オフィス移転を検討しているけど、費用のかかる項目が多すぎて全体的な予算がわかりにくい、、、そう思って移転計画がなかなか進まないと悩んでいませんか。今回は、移転を初めて行う方でも予算の全体像が把握できるように、オフィス移転で発生する費用の全体的な予算を解説しました。
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例えば50坪のオフィス移転で発生する費用の目安はこれだ!
一つ一つの予算を解説する前に、まずは移転にかかる費用の全体像をイメージしましょう。例として50坪の移転にかかる費用の目安を計算しました。
移転コストシミュレーション
社員30人の企業が25坪→50坪(家賃20,000円/坪)に移転するケースで計算しています。
項目 | 想定金額 | 補足 |
前家賃 | ¥1,000,000 | 賃料の1か月分 |
保証金 | ¥10,000,000 | 10か月分 |
仲介手数料 | ¥1,000,000 | 賃料の1か月分 |
内装工事費用 | ¥10,000,000 | 20万円/坪で想定 |
引越し費用 | ¥900,000 | 社員30人で想定 |
オフィス家具/什器 | ¥1,500,000 | 社員30人分すべての家具を新調 |
原状回復工事 | ¥2,500,000 | 10万円/坪で想定 |
産業廃棄物 | ¥80,000 | 2トントラックで想定 |
総額 | ¥26,980,000 |
いかがでしょうか。移転費用は思ったよりも高く感じましたか。それとも想定の範囲内だったでしょうか。20,000円/坪は東京都内で例えると、都心5区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区)物件、もしくは都内の駅近の小規模物件の賃料に匹敵します。このシミュレーションからわかるように賃料は固定費としての支払いだけでなく、移転費用の予算に大きく関係してきます。特に都内はエリアによって賃料が大きく異なります。また、引越しは新しい入居先にかかる費用でだけはなく、退去にも費用がかかります。余談ですが、予算をいくらまでに抑えたいのかを初めに設定すると、エリアや建物のグレードを選びやすくなります。全体の予算感を捉えることは移転をスムーズに進めるために重要なことであることを覚えておいてください。ではこれから本題の費用を算出した内訳について、一つ一つを解説していきます。事務所の移転費用は大きく3つに分けられます。
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①新オフィスに関する費用
賃貸契約を結ぶ際にかかる費用(初期費用)
以下の①〜⑤が主に必要な費用となります。支払いのタイミングは紹介した不動産仲介業者を介して入居前に契約を結んだ時になります。引っ越す時の一番大きな予算で、その支払いが移転前に発生するということを留意しておきましょう。
礼金
賃料の1か月分を想定してください。事務所物件には礼金がないケースが多く、礼金は住居兼事務所のSOHO物件を賃貸する場合によく見られます。まれに2ヶ月分必要なケースもあります。礼金はオーナーに支払われるもので退去時に返金されることはありません。
保証金(敷金)
小規模オフィス(50坪以下)は賃料の3ヶ月〜10ヶ月分、大規模オフィス(50坪以上)は賃料の6ヶ月〜12ヶ月分を目安として保証金を支払わなければなりません。この保証金は、家賃の支払いが滞った時に補填されるお金であり、金額の幅は建物のグレードと契約をする会社の社会的信用の程度によって異なります。例えば、創立年数が浅い企業がグレードの高い建物に入居する場合は、建物オーナーから保証金を多めに請求される傾向があります。反対に会社の創立から数年経っていて3期程度連続して売り上げの黒字が続く企業は、保証金の減額を相談する余地があるということもメモしておいてください。
前家賃
賃料の1〜2ヶ月分が必要となります。これは入居前の内装工事や電気/ネットワーク工事をするために必要な期間です。入居先が100坪以上の大規模な区画だったり、内装工事に凝れば凝るほど期間が必要になり、それだけ前家賃が必要となります。他方で契約開始のタイミングによっては月割のケースになる場合もあります。その辺りは仲介業者に確認すると良いでしょう。
火災保険
2年契約で2万円〜3万円が相場です。他の予算と異なり、賃料の◯ヶ月という計算ではありません。保証される内容によって金額が異なります。高価なものを陳列するショウルームや、高額なものを事務所内に保管する、といったケースがない限り特別な保証をつける必要はありません。建物オーナー、仲介業者の指定のものが多いです。保険の内容はオーソドックスなものであれば保険会社によっての価格差もあまりありません。
