オフィスの中で最も面積を占めるエリアが執務スペースです。デスクの配置を変えるだけで、スペースを有効活用できたり、業務効率を上げることも可能です。本記事では、様々なデスクの配置方法のなかで最も一般的な対向式(島型)レイアウトについて解説します。
(島型)対向式レイアウトとは?
対向式レイアウトは、デスクを向かい合わせで配置するレイアウトです。規模の大きいオフィスの場合、部署やグループごとにブロックを作って配置することもあるため、島型と呼ばれることもあります。
背面式との比較
対向式 | 背面式 | |
コミュニケ―ション | ◎ | 〇 |
スペース効率 | 〇 | ◎ |
プライバシー性 | ✕ | △ |
一方で、背面式はメンバー同士が背中を向き合わせているため、プライバシーの確保ができます。また、椅子を回転させることで容易にコミュニケーションを取ることが可能です。
(島型)対向式のレイアウトパターン
対向式(島型)のレイアウトは、大きく分けて3つのパターンに分けられます。微妙な違いですが、それぞれについて紹介します。
パターン1:上長席あり
まず1つ目は、上長席ありのレイアウトです。1つのグループで1つの島を使用する場合、島全体が見渡せるように上長用の机を配置します。他部署の人が上長の席を把握しやすいというメリットがありますが、本来2つの机をおけるスペースに1つしか机を配置することができません。そのため、面積に余裕がある場合に採用すると良いでしょう。
パターン2:上長席なし
上長席なしのレイアウトの場合、真ん中か端に上長が座ることが一般的です。スペースを有効に活用できますが、他部署の人が来た時にどこが上長の席かわからないといったデメリットもあります。複数部署があるような規模の大きい会社ではなく、小規模オフィスなどにおすすめです。
パターン3:複数列
複数列のパターンは、1つの部署・グループで複数の島を配置するレイアウトです。規模の大きな会社や、1つの部署しかない小規模な会社で採用されます。上長席の配置は、会社の状況などにより異なりますが、島とは別の場所に配置することが一般的です。
(島型)対向式の4つのメリット
対向式(島型)は、最も一般的なレイアウトのため多くの企業で採用されています。ここでは、対向式(島型)を採用する4つのメリットを紹介します。
メリット1:上長が指示を出しやすい
対向式(島型)は、部署やグループのメンバー全員が向き合っているため、指示が出しやすいといったメリットがあります。メンバーは席の向きを変えることなく、上長の話が聞けるため、指示や伝達事項などを共有しやすいレイアウトです。席に座った状態でミーティングもできるため、わざわざ場所を移動する必要もなく、効率よく業務を行うことができます。
メリット2:チームとしての一体感がある
対向式(島型)は、メンバー全員が同じブロックに座っているため、チームとしての一体感があります。部署・グループのメンバー同士の動きも把握しやすいため、効率よく業務を行うことができます。また、他部署の人から見ても、部署のメンバーが一目でわかるため、部署間のコミュニケーションもとりやすいと言えるでしょう。
メリット3:コミュニケーションが取りやすい
部署やグループの全員が向き合っているため、メンバー同士のコミュニケーションが取りやすく、業務が進めやすい環境です。業務中だけでなく、休憩時間などもフランクに会話ができるため、良好な関係を築くことができます。また、他の人の会話も耳に入るため、他のメンバーからアドバイスをもらいやすいと言うメリットもあります。
メリット4:コンセントを設置しやすい
環境作りに関するメリットとして、コンセントを配置しやすいことが挙げられます。机が一箇所に固まっているため、机の中央に電源を設置することで、各机にパソコン用のコンセントを配置しやすくなります。机同士がくっついているため、配線を隠すことができ、見栄えも良くなるというメリットもあります。
(島型)対向式の4つのデメリット
対向式(島型)のレイアウトは、多くの企業で採用されていますが、メリットばかりではありません。ここでは、4つのデメリットを紹介します。
デメリット1:プライバシーの確保ができない
部署やグループのメンバーが向かい合って着席するため、プライバシーの確保が難しくなります。上司や同僚から常に見られている状況で仕事をすることになるため、気になる場合は卓上パーテーションを設置して着席時にお互い目が合わない状況を作る必要があります。
