじみ深いためイメージしやすいでしょう。そのほかにも、次で紹介する小出力発電設備も当てはまります。

 

  1. 太陽光発電設備:出力50kW未満のもの
  2. 風力発電設備:出力20kW未満のもの
  3. 水力発電設備:出力20kW未満のもの(ダムを伴うものは除く)
  4. 内燃力発電設備:出力10kW未満のもの
  5. 燃料電池発電設備:出力10kW未満のもの(自動車に設置される出力10kW未満も含む)
  6. スターリングエンジン発電設備:出力10kW未満のもの
  7. 以上の組合せ合計出力が50kW未満のもの

 

基本的に発電設備は一般用電気工作物に入りませんが、上記で紹介した小出力発電設備の場合は当てはまります。例えば住宅の屋根に設置しているソーラーパネル(太陽光)は、見かける機会も多くイメージしやすいでしょう。ちなみに火薬類製造所や石炭坑などの危険な場所に設置する場合は、一般用電気工作物にはなりません。

 

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事業用電気工作物は高圧(600V以上)

事業用電気工作物は一般用電気工作物以外の電気工作物のことで、自家用電気工作物と電気事業用電気工作物に分類できます。自家用電気工作物は、600V以上の高圧を受電して使用しているのが特徴です。高圧を低圧に変換できるキュービクルが有名で、学校やビル、工場やホテルなどで使用されています。よくコンビニの駐車場に設置されている大きな鉄箱がキュービクルなので、コンビニを利用する機会がありましたら注目してみてください。また600V未満の低圧で受電している場合でも、小出力発電設備以外の発電設備を保有していれば自家用電気工作物とみなされます。例えば低圧で受電している病院が停電を回避するために非常用発電機を設置している場合があります。この発電機が10kW以上であれば、自家用電気工作物にあてはまります。また工事や運用、維持には主任技術者の資格保有者がいなければなりません。

 

電気事業用電気工作物は、電力会社が電気の供給を行うための電気工作物です。発電や変電設備、送電線や配電線などが当てはまります。基本的に電力会社が保有しているものですが、電力会社が保有している研究所や社宅などは当てはまりません。第一種電気工事士の資格保有者でないと、工事を行えないのも特徴です。

電気設備に関する4つの資格を紹介

電気設備に関わる方は、設備に適した資格を保有していなければなりません。ぜひ覚えて頂きたい4つの資格を紹介します。

 

  • 電気主任技術者
  • 電気工事施工管理技士
  • 電気工事士
  • 計装士

 

①電気主任技術者

電気主任技術者は、経済産業省が定める国家資格です。電気事業法では自家用電気工作物が設置されている工場やビルなどの設備の保安、監督を行うためには電気主任技術者の資格がないといけないと記されています。電気主任技術者がいないと工事や保守ができないため、一度取得すると仕事に困らなくなるといわれています。また試験難易度が高く、資格保有者の人手不足も否めないため、資格を取得すれば未経験者や高齢者でも仕事に就けるメリットがあります。自家用電気工作物のあるビルや工場などはいたるところにあるので、仕事に困る心配も少ないはずです。

 

②電気工事施工管理技士

電気工事施工管理技士は国土交通省が定める国家資格です。資格を取得すると、電気工事の管理、監査施工計画の作成、工程管理などの仕事を行えます。電気工事の監督者になるためには欠かせない資格です。そのため電気業界での需要が高く、資格保有者を優遇して採用している会社もあります。1級電気工事施工管理技士を保有していると、ビルや商業施設などの規模の大きい仕事(4000万円以上)を受注可能です。また、現場に配置する監理技術者や営業所ごとに置く専任技術者として認められます。2級電気工事施工管理技士では、4000万円未満の現場を受注可能で、現場の主任技術者などとして業務を行えます。

 

