これはクロスの張り替え工事を依頼しようと考えている方向けの記事です。リフォーム工事の手順から内装工事に掛かる期間と費用の相場を詳しく解説します。また、工事で知っていないと“失敗する”ポイントと“勘違いしやすい”ポイントをプロが実際に経験した失敗例と共に解説していきます。
壁紙・クロス張り替え工事とは
クロス張り替え工事とは、内装リフォーム工事の一部で壁や天井に現在使用されているクロスを新しいクロスに張り替える施工のことです。このクロス張り替え工事は内装仕上げ工事を専門とする職人が施工をします。クロスの張り替えはとても慎重に行う作業で、職人の中には綺麗に装飾する為に『貼るときのズレが1mmも無いように』と、こだわりをもって施工する方がいます。その優れた職人は『腕も勿論大事ですがクロスの張り替えは目がとても大事だ』と言っていました。それぐらい神経を研ぎ澄ませて施工する必要のある工事なのです。
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クロス張り替え工事のメリットとデメリット
メリット
クロスの張り替え工事にはメリットが多くあります。まず他の仕上げ工事よりも施工期間が短いことがあげられます。施工期間が短いと工事のスケジュールを立てやすいといったメリットがあります。また、他の工事よりも低コストで工事が出来るメリットもあり一般的な家庭や店舗・オフィスなどで主流の工事のひとつです。
デメリット
デメリットとしてあげられるのは、多くの内装工事で用いられるためオリジナル性には少し欠けるぐらいです。ですが、今のクロスはデザインも豊富で様々な種類があり、中には見た感じではクロスとわからないようなレンガ調のものや、左官で仕上げたような壁に見えるクロスなどもあり自分好みのデザインが演出できますので、デメリットがほぼ無いと言っても過言では無い工事と言えるのです。
クロス張り替え工事の手順と流れ
まずは現状の壁や天井に貼っている古いクロスを剥がす作業からスタートします。古いクロスを綺麗にすべて剥がすと、石膏ボードがむき出しの状態となります。その上からまずは、不陸調整なども兼ねてパテ処理をしていきます。不陸調整をする理由は、石膏ボードにはボードを壁として使用する為に倒れないように必ずビスが刺さっていて、そのビスが刺さっている場所などをパテ処理せずにクロスを貼ってしまうと、クロスが破れる場合や凹凸が出来るからです。パテ処理をした後は、新しいクロスにノリをつけて綺麗に壁や天井に貼っていきます。また天井と壁とで作業の手順は変わりません。
クロス張り替え工事にかかる期間(施工期間)
張り替え作業にかかる工事期間は職人の作業スピードによって異なりますが、一般的にはトイレなら半日、6帖〜8帖のお部屋の壁と天井の場合は1日で完成します。また、一番時間のかかる作業は新しいクロスを貼る作業です。クロスを貼る作業はクロスを剥がす作業の2倍ほど時間がかかります。また、段差を埋めるパテ処理は施工に時間がかかる場合とかからない場合があります。なぜならパテ処理は作業する範囲によって時間が異なるからです。また張り替え工事が終わった後はクロスや養生などの廃材を回収するだけなので、施工が終わってもグダグダ作業をすることはありません。ですが、この工事に掛かる期間は例外がない場合の一般的な作業スピードです。
例外が有る場合とは、十分な施工スペースが確保できていない場合と、職人の施工スピードが遅い場合が主です。十分な施工スペースが確保できない場合とは、張り替え工事をするのに家具が置いている状態のことです。この場合、家具をどかしながら作業をしないと作業ができない為作業スピードが遅くなります。ですので、通常は施工を始める前に家具は違う場所に移動させて壁際に物を置かないようにします。また、業者によっては荷物移動費を経費として加算することで家具の移動を実施してくれる場合もありますが、その分の費用と時間が必要になる為、できる限り施工が始まる前に家具は移動させておくことをおすすめします。
クロス貼り替えリフォーム工事の費用相場
クロス張り替えリフォーム工事の費用相場について以下の表に記載しております。
量産クロス | 約650円〜1,200円/㎡ |
1000番クロス | 約1,000円〜1,700円/㎡ |
