【プロ解説】ハンガードアのメリット!引き戸との違いや注意点も

オフィスや工場・倉庫の出入り口に、横へスライドして開くハンガードアの採用を検討する方は多いのではないでしょうか。本記事では、ハンガードアの特徴や引き戸との違い、導入メリット、施工時の注意点を、施工会社の視点から具体的に紹介していきます。

 

ハンガードアの特徴

ハンガードアの特徴

ハンガードアとは、扉を吊り下げてスライドさせる引き戸の一種です。「ハング(hang=吊るす)」という英語が語源であり、その名のとおり上部のレールで扉を吊り下げる構造を指すのが一般的です。

 

ハンガードアの例▼

ハンガードアの例

≫【オフィスシュガー様】吊り戸のパーテーション工事

 

また、ハンガードアの主な特徴は次のとおりです。

 

  • 手動・半自動・自動など開閉方式を選べる
  • 上部レールで扉を吊り下げる構造のため、床にレールや溝が不要
  • 横方向へのスライドで開閉でき、前後の開閉スペースがいらない
  • オフィスの間仕切りから工場・倉庫の大型開口まで幅広く対応できる

 

床にレールを設けず、上部レールだけで扉の重さを支えるため、開口部の足元がフラットになります。これは省スペース性やバリアフリー性といったメリットにもつながる構造です。手動式のほか、半自動式や自動式など、開閉方式のバリエーションが豊富な点も特徴です。オフィスや工場など、幅広いシーンで採用されているドアの形式と言えます。

 

ハンガードアと引き戸の違い

ハンガードアと引き戸の違い

まず引き戸とは、扉を横方向にスライドさせて開閉するドア全般を指す言葉です。そのため、ハンガードアは、引き戸に含まれる種類の一つです。

 

また引き戸の種類は、大きく「レールの設置方法(2種)」「壁への納まり方(3種)」「扉の形状(3種)」の組み合わせで決まります。間取りやバリアフリーの目的、壁の構造に合わせて最適な種類を選んでいきましょう。具体的には次の表のとおりです。

 

<引き戸の種類と特徴>

分類 種類 イメージ 特徴・メリット
レールの設置方法 上吊り式

(天吊り式)

=ハンガードア

上吊り式出典:LIXIL ■天井や鴨居など上部のレールで扉を吊り下げる方式

■床にレールがなく段差ができないため、掃除がしやすく、車いすや高齢者にも安全

床レール式

(下荷重式)

床レール出典:DAIKEN ■床面のレールに扉下部の戸車を乗せて滑らせる方式

■扉がしっかり支えられて安定感があり、風などでガタつきにくい

壁への納まり方 壁内収納 壁内収納 ■壁の中に扉が丸ごと収納されるタイプ

■開放時に扉が完全に隠れ、見た目がすっきりする

アウトセット アウトセット ■壁の外側にレールを直接付け、壁に沿って扉をスライドさせるタイプ

■壁を壊す工事が不要なため、開き戸から引き戸へのリフォームに最適

インセット インセット ■開口部に専用の枠(三方枠)を設け、その枠内に扉を納める一般的なタイプ

■引いても出っ張りがなく、見た目が綺麗

扉の形状 片引き戸 片引き戸 ■1枚の扉を左右どちらかに引く標準的なタイプ
引き違い戸 引き違い戸 ■2枚以上の扉を左右どちらにもスライドさせて開閉するタイプ(襖や障子と同じ動き)
連動引き戸 連動引き戸 ■複数の扉が連動して動き、収納時は重なるため大きな開口部を確保できるタイプ

 

このうち、レールを上部だけに設けて扉を吊り下げる「上吊り式」を採用したものがハンガードアです。どの種類が適しているかは、設置場所や用途によって変わるため、専門業者へ相談しながら決めるのがおすすめです。

 

≫スライドドアの設置工事と既存パーテーションに扉を追加するアイデア7選

 

ハンガードアのメリット

ハンガードアのメリット

ここからは、オフィスや工場・倉庫にハンガードアを導入するメリットを、3つの観点から紹介していきます。

 

メリット1.開閉を省スペースでできる

ハンガードアの大きなメリットは、少ないスペースで開閉できる点です。開き戸は、扉を前後に振って開けるため、その分だけ手前または奥に空きスペースを確保しなければなりません。一方でハンガードアは横方向へスライドするだけのため、扉の前後に余白がいらず、限られた空間にも設置しやすくなります。

 

例えば通路に面した部屋の出入り口や、什器をぎりぎりまで寄せたい執務室など、開き戸では扉の可動域が確保できない場所でも、ハンガードアであればスムーズに開閉できます。デッドスペースを抑えて、限られた面積を有効活用したい場合は、ぜひハンガードアも検討しましょう。

