6畳~10畳の小規模な事務所は様々なメリットがあり、さらに工夫次第で快適なレイアウトを実現することができます。本記事では快適な空間を作るためのレイアウトのコツや事例を解説します。小規模な事務所を新設または移転を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
6畳~10畳の事務所はどのくらい?
6畳~10畳の事務所は、面積で言うと10㎡~18㎡程度の小さなオフィスです。具体的なサイズでいうと、6畳でおおよそ3.8m×2.8m、10畳でおおよそ4.8m×3.8m程度なのでかなり狭い空間となります。
厚生労働省『事務所衛生基準規則』では「事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。」と規定しています。
仮に天井高さを2.5mとすると4㎡以上の面積が必要となります。最低限の一人当たり面積を考慮すると、6畳(10㎡)で2人、10畳(18㎡)で4名が最適な人数となるため、従業員数を踏まえたオフィス選定が必要です。
6畳~10畳の事務所のメリット
6畳~10畳の事務所は、面積的には狭い空間ですが多くのメリットがあります。ここでは、3つのメリットを解説します。
メリット1:工事価格や家賃を抑えられる
6畳〜10畳といった小規模の事務所の場合、同エリアの広い事務所と比較すると家賃を抑えられるといったメリットがあります。また、規模が小さいため工事の数量も少なくて済み、工事価格も抑えられます。
メリット2:コミュニケーションの活性化
小規模な事務所は必然的に従業員の距離が近くなるため、コミュニケーション活性化につながります。6畳〜10畳程度であれば、対向式のようなデスク同士をくっつけるレイアウトでなくてもお互いの声が届きます。そのため、プライバシー性を確保した同向式や背面式のようなデスクレイアウトを採用することをおすすめします。
メリット3:コンパクトで高効率なオフィス
小規模の事務所は必要な機能が限られており、共用スペースや備品置き場などを集約する必要があるため、コンパクトで高効率なオフィスとなります。一般的なオフィスであれば、会議室や打ち合わせエリアへの移動が発生します。
また、コピー機を使用したり、他部署の人に会いに行ったりなど、細かな移動も必要です。しかし、6畳〜10畳の事務所では、大きな移動が必要なく他部署への移動なども必要がないため、業務効率をアップさせることができます。
6畳~10畳の事務所のデメリット
6畳~10畳の事務所は、デメリットも考慮する必要があります。ここでは、主な3つのデメリットについて紹介します。
デメリット1:スペースが狭い
6畳~10畳の事務所は、面積で言うと10㎡~18㎡程度のため狭く感じられます。狭い面積にデスクやコピー機を設置するため、圧迫感を感じるかもしれません。そのため、適正な人数を守り、最低限の什器のみ設置するといった対策が必要となります。
デメリット2:プライバシーの確保が難しい
小規模な事務所は、従業員同士が近いためプライバシーの確保が難しくなります。コミュニケーションが取りやすいと言うメリットはありますが、個人専用のスペースが無いため、常に誰かに見られているという状況になります。
デメリット3:収納スペースが少ない
事務所が小規模の場合、最低限の什器しか設置できず十分な収納スペースを確保することが難しくなります。そのため、ペーパーレス化を導入したり、個人の私物は持ち帰るような仕組みにしたりすることで、物が少ないオフィスを作る必要があります。
6畳~10畳の事務所を快適な空間を作るコツ
6畳~10畳程度の小規模な事務所でも快適な空間を作ることが可能です。ここでは、快適に働けるような空間を作るためのコツを5つ紹介します。ぜひレイアウト作りの参考にしてみてください。
その1:間仕切りを作らない
6畳~10畳の事務所では、基本的に間仕切りは作らないようなレイアウトを検討しましょう。小規模な事務所内に間仕切りを作ることで圧迫感が出てしまい、より狭く感じられます。エリアを分けたい場合は、間仕切りではなく収納やローパーテーションのような天井を塞がない方法で仕切りを作ることをおすすめします。
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その2:部屋の高さを有効活用
面積が限られている空間では、部屋の高さを有効活用しましょう。特に、収納スペースについては、天井高さいっぱいまでのものを設置することで、少ない面積でより多くのものを収納することが可能となります。高さの高い収納棚を設置する場合は、壁際に寄せることで空間を広く見せることができます。
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その3:動線を意識したレイアウト
