同向式はあまり一般的なレイアウトではありませんが、業務内容との相性次第では快適な作業環境を確保できます。本記事では、同向式についてメリットとデメリット、レイアウト事例を紹介します。オフィスレイアウトに変化がほしいという方はぜひ参考にしてみてください。
同向式レイアウトとは?
同向式は、すべてのデスクを同じ方向に配置したレイアウトで、研修室や学校の教室をイメージするとわかりやすいでしょう。ただし、業務で使用する場合は、研修室で使用されるような長机ではなく、オフィスデスクを設置します。コミュニケ―ションがほとんど不要で、業務に集中できる環境を整備したいという会社にはおすすめのレイアウトです。
おすすめの職種例
職種 | おすすめ度 |
Web制作・エンジニア系 | ◎ |
製図業務 | 〇 |
コールセンター | ◎ |
同向式は、一人で完結する業務や、PC1台ででき業務を行う場合に最適です。Web制作系やコールセンターなどは、基本的に一人で行う業務のため同向式を採用することで最適な作業環境を確保できます。製図業務なども同向式が最適ですが、図面の印刷が必要だったり、打合せが発生したりするケースもあるため、〇としています。
同向式レイアウトを採用する4つのメリット
同向式は、特殊なレイアウトですが採用するメリットも多くあります。ここでは、同向式を採用するメリットを4つ紹介します。
メリット1:プライバシー性が確保される
同向式は、従業員が皆同じ方向を向いているため、プライバシー性が確保されています。隣のデスクとの間に空間を設けたり、デスク前方や両サイドに卓上パーテーションを設置したりすることでさらにプライバシー性を高めた空間を作ることができます。独立した空間を作りやすいため、コミュニケーションを取る頻度が少ない業務において最適なレイアウトです。
メリット2:業務に集中できる
プライバシー性が確保されるだけでなく、業務に集中できるというメリットもあります。卓上パーテーションなどで周囲と遮断することができるため、作業に没頭することができます。また、従業員間のコミュニケーションにチャットツールを使用することで、不意に話しかけられることも無く業務効率を各段にアップさせることができるでしょう。
メリット3:講義などが行いやすい
従業員全員が同じ方向を向いているため、講義や勉強会などが行いやすいレイアウトとなります。全員参加型の勉強会や事例共有会などを行う場合、わざわざ会議室などに移動する必要もなく着席したまま行う事が可能です。会議のように全員が発言したり意見交換したりする場合には向きませんが、発言者が一人でその他のメンバーは傍聴するだけといった形式のミーティングには最適です。
メリット4:フリーアドレスに向いている
同向式は、固定席型の運用だけでなくフリーアドレスにも最適です。個人で業務が完結するような働き方に向いているレイアウトのため、フリーアドレスやABWといった好きな時間に好きな場所で業務を行える業務形態におすすめです。また、営業職など外回りが多く、事務所でサクッと作業をしたいという場合にも向いていると言えるでしょう。
≫ フリーアドレスとは?メリットデメリットや抑えておきたいポイント
同向式レイアウトの4つのデメリット
同向式は、メリットも多いですが特殊なレイアウトのため、採用を検討する際はデメリットも考慮しておきましょう。ここでは、同向式のデメリットを4つ紹介します。
デメリット1:コミュニケーションが取りづらい
同向式は、全員が同じ方向を向いているため双方向のコミュニケ―ションを取ることが難しいレイアウトです。着席時は、個人の業務に集中することに特化しているため、コミュニケーションを必要とする場面では、打合せエリアや会議室に移動する必要があります。業務中のコミュニケーションは、チャットツールを活用することで業務を円滑に進められるように工夫しましょう。
デメリット2:後ろから視線を感じる
同向式は、レイアウトの特性上後ろからの視線が気になる人もいるかもしれません。一般的なオフィスデスクを使用すると前方が丸見えのため、卓上パーテーションを設置して前方が見えないような措置をすることで解消できます。
デメリット3:スペース効率が悪い
同向式は、背面式や対向式と比較するとスペース効率が悪いレイアウトになります。そのため、狭いオフィスや細長い形状のオフィスで採用する場合は配置を工夫する必要があります。ゆとりのあるスペースを確保したい場合は、ある程度面積に余裕のあるオフィスが必要です。
≫【島型】対向式レイアウトとは?メリットやデメリットを解説!
