スケルトン天井とは?メリット・デメリットとオフィス導入事例

スケルトン天井は、デザイン性の高いオフィスや店舗に採用されています。おしゃれなカフェやスタジオのような雰囲気になり、標準的なオフィスとは異なったスタイリッシュなデザインに仕上がります。今回は、スケルトン天井のメリット・デメリットとオフィスへの導入事例について徹底解説します。

 

スケルトン天井とは?

スケルトン天井とは?

まず、そもそもどのような天井なのか、作り方や注意点を解説します。

 

どんな天井なの?

ボードを張らずに、コンクリートや配管などをそのまま見せている天井のことをいいます。そもそもスケルトンとは、骨組みや建物の躯体を指す言葉です。一般的なオフィスビルの場合、天井にはボードが張られ、空調や照明器具、消防設備などの表面が見えています。しかしスケルトンの場合、躯体から吊られている空調や照明器具の脚の部分や配管、ケーブルなどが丸見えになっています。

 

スケルトン天井の作り方

もともとスケルトンではないオフィスの場合、天井を解体しなければなりません。ただ解体して撤去しただけでは終わらず、空調や照明器具、消防設備などの移設や増設が必要になる場合があります。また、天井裏に隠れていた部分は、露出されることを前提としていません。

 

コンクリートに穴が開いていたり、配管が汚れていたり、ケーブルがゴチャゴチャになっていたりします。補修や掃除、ケーブルの整線などの作業も必要になるでしょう。また、全てのオフィスでスケルトンが可能なわけではありません。建築基準法や消防法に適合させられるか、ビルの規則に反しないか、事前に確認が必要になります。

 

スプリンクラーや排煙設備に注意!

既存の天井を解体する際は、とくに排煙設備やスプリンクラーに注意が必要です。オフィスには、規模や階数によって様々な消防設備が設置されています。解体することで、有効な排煙が取れなくなってしまう場合があるため、改修前に確認が必要です。

 

また、スプリンクラーが設置されている場合は、水を抜いてから解体しなければなりません。工事はビルの指定業者に依頼しなければならなかったり、消防に届け出が必要だったりすることが多いでしょう。早めに相談し、工事は慎重に進めるようにして下さい。天井に設置されている消防設備の種類と役割については次の表を参考にして下さい。

 

天井に設置されている消防設備の種類と役割
種類 役割
排煙設備
(垂れ壁、排煙口)
火災時に発生する煙やガスを屋外に排出するための設備で   自然排煙と機械排煙の2種類がある
スプリンクラー 火災時に自動的に周囲に水を噴出
火災感知器 火災時の熱や煙を感知して作動(自動火災報知設備の一部)
誘導灯 緊急時に避難口を知らせるために、避難経路や扉の上に設置
非常灯 停電時に点灯する照明器具
非常用スピーカー 緊急時に適切に避難を促すための放送設備

 

スケルトン天井のメリット・デメリット

どんなメリット・デメリットがあるのか、それぞれ詳しく解説します。

 

メリット

●開放感が得られる

ボードが張られていない分、天井高が高くなって開放感が得られます。一般的なオフィスの天井高は、2m50cm~3m程度と言われています。躯体のコンクリートと天井ボードの間に「ふところ」と呼ばれる空間を設けて二重になっていることが多いでしょう。一方スケルトン天井には「ふところ」を設けないため、空間に広がりが生まれて開放感につながります。

 

●圧迫感が軽減できる

オフィスにスケルトン天井を導入すると、天井高が高くなるため圧迫感を軽減できます。圧迫感や閉塞感はストレスの原因となり、業務効率を低下させてしまう場合もあります。一方、圧迫感のない広々としたオフィス環境なら、自由な発想や活発なコミュニケーションが生まれやすくなり、業務効率アップも期待できるでしょう。

 

●おしゃれ

スケルトン天井は、おしゃれでスタイリッシュな印象になり、デザイナーズオフィスなどでも取り入れられています。通常は見えていない配管やコンクリートをあえてむき出しにすることで、インダストリアルテイストのかっこいい雰囲気を演出できます。

 

デメリット

●空調効率が下がりやすい

スケルトンにすると、空間が広がるため空調効率が下がりやすくなります。ボードを張っているときよりも天井高が高くなり、オフィスの容積が増加します。広々と感じて開放感が得られる一方で、室内を冷やしたり暖めたりするのに時間がかかり、光熱費が上がってしまう場合もあります。

 

●音が響きやすい

スケルトン天井は、音が響きやすいというデメリットもあります。一般的なオフィスの天井に張られているボードは、音を吸収する役割も担っています。ボードには岩綿吸音板やロックウールなどが使われ、オフィスに響く電話音や話し声などの反響を防いでいます。

 

スケルトン天井は、コンクリートがむき出しの状態です。コンクリートには防音性はあるものの、室内の音を跳ね返してしまう性質があるため、反響はしやすくなります。

 

●解体や原状回復にコストや手間がかかる

ボードが張ってある天井をスケルトンにする場合、解体や原状回復が必要になり、コストや手間がかかります。また、天井裏に隠れていた配管やケーブル類は、ゴチャゴチャとしていたり、汚れていたり、おしゃれなイメージとは程遠い状態の場合もあるでしょう。配線をまとめたり、汚れを落としたり、コンクリートの穴を塞いだりといった補修も必要になります。

 

スケルトン天井をおしゃれに仕上げる方法4選

スケルトン天井をおしゃれに仕上げる方法4選

次に、おしゃれに仕上げる方法を4つ解説します。

 

