【オフィス移転】物件探しで抑えるべき4つのポイントを解説

オフィスの移転はとても大変です。たくさんの物件情報から、いったいどのビルへ引っ越しをしたら良いか迷ってしまいます。今回は、企業のオフィス移転を一括して請け負っていた筆者の経験を基に、物件を探す上でおさえるべきポイントについて詳しくご紹介します。

 

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①引っ越しの目的を『はっきり』させる

オフィス移転の物件探し

今回の引っ越しの理由はなんでしょうか。理由はいろいろとあると思いますが、まず優先度をつけて下さい。そして、その「1位」と「2位」のみを重要視し、あとは無視して下さい。そうする事で今回のオフィス移転は成功します。このルールを崩してしまうと迷いがでてきてしまい、引っ越しをするまでにとても時間がかかってしまいます。ここからは、一般的な引っ越しの目的を見ていきます。

 

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ランニングコストの削減が目的

様々な事情で、賃料のコスト削減を命じられるケースも多いでしょう。業績が低迷したり、新規事業の失敗により大きな損出を出してしまったことで、長期的なコスト削減命令が出たという話をよく耳にします。ランニングコストを削減するにあたり、人件費削減の次に上げられるのがオフィスの家賃です。この場合、オフィスの賃料を下げることが最優先事項となりますので、転居先ビルの築年数や、エレベーターの数が少ないなどの不満は言っていられません。リロケーションには多大なるコストがかかります。規模にもよりますが、賃料の差額を考えれば引越しの際に発生した費用(1,000万円ほどであれば)は2年、3年スパンで考えれば元が取れます。200万~300万円ほどの小規模な引っ越しであれば、1年間で元がとれるケースもあります。

 

小さなオフィスからの移転

筆者が以前の職場で営業を担当していた際に、日本へ進出をしたばかりの外資系企業のお客さまがいらっしゃいました。当時は日比谷の貸事務所を借りられていて、2~3人用の小さなスペースでした。新規案件の獲得や、従業員の募集で増員が見込まれ、いよいよ広いオフィスへという段階で筆者のところへ相談を頂きました。その際、物件探し自体に報酬は頂きませんでしたが、元々付き合いのある不動産業者へ依頼し、複数物件を見繕ってもらいました。その後、浜松町に良い物件が見つかり、そのお客さまには大変お喜び頂いたという経験があります。業務の拡大により、広い事務所へ移転したという喜ばしいケースです。

 

M&Aや支店の集約が目的

M&Aなどにより、買収された企業が拠点を集約するという目的で移転をするケースがあります。また、数拠点存在する支店を、本社ビルへ集約する必要が出た状況でも転居やオフィス拡大が発生します。これらのケースでは、同じフロアの区画が空いていれば賃貸スペースを広げたり、同じビルの他の階が空いていれば、新たに賃貸契約をする必要があります。

 

コロナ渦によるリロケーションが目的

新型コロナウィルスの影響で、感染防止のため都内の主管部門を地方へ転居させる企業が増えています。例えば、ジャパネットグループは2021年冬を目処に主要機能を福岡へ移転しました。また、ラクダマークの紅茶でお馴染みルシピア社は、2020年7月に北海道のニセコ町へ北海道本社移転を実施しました。パソナグループについては2020年9月から2023年度末までに順次、主管部門の1,200名を兵庫県淡路島へ移転すると発表しました。このように、本社をまるごとリロケーションする企業もあれば、主要機能を地方へ異動させるという企業が増えてきています。

 

社員ファーストの職場づくりが目的

近年、社員ファーストのために、事務所の環境を見直す企業が増えています。従業員のコミュニケーションの場所として、打ち合わせスペースを拡充させたり、仮眠スペースやリラクゼーションルームといった癒やしを提供できる空間を増やす企業が目立ちます。さらに、今よりも社員が通勤しやすいエリアへ移転するというケースもあります。また、デスクやパーテーションのデザインを刷新して、社員が気持ちよく業務ができる職場へと、モチベーションの向上を図る場合もあります。また、人手が足りない現在の状況下で、新卒や中途採用の応募者に対するイメージアップを理由に、社員ファーストの職場づくりを進める会社が増えています。

 

セキュリティを強化する目的

個人情報を多く取り扱う企業に必要とされる「Pマーク」を取得する為、入退室管理をシステム化する場合があります。例えば、広さの関係で現在のオフィスでは受付が無かったり、個人情報を保管する執務エリアにドアが無かったり、事務所内のパーテーションを大幅にリニューアルする必要がでてきた場合を機に移転をしようというケースです。

