オフィスの移転先として検討したい「居抜きオフィス」とは?

居抜き物件なら移転でかかる費用が安くなるって本当?と疑問をお持ちの方は必見。今回は移転先として居抜きを検討している担当者向けに、居抜き物件を利用するメリットやデメリット、引っ越しする際の注意点を解説します。

 

居抜きオフィスとは?

居抜きオフィス

「居抜きオフィス(居抜き物件)」とは、前に入居していたテナントの配線や水廻り、パーテーションなどの設備や机、椅子、ホワイトボードなどの什器備品、応接ソファや収納棚などの家具がついたままで賃貸に出された物件を指します。居抜き物件は、すでにある設備や備品を使えること、初期費用が通常に比べて少なく済むこと、移動した後すぐに営業を開始できるなどが利点です。居抜き物件は500坪以上の大型よりも150坪以下の小型が多く市場に出されています。理由はベンチャー企業やスタートアップが賃貸契約満了前にフロアが手狭になり、引っ越しを行うケースが多いからです。借りていた物件を居抜き物件にすることで退去する企業も移転時のコストカットができます。今どきのお洒落なデザインやフリーアドレスの間取りも増えており中小企業やベンチャー企業は特に選択肢として居抜きオフィスはおすすめです。

 

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居抜きオフィスが増えている背景

新型コロナウイルス感染症拡大が起こる以前のオフィス物件空室率は低い水準にありました。新しいビルが次々に建設され、不動産業界は賃貸件数を増やそうと新規ビルの開発を進めていました。企業は引っ越しをしたくても良い立地かつ丁度良い大きさの物件が市場に出てこない状況に、頭を悩ませていました。空室率の低下により賃料の値上げが止まらず、都内の主要な場所に拠点を構えるのは至難の業でした。

 

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しかし新型コロナウイルスの影響で、テレワークを導入し始める企業が増えオフィス不要論が出てきます。企業の中で固定費を下げる流れが広がったのです。「借りている面積を半分にし、その分の固定費を社員の給料に回す」とリリースをした企業もあり、オフィス面積の縮小が始まっています。職場が仕事をする場所からコミュニケーションの場へと変化し、大型の仕事場は不要になり始めています。

 

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しかしながら、企業が入居するテナントビルでは退去の6か月前に解約予告を行うのが通例であり、現在のオフィス面積縮小に向けて移り変わったオフィス需要には合っていません。6か月より早く退去する場合は違約金を求められる場合が少なくありませんが、テナントの後継者が決まっている場合は、途切れなく貸主と賃貸契約の継続が保証されるので、解約予告期間が残っていたとしても合意が得られれば違約金は無効になる場合があります。居抜きで転出する際は現状回復のための工事が不要でありオフィス賃貸権を継承させることができるから、今すぐ解約したい企業にとって時間的、金銭的メリットが多いです。このため今、居抜き物件に注目が集まり、数が増えているのです。

 

居抜きオフィスのメリット

居抜き物件へ引っ越す際はどのようなメリットがあるのでしょうか。企業が引っ越しをする際、大きな負担やコストにはお金と時間があります。この2点について居抜きオフィスへの移転が一般物件への移転より優れている点を解説します。

 

メリット1:初期費用を抑えられる

居抜き物件を利用する大きなメリットは初期費用を抑えられることにあります。引っ越しには内装や間仕切り工事、什器、設備の購入、など想像以上にお金が必要です。設備をどう利用するかについては以下3つの選択肢があります。

 

  • 現在使用している什器や設備を持っていくケース
  • 新しい設備や什器に買い替えるケース
  • 老朽化した什器は捨てつつ不足分を買い替えるケース

 

例えば通常のオフィスを移転させる場合、新しい什器設備に買い替える際に1坪当たり20万円程度の費用が掛かり大きな負担になります。また、既存のものを持っていくに場合も什器を運ぶには何台ものトラックが必要になり引っ越し費用がかさんでしまいます。

 

しかしながら、居抜きを利用すれば前のテナントが使用した設備や備品をそのまま使うことができるため、什器や設備購入費用の削減につながります。またオフィスを移す際は内装工事も必要ですが、居抜きであれば間仕切りやパーテーションも元のまま置いてある場合がほとんどです。このため内装工事もほとんどいらず初期費用を最小限にできます。

 

メリット2:オフィス移転にかかる時間を短縮できる

居抜きを利用する2つ目のメリットはスピードです。通常新しい場所に移る際は、何もない状態のフロアに配線や間仕切りを行う内装工事をしなければなりません。内装工事やデザインにかかる期間は一般的に2~5ヶ月といわれており、かなりの時間を費やす工程です。前の企業の内装やレイアウトがそのままになっている居抜き物件を利用すると内装工事の期間を省けます。仮に間仕切りなど多少の内装工事をしたとしても、一から行うより時間を短縮しスピーディに引っ越しができるでしょう。また居抜きを利用することで関わる担当者の負担もかなり減少します。

 

