飲食店を開業する際には「居抜き物件」と「スケルトン物件」の2種類があります。居抜きかスケルトンかによって開業時の内装工事にかかる費用が異なります。そのため、居抜きとスケルトンの違いや、どのくらいの費用がかかるのか、また費用の抑え方についてもご紹介していきます。
居抜き物件とは?
前の利用者の内装や設備を引き継いで使用することができる物件を指します。物件選びの際に「居抜き」と呼ばれており、物件によっては一部またはすべての設備や内装をそのまま使用することができます。
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スケルトン物件とは?
居抜きは内装の設備が残っているのに対して、スケルトンは撤去された後の状態であるため内装や設備が無い真っ新な状態です。例えば、コンクリ打ちっぱなしの状況が想像しやすいです。
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飲食店を開業する時の内装工事にかかる費用
飲食店を開業する際の内装工事の費用相場は「カフェ」「居酒屋」「バー」などの飲食店の種類によっても異なりますが、基本的には”坪単価”によって大きく費用の差が出てきます。
居抜きの場合
居抜き物件で飲食店を開業する際の内装工事にかかる費用の場合、平均で約15万円~30万円ほどかかるとされています。しかし、この金額はあくまで既存の内装をそのまま利用する場合を想定した金額です。居抜き物件だとしても大幅な内装工事を行えば、それに応じてかかる費用も高くなるケースがあるので注意が必要です。
スケルトンの場合
スケルトン物件の場合、平均で約30万円~50万円ほどがかかるといわれており、居抜き物件に比べてかなり高額な費用がかかります。スケルトン物件では基本的に一からの工事を行うため、内装の自由度が効く反面、工事にかかる費用が高くなってしまいがちなのです。
業態別の店舗内装工事費用【坪単価】
同じ飲食店でも店舗の業態によって店舗内装工事にかかる費用が異なるため、飲食店の中でも代表的な「カフェ」「レストラン」「和食」「焼肉」ごとの費用の相場について簡単にご紹介します。
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カフェ
カフェの相場は約15万円〜25万円とされています。カフェでは特に店内の雰囲気作りが必要になり、内装にこだわる店舗が多くあります。そのため、壁紙や床だけではなく天井を吹き抜けにしたり、イスや机などの装飾品に関してもこだわるケースが多いです。また、特殊なコーヒーメーカーや専門機器を導入することで余計に費用が掛かってしまうことがあります。
居酒屋
居酒屋の相場は約25万円〜40万円とされています。居酒屋といっても「バル」や「焼き鳥」、「海鮮」などさまざまな種類がありますが、基本的には内装や設備の造りは似ており、相場も近くなっています。しかし、厨房に専用のビールサーバーを設置したりお客様の各テーブルに注文用のタッチパネルを設置するなどで工事にかかる費用は上下します。
和食
和食の相場としては約35万円〜50万円とされています。和食でもカフェなどと同様、店舗の雰囲気作りにこだわる店舗が多く、”和”の高級感を演出している店舗もあります。中には個室での食事を売りにしている店舗があり、個室ごとの装飾にも気を使っているケースも。
焼肉
焼肉店の相場は50万円以上とされています。焼肉店ではお客様が各テーブルで調理をすることもあり、テーブルごとのダクトや無煙ロースターなどの設置に高額な費用が掛かります。そのため、特に座席数に応じて設置にかかる費用が大きく差が出てくるのです。
内装工事の費用が高くなってしまうケースとは?
