整骨院を開業する際、内装計画の中でも悩みやすいのが「施術室や待合室をどう区切るか」です。整骨院の場合、法律や保健所の指導を満たしつつ、患者さんのプライバシーにも配慮しなければなりません。本記事では、施術所規定のポイントをはじめ、規定を踏まえたパーテーションの活用事例やおすすめパーテーションまで具体的に解説していきます。
整骨院開設の施術所規定と対応手順【必須】
まずは、法律で定められている内容と、保健所で指摘されやすいポイントなどを紹介していきます。整骨院が満たすべき規定や手順について確認していきましょう。
施術所規定
整骨院の内装は、見た目や使い勝手だけでなく、法律で定められた施術所規定を満たす必要があります。
<法律で定められている施術所規定>
| 満たすべき規定 | 内容 | 対象法律 |
| 構造設備基準 | 1|6.6平方メートル以上の専用の施術室を有すること
2|3.3平方メートル以上の待合室を有すること 3|施術室は、室面積の1/7以上に相当する部分を外気に開放し得る、もしくは、これに代わる適当な換気装置があること 4|施術に用いる器具、手指等の消毒設備を有すること |
■あはき法第9条の5第1項
■あはき法第25条 ■柔整法第20条第1項 ■柔整規第18条 |
| 衛生上必要な措置 | 1|常に清潔に保つこと
2|採光、照明及び換気を充分にすること |
■あはき法第9条の5第2項
■あはき法第26条 ■柔整法第20条第2項 ■柔整規第19条 |
これらを満たしていない場合、開業許可が下りません。そのため、整骨院のレイアウトは法律を前提に考える必要があります。
開設手続きの対応手順
整骨院の施術所には、法律で定められた構造設備基準があり、自由に施設を設計できるわけではありません。
施術所を開設する場合、基本的には以下の手順で手続きを進めます。
<整骨院の新規開設手続きの流れ>※東京都の場合
- 保健所への事前相談
- 建設工事・施設完成
- 整骨院開設
- 開設後10日以内に保健所へ開設届提出
- 保健所の監視員が実地調査(実査)
法律で施術所規定が定められているため、内装の平面図などの必要書類を用意し、事前に管轄の保健所に相談しておくのが安心です。保健所によっては、事前相談を必須としている都道府県もあるため、必ず確認しておきましょう。
また保健所によっては、事前相談がなかった場合に、開設届の受理に難色を示されたり、基準を満たせておらず差し戻されたりするケースも。整骨院の開設をスムーズに進めるために、事前相談が必須でない場合でも、あらかじめ相談しておくのが望ましいと言えます。
保健所の指導項目
整骨院の開設にあたって、保健所が指導する施術所規定に関わる主な項目を紹介していきます。保健所の指導項目は、地域の特性なども考慮して定められています。そのため、都道府県・自治体ごとに異なり、保健所の担当者による裁量も大きく影響すると言われています。ここでは、東京都北区の指導項目を例に紹介していきます。
<保健所の主な指導項目>
| 主な指導項目 | 内容 |
| 施術室と待合室の区画 | ■施術室、待合室の区画は、固定壁で上下左右完全に仕切られているものであることが望ましい
■防災上、固定されたパーテーション等で区画することはやむを得ない |
| 施術所の独立性 | ■施術所は、住居や店舗などと構造上、機能上独立している必要がある
※ただし、一定の条件下で、施術室以外の構造設備を共用することはやむを得ない(施術室は専用であること) |
| 施術室のベッド | ■プライバシーの保護に配慮して、ベッドごとにカーテンを設けることが望ましい
■施術者の人数に対し、ベッドの数があまりにも多いのは望ましくない |
| 1人(両方の免許所有者)で開設する場合 | ■「あん摩マッサージ指圧・はり・きゅう」と「柔道整復」を併設する場合、原則として専用の施術室は各々に必要だが、両方の免許を有する施術者が1人で開設する場合、専用の施術室は兼ねてもかまわない
■専用の施術室は共有(ひとつ)で良いが、ベッドは2台用意すること ■待合室は共有(ひとつ)で良い |
| 免許所有者が2人以上の場合 | ■あん摩マッサージ指圧・はり・きゅうの施術室(6.6平方メートル以上)と、柔道整復の施術室(6.6平方メートル以上)を必ず区画し、施術室への出入り口も別々に設けること
■待合室も、施術室同様に区画することが望ましいが、十分なスペースがあれば共用してもやむを得ない ※ただし、待合室から各施術室に入れる構造であること |
参照:東京都北区
指導基準は地域によって異なる可能性があるため、開設地が決まったら、管轄の保健所に相談し、施術所の平面図などを用いて具体的な指導を受けると良いでしょう。
整骨院におけるパーテーション・仕切りの活用事例
続いて、整骨院の施術所規定に基づくパーテーションの活用事例を紹介していきます。
事例1.施術室と待合室の仕切り
整骨院の施術室と待合室の区画は、固定壁で上下左右完全に仕切られていることが望ましいと指導されるケースが多いです。こちらは「施術室と待合室を仕切りたい」とご要望いただき、施工型パーテーションで天井に近い部分の欄間(らんま)まで塞いだ事例です。
≫欄間(ランマ)オープン・欄間(ランマ)クローズの違いとは?【メリット、デメリットを解説】
実際、著者も整骨院を利用する立場として、周囲の会話や物音が聞こえにくい環境のほうが、余計な緊張がなくリラックスして施術を受けられると感じています。患者さんが安心して身体を預けられる空間づくりという意味でも、欄間を塞いだ区画は有効な選択肢と言えるでしょう。
≫【マダム.リーのかたこり専科様】白色のアルミパーテーション【欄間塞ぎ】を施工致しました