デメリット4:個人のスペースが狭い
同向式は、一般的なセミナー型のレイアウトを採用する場合、個人のスペースが狭く感じられるかもしれません。個人の空間を広く確保するためには、ある程度のスペースが必要となるため、オフィス面積によっては同向式を採用できない可能性もあります。
同向式レイアウトを採用する際のポイント
同向式は、一般的な対向式や背面式のデスクレイアウトと異なり、慎重に検討する必要があります。ここでは、同向式を採用する際に失敗しないために、注意すべきポイントを4つ紹介します。
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ポイント1:業務内容との相性
同向式は、コミュニケーションが取りづらく、集中して業務する場合や、セミナーや講義を行うことに特化したレイアウトです。そのため、採用を検討する際は業務内容との相性を考慮する必要があります。頻繁にコミュニケーションを取りながら業務を進めるような職種だと、使い勝手が悪く感じられるでしょう。実際に業務を行うことをイメージしたり、従業員にヒアリングしたりして、同向式が最適かどうかの判断を行う必要があります。
ポイント2:配線ルート
同向式は、配線ルートが難しいレイアウトです。デスク下に床用埋め込みコンセントを設置することが理想ですが、増設する場合はかなり大がかりな工事となります。そのため、既存のコンセントから延長コードを床上に這わせてデスク付近に持ってくるか、天井から吊り下ろすかの2択となります。予算や床の状況等に応じて配線ルートを検討しましょう。
ポイント3:ゆとりのある通路寸法の確保
同向式は、配置方法によって様々な通路が必要となり、通路ごとに適切な寸法を確保する必要があります。1人が通るためには600mm以上、2人がすれ違うためには1200mm以上、余裕をもって2人が通れる通路は1600mm以上必要となります。デスクの後ろは1人が通れる程度の寸法を確保し、デスク間やデスクと壁の間は2人がすれ違えるような寸法を確保すると良いでしょう。
ポイント4:詳細検討
同向式は、一般的なレイアウトではないため、デスクの配置替えを行う前に寸法など詳細を検討しておくことで失敗を防ぐことができます。実際のオフィスと縮尺を合わせた図面を用意し、実際にデスクを落とし込むことで通路幅や設置できるデスクの数を検討することができます。事前に検討しておくことで、コンセントの配置や照明の配置などの整合性も確認することも可能です。
ポイント5:状況に応じたアレンジ
同向式は、状況に応じたアレンジが必要です。基本レイアウトとしては、学校の教室や研修室のように長机に椅子を並べたレイアウトです。研修・セミナーなどを行う場合は問題ありませんが、業務を行う場合は少し物足りないと感じるでしょう。そのため、執務エリアに同向式を採用する場合は、オフィスデスクを配置したりパーテーションなどの目隠しを設置したりと状況に応じたアレンジが必要となります。
同向式のレイアウト事例
同向式は、デスクの向きが同じというシンプルなレイアウトですが、様々なアレンジが可能です。ここで紹介するレイアウト事例を参考に、オフィスに合わせた最適な配置を検討しましょう。
事例1:セミナー型
セミナー型は、同向式の中で最も一般的なレイアウトです。セミナーや講義専用の空間であれば長机でも良いですが、業務を行う場合はオフィスデスクを配置する必要があります。
事例2:狭小オフィス型
狭小オフィス型は、机を2列配置するレイアウトです。スペース効率も良く、一人一人のスペースが独立しているためプライバシーの確保も可能です。全員でコミュニケーションを取ることは難しいため、全体での議論が必要な場合はミーティングスペースや会議室が別途必要となります。
事例3:専有エリア重視型
専有エリア重視型は、セミナー型をベースとしており、一人一人のスペースを広く確保したレイアウトです。さらに、プライバシーを確保するためにデスク前方と左右にパーテーションを設置しています。パーテーションがあり、コミュニケーションが取りづらいレイアウトのため、チャットツールの使用をおすすめします。
事例4:自習室型
自習室型は、個々のデスクを独立させて自習室やコワーキングスペースのように配置したレイアウトです。パーテーションにて区画することで、プライバシー性を向上させることができ、仕事がしやすい空間となります。固定席型のオフィスだけでなく、フリーアドレス型やABW型のオフィスにもおすすめできるレイアウトです。
同向式レイアウトは個人で完結する業務におすすめ
本記事では、同向式のメリットとデメリット、レイアウト事例を解説しました。同向式は、対向式や背面式と比較して特殊なレイアウトのため、オフィスの状況や業務形態を考慮した上で検討しましょう。業務に集中しやすく、プライバシーも確保できるレイアウトのため、一人で完結する業務が多い場合、非常にオススメのレイアウトです。
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