居抜き物件にしろ、スケルトン物件にしろ、飲食店の開業時に「内装工事の費用が思っていた以上に高くなってしまった」というケースは少なくありません。ここからは実際に内装工事の費用が高くなってしまう要因をいくつかご紹介します。
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高い素材を使用する
飲食店では、店内の装飾や雰囲気が店舗への印象に繋がりやすいため、壁や床などに高級素材を使用することでオシャレな雰囲気や高級感を演出している店舗が多くあります。しかし、高級な素材を使用すればするほど材料費が嵩んでしまい、工事にかかる費用が高くなってしまうのです。特に店舗の規模が大きければ大きいほど壁や床の面積が広くなり、材料費だけでもかなりの費用がかかってしまうことがあります。
工事の規模が大きい
内装工事を行う際に一番費用が高くなってしまう要因に「規模の大きさ」が挙げられます。ここで言う工事の規模とは工事を行う範囲の広さを指します。店内が狭くても工事の規模が大きければ、それ相応の費用がかかってしまいますし、店内が広くても工事の規模が小さければ、あまり費用をかけずに済みます。また、飲食店の場合、厨房の広さは工事費用を大きく上下させ、調理場や換気扇などに高い機器や専用器具などを設置することで、更に工事の費用が高くなってしまうのです。例えば、業務用ダクトなどの器具は通常の家庭用に比べ高額です。
内装工事業者の選択でミスをする
飲食店の内装工事を請け負っている業者は星の数ほどありますが、業者によってそれぞれ特徴があり、得意な工事があれば、不得意な工事もあります。また、業者ごとに会社規模 (売り上げや資本金など) や従業員の人数、材料を仕入れる価格が異なるので、同じ工事内容でも費用が異なります。そのため「業者に工事の依頼をした後にもっと安く対応してくれる業者が見つかった」というケースも少なくありません。是非一度同社にお見積りをご依頼ください。
内装工事の費用を抑える方法
飲食店を開業するにあたっては内装工事の費用だけでなく、広告費や物件を使用する為の費用などさまざまな費用がかかってしまい、かなりの資金が必要となります。そのため、抑えられる部分は極力抑えたいという方がほとんどでしょう。次は、費用が高くなってしまうケースに対して、費用を抑えるにはどのような対策方法があるのかご紹介していきます。
あらかじめ予算を決めておく
事前に予算を決めておき優先する工事だけを済ませることで、余計な費用をかけずに済みます。先述のように、飲食店を開業する際には広告費を含めてさまざまな費用が必要ですが、その中でも特に内装工事の費用が高くなってしまいます。内装工事の工賃が高くなってしまう例として「理想を高くし過ぎるあまり次から次へと工事の場所を増やしてしまいドンドン費用が嵩んでしまった」というケースがあります。なお、開業時には理想の内装にしようとあれもこれも改装してしまうことが多く、勢いに任せて工事を進めてしまうと、後から「ここまでの改装はしなくても良かったな」と後悔してしまうこともあるのです。
業者は慎重に決める
業者によって工賃や材料費が異なるので見積もり金額も異なります。また、依頼する業者の所在地から現場が遠い場合「出張費」という名目の料金が高くなってしまうことがあります。そのため「業者選びでミスをしたくない」「内装工事の費用をできるだけ安く抑えたい」という時は、必ず飲食店の店舗内装が得意な業者の中から、いくつかの業者に見積もりを出してもらい、その上であなたの希望する店舗内装を得意とする業者を選ぶべきです。
素材にこだわり過ぎない
飲食店にとって内装はお客様からのイメージに繋がるため、決して手を抜いてはいけないポイントとなります。そのため、ある程度素材にこだわってもよいのですが、業態や店舗によっては必要以上に高い素材を使用する必要はないでしょう。高級感やオシャレさを演出するには、壁や床で高い素材を使用するだけでなく、照明の明暗や机やイスなどの装飾品でも調整ができるため、必ずしも高い素材でなければ、おしゃれな演出ができないということはないのです。
居抜きのメリット・デメリットと大きな違い
居抜き物件で開業する際にはさまざまなメリットがありますが、代表的な例として以下の2つが挙げられます。
- 工賃が抑えやすい
- 開業までが早い
居抜きでは前店舗オーナーの設備が残っていることで余計に工事を行う必要が無く、工賃を抑えやすいです。また、ガス・水道・電気などの設備を設置する工程が減ることで開業時にかかる時間を削減させることができます。なお、閉店や店舗移転による退去の際に原状回復工事で設備の無い真っ新な状態にしないといけないデメリット付きの契約も中にはあります。これは両者の大きな違いです。原状回復工事の範囲を予め確認して、退去時に高額な支払いがあるのかを注意をして確認してください。
スケルトンのメリット・デメリットと大きな違い
スケルトンのメリットは以下です。
- 物件の選びやすさ
- 内装の自由度が高い
居抜きの場合は内装が残っている点がメリットですが、その分、あなたのコンセプトに合う物件が見つかりにくかったり、内装の自由度が低くなってしまうケースが多くあります。ここも両者の大きな違いです。その点、スケルトンでは内装の設備が無く真っ新な状態であるため、立地、環境、広さ、レイアウトに注意するだけで物件を選ぶことができます。
居抜き・スケルトンの違いと飲食店開業にかかる内装工事費用【それぞれの物件はどんな人に向いているのか】
飲食店の開業時の費用面や居抜きとスケルトンのメリットに関してご紹介してきました。居抜き物件は「極力費用を抑えたい」「早く開業したい」という人に向いており、スケルトン物件は「少し費用が高くなっても内装にこだわりたい」「自分の好きなレイアウトの店内にしたい」という人に向いていると言えるでしょう。同じ飲食店でも店舗のコンセプトや店内の広さ、座席数によって開業時の内装工事にかかる費用には差が出てきます。また、紹介内容はあくまで”相場”であるため、必ずしも自身が開業する際の費用と重なるとは言い切れません。工事の内容によって費用が変わることもあり、それぞれの業種によって開業時の内装工事でベストなプランは変わります。飲食店を経営していく中で、開業時というのは非常に重要なタイミングであり、自身の中で全てを決めてしまうことにはリスクが伴います。そのため、少しでも内装工事で気になる点、どこの業者に頼むべきかわからないという際には、一度当社オフィスボールにご相談ください。