瑕疵担保責任から契約不適合責任に!内装工事の保証と期間を解説

内装工事では、業者の施工不良やミスなどが起こることがあります。そんな、不測の事態に備えるために、覚えておきたいのが契約不適合責任です。いざというときに困らないように、内装工事の保証に当たる契約不適合責任の内容や期間、瑕疵担保責任についても解説していきます。

 

内装工事の保証にあたる瑕疵担保責任が契約不適合責任に変更

内装工事の保証期間

2020年4月の民法改正により、瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)が契約不適合責任(けいやくふてきごうせきにん)に変更されました。今までの瑕疵担保責任は、隠れた瑕疵(品質や性能が欠如していること)が存在するときに、損害賠償や契約の解除が認められるものでした。新しく適用された契約不適合責任とは、隠れた瑕疵という文言が削除され、契約通りに工事が行われなかった場合で適用されるようになります。どちらも施主の権利を守るために作られているものですが、契約不適合責任では要求できる保証内容がさらに充実しました。主に、次の3つが当てはまります。

 

  • 予定されている品質の基準を満たしていない(例:フローリングを設置したが、傷だらけだった)
  • 違う種類の商品が使用されていた(例:使用予定だった1000番台のクロスではなく量産型のクロスだった)
  • 数が少ない(例:設置されているダウンライトの数が図面よりも少なかった)

 

このような場合では、契約通りに工事が行われていないため、買主はこれから解説する保証を要求できるようになります。また、民法改正前に契約したものは、瑕疵担保責任が適用されるので、併せて覚えておくといいでしょう。

 

契約不適合責任の保証期間

買主(施主)が契約通りに工事が行われていない箇所を認知してから、1年以内に業者に告知すれば保証されます。以前までは、1年以内に損害賠償や契約の解除などを行わななければいけなかったため、期間に関しても緩和されたといえます。基本的に、施工不良を認知してから1年以内に告知する必要がありますが、納品されている数が足りていない場合では保証期間に制限はありません。また、業者が施工不良を知っていたり重大な落ち度がある場合でも、期限に制限はないので覚えておくと便利です。

 

ほかにも、1年以内に告知していても、業者に要求することなく5年または10年が経過すると、時効によって権利は失われてしまいます。また、気づかないまま10年が経過しても権利を失ってしまうので、注意が必要です。

 

契約不適合責任で要求できる4つの内容

契約不適合責任で要求できるのは、次の4つです。

 

  1. 追完請求
  2. 代金減額請求
  3. 損害賠償請求
  4. 契約解除

 

それぞれについて詳しく解説していきますので、ぜひご覧ください。

 

①修理や交換、足りないものの引き渡しを要求できる追完請求

契約不適合責任では、まず初めに追完請求を要求することになります。これは施工不良を発見したときに、修理や交換、足りないものの引き渡しなどを、買主が選択し要求できる権利のことです。例えば、クロスに剥がれや傷があったときに修理を選択すれば、業者はクロスの剥がれや傷を補修しなければなりません。しかし、買主が不利になる負担を負わせない場合では、業者は買主が要求した内容と異なる方法をとれます。

 

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あくまで例になりますが、買主がクロスの剥がれや傷があった場合に、クロスの張り替えを要求してきても、業者はクロスの補修による対応を選択することが可能です。当たり前といえば当たり前のことですが、工事の不備が買主によるものだった場合には、追完請求を要求できません。

 

②支払金額を減らせる代金減額請求

文字通り、代金の減額を要求できる権利のことです。基本的に、追完請求をある程度の期間を定めて行い、それでも追完請求されない場合に適用されます。しかし、追完請求を行わなくても、次のような場合では、いきなり代金の減額を要求できます。

 

  1. 補修や交換などが不可能なとき
  2. 業者が補修や交換などを拒否しているとき
  3. 特定の日時や期間でないと意味がないとき

 

また先ほどまでと同様に、契約の不適合が買主によるものだった場合には、適用されません。

 

③業者の落ち度に対して要求する損害賠償請求権

損害賠償請求は、損害賠償を要求する権利のことです。工事が契約通りにいかなかった場合、契約通りに納品されたとはいえません。そのため、契約通りに工事が行われなかった場合は、損害賠償を要求できます。しかし、損害賠償を要求できるのは、売主に落ち度がある場合とされています。例えば、運搬時に運んでいたガラスや石膏ボードを壊してしまい納品できなくなった場合が該当します。売主は、自分に落ち度がないことを証明できないと損害賠償を支払わなくてはいけません。

 

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④業者に落ち度がなくても認められる契約解除権

契約解除権には、催告(さいこく)解除と無催告解除の2種類があります。基本的には、債務不履行(義務を果たしていないこと)があったときに、催促してから契約を解除します。これを、催告解除といいます。しかし、なかには履行(契約を全うすること)のチャンスを与える必要がない場合もあります。これを無催告解除といい、次の5つが考えられます。

 

  1. 債務の全ての履行が不可能なとき
  2. 履行を拒否したとき
  3. 一部の履行が不可能で目的が達成できないとき
  4. 決まった日程でないと意味がないとき
  5. 催告しても履行される見込みがないとき

 

具体例を挙げると、家が燃えてしまい納品できないときをさし、これは売主に責任がなくても要求できる権利です。しかし債務不履行が軽い場合には、契約の解除ができません。おおげさに例えると、約束した納期に1分遅れた場合では、債務不履行が軽いために契約解除を要求できないのです。また、工事の不具合が売主によるものだったときも、先ほどまでと同様に契約解除を行えません。

 

注意したい2つのポイント

契約不適合責任は売主を守るための権利ですが、注意したいポイントが2つあります。

 

  1. 契約書が重要
  2. すぐに損害賠償を要求できる訳ではない

 

契約不適合責任を活用するときは、これらのポイントを抑えておきましょう。

 

①契約書が重要

契約通りに工事が行われているかどうかが重要なポイントです。ですから、事前に契約書の内容をしっかり確認する必要があるでしょう。また、双方合意の上であれば、契約不適合責任を負わないといった契約も可能です。しかし、契約不適合責任を負わない契約でも、業者が不良品と知りながら言わなかった場合は、責任を負う必要があります。

 

②すぐに損害賠償が要求できる訳ではない

従来までの瑕疵担保責任では、隠れた瑕疵を見つけた場合、納品後1年以内であれば、損害賠償請求をすぐに行えました。しかし、契約不適合責任では、損害賠償を要求する前に、まず追完請求を行うことが基本です。

 

  • 補修や交換が行えない
  • 売主から補修や交換を拒絶された
  • 契約が解除された

 

などの条件が揃うことで損害賠償を要求できるので、ご注意ください。

 

内装工事を行うときは契約内容をよく確認しよう

この記事では、内装工事の保証にあたる契約不適合責任の内容や保証期間について解説しました。民法改正により、従来までの瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更され、要求できる内容が変更されています。契約不適合責任を活用する前に、この記事を確認しておくといいでしょう。

 

 

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