事例2.施術室の個室化
整骨院の施術室には、患者さんが安心して施術を受けられるようプライバシーへの配慮も求められます。こちらは「施工型パーテーション」を用いて施術室を個室風に区切った事例です。
≫【都内某所案件】整骨院にてアルミパーテーション【木目】を設置致しました
入口のドアは設置せず、後日カーテンを取り付ける前提としていますが、出入口が緩やかな仕切りであっても、空間そのものがしっかり囲われていると、個室としての安心感は大きく高まります。
このような心理的な安心感は、施術の満足度にも影響します。そのため、視線を遮るだけでなく、構造的にしっかりと区切られた空間を確保することが、整骨院の内装計画において重要なポイントの一つと言えるでしょう。
事例3.施術室と待合室の完全区画
こちらは施術室と待合室の区画を造作壁で仕切っている事例です。造作壁は上下左右完全に仕切れるため、施術所規定や保健所の指導内容を満たしやすく「区画」に関する指摘を受けにくい点が特徴です。
また、移設ができないため、レイアウト変更の際には作り直しとなる点にも注意。とはいえ、長期運営を前提とし、構造的な独立性を重視したい整骨院に向いた区画方法と言えます。
≫造作壁(LGS壁)とは?パーテーションとの違いや施工事例を紹介
整骨院におすすめなパーテーション
最後に、施術室と待合室を区切ることを求められるケースが多い整骨院において、仕切りに活用できるおすすめアイテムを一気に紹介していきます。
アルミパーテーション【施工型】
アルミパーテーションは、軽量で施工しやすく、コストと性能のバランスに優れています。床と天井で固定するのが施工型パーテーションであり、固定壁に近い区画ができるため、施術所規定への対応もしやすい点が特徴です。
アルミパーテーションの施工例▼
≫【ワタナベ整体院様】ホワイト色のアルミパーテーションを施工致しました
施工型パーテーションは取り外しも比較的簡単なため、将来的なレイアウト変更にも柔軟に対応できます。なお、当社では「新品」「中古」の両方を揃えており、業界最安値を目指した1枚7,400円(税別)から承れます。
≫アルミパーテーションとは?メリットデメリットや施工事例を紹介
スチールパーテーション【施工型】
遮音性や耐久性を重視する場合は、スチールパーテーションがおすすめです。施術音や会話が漏れにくいため、患者満足度の向上につながりやすくなります。費用は他のパネルタイプと比較すると高めですが、長期運営を見据えた選択肢としてご検討ください。
スチールパーテーションの施工例▼
また、施工型パーテーションと聞くとシルバーなどの無機質な仕切りをイメージする方もいるでしょう。実際は、ダイノックシートなどの化粧フィルムを貼れるケースが多いため、お好みのカラーやデザインに仕上げられます。
≫ダイノックシートとは?内装工事でのメリットや施工事例を紹介
自立式パーテーション
自立式パーテーションは、工事を伴わず設置できる点が特徴です。レイアウト変更がしやすく、開業準備期間が短い場合や仮設的な区切りとして活用されることがあります。背の高いパーテーションを用いれば、視線はある程度遮れるため、施術室のベッド区切りなどでも使用できるでしょう。
おすすめの自立式パーテーション▼
ただし、施術室と待合室の区画は上下左右完全に仕切ることが望ましいとしているケースが多いため、区画分けで自立式パーテーションを使用する場合は、保健所からの改善指導が入るケースはゼロではありません。施術室と待合室の明確な区画を目的とする場合は、あくまで補助的な役割に留め、施工型パーテーションと組み合わせて使用するのが安全です。
カーテンパーテーション
カーテンパーテーションは、整骨院の中でもベッドごとのプライバシー確保を目的として多く使われています。保健所の指導項目でも、ベッド単位での視線遮断が「望ましい」とされており、補助的な仕切りとしては有効です。
カーテンパーテーションのイメージ▼
出典:STYLE DART
一方で、施術室と待合室を区画する目的で使用する場合、カーテンのみでは構造的な独立性が不足していると保健所の担当者に判断される可能性もあります。そのため「施術室内のベッドごと仕切り」として活用するのがおすすめです。
アコーディオン
アコーディオンパーテーションは自立式の一種。開閉できる可動式の間仕切りとして、限られたスペースを有効活用したい整骨院に向いています。使わない時間帯は収納できるため、施術室や待合室を一時的に広く使いたい場合に便利です。
おすすめのアコーディオンパーテーション▼
ただし、簡易構造の製品では固定性や区画の独立性が不足し、施術所規定の「区画」として認められにくいケースもあります。常設の仕切りとして導入する際は、床・天井にレール固定できるタイプを選び、常設区画として使用できるかを保健所に事前確認するのが良いでしょう。
整骨院にパーテーションを取り入れてスムーズな開業を叶えよう!
整骨院を開設する際は、法律で定められている施術室の構造設備基準や衛生管理を守り、保健所の指導内容に沿った内装計画にすることが大前提です。そのためには、施術室と待合室を明確に区切ることや、患者さんのプライバシーに配慮して安心して施術を受けられる施術室のレイアウト設計が欠かせません。
またパーテーションの種類や設置方法によっては、保健所の担当者から変更を求められるケースもあるため、事前相談は重要です。当社では、整骨院での施工も数多く手がけてきました。これまでの経験を踏まえた具体的なアドバイスも可能ですので、開業準備でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。





