③電気工事士

経済産業省が定める国家資格で、電気工事を行うために欠かせない資格です。欠陥や災害を防ぐために、資格保有者でなければ電気工事は行えません。第1種電気工事士と第2種電気工事士があり、第1種電気工事士の方が上位資格です。第2種電気工事士では、一般用電気工作物を取り扱えます。資格を一度取得すると有効期限なく活用でき、新築住宅や小規模施設、リフォームなどを行えるようになります。DIYで自宅のコンセント増設、照明の交換などを行いたい方にもおすすめの資格です。引っ掛けシーリングやレールが設置されている場合は無資格でも照明交換を行えますが、照明に電線を差し込まなければいけない場合は第2種電気工事士の資格が必要です。第1種電気工事士では第2種電気工事士でできる工事に加え、事業用電気工作物も取り扱えるようになります。5年おきに更新手続きや講習を行わなければいけませんが、作業範囲が広がり給与アップを狙えます。第1種電気工事士を取得すると就職や転職に有利に働き、第2種電気工事士よりも資格手当を多めにもらえることが多いでしょう。

 

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④計装士(けいそうし)

計装士は国家資格に準ずる公的資格です。民間の資格ではなく国土交通省の制度をもとに制定されています。計装士は計装制御機器を取り扱う仕事で、機器の取り付けだけではなく配線や配管、設計や監理などを行います。例えば室内の温度を一定に保つために、ヒーターや空調などを自動制御する計測制御機器を取り付けます。ほかにも災害の警告を含む監視装置の取り付けも業務のひとつです。資格取得には、計装工事の実務経験がないといけないのも特徴です。1級計装士では実務経験5年(または4年6ヶ月)、指導監督的実務経験1年が必須です。2級計装士では、設計や施工の実務経験2年が求められます。

電気設備に関わる法令を知ろう!

電気設備を扱うには上記で紹介した資格のほかに、電気にまつわる法令を知る必要があります。法令を理解し安全作業を目指すことで、事故や怪我を防げるでしょう。大元になるのが電気事業法です。工事や維持、運営だけではなく、事業区分(発電・配送電・小売)に応じたルールも策定しています。つまり電気の基本を定めている法令といっても過言ではありません。電気設備技術基準では、電気事業法に詳しく記載されていない、技術的なルールが定められています。電気設備技術基準の解釈はその名の通り電気設備技術基準の解釈として、より詳しくルールが記載されています。内線規程は、より具体的に数値を明確化しているものです。分電盤の設置場所や配管を支えるサドルを使用しなくてはいけない距離などを記載しています。このようにそれぞれの法令で規格やルールが取り決められており、ルールを守りながら工事や運用などを行っているのです。

 

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無資格での電気工事は禁止!!

電気工作物を扱うには電気工事士の資格が必須です。欠陥や災害防止のために、無資格での電気工事は認められていません。仮にショートさせてしまった場合、電圧の低い100Vでも火花が発生し、怪我や事故に繋がります。資格を保有しているプロでも、少しの気のゆるみや不注意でこのような事故を引き起こしてしまいます。仮にATMが設置されているようなビル内で電源をショートさせてしまったら、ATMが動作しなくなるため、損害賠償を請求されるかもしれません。ビルで分電盤を触っているときに電源をショートさせてしまったら、他の会社のサーバルームやIP電話などの電源が落ち、業務が止まる可能性が考えられます。このように電気工事に携わるプロは、欠陥や事故で起こる事態を想定して工事を行っています。絶対にやってはいけないことを理解しているので、充分な対策をねり、欠陥や事故を起こさないようにしています。ですから簡易なものでも、無資格での電気工事は行ってはいけません。

 

電気設備とは?種類や資格・法令を詳しく知ろう【基礎知識】まとめ

この記事では電気設備について詳しく解説しました。電気を使用するために欠かせない電気設備は、発電所や送配電線、分電盤や照明などが当てはまります。電気工作物はこれらの総称で、一般電気工作物と事業用電気工作物の大きく分けて2種類に分類可能です。生活を便利にしてくれる電気工作物ですが、取り扱いのさいには充分注意しなければなりません。ちょっとしたものでもプロに依頼し、無資格での工事を行わないようにしてください。

 

 

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