上記の表がクロス張り替え工事の費用相場です。ここでは、量産と1000番の種類の説明を致します。まず量産クロスとは、一般的によく使用されているクロスです。クロスの特徴としましては、色が一色のものやデザインがシンプルなものが多く、生地が薄いところも特徴です。1000番クロスは量産クロスとは違ってカラーバリエーションが豊富でデザインの種類も多いのが特徴です。また、生地も薄いものから分厚いものがあります。ですが、量産クロスよりコストがかかります。また、1000番の場合はクロスの模様を合わせて施工しなくてはいけないので施工費も高くなります。
クロス張り替えリフォーム工事でよくある失敗例とその対策
ここでは筆者の経験を元にクロス張り替え工事での失敗例と対策を紹介していきます。工事を依頼しようと考えている方が知っておいた方が良い情報です。また実際に工事を依頼して頂いた方が間違えやすい点を紹介していきます。
巾木・廻り縁の張り替え
クロスを張り替える際は巾木と廻り縁を“必ず”張り替えた方が良いです。理由は巾木と廻り縁を張り替えずに工事すると施工後にクロスのめくれが発生する大きな原因になるからです。本来、巾木の目的は床と壁の隙間を隠す為であり被せるようにして施工します。その際にクロスも巾木の内側に隠れるのが本来の施工の仕方です。また廻り縁も巾木と同様で天井と壁の隙間を隠す為に施工します。これによって巾木・廻り縁の交換をしないと巾木・廻り縁の内側までクロスを貼ることが出来ないのでクロスのめくれが発生するのです。また、巾木と廻り縁を外さないと養生をしたとしても、パテ処理の時にパテが巾木と廻り縁についてしまったりもします。このようにデメリットが多い為、工事が終わってから失敗したと思わないように事前にクロスの張り替え工事を依頼するときは巾木と廻り縁も一緒に張り替えるようにしましょう。
出隅でクロスを変えないこと
アクセントとして1000番クロスを壁一面に貼る際の注意点ですが、壁の出隅でクロスを変えてはいけません。その理由は、剥がれやすくめくれの原因になるからです。壁には入隅と出隅があり、入隅でクロスを変えるのは問題ないのですが出隅でクロスを変えてしまうとめくれが発生するのです。なので、デザインを考える時に出隅でクロスを変えないように注意して内装工事のプランを立てていきましょう。
雨漏れなどによる影響で壁自体が濡れている場合
雨漏れなどの影響で壁自体が少しでも濡れている場合は、大工工事を入れてボード工事からやり変える必要があります。なぜなら、クロスの張り替えをしようとしてもクロスがくっつかない為に張り替え後のクロスの浮きや膨らみが発生します。絶対に上手く仕上げることはできません。よって雨漏れなどの影響があった場合は必ずボード工事からやり直しましょう。
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クロス張り替えリフォーム工事でよくある誤解
では、次に失敗例ではなく工事が終わったあとに誤解しやすい点を紹介していきます。
クロスに浮き・膨らみがある場合
工事が終わった直後にクロスが浮いている・膨らみがあると言ったフィードバックをいただくことがあります。『空気が入っているのでないか?』と考える方もいますが、これは少し違います。原因はクロスを貼った直後は壁とクロスの間にノリがしっかりとくっつく時間少しかかる為です。壁にクロスがしっかり接着されるまでに1時間〜2時間あれば十分ですが、工事を終えて職人が帰った後に、もしクロスに浮きがあったら依頼者の方は気になると思います。ですが、この場合は次の日になれば浮きや膨らみがなくなります。この知識を知っているだけで安心して工事を任せることができます。
また、次の日になっても浮きがある又は膨らみがある場合は、雨漏れが原因である事例があり、ボード自体が濡れているもしくはボードの一部が浮いているのが原因である事例もあります。この問題の場合は大半がクロス張り替え工事の施工中に職人が気づいて『ここ雨漏れがあります』や『ここにボードに浮きがありますのでクロスが浮く可能性がありますが、そのままクロスを貼って良いですか』と職人も自分の責任にされたくないため前もって必ず報告してくれます。その時にボード工事を依頼すれば浮きはなくなります。
【壁紙】クロス張り替えリフォーム工事の手順や費用に関して【まとめ】
この記事を読みクロス張り替え工事について十分な知識が備わったはずです。失敗例や勘違いしやすいポイントを把握することで、不安なくスムーズに工事を依頼することができます。また、既存のクロスから新しいクロスに変えることで内装のイメージは大きく変わります。是非一度クロスの張り替えを検討してみてはいかがでしょうか。