コンクリートや配管の塗装

コンクリートや配管の塗装

1つめは、コンクリートの躯体や配管を塗装する方法です。ボードを解体しただけでは、想像以上に汚れていたり、配管やケーブルがゴチャゴチャとしていたりします。天井裏に隠れていた部分なので、色の統一感もありません。

 

全体を白やグレーなどに塗装することで、オフィスインテリアに統一感が生まれて、グッとおしゃれになります。また、ブルーやイエローなどをアクセントに用いて、個性的なデザインを楽しんでも良いでしょう。

 

ケーブルをまとめる

配線ケーブルをまとめたり、整えたりすることでもスッキリとおしゃれになります。オフィスの天井には、照明器具や消防設備、スピーカーなどが設置されているため、たくさんのケーブルが必要になります。

 

天井をむき出しにする場合は、ケーブルを結束バンドやチューブでまとめたり、モールを用いて上手に隠したり、目立たせないように配慮しましょう。モールの色を天井や配管の色と合わせることで、インテリアに溶け込んでスッキリとします。

 

照明器具にこだわる

照明器具にこだわる

照明器具にこだわることで、スケルトン天井がいっそうおしゃれになります。ボードが張られていないため、照明を自在に配置できます。ライティングレールを取り付けて、スタジオやおしゃれな店舗のような雰囲気を演出しても良いでしょう。

 

≫【オフィス照明の選び方ガイド】種類や特徴を知り賢い選択を

 

また、大きめのペンダントライトを吊り下げて、インテリアのアクセントにするのもおすすめです。一般的な天井高では圧迫感が出てしまうようなサイズでも、スケルトンなら縦の空間を有効に利用できます。

 

ルーバーを吊り下げる

ルーバーを吊り下げると、天井に奥行きが出ておしゃれ度がアップします。ルーバーとは、複数の細長い板を平行に並べたものです。木製や金属製があり、シンプルでデザイン性が高いことが魅力です。すき間があいているため圧迫感も出にくく、ゴチャゴチャとした配線類の目隠しにもなります。

 

また、スケルトンは開放感が得られる一方、なんだか落ち着かないという人もいるでしょう。執務空間の上部に、ルーバーやプレート、オブジェなどを吊り下げることで、業務に集中しやすい落ち着いた雰囲気づくりが可能になります。

 

オフィスへのスケルトン天井の導入事例4選

最後に、オフィスへの導入事例を解説します。様々な取り入れ方があるので、ぜひ参考にしてみて下さい。

 

シンプルなコンクリート打ちっぱなしの事例

シンプルなコンクリート打ちっぱなしの事例

コンクリート打ちっぱなしのスケルトン天井は、クールでスタイリッシュな印象になります。コンクリートの質感を活かしたインダストリアルな雰囲気が魅力的で、オフィスだけでなく店舗や住宅でも人気のデザインです。

 

一般的なオフィスの内装は壁紙や塗装で仕上げられ、画一的な印象になりがちです。しかし、打ちっぱなしのコンクリートには色ムラや凹凸があり、味わいや個性を感じられる空間となっています。

 

白く塗装している事例

白く塗装している事例

コンクリートや配管を塗装すると、インテリアに統一感を出せます。コンクリート打ちっぱなしはカッコイイ反面、冷たい印象を与えてしまう場合があります。塗装をすることで、冷たさや無骨さが和らぎ、インダストリアルな雰囲気を残しながらおしゃれにまとまります。

 

また、スケルトンにすると天井が高くなる分、暗く感じやすくなります。白や淡いグレーで塗装すると天井付近が明るくなり、暗さを軽減できます。

 

天井の一部をスケルトンにしている事例

天井の一部をスケルトンにしている事例

天井全体ではなく、一部分だけをスケルトンにしている事例です。もともとボードが張ってある賃貸オフィスの場合、全体を解体撤去するには多くのコストがかかります。退去時には原状回復もしなければなりません。スケルトンの範囲を狭めることで、おしゃれさや開放感はそのままに、費用を安くできます。

 

≫ 原状回復工事とは?費用や工事範囲・工期の目安まで徹底解説

 

グリッド残しにしている事例

また、格子状の骨組みにボードを張っているグリッド天井の事例では、骨組みを残しながらボードをはずすことで、上手に費用を抑えながらスケルトンを実現しています。

 

木目を合わせている事例

木目を合わせている事例

床に木目を合わせることで柔らかさを加え、モダンな印象にまとめている事例です。木の優しい雰囲気がスケルトン天井にうまく調和し、洗練されたオフィスになっています。また、単色のフローリング材をきっちりと張るのではなく、つなぎ目がランダムになるように乱張りしていることで、個性的でおしゃれな印象になっています。

 

まとめ

今回は、スケルトン天井のメリット・デメリットとオフィスへの導入事例について解説しました。コンクリートや配管などをそのまま見せているスケルトン天井は、おしゃれで開放感があり、広々と感じられます。

 

自由な発想や活発なコミュニケーションが生まれやすくなり、業務効率アップも期待できるでしょう。一方、空調効率が下がりやすいことや、解体と原状回復にコストや手間がかかることはデメリットです。

 

導入事例では、おしゃれさや開放感はそのままに、範囲を狭めてコストを抑えた事例も紹介しています。スケルトン天井の導入を検討する際は、ぜひ参考にしてみて下さい。

 

 

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