間仕切工事やパーテーションは、空間を仕切るために活用されています。簡易的に仕切りたいのか、本格的な壁を建てたいのかによって、選ぶべき間仕切りが異なります。今回は、間仕切工事の種類とそれぞれのメリット・デメリットをご紹介し、耐用年数や勘定科目についても解説します。
間仕切工事の種類と費用
そもそも間仕切工事とはどのような作業なのでしょうか。種類や特徴、それぞれの費用について解説します。
間仕切工事とは?
建物の内部空間を仕切る工事のことです。間仕切工事やパーテーションは、頑丈な素材を使ってしっかり固定するタイプから、自立式の簡易的なタイプまで様々な種類があります。賃貸オフィスでは、自分達が使いやすいように間仕切工事を行った場合、オフィスを解約する際は、撤去して原状回復する必要があります。
間仕切工事の種類と費用
オフィスの間仕切りには、固定式、組立式、自立式の3種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
【固定式】ハイパーテーション
床から天井までの高さがあり、しっかり固定する間仕切りです。ドアや鍵も付けられ、多数の人が使う場所に向いています。ハイパーテーションは、施工型パーテーションとLGS造作壁の2つに分類されます。
●施工型パーテーション
パネル式やスタッド(支柱)式で、『可動間仕切り』とも呼ばれています。素材によってスチールパーテーション、アルミパーテーション、ガラスパーテーションの3種類に分かれます。
●LGS造作壁
軽量な鉄骨や石膏ボードを用いて、内装工事で建てる仕切り壁のことです。デザインの自由度が高く、多彩な表現ができます。企業の顔とも言うべきエントランスや応接室などに用いられることが多いでしょう。
【組立式】ローパーテーション
高さが天井までは届かない、組立式の間仕切りです。パネルは高さや幅にバリエーションがあり、支柱などを使ってL字やコの字型などに組立てます。コピーコーナーやパントリーコーナーを作ったり、ドアを付けて簡易的な部屋を作ったりできます。レイアウトによっては、床や壁に固定する場合もあります。
【自立式】衝立(ついたて)、自立パーテーション
工事が不要で、簡易的な間仕切りです。卓上タイプと床置きタイプがあります。卓上タイプは、目隠しや飛散防止に活用され、床置きタイプは簡単な仕切りに利用されます。軽い樹脂や木などで作られた既製品が多く、安定脚やキャスターなどで自立します。
間仕切工事の各種メリット・デメリット
次に、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
施工型パーテーション
〈メリット〉
一度設置しても、解体して移設できることがメリットです。レイアウト変更などがあっても、材料を再利用して長く活用できます。素材や性能にバリエーションがあり、求める性能や予算に合わせて選べます。なかでもアルミパーテーションは、費用が安く、カラーバリエーションも豊富でコストパフォーマンスの高い間仕切りです。スチールやガラスのパーテーションは、防音性やデザイン性の高さが魅力です。
〈デメリット〉
天井や床にしっかり固定するため、専門業者による施工が必要です。パーテーションで天井まで塞ぐ場合には、消防署や入居するビルに届け出が必要になったり、消防設備や空調の移設・増設が必要になったりします。また、スチールパーテーション、ガラスパーテーションは、アルミパーテーションより費用が高くなり、工事には時間も要します。
LGS造作壁
〈メリット〉
デザインの自由度が高く、曲線や波型などにも建てられることが魅力です。造作壁の表面には、木や石材、タイル、クロスなど様々な素材が使え、ディスプレイやサイン、間接照明などを用いた表現も可能です。
〈デメリット〉
LGS造作壁は一度建てたら、動かせないことがデメリットです。壁の下地にLGSという軽量鉄骨を用いた間仕切りで、石膏ボードを貼った上に表面仕上げをしています。凝った作りやデザイン表現ができる反面、移設はできません。
ローパーテーション
〈メリット〉
パネルのバリエーションが豊富なことや、簡単に移設できることがメリットです。パネルは、サイズや色、素材などが選べます。高さは、デスクを囲うときに使う1m程度のものから、ドアが付けられる2m程度のものまであります。また表面の素材は、カラフルなクロスや木目柄、ホワイトボードとして使えるタイプなどがあります。
〈デメリット〉
ローパーテーションはレイアウトに制限があることがデメリットです。レイアウトに気を付けないと、倒れるリスクがあるためです。例えば、直線のみのレイアウトは避ける、3面以上は直線に連結してはいけない、といった制限があります。コーナー部が多いほど安定するため、T字型やH型は、耐震性が高いとされています。
衝立、自立パーテーション
〈メリット〉
工事が不要で、導入費用が安いことが魅力です。軽量なため、簡単に動かせることもメリットと言えます。
〈デメリット〉
軽いがゆえに、倒れやすいことがデメリットでしょう。また、安定脚やキャスターが出っ張ってしまうため、じゃまになったり、つまずいて転んだりというリスクがあります。人通りが多い通路や、スペースが狭い場所には向いていません。
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間仕切工事・パーテーションの耐用年数と勘定科目
最後に、間仕切工事をした際の会計処理について解説します。減価償却の対象になるのか、耐用年数はどれくらいか、また勘定科目はなにかなど、詳しく解説していきます。
そもそも減価償却って?
