オフィス縮小のメリット・デメリットと減床移転の注意点3つ

オフィスの面積を縮小し、コスト削減や生産性の向上につなげたいと多くの企業が検討しています。テレワークやリモートワークの普及によって出社率が減ると、空席が目立つようになります。現在の働き方に合うオフィスに見直したいという方のために、縮小のメリット・デメリットや準備すべきこと、注意点についても解説します。

 

オフィスの縮小ってどういうこと?

まず、縮小にはどのような方法や背景があるのかを解説します。

 

オフィスの縮小とは

オフィスの面積や規模を現在より小さくすることを指します。賃貸の場合は、借りている部屋の一部を返却したり、床面積の小さいオフィスビルに移転したりといった方法で縮小します。テレワークやリモートワークを導入し、業務に合わせてオフィスワークと併用する運用が一般的です。

 

オフィスの縮小や減床移転の背景

縮小リニューアルや小さいオフィスへの移転の背景には、次のような理由が考えられます。

 

  • テレワーク等の普及
  • 働き方改革の推進
  • 賃料の値上げ

 

コロナ禍をきっかけにしたテレワーク等の普及や、『働き方改革』の推進、都市部のオフィス賃料の上昇傾向などが影響していると言えます。以前はオフィスへの出社が当たり前とされていました。しかし、近年ではICT(情報通信技術)を活用し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方が可能です。

 

また、2025年4月には『育児・介護休業法』が改正・施行され、子供が3歳までは従業員がテレワークを選べることが努力義務とされました。こうした背景のなかで、多くの企業でオフィスの縮小が検討されています。

 

オフィス縮小のメリットと効果

縮小にはどのようなメリットや効果が期待できるのかを解説します。

 

コスト削減

オフィスの縮小により、賃貸オフィスでは賃料などのコスト削減が期待できます。賃料は固定費のなかでも大きな割合を占めることが多く、大幅なコストダウンにつながります。また、オフィスの減床により出社人数が限られると、光熱費や設備費、清掃費、従業員が出社する際の交通費なども削減されます。従業員は通勤にかかる時間や労力を軽減できるため、業務の効率化にも役立ちます。

 

生産性の向上

生産性の向上

オフィスの縮小は、業務の見直しやペーパーレス化を進めるきっかけとなり、業務効率や生産性の向上が期待できます。縮小してもオフィスを快適な環境に整えるためには、ただおしゃれな内装にすれば良いというわけではありません。

 

≫ オフィス移転はペーパーレス化に好都合!その効果と流れを解説

 

例えば、フリーアドレスを取り入れたり、書類を電子化したり、オフィスのあり方を見直す必要があります。現在の働き方にあった快適なオフィス環境が整うことで、業務効率や生産性の向上が期待できるようになります。

 

ワーク・ライフ・バランスの実現

ワーク・ライフ・バランスの実現

オフィスの縮小は柔軟な働き方を加速させ、ワーク・ライフ・バランスの実現にもつながります。ワーク・ライフ・バランスとは、仕事と生活の両方を充実させることを言います。2007年には『仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章』が策定され、社会全体が目指すべき目標となりました。

 

縮小によって出社可能な人数が制限されると、テレワークやリモートワーク、サテライトオフィスなどの活用が促進されます。柔軟な働き方ができることで定着率アップやモチベーションアップも期待できます。誰もが働きやすい環境は、優秀な人材の確保にもつながるでしょう。

 

オフィス縮小のデメリット

縮小にはメリットや効果が見込める一方、どのようなデメリットがあるのか解説します。

 

移転やリニューアルの費用がかかる

縮小や減床リニューアルには、様々な費用がかかります。短期的にはコストや労力がかかるため、長期的なメリットと比較してよく検討しておく必要があります。処分予定の什器やパーテーションについては、中古買取を依頼することで経費削減につながります。オフィスの退去と入居にかかる費用項目と目安を一覧にまとめたので参考にして下さい。

 

オフィスの退去・入居にかかる費用項目と目安
退去(一部返却) 入居
項目 費用目安 項目 費用目安
内装の原状回復費 8千円~3万円/㎡ 敷金(保証金) 賃料の6~12ヶ月程度
パーテーション解体費 1~3千円/㎡ 礼金 賃料の1~2ヶ月程度
不用品処分費 1~3万円程度/1トンあたり 仲介手数料 賃料の0.5~1ヶ月程度
引越し作業費 2~5万円程度/ 従業員1人あたり 保証会社加入料 初回:賃料1ヶ月の50~100%+毎年更新料
*解約違約金 賃料の3~6ヶ月程度
*契約や予告時期による
火災保険料 年間1~3万円程度
    内装工事費 5~10万円程度/㎡
    パーテーション工事費 1~3万円程度/㎡

 

コミュニケーションが不足しやすい

コミュニケーションが不足しやすい

オフィスを縮小すると、対面でのコミュニケーションが不足しやすくなります。縮小後はオフィスワークとテレワークを併用するケースが多いため、従業員同士の会話や挨拶の機会は減ってしまいます。コミュニケーションが不足すると、情報共有が遅れたり、ミスが生じたりしやすくなります。

 

社内コミュニケーションを活性化させるためには、やり取りしやすいオンラインツールの整備や、定期的なオンラインミーティングの開催など、対策が必要になります。また、出社時に気軽に話せるように、オフィスには小さくてもリフレッシュスペースやカフェスペースなどを設けることが望ましいと言えます。

 

モチベーション低下の恐れ

オフィスを縮小する際、ただ面積を狭めるだけでは、従業員のモチベーション低下を招く恐れがあります。これまで対面コミュニケーションを重視してきた方や、縮小をネガティブに感じてしまう方は、環境の変化に不安を覚えるかもしれません。テレワークやリモートワークで孤独を感じないように、一体感や所属感を感じられる取り組みが必要になります。

