企業をブランディングするという経営戦略は様々なビジネス指南書で語られていますが、オフィス移転はその企業ブランディングを反映させる絶好のチャンスだということをご存じですか?マイナビの2022年卒大学生意識調査によると、働きたくない会社1位が「ノルマのきつそうな会社」、2位が「暗い雰囲気の会社」ということがわかりました。企業へ勤める時には職種や業務内容を見るだけではなく、自分が勤める企業はどういったイメージの企業なのかも、重視していることが分かります。オフィスは、訪れた人に言葉では表現しきれない印象やメッセージを伝えます。
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ブランディングを図ったオフィス作りとは
ブランディングは「その対象物がどういったものなのか、どのような形で社会に価値を提供するのか」という、その企業の機能や社会的な位置を付ける効果があります。例えば、「茶色い炭酸水」から連想されるのは、コカコーラ社の炭酸飲料であり、ひいては顧客からブランドへの愛着心までを引き起こす効果があります。どの企業でもその会社が存続する限りなんらかの社会的価値を生み出しています。その社会的価値に焦点を当てることがブランディングというものです。
オフィスを一つのショーケースとして考える
他社のオフィスを訪れて、良くも悪くもその会社の雰囲気を感じた経験はありませんか。オフィスという空間は、意識せずともその企業の雰囲気から事業内容やその会社の文化を反映します。例えば、デザイン性に富んだ内装を得意とする企業のエントランスに、その企業らしいデザインが施されていると、説明をせずともその会社のサービスや企業価値の高さを訪問者に伝えることができます。オフィスを一つのショーケースと捉えてオフィスづくりをしましょう。
移転先の所在地でブランディングする
オフィスの所在地はその地域に多い業種を彷彿させる効果があります。例えば、東京証券取引所がある東京の日本橋、茅場町界隈は、古くからある金融系の企業が多いため、金融系の業種はこれらの地域に会社を構えると、住所から金融系の業種としての認識がされやすくなります。せっかく移転するのであれば移転する先にどういった企業があるのかは確認し、自身の企業ブランディングと相違はないかを確認するようにしましょう。
必ずブランディングを反映させるべき場所
エントランスはオフィスの顔
エントランスは社外の人も頻繁に訪れるオフィスの顔とも言われる場所です。エントランスに訪れた人が感じる印象こそ、企業ブランディングの要と言っても過言ではありません。コーポレートカラー、演じたい雰囲気をイメージして壁紙を造作すると良いでしょう。また、ショーケースの役割も果たすので製品や、サービスが掲載された雑誌が閲覧できるようになっているとより良いでしょう。ただし、物を並べすぎでエントランスが雑念としすぎないこと。あくまでも整理整頓された綺麗なエントランスを保つようにしましょう。
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応接室・会議室はブランディングで自社をアピールするチャンス
応接室、会議室は訪問者が長く滞在する場所であるため、企業のブランディングを反映させ訪問者に自社をアピールする絶好のチャンスです。エントランスのように、自社製品をケースに並べて、自社の話をした際に見せることができるように製品を準備しておきましょう。一方で注意したいのは、思った以上に来訪者はよく見ているということです。配線が整理されていない、椅子がバラバラに置いてある、など散らかっている箇所を見た人の印象は、ネガティブなイメージを反映しかねません。自分が来訪者だったら、という視点でも応接室、会議室を眺めることが重要です。
オフィス移転をする時にブランディングする効果とそのポイント
では次に、誰に向けてブランディングをするのかという視点に変えてみます。そして実際にどういった効果を狙って環境づくりをするのかを解説していきます。
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社外向けのブランディング
社外の訪問者といえば、クライアント、下請け業者、採用候補者の3つに分かれます。それらの人々に向けてブランディングをする際には以下の2つの効果があります。
事業のプロモーション
企業ブランディングしていく目的として重要なのは、言葉にせずともその企業のサービスを前向きにイメージできる、ということです。例えば、士業の事務所でしたら、信頼感と権威性を感じさせる重厚感のある色合いの壁紙にする、エントランスの看板も上質なものにする、といった具合にサービスの理想的な姿を連想できる雰囲気を作りましょう。
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採用強化
オフィスに企業のビジョンや理念を反映させることが重要です。そしてさらに企業の第一印象として、エントランス作りは採用強化に対する施策として重要項目です。例えば、新進気鋭な創造性をモットーにしているIT企業は、イメージを未知の世界として「宇宙」とし、エントランスをメタリックに作り、人と人との関わりを大切にするビジョンを持った人材系の会社は、エントランスをウッド調にし、柔らかい雰囲気を作るなど、各社期待感を持たせるようなエントランスづくりをしています。内装デザインに詳しい内装業者に自社が目指しているオフィスのイメージを伝えて相談してみましょう。
社内向けブランディング
社内向けブランディングとは、社外向けとは異なり、企業やサービスの社会的立ち位置、価値を周知することの一方で、社内での価値観やビジョン、理念を見せ、共有することにあたります。
社員のモチベーション向上
ノンバーバルとして伝えることのできる空間を利用して、経営理念やビジョンを視覚や体験できるものとして表現できるようにしましょう。例えば、風通しが良く、上下関係の壁をなくすような理念を持っている会社であれば、社長室や管理職と新入社員が同じ空間に座るレイアウトにすることをお勧めします。オフィス空間は経営理念やビジョンの体現を仕組み化する機能を持っています。社員のモチベーションアップのための空間利用は、あらためてレクリエーションを施さずともできる施策なので、できるだけオフィスに取り入れるようにしましょう。
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社内の一体感をつける
コーポレートカラーや、企業のイメージキャラクターなど視覚的にその会社を表すものを装飾するようにしましょう。例えば、アウトドアブランドのパタゴニアは地球環境と共存することを理念にしています。オフィス空間は自然との調和がイメージできるウッド調なのはもちろんのこと、仕切りのないオフィスは上下関係の厳しさを感じさせず、中には傷ついたフクロウをオフィスの中で飼育する社員がいるなど、まさに地球環境との共存がオフィス内で起きています。これは一例ですが、企業理念を社員の行動に反映させて、さらにそれを見た社員に連鎖する、という循環を起こすので組織集団の教育にはオフィス環境からブランディングをすることは欠かせません。
ブランディングを考えたオフィス移転戦略とそのポイントとは?【まとめ】
オフィスをブランディングするということは、文字や言葉ではないのでやや難しく感じますが、広告費や社員教育に費用を投じるよりも、はるかにコストパフォーマンスが良いものです。企業は成長とともにオフィスの規模が変わることが多いので、オフィス移転を機に、自社の与える印象とともに自社が築き上げているブランドを見直してより良いオフィス作りをしましょう。