店舗内装工事は、開店日から逆算して進める事が多いので、時間に追われ様々な問題を見落としてしまう事が有ります。では、店舗内装工事を依頼する際に、施工内容やその費用など確認をするにはどのようなことに注意すればよいでしょうか。今回は店舗内装工事を依頼する前に確認すべきポイントを4つご紹介します。
【店舗内装工事のポイント1】見積
まず基本的な事ですが、工事を依頼する際は、必ず見積を取得するようにしましょう。小規模な店舗内装工事であれば、仲の良い施工会社さんに工事して欲しい内容を伝えたら「およそ幾らくらい」と口頭で言われたから、その金額で工事を頼んでしまったという事も有ると思います。しかし、後々のトラブルを避ける為にも本来は見積書を提示してもらい、その内容と金額について合意の上で工事を進める方が良いでしょう。では見積について、具体的にどのような確認をすればよいのでしょうか。
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施工内容が漏れなく含まれているか
まず最初に見積を取得した際は、施工して欲しい内容と、見積項目に差異が無いか、確認をする必要が有ります。施工会社の中には「ついでにこれもしておいた方が良いだろう」という思い込みから、依頼した内容以外の事を見積に入れている場合も考えられます。
以下の点を確認すると良いでしょう。
- 依頼していない工事が含まれていて高くなっている事は無いか
- なぜその工事が必要なのか
また、工事終了後に見落としていた設備があり、当初の見積とは別に追加請求される可能性もありますので、しっかりと確認しておきましょう。複数社に見積を頼んで比較し、安い施工業者に発注する場合も同様です。内容に漏れが無いか確認し、どちらが安いのかだけではなく、本当に発注者の意図を汲み取っているのかを確認しなければなりません。
コストダウンにつながる項目は無いか
見積として出てきた数字を確認する過程で、コストを落とせる項目が無いか確認することも必要です。例えば、簡単な備品の取り付けは自分で行う、メーカー品を使わず、量産品に置き換えても問題が無いアイテムは自分で購入する等、全てを施工会社に任せてしまわず、自分たちも積極的に店舗内装に携わることでコストダウンにつながる場合も有ります。
内装仕上げに関しても、手に届く箇所や、よく目にする場所で、雰囲気を重視した仕上げにしたい部分には、石や木等のリアルな素材が良いかもしれませんが、遠目からみて雰囲気が伝わればよい仕上げには、代替品として、よく似た柄のクロスで材料単価を落として仕上げるなど、コストダウンを図る方法は検討できるでしょう。このように携わる専門職種(工種という)の数を減らし、人件費の削減につなげる工夫をする事で、コストダウンを図る手段も有ります。
理解できない項目が有れば質問しよう
見積の内容で聞き慣れない言葉が有ったり、何のために施工するのか分からない項目が有れば、率直に質問してみましょう。見積に自信が有る施工会社ほど、内容を丁寧に説明してくれるものです。質問をして理解を深める事で、分からない施工内容をうやむやにせず必要性を納得できますし、そういったやり取りを通じて、施工会社との間に信頼関係を築く事にもつながります。信頼性を築く事ができれば、施工会社もこちらの意図を汲んで、これまで以上にコストダウンの提案をしてくれることも有るでしょう。お互いに納得の行く形で着工する為にも、分からないことは、どんどん質問しましょう。
【店舗内装工事のポイント2】契約と支払条件
見積後、内装工事を依頼する前に重要な事の一つが契約です。本来、見積時には契約条件についても把握しておくべきで、決して見積書よりも後回しにして良いという事ではありません。店舗内装工事の契約は、工事(工事請負)契約書または、注文書と注文請書などの書類に署名捺印することが多いと思いますが、サインをしたという事は、施工内容が確定することを意味します。工事代金の支払方法の他、確認しておきたい内容をまとめておきます。
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工事契約書の内容を確認
契約書・注文書で最も重要となる確認点は、最終的に合意した見積内容と合致しているかどうかです。契約書には、工事の内容が細かに書かれているわけではありません。よって、見積日付か、見積番号が施工内容の代わりとなります。何度も内容を変更した場合など、金額が当初と同額でも内容がその通りに修正されていない場合も想定されます。施工内容の最終チェックの意味も含め、契約時には必ず見積内容と合わせて確認しましょう。他に、工事期間、引き渡し期日、支払い条件などの項目に問題が無いか、瑕疵担保責任についての明記が有るかどうかなども確認をしましょう。
支払期日の確認
