オフィスを移転する際や、ネットワーク速度を見直したい時、IT化を促進したい時は、LAN工事を業者へ依頼すると思います。今回はLAN工事に関する費用の目安やネットワーク改善費用に関して解説していきます。オフィスを移転する方やネットワーク形態を見直そうとしている会社様の参考になればと思います。
LAN工事の費用算出に関して検討すべき点と登場する3つの業者
LAN工事をする際は、以下の規模や内容によって費用が大幅に違ってきます。
- 会社の規模
- パソコンの数、人数
- フロア選定に関して
- 実現したい内容
社内のネットワークで何を実現したいかを明確にするとLAN工事の費用も明確になります。オフィスでLAN工事を行う際には一般的に以下の3つの業者が登場します。
- LAN配線施工業者
- ネットワーク業者
- OAフロア施工業者
概算ではありますが目安となる工事費用を以下でご紹介します。また、LAN工事を依頼する前の工事業者との関わり方もアドバイスさせていただきます。
会社の規模に応じたLAN工事に必要な機器の費用目安
会社の規模に応じてLAN工事の費用は増加していきます。その中で一種の目安となるものがネットワーク機器の個数とLANケーブルの長さと本数です。以下が一般的に必要な機器とその費用目安です。
- LANケーブル カテゴリー5e・・・5m 1100円
- Gigaハブ・・・8ポート 6050円
- Yamahaルーター(RTX830)・・・75000円
会社の規模や人数に応じて金額が大きく異なるため現状の業務にあった、以下の仕様をネットワーク業者と話し合いましょう。
- LANケーブルは何本必要なのか
- Gigaハブは何個必要なのか
- ルーターは現在のスペックでいいのか
- 選定する機種や長さによって
LANケーブルに関して
LAN配線をする前に、まずは以下のLANケーブルのカテゴリーを選定しましょう。
- カテゴリー5
- カテゴリー5e
- カテゴリー6
- カテゴリー6A
- カテゴリー7
- カテゴリー8
上から下にかけて通信速度が速いケーブルになります。自社の業務内容によって使用するLANケーブルを選定しましょう。例えば、オンライン上での業務や、サーバー等を使用する業務がある企業の場合はカテゴリー6以上を推奨します。エクセルやワードといったoffice関係の業務のみの作業が多い場合はカテゴリー5e程度のもので十分です。
ハブ関係機器に関して
LANケーブルで速いものを選定しても、間に設置するハブが速度の遅いものだと意味がありません。現在のハブはGiga対応のモノがほとんどなのですが、Gigaに対応していないハブが1個でも混じっていると、そこから下のネットワーク機器やパソコンの速度は低下してしまいます。
例を使って解説します。
①ONU→②ルーター関係機器→③Giga対応ハブ→④Giga未対応ハブ→パソコン
上記のネットワーク関係の接続順があります。
このように間に1つでも速度の劣る機器が存在すると、その機器に速度が調節されてしまいネット通信が遅い原因になります。LAN工事を実施する際は1度ハブ関係の機器の見直しをすることも重要なポイントです。
ルーターに関して
ネット環境を利用する際に必ず必要となる機械がルーターです。ルーターとは1回線のネットワークを複数台の端末に接続させる機械のことを言います。詳しく説明すると、データをネットワーク層で、どのルートを通して転送すべきかを指示する機械のことです。このルーターという機械に関して、速度の遅いものや、古いものを使用している場合は、ネットワーク環境下において全体的に速度が低減する原因の一つとなります。
ルーターの値段に関しては会社内でどういうネットワークを組むかで大きく違ってきます。社内でのみネットワークを完結させるのであれば、BUFFALO社などのルーターで十分ですが、例えば、社外から会社ネットワーク内の『共有ファイルを閲覧・編集できるようにしたい』という要望があれば、Yamaha社などの「VPN(Virtual Private Network)」機能があるルーターにしなければいけません。VPNに関してはLAN工事の業者だけでは対応できないので、ネットワーク業者に依頼することをおすすめします。これはLAN工事をする際の費用に大きく関わってくるため重要なポイントです。
【参考例】LAN工事の際の費用目安
