ビニールクロスは、内装工事でよく使用されている、低価格で施工できるクロスです。しかし、低価格で施工できると知っていても、おおよそかかる費用の相場をあまり知らないのではないでしょうか?そこでこの記事では、ビニールクロスの費用相場や機能、クロスの種類についても解説します。
ビニールクロスとは?その他のクロスとの違い
ビニールクロスとは、ポリ塩化ビニルを主原料とし、紙で裏打ち(裏に紙を貼り付け補強すること)しているクロスのことです。様々な色やデザイン、機能を持った商品が販売されており、実に6〜7万種類の商品が販売されているといわれています。住宅で標準装備されているクロスは、ほとんどがビニールクロスといっても過言ではありません。
紙クロス
紙クロスは、欧米でよく使用されている木材から抽出したパルプが原料の洋紙と、ケナフや亜麻(あま)などを原料にした非木材系のクロス、楮(こうぞ)や三椏(みつまた)を原料にした日本に古くから伝わる和紙を使用しているものがあります。欧米の紙クロスはプリントやエンボス加工した色やデザインのものがあり、非木材系のクロスは二酸化炭素を吸収してくれ、和紙のクロスは吸湿や消臭効果があるといわれています。天然素材で環境にやさしいといわれているものの、水や油に弱く、継ぎ目が目立ちやすいなどのデメリットがあります。
織物クロス
織物(おりもの)クロスは、織物や編物、不織布やフェルトなどを紙で裏打ちしているクロスです。ビニールクロスに比べて高級感があり、独特のボリューム感やあたたかな風合いを感じることができます。質感だけではなく、調湿性と通気性があるため、結露をしにくい点もメリットといえるでしょう。
ビニールクロスの機能
ビニールクロスには、様々な機能を持った商品が販売されています。次の表に機能を記載しましたので、ご覧ください。
機能 | 効果 |
消臭 | アンモニア臭や腐敗臭、物によってはタバコの匂いにも効果がある。 |
抗菌 | 大腸菌や黄色ブドウ菌など有害とされている菌の繁殖を防ぐフィルムをラミネートしている。
食品梱包材にも使われている安全性の高いものを使用している。 |
防カビ | 湿度を調整してくれる吸水性ポリマーを利用し、結露やカビの発生を防ぐ。 |
汚れ防止 | 抗菌性フィルムをラミネートしているものは、汚れが落としやすい。フッ素樹脂フィルムがラミネートされているものだと、乾拭きで汚れが落ちる。 |
抗アレルゲン | ダニの死骸やペットのフケ、花粉といったアレルゲン物質を吸着する。 |
マイナスイオン | マイナスイオンを発生する天然鉱石を配合している。効果は、耐用年数と同程度。 |
ホルムアルデヒド消臭 | 空気中のホルムアルデヒドを吸着し、無害な物質に分解する。効果は3~6ヵ月くらい。 |
畜光 | プリント表面に畜光インクが施されているため、消灯後に15〜20分ぐらい光る。 |
耐久 | ひっかき傷に対する強度が一般的なものの10倍ある。汚れが落ちやすい性能も備えている。 |
耐水 | 表面の特殊樹脂が水をはじき、ガラス繊維を混ぜた裏打紙が湿気による伸縮を防ぐ。 |
ちなみに、シックハウス症候群が気になる方は「F☆☆☆☆」の表示があるものを選ぶのがおすすめです。「F☆☆☆☆」が表示されているものは、シックハウス症候群の原因になるホルムアルデヒドのような有害物質が含まれていません。クロスだけではなく、パテや糊(のり)にも「F☆☆☆☆」の表記がされていますので、気になる方は確認してから購入するのがおすすめです。
内装工事でビニールクロスを貼り替える費用相場
内装工事でビニールクロスを貼り替えるときは、使用するクロスが「量産タイプ」か「1000番台」かによって費用が変わります。量産タイプと1000番台の違いは、次の通りです。
種類 | 特徴 | 商品代 | 施工費 |
量産タイプ | 大量生産されているベーシックなクロス。 | ¥500/m | ¥1,200~¥1,500/㎡ |
1000番台 | 量産型以外のクロス。より機能性の高いクロスがある。 | ¥1,000/m | ¥1,500~¥1,800/㎡ |
量産タイプは、基本的に柄がべーシックで、色の種類も多くありません。しかし価格が安いため、特にこだわりがなければ量産タイプを選んでおけばいいでしょう。クロスにこだわりがある方は、1000番台を使用するのがおすすめです。様々な機能があり、色や柄の種類も豊富にあるため、気に入るクロスが見つかるでしょう。予算の問題で1000番台を全面的に使用できないときは、部分的なアクセントとして使用するのもおすすめです。
6畳のビニールクロスの貼り替え費用相場
6畳の部屋のビニールクロスを貼り替え費用は、次の表の通りです。
種類 | 金額 |
量産ライプ | ¥36,000~¥55,000くらい |
1000番台 | ¥55,000~¥69,000くらい |
この表は、6畳の天井や壁にビニールクロスを貼り替えたときの金額です。金額だけでは見えてきませんが、この金額には既存クロスの剥がしや廃棄処分費、養生費や施工費、諸経費などが発生しています。
追加料金がかかる場合
ほかにも、クロスの貼り替えにより追加費用がかかる場合もあります。例えば、既存の下地の状態が悪ければ、下地処理費用(¥1,600〜/㎡くらい)がかかるかもしれません。また、エアコンが設置されている場合、エアコン脱着費用(¥15,000/1台くらい)がかかります。エアコンの取り外しには、電気屋やエアコン屋などの別業者が必要なため、より多くの金額がかかってしまうのです。ほかにも、家具が邪魔でクロスを貼り替えられない場合に、大型家具移動費(¥15,000〜¥30,000くらい)が発生する場合があります。
お得に貼り替える方法
ビニールクロスをお得に貼り替えるためには、複数の業者に相見積もりを依頼するのがおすすめです。それぞれの業者の施工費を確認できるため、その中から安く施工してくれる業者に絞ることができます。ほかにも、多少の剥がれや汚れで都度依頼するのではなく、ある程度まとめて依頼するほうが施工費を抑えられます。
自分で貼り替えると施工費を抑えられる
施工費を抑えるために、自分で貼り替えるのもいいでしょう。自分で張り替えれば、かかる費用は材料代と道具代のみです。クロスの貼り替え方法も解説しているので、気になる方はこちらの記事もご覧ください。
≫【内装工事】クロス貼りの手順と種類を解説!必要な道具も紹介
【内装工事】ビニールクロス貼り替えの費用相場!種類と機能【まとめ】
この記事では、ビニールクロスの貼り替え費用の相場だけではなく、クロスの種類や機能についても解説しました。ビニールクロスは、低価格で施工できるのが特徴的です。また、施工も行いやすいため、ご自身で張り替えるのもいいと思います。