工事代金の支払い期日は、着手金や中間金など工事代金の一部を前払いする事が通例です。内装工事は形と値段が決まったものを仕入れて納品するわけでは無く、材料を調達して職人達が現場で加工したり、作業することで進行して行きます。その為、たとえ未完成でも工事の途中で既に費用が発生しています。この為、仮に工事期間中に施主が何らかの事情で代金の支払いが出来なくなっても、既にかかってしまった費用が未回収にならないよう、リスク分散する目的で着手金や中間金の支払いを求められていることが多いのです。
【店舗内装工事のポイント3】工程表と引き渡し日
工事工程表とは着工から工事完了までの工事内容をカレンダーの様にした表の事です。以下のような工事内容を日程ごとに確認する事ができます。
- 着工時にはどのような工事を行うのか
- 工事が進むにつれ、どのような施工がなされるのか
現場作業の進捗具合によっては、多少予定より早くなったり遅くなったりすることも有りますが、進捗を把握するためにも提示を求めると良いでしょう。開店後に近隣とのお付き合いを円滑にするために、工程表を持参して工事内容の事前説明を行う事も大切です。
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工程表の内容を確認
殆どの工程表は、見積内容の項目とリンクしていることが多いです。一般的に縦列が工事項目、横列が日付で表されています。見積にある工事項目と現場工程に差異が無いか等の確認は、本来施工管理側の責任ですが、後々の経験にもなるので、気になる日程には現場をのぞいて、見積の金額の意味を現場で見て知る事も大切だと思います。こういった経験が次の店舗内装工事で見積金額の内容確認をする際に役に立ちます。
引き渡し日から開業日までの準備期間の確認
出店に慣れているチェーン店舗や、ある程度、工事進捗の予測が立つ現場であれば、引き渡しからオープンまでの期間は短くても良いかもしれません。しかし、店舗内装工事では想定外のトラブルも可能性として考える必要が有り、工程には多少余裕が有った方が望ましいでしょう。例えば、工事内容によっては、大きな音が出たり、匂いが発生する場合があります。その場合、近隣で営業中の店舗に迷惑が掛からないように工程を調整する必要が有り、場合によっては工事日や作業時間が限定される事が有ります。
このように工事制限が有る中での作業や、その他現場で起こりうるトラブルの対応、やり直し(是正工事)を行う日程も加味し、引き渡し日から、開店までの準備期間中に十分余裕のある工程を計画することが好ましいと言えます。本来は契約前にこういった状況を確認し、見積に反映されていることが望ましいです。しかし場合によっては見積外の事象が発生したとして、追加請求の提示が有るかもしれません。このように、今は目に見えないような、隠れた可能性まで予見、或いは助言を求め、見積内容を確認しておくと、後々のトラブルを減らすことができるでしょう。
【店舗内装工事のポイント4】瑕疵担保責任とアフターフォロー
内装工事の引き渡し後に起こった不備は、施工会社の瑕疵担保責任で無償で是正対応を行う義務が有ります。この期間は店舗内装工事の場合、概ね1年とされています。これも後々の問題にならないよう、契約時に内容をよく確認し、契約書はしっかりと保管しておきましょう。当然ですが、自分で傷をつけてしまったり、汚してしまったことに対しての保障ではありません。施工側の不備と認められる内容だけの保証ですので、十分注意しましょう。店舗を運営すると、施工前には見えなかった課題も浮かび上がってくるものです。有償にはなりますが、そういった細かな課題に対して、アフターフォローとして快く対応してくれる施工会社であれば安心です。このように瑕疵担保責任期間中の対応はもちろん、アフターフォローをしっかりと対応しれくれる施工会社を選ぶ事が、費用面以外でも大切な要素の一つです。
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店舗内装工事の依頼時に確認すべき費用と4つのポイント【まとめ】
店舗内装工事は一般的に、住宅などの建築コストに比べると1坪辺りの施工単価が高いと言われることが有ります。住宅に比べると現場のサイズや寸法が決まっておらず、オーダーメイドに近い作りが多い事や、業務用で耐用年数が長い機器の価格により割高となる事、設備関連の工事が必要となる場合は更にコストが増す事等、様々な要因が挙げられます。このように店舗内装は、物件ごとの状態に合わせて起こりうる様々な理由から、見積が高くなってしまうケースが多い工事と言えます。
ですが、それを『仕方がない』とか『良く分からない』という理由だけで諦めるのではなく、見積項目の見直しや、現場の工程を理解することで、自分自身がコストアップに繋がる要望を出していたり、もっと単純な方法で解決できると気が付く事も有るかもしれません。より良い方法を選択することが出来れば、費用も納得のゆく数字に収まる事が期待できます。店舗内装工事を依頼する際は、費用と内容について施工会社と良く話し合って、相互に納得のできる形で進める事が望ましいと言えるでしょう。