高額なものを購入したとき、費用を何年かに分けて経費計上することをいいます。資産は時間の経過によって価値が減るという考え方に基づき、使用可能な年数に応じて、取得額を費用化していきます。資産として減価償却の対象とする目安は、取得金額10万円以上の場合です。
耐用年数とは
長期にわたって使える資産の、使用可能年数のことです。耐用年数は勝手に決めることはできず、資産の種類によって、法令で年数が定められています。減価償却資産は、それぞれの耐用年数に従って、各年度にわけて費用化します。
間仕切工事の勘定科目はなに?
資産は勘定科目に分ける必要があります。間仕切工事やパーテーションも、資産として扱う場合、勘定科目は、『建物』と『建物附属設備』に分けられます。移設できないタイプは『建物』と一体として、移動や移設ができるタイプは『建物附属設備』の可動間仕切りとして扱われます。
間仕切工事の耐用年数
組立や工事が必要な間仕切りは、種類や構造によって耐用年数も異なり、次の3つに分類されます。
- 『建物』に分類される、移設できない間仕切り
- 『建物附属設備』に分類される可動間仕切りのうち、簡易的なもの
- 『建物附属設備』に分類される可動間仕切りのうち、上記以外のもの
それぞれ詳しく見ていきましょう。
『建物』に分類される、移設できない間仕切り
移設できないタイプは、建物と一体として扱われます。内装工事でつくるLGS造作壁やスライディングウォール(移動間仕切り)などが該当します。
『建物附属設備』に分類される可動間仕切りのうち、簡易的なもの
移設できる可動間仕切りのうち、簡易的なものは、耐用年数3年とされています。自立パーテーションや天井まで届かないローパーテーションなどが該当します。材質や構造が複雑ではなく、簡単に移動や撤去できるものを指します。
『建物附属設備』に分類される可動間仕切りのうち、上記以外のもの
移設できる可動間仕切りのうち、簡易的なもの以外は、耐用年数15年とされています。施工型パーテーションである、スチールパーテーションやアルミパーテーション、ガラスパーテーションなどが該当します。
間仕切工事・パーテーションの勘定科目と耐用年数の一覧
間仕切各種の勘定科目や耐用年数を表にまとめました。会計処理の参考にして下さい。
間仕切工事・パーテーションの勘定科目と耐用年数 | |||
勘定科目 | 間仕切工事・パーテーション | 耐用年数 | |
移設の可否 | 例 | ||
消耗品 | 自立式 | 衝立(10万円以下) | 1年未満 |
建物 | 固定式 移設できない |
LGS造作壁 | 建物の耐用年数又は賃貸借期間など |
移動間仕切り(スライディングウォール) | |||
建物付随設備 | 自立式・組立式 移設できる(簡易的) |
自立パーテーション ローパーテーション等 |
3年 |
固定式 移設できる(上記以外) |
可動間仕切り(スチール・アルミ・ガラス) | 15年 |
間仕切工事の費用やメリット、耐用年数を解説【まとめ】
間仕切工事と一口に言っても、ハイパーテーション、ローパーテーション、衝立などの種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、求める役割や性能によって選ぶようにして下さい。また、構造によって勘定科目や耐用年数が異なります。購入した際は、種類によって適切な会計処理をしましょう。