 

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②移転先オフィスの選び方

それでは、転居先のビルの選び方を項目ごとに解説します。

 

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リロケーションのエリアを絞りすぎないこと

引っ越し先を選ぶにあたり、明確な理由がなければ、あまりエリアを絞らない方がよいでしょう。明確な理由とは、例えば社長より移転先の指定があったり、お得意様への訪問がしやすいエリアへ引越す必要がある、などの理由です。また、なぜエリアを絞りすぎてはいけないかと言うと、目的に合ったビルに出会う確率が非常に低くなり、引っ越しの時期がどんどん遅くなってしまうからです。

 

最寄りの駅までは最低でも10分前後

今の時代、入社を検討する人は、事務所が駅から近い方が魅力を感じます。例えば、駅ビルから直結していることが、悪天候の日の通勤を考えるとベストな選択になります。しかし、コストとの兼ね合いもありますので、最低でも徒歩10分前後の立地を選ぶことが望ましいでしょう。駅から徒歩で15分を超えるエリアですと、ブランドが無い企業にとって、新しい社員を迎え入れるには難しい立地であると言えます。

 

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複数路線が乗り入れている駅を選ぶ

コロナ渦により、リモートワーク導入で在宅勤務をする会社員が増えました。しかし、現場作業や接客を伴う業務がメインの業種もあるため、積極的にテレワークを採用できないという企業も多いのではないでしょうか。リモートワークを積極的に採用している企業でも、月に1度や2度は出社するという会社も少なくないでしょう。なので、会社の最寄りの駅は複数の路線が乗り入れている方が断然通勤しやすいので、入社を検討されている方や、お得意様に対してのイメージアップにもつながります。

 

お得意さまへ訪問しやすい立地を選ぶ

例えば、顧客の売上比率が1社へ集中している場合、もしくは数少ない企業へ集中している場合、そのお客さまへ訪問しやすい立地を選ぶべきです。また、あなたの会社が親会社からの発注が多い子会社である場合も、訪問する際に利便性の高いエリアを選ぶことで、業務の効率化と交通費のコストカットを図りやすいです。

 

飲食店や病院が多い地域を選定

従業員の働きやすさを重視するためには、近隣の状況がとても重要になってきます。近くにほとんど飲食店がなかったとしたら、従業員がランチへ行く楽しみがなくなってしまいます。また、銀行やATMなどが存在するエリアであれば、現従業員もこれから入社を検討する人も、貴社で働く場合のイメージが湧きやすいです。

 

③リロケーションの時期やスケジュールについて

社内で引っ越し計画が浮上してから、無事完了となるまでの道のりは非常に長いです。ケースによっては半年、長い場合は1年以上かかってしまうこともあります。移転の担当者としては確認事項や、やるべき項目がとても多いため、予定ギリギリの対応で毎日が苦しくなり、実際にかかった期間よりも長く感じることもあるでしょう。なので、転居の計画が浮上してからは、余裕をもった引っ越しスケジュールを設定し、各部門長への通達は直ちに実施しなければなりません。また、事務所の移転計画は、ギリギリまで社員には伝わらないようにするなどの配慮をすることも意識しなければなりません。なぜなら、コスト削減を理由とした移転の場合、顧客へ変にマイナスなイメージで伝わってしまうと、取引を停止をされるなど、騒ぎが大きくなってしまう場合もあるからです。

 

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引っ越し業者の繁忙期は、3月・4月と言われています。繁忙期に今回の移転計画が重なると、引越し業者のトラックや人員の手配が難しくなります。なるべく日程をずらすようにした方が、計画を立てやすいです。また、移転時の旧オフィスと新オフィスの切り替え期間は、長く見積もっておくことが重要です。切り替えの期間は2週間から3週間、ケースによっては1~2ヶ月ほど見ておくことが必要な企業もあります。なぜならば、自社にサーバールームがある場合や、自社製品の検証環境などの『ラボ』を管理していたりする場合は、機器の切り替え作業のため、新しいオフィスとの『同時運用が可能な状態』の期間を長く設けておく必要があるからです。

 

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④転居先ビルの設備を確認する

ここでは、引っ越し先の設備に関して、チェックすべき項目を解説します。

 