仲介手数料
賃料の1ヶ月分を不動産仲介業者に支払います。近年では仲介手数料の無料を掲げる業者をよく見かけます。これは仲介手数料が無料の代わりに内装業者の指定など契約後に制約がある場合がほとんどです。仲介手数料を無料としている業者とやり取りをしている場合は、念のため無料の代わりにある条件の有無を物件の内覧時の段階で確認すると良いでしょう。
内装工事
全くデザインを施さない場合でも10万円/坪の費用が必要です。内訳はOA床を施工する費用(2万円〜5万円/坪)と電気/ネットワーク工事(5万円〜8万円/坪)を合わせた必要最低限の工事として目安の金額です。この他にパーテーションや造作壁などを施工をする場合はこれ以上の予算が必要となります。内装を作り込んでデザイン性があるものを想定している場合は20万〜30万円/坪の費用で見ておくと良いでしょう。
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オフィス家具(什器)
社員一人ずつ座席がある個別席を前提にデスクや椅子を一式購入する場合は、社員一人あたりに最低5万円の予算を考えてください。内装工事と同様に家具にこだわるほど予算がかかります。節約の手段として家具や収納を廃棄せず、改めて使用すると購入費用を抑えることができますが、その代わり運搬費用が増えます。購入代金の節約をしても運搬費用がその代わりかかるので、オフィス家具を新調せず、あるもので賄うことは移転費用の効果的な節約にはなりません。一方で中古オフィス家具を採用すると節約効果が見込めます。
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その他オフィス移転に関わる費用
上記の他に住所が変わるため、封筒や名刺、会社概要の変更にも予算が必要です。こちらの予算に関しては会社の規模や発注する印刷会社によって異なるため目安の金額はありません。手配が遅れないように担当者に入居先が決まった段階で伝えておきましょう。
②引っ越し作業の費用
運搬費用
引っ越し作業は社員一人あたりに2〜3万円が相場です。引っ越しの繁忙期や会社内の一室を倉庫としている企業は、通常よりも荷物が多くなるため、これよりも予算が上がります。予算の節約方法は、トラックなどの車を自分たちで運転し、荷物を運搬することです。引っ越し作業に予算がかかる原因の一つにトラックの運転手不足があります。10坪程度の移転の場合は引っ越し業者に全てを任せるのではなく、複合機など大きな機器の運搬だけを任せて、他の細々とした荷物はトラックを自身で手配して自分たちで荷物を運ぶ手段もあります。ただし、手配や管理を自社で行うためオフィス移転を担当する社員には負担がかかります。
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不用品の処分
2トントラックの回収で8万円、4トントラックで15万円が相場です。この予算にはトラックの手配、人件費、運び出す際の建物を傷つけないための養生費用が含まれます。不用品はその量で金額が決まります。家具の買取業者への依頼や、自治体のリサイクルの持ち込むなどをして、引越しの際はできるだけ不用品を出さないようにすると節約ができます。手間と時間があれば検討すると良いでしょう。
③旧オフィスを出て行った後にかかる費用
原状回復費用
10万円/坪の費用相場です。個人の住居の賃貸契約と異なり、事務所はほとんどの場合、企業側の負担で工事をします。時間の経過により黒ずんだ壁紙や、通常の使用で生じた汚れなども含めてです。建物オーナーの指定工事業者が工事を行うことが多いこのケース。指定工事業者の見積もりが10万円/坪の相場よりもあまりにも高くなった場合は、他の業者に見積もってもらい金額を交渉することを考えておきましょう。
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「どれくらい?オフィス移転で発生する費用を概算で大公開!」まとめ
全体的な予算についてイメージができるようになりましたか。企業の引越しは頻繁に行うことがない割に、大きな予算を必要とするので計画を立てることに慎重になりがちです。しかし、上記で説明した項目を概算で計算すれば、大体は予算のイメージをすることができます。予算感を想像して、エリア候補を選んだり、移転の時期を決めたりと次なる具体的なステップを進めていってください。