デメリット2:作業に集中しづらい
対向式(島型)はメンバー同士の距離も近くなるため、電話やリモート会議の声、タイピングの音などが気になってしまい、作業に集中しづらい環境です。また、コミュニケーションが取りやすいために話しかけられる頻度が高くなり、その結果なかなか業務に集中できないと言う状況も考えられます。
デメリット3:窮屈に感じられる
対向型(島型)は、部署やグループのメンバーがまとまって着席するため、少し窮屈に感じられるかもしれません。レイアウト上、机同士の距離も近くなるため、近いと感じる方もいるでしょう。解消するためには、幅の広いデスクを使用することでメンバー同士の距離を確保することができます。
デメリット4:スペース効率が一番良い訳ではない
対向式レイアウトは、最も一般的なレイアウトでスペース効率も良さそうですが、実は一番スペース効率が良いレイアウトは背面型です。オフィス面積が狭く、少しでもスペースを有効活用したい場合は、対向式ではなく背面式を採用しましょう。
対向式レイアウトを設計する際の注意点
デスクレイアウトの変更や模様替えの際、対向式を採用する際の注意点を解説します。
注意点1:コンセントや照明器具の配置
コンセントとデスクの位置関係が重要です。OAフロアの場合、デスク直下にコンセントを設置すれば良いですが、床下に配線を通せない場合は天井からおろすか、壁から床を這わせて持ってくる必要があります。コンセントの位置を踏まえたレイアウト設計を行いましょう。
注意点2:動線を考える
対向式レイアウトを採用する場合は、従業員の動線を考慮した設計が必要です。机が向かい合うため、2つの動線を考慮する必要があります。なるべく不公平の無いような配置を検討しましょう。
注意点3:プライバシー確保
机が向かい合わせの配置となるため、プライバシーの確保を考慮した対策が必要です。また、机の距離も近くなるため窮屈に感じられるため、工夫が必要となります。
- 卓上パーテーションの設置
- 横幅の広いデスクを使用
- 机との間に棚を設置
こういった対策を行い、プライバシーを確保できるようにしましょう。ただし、机同士が向かい合っていることで、コミュニケーションが取りやすいといったメリットもあります。状況に応じて検討しましょう。
注意点4:寸法の確認
対向式レイアウトだけに限りませんが、レイアウト設計の段階で寸法の確認を行いましょう。机と壁の距離や、複数の島を配置する場合は島同士の距離など、最適な寸法を設定する必要があります。オフィスの実測図を作成し、寸法を確認しながらレイアウトの設計を行いましょう。
対向式レイアウトの例
対向式は、シンプルな配置ですが、レイアウトを行う場合、様々なバリエーションがあります。ここでは、一般的なレイアウトだけでなく当社オリジナルの事例も合わせて紹介します。
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事例1:キャビネット付き
各島ごとに共有キャビネットを設置した事例です。グループごとにキャビネットを設置することができるため、小さなオフィスから大きなオフィスまで様々な場面で利用が可能です。
事例2:斜め配置
シンプルな対向式レイアウトですが、こちらの事例のように斜めに配置することで、おしゃれな空間を作ることができます。固定席としての運用だけでなく、グループアドレスとして運用する場合にも最適です。
事例3:ブース型
ブース型は、コミュニケーションが取りやすい対向式のメリットを無くし、個々のプライベートな空間を優先したレイアウトです。集中して作業ができますが、コミュニケーションが取れないため、社内であってもチャットツールでやり取りする必要があります。
事例4:プライバシー確保型
プライバシー確保型は、デスクの正面と両サイドの視界を遮ることで、対向式でありながら個人の空間も確保できるというレイアウトです。ブース型よりもオープンなため、コミュニケーションも取りやすく適度にプライバシーも確保できます。視界の遮り方は、卓上パーテーションや高さのある棚を設置するのがおすすめです。
(島型)対向式レイアウトは汎用性が高くおすすめ
本記事では、対向式レイアウトについて、メリットやデメリットなどについて解説しました。デスクレイアウトの中で最も一般的な配置のため、とりあえず採用しているという方も多いですが、メリットデメリットなどを把握した上でレイアウトの選定を行いましょう。