 

例えば、チームメンバーとのチャットや、定期的な全体ミーティングやイベントの開催などがおすすめです。また、新しいオフィスがおしゃれで機能的なら、縮小をボジティブな気持ちで受け止められるようになるでしょう。

 

オフィスの縮小前にすべき準備4つ

続いて、縮小にあたってどのような準備をすべきか解説します。

 

社内ルール・就業規則の見直し

オフィスの縮小によってテレワークやリモートワークを導入する際は、社内ルールや就業規則を見直すようにして下さい。従来のルールがオフィスへの出社を前提として作られている場合、テレワーク時の出退勤管理や在席確認の方法、評価基準などについて明確にしておく必要があります。

 

また、費用負担の取扱いも決めておくのが望ましいと言えます。通信費や光熱費などは、業務使用分と個人使用分の切り分けが難しいため、一定額を会社負担としたり、テレワーク手当として支給したりといった方法があります。

 

テレワーク・リモートワーク環境の整備

テレワーク・リモートワーク環境の整備

オフィスの縮小には、テレワークやリモートワークの実現が欠かせません。自宅やサテライトオフィス、シェアオフィスなどを利用しても、どこからでも業務が行える環境が必要になります。

 

サテライトオフィスとは、本店から離れた場所に設けた支社や支店より小規模なワークスペースのことを言い、シェアオフィスとは、複数の企業や個人がスペースを共有できるオフィスのことを言います。

 

場所が変わっても支障のないネットワーク環境の構築はもちろんのこと、コンピューターウイルスや情報漏洩を防ぐためのセキュリティ対策なども必須です。

 

ペーパーレス化への取り組み

ペーパーレス化への取り組み

オフィスを縮小するには、書類などのペーパーレス化も必要になります。紙で保存していた書類や資料、マニュアルなどをサーバーやクラウド上に保存することで、次のようなメリットがあります。

 

  • 収納スペースの削減
  • 紙のコスト削減
  • 場所を問わず書類や資料を見られる
  • 環境配慮につながる
  • 検索性が向上して業務効率アップにつながる

 

また、紙の書類やマニュアルを社外に持ち出すことは、紛失や盗難などの恐れもあるため、セキュリティ上も避けるべきです。

 

押印業務の見直し

オフィスの縮小に欠かせないテレワークやリモートワークを浸透させるためには、紙への押印業務も見直しが必要です。いわゆる『ハンコ出社』は業務効率を低下させてしまいます。

 

従来、紙への押印を必要としていた書類には、顧客や取引先に送る発注書や請求書、領収書、上司に決裁を求める稟議書や起案書などがあります。

 

ペーパーレス化に伴い、押印や署名をネットワーク上で完結できるツールや電子契約サービスの導入も検討しましょう。電子署名法や電子契約法により、法的効力も保証されています。

 

オフィスの縮小や減床移転の注意点3つ

最後に、縮小や減床移転の際に特に注意すべき3点を解説します。

 

≫ オフィスを増床する方法は?メリットやデメリットについて解説

 

必要な広さの確保

オフィスを縮小する際、従業員の人数や出社率に応じて必要な広さは確保しなければなりません。厚生労働省の定める労働安全衛生法の『事務所衛生基準規則」では、オフィスには従業員1人あたり10立方メートル以上の気積(床面積×高さ)が必要だとしています。

 

例えば天井高2.5mのオフィスでは、1人に対して約1.2坪(約4㎡)が必要になります。ただし、これは最低限の広さの基準です。快適で働きやすい環境を整えるためには、近年の平均値*でもある1人約2~5坪(約6.6~16.5㎡)の広さを確保することが推奨されます。

 

*参考:ザイマックス創研 1人当たりのオフィス面積調査2024

 

契約上の制約

賃貸オフィスの縮小や移転の際は、事前に契約上の制約を確認して下さい。制約については、賃貸借契約書に書かれています。契約期間満了のタイミングであれば、原状回復の範囲や届け出の有無などを確認しましょう。

 

一方、契約期間内の場合は、中途解約時の制約について確認します。例えば、6か月前に申し出る必要があったり、書面によって通知しなければならなかったり、ビルや契約によって内容が異なります。

 

なかには中途解約を認めていない場合や、解約違約金が発生する場合もあるため、契約条件をよく理解した上で計画を進めて下さい。

 

従業員の健康にも留意

オフィスの縮小に合わせてテレワークを導入する場合は、従業員の健康にも留意しなければなりません。一般的なオフィス什器は、長時間作業しても疲れにくいように設計されています。しかし、デスクワーク環境が整っていないと、腰や肩などを痛めてしまうことがあります。

 

また、対面コミュニケーションの不足から孤独や精神的なストレスを感じてしまうこともあるでしょう。心身の健康は生産性や定着率の向上につながると言われ、近年、『健康経営』や『ウェルビーイング経営』を掲げる企業も増えています。アプリやプラットフォームサービスなどを活用し、従業員の健康管理にも目を向けることが大切です。

 

オフィス縮小のメリット・デメリットと減床移転の注意点3つ【まとめ】

オフィスの縮小を考える背景には、テレワーク等の普及や働き方改革の推進、オフィス賃料の値上げなどの理由があります。縮小のメリットは、賃料や光熱費といったラーニングコスト削減のほか、生産性向上やワーク・ライフ・バランスの実現が期待できることなどです。縮小や減床移転の際は、事前に就業規則の見直しやテレワーク環境の整備などを行い、モチベーション低下や社内コミュニケーション不足への対策も講じておきましょう。また、確保すべき広さや契約上の制約に注意しながら進めるようにして下さい。

 

 

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