6畳~10畳程度の事務所をレイアウトする場合、動線を意識したレイアウト作りを心がけましょう。狭い空間の場合、動線を軽視しがちですが、広い事務所をレイアウトする時と同様に動線設計を行い、ゆとりのある空間を作りましょう。
その4:快適な寸法を把握する
6畳から10畳の事務所で必要な項目 | 基準寸法 |
1人が通る通路幅 | 600mm以上 |
2人がギリギリすれ違える通路幅 | 1200mm以上 |
着席時の机と椅子の距離 | 450mm以上 |
デスクサイズ | 1200mm×700mm程度 |
基本となる寸法の確保が難しい場合は、通路幅やデスク間の距離を縮めるのではなく、デスク自体のサイズを小さくしたり、什器の数を減らしたりして調整を行うことをおすすめします。
オフィス什器の選び方
6畳~10畳程度の小規模な事務所をレイアウトする上で、オフィス什器の選定が重要となります。ここでは、小規模な事務所におけるオフィス什器の選び方を紹介します。
レイアウトに合わせたデスクと椅子
事務所内のレイアウトに合わせたデスクと椅子を選定しましょう。一般的な事務所では、片袖机や両袖机が使用されますが、小規模な事務所の場合だと設置が難しい場合もあります。そのような場合は、カウンター型のデスクを壁際に設置したり、フリーアドレスデスクを中央に設置したりすることで、スペース効率を良くすることが可能です。
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レイアウトや業務内容に合った収納
デスクや椅子と同様に、レイアウトに合わせた収納を設置することも重要です。間仕切りの代わりに収納棚を設置したり、天井高さまでの大容量収納棚を設置したりと、レイアウトや業務内容に合わせた収納棚を設置しましょう。なるべく少ないスペースで設置する方法を検討することで、事務所のスペースを有効に活用できます。
応接エリアと打合せエリアが兼用できる什器
応接エリアと打合せエリアが兼用できるような見栄えの良い机と椅子を設置することで、スペース効率を上げることが可能です。小規模な事務所では、一般的な事務所のように打合せエリアや会議室、応接室などを設けることができません。そのため、来客用のスペースを従業員も打合せやミーティングなどで使用することになります。
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見栄えが良く、くつろげるようなスペースを作ることで、お客様・従業員どちらも快適に使うことができます。
6畳~10畳の事務所におけるおすすめのレイアウト事例
6畳~10畳程度の小規模な事務所の場合、デスクの配置によってレイアウトが決まります。ここでは、小規模な事務所に最適なデスクレイアウト別に、レイアウト事例を紹介します。
対向式
対向式は、デスク同士を向かい合わせで配置するレイアウトです。中規模~大規模なオフィスで使用されることが多いレイアウトですが、10畳程度の事務所であれば採用することが可能です。こちらのレイアウト事例は、対向式で3名分の座席を配置し、打合せスペース兼応接エリアを備えました。
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背面式
背面式は、背中合わせでデスクを配置するレイアウトです。スペース効率が良く、壁際にデスクを配置することで小規模な事務所でもスペースを有効活用することができます。こちらのレイアウトは、6畳を2名で使用する事務所の例です。6畳の場合、スペースに限りがあるため、最低限の什器のみ設置し、1名~2名で使用することが理想です。
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同向式
同向式は、デスクを同じ方向に向けたレイアウトです。研修室やコールセンターなどで配置されることが多いレイアウトですが、小規模な事務所では、独立型の同向式を採用することでスペースを有効に活用できます。こちらの事例では10畳を4人で使用する場合のレイアウトとなります。同向式はスペース効率が良いため、ゆとりのあるレイアウトを作ることが可能です。
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6畳~10畳の事務所レイアウトはスペース効率を意識しましょう
本記事では、6畳~10畳の事務所におけるメリットとデメリットや快適な空間を作るコツ、レイアウト事例などを紹介しました。小規模な事務所でも、適正な人数を守った上でレイアウトを工夫することで快適な空間を作ることができます。家賃を抑えられるというメリットもあるため、小規模な事務所を検討している方は、本記事の内容を参考にレイアウトを検討してみてください。