 

≫パーテーションの引き戸とは?種類・素材・設置方法を詳しく解説

 

メリット2.床がフラットに仕上がる

ハンガードアは上部レールだけで扉を支える構造のため、床に溝やレールを設ける必要はありません。床面がフラットに保たれるため、段差が生まれない点が大きなメリットです。

 

床に段差がないことには、複数の利点があります。工場や倉庫では台車やカートが引っかからず、ガタつかせずに荷物を運べます。また、レールの溝にほこりやごみが詰まらないため、清掃の手間も軽減できます。そして見落とされがちですが、わずかな段差の解消は安全面でも重要です。

 

なかでも職場の安全面について、労働基準監督署は「転倒災害防止の基本は段差解消、乱雑解消、濡れ解消」と挙げています。身体機能の低下を補う設備として挙げている「通路の段差の解消措置」は、厚生労働省の補助金の対象にもなっています(出典:労働基準監督署)。

 

つまり、床に段差を作らないハンガードアの採用は、台車の通行性や清掃性だけでなく、国が推奨する転倒防止・職場の安全対策にも合致する選択肢と言えます。バリアフリー観点から、ドアだけ取り替えるのも可能ですので、ご検討の際はお気軽にお問い合わせください。

 

メリット3.開閉がスムーズで静か

ハンガードアは、開閉の動作がスムーズで静かな点もメリットの一つ。ドアノブを回して開ける開き戸は、開閉のたびに金具の音が鳴ったり、勢いよく閉まって大きな音を立てたりすることがあります。

 

一方でハンガードアは横へスライドさせるだけのため、動作音を抑えやすい構造です。レール部分にクッション材を挟んで静音性を高めたり、油圧式の機構を採用して閉まる寸前にゆっくりと自閉させたりと、静かに使うための工夫を取り入れられます。

 

さらに、スライド式の扉は開閉に必要な力が少なくて済みます。工場では作業環境によって室内が陰圧・陽圧になり、開き戸が開けにくくなる場合がありますが、スライドドアなら気圧差の影響を受けにくく、軽い力で開閉しやすくなります。

 

ハンガードア施工の注意点

ハンガードア施工の注意点

メリットの多いハンガードアですが、施工にあたって押さえておきたい注意点もあります。ここでは4つの観点について解説していきます。

 

注意1.コストを確認する

ハンガードアを検討する際は、まずコストを確認しておきましょう。ハンガードアは扉を上から吊り下げる構造のため、重い扉を支える丈夫な部品が必要です。写真のような吊り車やレールといった部品は、頑丈なつくりであるほど価格が上がりやすく、一般的な床レール式の引き戸と比べてコストが高くなるケースがあります。

 

ハンガードアの使用部品例▼

ハンガードアの使用部品例

出典:DAIKEN

 

また、ハンガードアは単体で設置するよりも、間仕切りのパーテーションや壁とあわせて施工することが多いため、ドア単体ではなく工事全体での費用試算になります。そのため、正確な金額を把握するには、現地の状況をふまえた見積もりが欠かせません。まずはお気軽に見積もりをご依頼ください。(現地調査・お見積りは無料で承ります)

 

≫内装工事の見積もりの見方と工事費用を抑える5つのポイント

 

注意2.求める気密性とのギャップを確認する

求める気密性とのギャップを事前に確認しておくのも大切です。ハンガードアは扉を吊り下げる構造上、床面との間にどうしてもわずかな隙間が生じます。ぴったりと密閉するタイプの扉ではないため、高い気密性や遮音性が求められる場所では、期待する性能と実際の性能との間にギャップが生まれる可能性があります。

 

そのため、必要な気密性のレベルを施工業者とすり合わせ、ハンガードアでどの程度の性能を確保できるかを確認しておくのが安心です。特に作業音の大きい工場で、扉を境に別のテナントや別部署が入っている場合は、二重ドアにするなどの工夫を検討が必要かもしれません。

 

注意3.スライドスペースを確保する

これはどのタイプのドアにも共通しますが、扉がスライドするスペースを確保する必要があります。あわせて、動線の検討も欠かせません。たとえば角を挟んで2つの部屋の扉が直角に近接している場合、両方の部屋から人が同時に出ると、扉や人どうしがぶつかる恐れがあります。設置位置を決める際は、こうした動線まで見越した計画が大切です。

 

また、横にスライドするスペースを十分に取れない場合は、1枚扉ではなく、複数の扉が連動して動く連動引き戸という選択肢もあります。2枚や3枚の扉が順にスライドし、収納時には1枚分のスペースに重なるため、間口に対して倍の引き込みスペースを用意しなくても設置できます。

 

スライド式にしたいものの壁面が足りないという場合でも、扉の構成を工夫すれば対応できる場合がありますので、専門業者に依頼する際は、まずは理想を伝えるのが良いでしょう。