大企業の場合移動の1年以上前から移転プロジェクトチームが発足し、話し合いや検討を行いプロジェクトが進められます。ですが中小企業やベンチャー企業では、移転の担当者が通常の仕事をこなしながら進めていくケースも少なくないでしょう。居抜きでは既存の什器の配置デザインや設備が利用できるため負担が軽減します。例えばレイアウトの決定や什器の選定、内装工事会社の選定などの工程で負担を減らせます。

 

内装工事業者の選定とは、何社かに見積もりを取ったり、コンペを行ったりして業者を決定する手のかかる工程です。決定後は内装工事会社と二人三脚で工事を進めていきます。レイアウトの相談、内装工事のプランニング、施工の日程調整など工事をするにあたり必要な事項を順番に決めていきます。内装工事にかかる手間を省けるのは大きなメリットです。

 

居ぬき物件のデメリット

前に入居していた会社のレイアウトや什器等の設備を利用できることが居抜き物件のメリットと紹介しました。ですが居抜きにはデメリットもあります。次に2つのデメリットを紹介します。

 

デメリット1:レイアウトの自由度が少ない

前のテナントの設備を使うため、レイアウト変更が困難な場合があります。配線や間仕切りは簡単に変更ができず、設備を動かせる範囲に限界があるからです。どうしてもレイアウトを変更したい時には工事会社へ依頼しなければなりません。以下の要望がある場合、居抜き物件は向いていません。

 

「自分で1からレイアウトしたい」
「真っ白な状態から内装デザインを考えたい」

 

また前のテナントと業態が全く違う場合は、設備の配置が使いにくく動きづらい、使い勝手の悪い間取りになる等トラブルになるケースがあります。飲食店やクリニックなど店舗で居抜き物件への引っ越しを検討している場合は業態に注意しましょう。

 

デメリット2:不要な設備・備品の処分費用がかかる

居抜き物件では設備や什器が全て問題なく使用できるわけではありません。使い勝手の悪い設備や老朽化したもの、壊れて使えないものは処分が必要です。企業にある設備や備品は産業廃棄物のため、専門業者に処分の委託が必要になり手間も処分費用もかかります。さらに買い足した新しい設備と既存の設備で統一感のある職場デザインにできない恐れがあります。メーカーや色、形を合わせる等新しい設備を購入する場合にも注意が必要になるでしょう。

 

居抜きオフィスに移転する際の確認事項

居抜きに引っ越す際のメリット・デメリットをふまえて、どのような点に気をつけて物件を決めればよいのでしょうか。確認すべき点を解説しますので参考にしてください。

 

内装・設備・配線をイメージする

入居した際トラブルにならないように「どのような職場にするか」のイメージを持つことが大切です。イメージを持っておけば物件を選ぶ際に失敗せずに済みます。居抜き物件を内覧する際は設備について以下の3点を確認してください。

 

①設備や什器に不備がないか

置いてある設備が老朽化していないか、問題がある設備や什器がないかを確認します。特にロッカーや引き出しの鍵が紛失していることがあり、鍵が見つからず収納が使えないことが多いです。什器が綺麗で使いやすいと、従業員は気持ちよく働けるので設備などの環境は物件を選ぶ際に重要です。

 

②配線の使い勝手が悪くないか

電話線やLANケーブル、コンセントの位置を確認します。例えば作業デスクとして使いたい場所にLANケーブルがなかった、電話を置きたい位置に電話線がなかった、等の事態が起きないとも言えません。これらの確認不足を防ぐためにも、予め実現したい間取りを決め実際の設備の配置と照らし合わせて物件を探しましょう。

 

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③レンタル品やリース契約のものがないか

コピーに使用する複合機やその他機器をリースやレンタルしている企業は少なくありません。必ずリース契約の内容を確認しましょう。居抜き物件にリース品が残っているとリース料が発生する場合や、新たな契約締結が必要な場合があります。余計なトラブルを防ぐためにもリース品やレンタル品の確認は必ずしましょう。

 

目先のコストだけを意識しすぎない

居抜き物件への移動は初期費用が抑えられますが、目の前の費用を意識しすぎると結果的に通常よりも高くなる場合があります。理由は、居抜き物件を退去する際は、原則として原状回復が必要だからです。原状回復とは自分が居抜きで入居したときの状態ではなく、前のテナントが入居した時のスケルトン状態に戻します。居抜きとして出される物件のなかには、かなり内装を作りこんでいるものもあり想像以上に工事が高額になるケースがあるかもしれません。基本的に経年劣化や破損などの修理改善費も借主が全てを負担するため、あまりにも老朽化したテナントビルや凝ったデザイン内装の場合は注意が必要です。また通常よりも賃料が高額な場合があります。もともと居抜きとして貸し出すために専門業者が内装をデザインしている物件や、割高な価格で市場に出ている物件があるからです。こうした高額な居抜き物件を契約してしまうと、毎月の家賃によって結果的に費用がかかるため注意しましょう。

 

オフィスの移転先として検討したい「居抜き物件」とは?【まとめ】

居抜き物件は初期費用を抑えられ、引っ越しにかかる時間を短縮できるメリットがある一方、間取りや設備を配置する自由度が少ない、等のデメリットもあります。現在様々な居抜き物件が増えており魅力的なものも多いです。入居を決める際は設備や備品、賃貸契約について必ず確認しましょう。

 

 

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