現在の事務所で使用している電気の量を確認する

現在のオフィスで、検証環境などのラボがある場合や、パソコンなどの機器を大量に使用している事務所は、現在の事務所で使用している電源容量を確認しておかなくてはなりません。なぜなら、ビル全体で使用できる電気の量は最大使用量が定められているからです。そこから各階・各フロアへ分配して電気を使うことになります。ですので、各フロアで使える電気の量も限りがあります。そのため、今の事務所で使用している容量を転居先のフロアで確保できなければ、そもそも移転をする事ができません。これは、うっかり見落とすことが意外と多いのですが、実は一番最初に確認をすべき重要なポイントです。もし社内で、電源の分野に明るい社員がいない場合は、内装業者へ相談すると良いでしょう。

 

移転先のビルに敷設可能な通信キャリアを確認する

電話やネット回線も引っ越しの手配が必要です。しかし、移転先のビルに現在使用している光回線の引っ越しが可能かどうかは、実は確認をするまで分かりません。稀に、ビルのMDF(電話や光回線を引き込むためのビルの主配線板のこと)への新規回線が敷設できないという理由で、ネット回線の引っ越しが不可能なケースがあります。例えば、引っ越し先へソフトバンクの光回線を移設したい場合は、ソフトバンクの回線が「すでに引き込まれているか」をまず確認しましょう。既に引き込まれていれば問題ないですが、そうでない場合、新規で回線の引き込みが可能かについて、ソフトバンクの営業担当へ確認しましょう。

 

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ビル側のセキュリティ環境を確認

セキュリティを強化する目的での引っ越しの場合、以下についてをチェックしておいた方が良いでしょう。

 

  • エントランスで来客者への立ち入りカードキー授受を代行してもらえるのか?
  • セキュリティゲートがどういったタイプなのか?

 

上記を確認することで、どれくらいのレベルまでセキュリティを強化できるのか、ある程度事前に把握することができるようになります。また、セキュリティゲートが設置されていないビルの場合でも、監視カメラが必要な箇所へ設置されているかなどをチェックするようにしましょう。

 

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引っ越し先のフロア面積

リロケーションの目的や社員数によって、転居先の広さを決定します。一般的な目安として、従業員1人あたりに必要なスペースは「2~4坪」とされています。またリロケーションを機に会議室を広くしたり、執務室の動線をこれまでよりも十分に確保したり、という計画もあると考えられます。必要なフロア面積を概算し、それを不動産屋へ伝えて複数の物件を見繕ってもらいましょう。入手した図面を元に、おおよその部屋の配置をイメージします。また、内装業者へ図面を提示して見積もりを依頼をすることで、現在の事務所のデスクや書類棚を図面にレイアウトしてくれるので、かなり現実に近いイメージができるようになります。

 

レイアウトしやすいフロアの物件を選ぶ

不動産屋から物件の図面を手にしたらまず、自社のビジネスにとってベストな物件だけをチョイスして内覧に行きましょう。物件によっては図面上で見たときと、実際に内覧へ行ったときとでは、がらっと印象が変わってしまう場合があります。例えば、柱が空間の真ん中に立っていたり、カベからちょっと離れた位置に柱がいくつもある空間は、デッドスペースができてしまうのでとても狭く感じます。そのような物件は、不動産業者から提示された平米数からイメージしていた空間と、全く異なった印象をうけます。

 

ビルが管理する事務所の使用時間を確認する

ビルの管理会社によって、事務所を使用できる時間が異なります。例えば、やむを得ず、宿泊を伴った業務が発生する場合もあるかもしれません。24時間、事務所の使用が許可されているか(自社の働き方に合っているビルか)の確認が必要です。また平日の夜間、時間外になると空調が強制的に停止されてしまうビルもあるので注意してください。なお、休日にエントランスが開放されているかなども確認し、もし閉鎖されている場合は、入館方法や入館経路についても確認しましょう。

 

駐車場の利用可能時間を確認する

会社が車を所有している場合、転居先のビルに駐車場が無いケースは、近隣のコインパーキングを検討することもひとつのアイデアです。さらに、ビルの駐車場が立体式であった際は、所有している車両が駐車可能なサイズなのかについて、確認を忘れてはいけません。

 

【オフィス移転】物件探しで抑えるべき4つのポイントを解説【まとめ】

すべての社員の意見を、今回の引っ越しに反映することは不可能です。会社としての今回の移転の目的は何なのかを2つ決めて下さい。そうすることで、オフィス移転のスタート地点である「物件選び」の項目で、時間を大きくロスしなくて済むからです。この記事の内容によってステキな物件に出会うため参考になれば幸いです。

 

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