 

注意4.開閉方向と垂直方向に扱わな

そして、開閉方向と垂直に交わる方向へ負荷をかけないことにも注意が必要です。ハンガードアは、横へスライドする方向にはスムーズに動くよう吊り車やレールが設計されています。しかし、そのスライド方向と垂直に交わる方向(手前や奥へ押し引きする方向)から強い力を加えると、吊り車や金具が傷みやすくなったり、最悪の場合は扉が外れてしまったりする原因になるからです。

 

扉にぶら下がる、勢いよく押し込むといった使い方は避け、本来のスライド動作の範囲で扱うことが、長く快適に使い続けるためのポイントです。導入後は、現場の従業員にも正しい使い方を共有しておくと安心です。

 

ハンガードアの施工事例

ハンガードアの施工事例

最後に、当社の施工事例を抜粋して紹介していきます。ただし、設置場所や用途によって、最適な仕様や納まりは変わります。ご相談の際は、例を参考にしつつも、理想をお聞かせいただければ、お客様に合ったご提案をいたします。

 

事例1.店舗エントランス

事例1.店舗エントランス

東京都江戸川区の店舗から、エントランス部分のパーテーション工事をご依頼いただいた事例です。パネル・ドア・型材をブラックで統一し、ガラスは透明ガラスを採用することで、商品が引き立つ落ち着いた雰囲気に仕上げました。

 

入り口付近には、幅1200mmの吊り引き戸を設置しています。間口を広めに確保したことで、来店客やスタッフがゆとりを持って出入りでき、商品の搬入もスムーズに行えます。横へスライドする吊り引き戸は、開き戸のように扉の前後にスペースを取らないため、什器を壁際まで寄せたい店舗とも好相性でした。

 

壁際まで什器等を寄せられている例▼

壁際まで什器等を寄せられている例

この案件の施工期間は1日です。エントランスまわりの印象を大きく左右する箇所のため、扉幅と開口のバランスを現地で入念に確認しながら進めた事例です。

 

≫【東京都江戸川区案件】幅1200mmの吊り引き戸を設置した店舗のパーテーション工事

 

事例2.クリニック全体の内装にスライドドアを採用

事例2.クリニック全体の内装にスライドドアを採用

東京都港区のクリニックから、内装全体のご相談をいただいた事例です。当社で請け負った範囲は、パーテーション工事・電気工事・造作壁の加工などクリニック全体に及びました。施工期間は10日です。

 

クリニックでは、患者さんやスタッフが車いす・台車を使って移動する場面が想定されます。そのため診察室や処置スペースの出入り口には、上吊り式のスライドドアを採用し、床に段差が生じない納まりとしました。足元がフラットになることで、車いすの通行がスムーズになり、わずかな段差につまずくリスクも抑えられます。

 

上部のランマ(明かり取り)から光を取り込む設計とあわせ、清潔感のある明るい空間に仕上がりました。医療施設では衛生面も重視されるため、レールの溝にほこりがたまらない上吊り式は、清掃のしやすさという点でも適していたと感じています。

 

≫【港区案件】クリニックで内装工事を行いました。

 

事例3.オフィスのパーテーションと吊り引き戸を移設

事例3.オフィスのパーテーションと吊り引き戸を移設

既存のお客様より、オフィス内のパーテーション移設のご依頼をいただいた事例です。レイアウト変更にともない、アルミパーテーションと黒い吊り引き戸を、新たな仕切り位置へ移設しました。施工期間は1日です。

 

パーテーションと一体で設置された吊り引き戸は、このように移設にも対応できます。ガラスパネルを含む移設も可能なため、オフィスの増床やレイアウト変更の際に、既存の建具を活かしながら無駄なく対応していきます。新しく一式を購入し直すよりもコストを抑えられたり、廃材を減らせたりと、移設には複数の利点があります。

 

≫【ダブルバンク株式会社様】パーテーション移設工事

 

オフィスのハンガードアならオフィスボールにお任せ!

オフィスのハンガードアならオフィスボールにお任せ!

本記事では、ハンガードアの特徴や引き戸との違い、導入メリット、施工時の注意点を紹介してきました。床にレールがいらず省スペースで開閉でき、段差が生まれないため安全性や清掃性にも優れている点が、ハンガードアの魅力です。一方で、コストや気密性、スライドスペースなど、事前に確認しておきたいポイントもあります。

 

当社では、オフィスのパーテーションの施工とあわせて、会議室や執務室の既存のドアを、ハンガードアへ差し替えたいというご要望にも対応可能です。お見積りや現地調査は無料で行っていますので、ハンガードアの導入を少しでもお考えの際は、どうぞお気軽にお声がけください。

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