1つの会社を「参考例」にしてLAN工事費用を算出していきます。LAN工事の費用に関しては社員の人数や会社の規模、拠点数によって異なります。
- 業種:建設業関係
- 人数:20人前後
- パソコン数:20台前後
- ネットワーク機器:サーバー(ファイルサーバー)、ルーターは交換
- 工事内容:オフィス内LAN工事を希望されネットワーク機器等の見直し
- 希望:OAフロア、パソコン関係は全て有線接続、VPN構築
- 実施工事内容:OAフロアを敷き、ネットワーク機器、LANケーブル等は床下配置
- パソコン関係、サーバーなど、そのまま使用する機器は自社の社員で移動または接続
OAフロアに関しては1m×1m=6500円~15000円が目安になります。今回は25㎡事と考え、機器の料金は250,000円(税抜)で計算します。OAフロアの工事に関して+で施工業者の人件費が加算されます。目安ですが半日で20,000円、1日作業で40,000円程度かかります。そのためOAフロアを敷くだけでも単純計算で290,000円(税抜)の費用が掛かります。
そして、LAN工事の費用に関しては『LAN配線施工業者』と『ネットワーク業者』が、それぞれLAN配線工事やネットワーク機器の設定作業をするため、さらに現地作業分の作業費が加算されます。
パソコンの台数や机の台数によってLANケーブルの本数は異なりますが、
- LANケーブル:20〜30本(2m)=16,000円〜24,000円( 800円/1本 )
- ハブ(8ポート):4〜7台 =39,160円〜68,530円( 9,790円/1台 )
- ルーター(Yamaha):1台 =75,000円
- 設定費用:80,000円(税抜)※VPN構築作業費含む
上記の機械を購入し設置すると料金の最大合計が 247,530円(概算)になります。
LAN工事に関して注意すべき5つのポイント
LAN工事を実施する際に注意するポイントを5つご紹介します。LAN工事を実施する前や、実施する際に必ず確認しておきましょう。
» オフィスのネットワーク構築の種類や注意点を中心に詳しく解説
インターネット回線は速度の出るものか?
LAN工事を実施しても、古い機器や速度の遅い機器を使用するのであれば意味がありません。逆に言うと機器が良ければ、インターネット回線だけを変更するだけで速度が改善される可能性もあるので事前に確認しましょう
段取りを明確にする
LAN工事の費用を確認して契約すると決まったら、以下を明確化ししっかりと段取りを行いましょう。
- 機械の調達
- LANケーブル施工業者との打ち合わせ
- ネットワーク業者との打ち合わせ
でないと、LAN配線工事を担当している業者と、機械を調達してくれた業者の日程が合わず工事日が先送りになる可能性もありますので注意しましょう。
ネットワーク構成図を作成してもらいましょう
LAN工事の費用を算出してもらったら、その見積もりを基にネットワーク構成図を作成してもらいましょう。ネットワークの構成を可視化することで、どこのパソコンにどの機械からLANケーブルが伸びるのかがかわります。ネットワーク構成図があれば、それを基にネットワーク機器の位置を把握できるので、LAN配線施工業者が容易にケーブルを設置することができます。
LANケーブルが繋がっている箇所の場所を明記する
実際にLAN工事を実施する際は、LANケーブルがどのパソコンにつながっているのか、もしくは、どの機械につながっているのかを明記にしておくといいです。後にネットワーク関係の不具合があった際に原因を特定しやすくなります。OAフロアだと床下配線になるので確認しづらく複雑にみえます。そのため、機械が接続されているLANケーブルのコネクター部分にテプラなどでわかりやすく明記することをおすすめします。
ネットワーク機器の見直し
LAN工事の費用で大半を占めるネットワーク機器ですが、スペック過多になっても意味がありません。実際に自社の業務内容を確認した上で本当にそのスペックの機器が必要なのか、しっかり検討しましょう。必要のないスペックの機器やLANケーブルを購入しても意味がありませんし、費用的に考えても無駄があります。
LAN工事の費用目安は?ネットワーク機器の価格を含め解説【まとめ】
現在コロナ禍の影響により、多くの会社で社内ネットワーク環境を見直す機会が増えてきています。概算ではありますが、参考例を交えてLAN工事の費用に関して算出させていただきました。社内ネットワークを見直し改善する際の参考になれば幸いです。