近年、従業員のリフレッシュや交流のためにオープンスペースを取り入れている企業が増えています。本記事では、オフィスで注目を集めているオープンスペースのメリットや導入を成功させるコツについて解説していきます。
オフィスのオープンスペースとは?
オープンスペースとは、パーテーションなどで仕切られていない開けたスペースのこと。執務室や会議室などとは別に設けられたスペースで、目的によって以下のように呼ばれる場合もあります。
<オープンスペースの別称例>
- チルスペース
- チルアウトエリア
- リフレッシュスペース
- コミュニケーションスペース
適度な休憩や交流は、従業員の健康維持や作業効率の向上につながるため、オープンスペースは多目的に活用できるスペースとして注目を集めています。
オフィスにオープンスペースを取り入れるメリット5つ
まずは、オープンスペースのメリットを5つ紹介していきます。
メリット1.コミュニケーションがスムーズになる
開放感のあるスペースはお互いに声をかけやすくなるため、従業員同士のコミュニケーションが円滑にとりやすくなります。
部署を越えた交流を促すなら、オープンスペースは適したレイアウトです。誰でも利用できるスペースなら話しかけにくさを取り払え、部署関係なく意見交換できるようになるでしょう。
メリット2.アイデアが生まれやすい
オープンスペースの利用が新しいアイデアを生むきっかけにもなります。とある研究によると、集中しているデスクワークの時間はもちろん、リラックスしたタイミングにもひらめきやすいことが分かっています。参照:J-Stage(アイデアを必要とする職業における閃きの瞬間の記録と分析)
メリット3.従業員の主体性が育つ
オープンスペースは従業員の主体性が育つ効果も期待できます。というのも、自席以外に自由に利用できるスペースが社内にあると「どこで何をするか」を従業員自身で決められるからです。
メリット4.低コストで済む
低コストで済むことも、オフィスにオープンスペースが取り入れられている理由の一つです。「オープン」という名前の通り、壁や仕切りをほとんど使用しないため、施工にかかる費用を抑えられるのです。
使えない空席をなくすと、オープンスペースを広く設けられたり、他の用途に使えたり、スペースを有効活用できます。なお、働きやすさを重視したオフィス作りはSDGsの「働きがいも 経済成長も(8つ目の目標)」の達成につながります。
≫リユースでSDGsに貢献!お得なパーテーション再利用方法とは
メリット5.従業員の満足度が得やすい
そして、オープンスペースの導入は働きやすい環境作りの一環で、従業員の満足度に関わる施策です。オープンスペースの導入前後で従業員の意見に耳を傾け、必要に応じて改善していきましょう。「会社に大切にされている」と従業員自身が感じられると、離職防止にもつながります。
≫ リフレッシュスペースはオフィスに必要?メリットと事例4選
またオープンスペースには、オフィスの無機質さを改善する効果もあります。ゆったりとした空間が見た目の窮屈感を軽減し、差し色となる家具を配置すれば華やかな空間に仕上がります。オフィスデザインは、企業のブランディングや従業員のモチベーションにもつながる大切な要素です。
オフィスのオープンスペース導入を成功させるコツ6選
続いて、オフィスのオープンスペース導入を成功させるコツを6つ紹介していきます。
コツ1.設置目的を周知させる
まずは、どのような目的で設置するのかを全社に共有しましょう。オープンスペースの利用方法に認識の齟齬があるとトラブルの原因になりかねません。
オープンスペースが交流を目的としたエリアと周知されている場合なら、その場で仕事をしていて話し声が気になれば集中ブースに移動するなどの対応ができるでしょう。実用的なスペースにするためには、事前の目的周知がカギです。
コツ2.利用ルールを設ける
また、目的周知と並んで大切なのがルール設定です。あらかじめ決まりを作っておけば余計なトラブルを回避できます。
<ルールの例>
- 利用時間は〇時~〇時
- 飲み物は可、食べ物は不可
- 椅子やデスクは元の状態に戻す
- 昼休みは昼食スペースとして開放する
- 電話・Web会議はイヤホンを着用する
- 使用後の椅子やデスクは除菌シートで拭く
オープンスペースは常に大勢の目に触れるため、特に整理整頓は大切です。おすすめは、家具などの定位置を示した写真やイラストを分かりやすい位置に貼っておくこと。誰でも正しく原状復帰ができる工夫も検討してみてください。
コツ3.エリア分けをする
オープンスペースを導入するなら、目的ごとのエリア分けも検討しましょう。オープンだからこそ、プライバシーの確保が難しく、それをストレスに感じる人もいます。全員が快適に使用できるオフィスにするためには、以下のようなスペースも必要です。
<オープンスペースとは別に設けるエリア例>
エリア例 | 概要 |
執務エリア | ・デスクワークなどのメイン業務を行うスペース ・1人1デスク |
ミーティングエリア | ・会議を行うための個室(会議室)を集めたスペース ・資料共有のために各部屋にプロジェクターやホワイトボードがあるのが好ましい |
集中エリア | ・1人で作業に没頭するためのスペース ・音や視線への対策が必要(例:パーテーションで区切る) |
効果的にオープンスペースを活用できるように、目的に応じたその他のエリアも確保しましょう。
コツ4.仕切りを有効活用する
また、オープンスペースの内外を区切る仕切りの活用も検討してください。オープンスペースの近くに座席や会議室がある場合、オープンスペースに集まった人の視線や雑音が業務の妨げになってしまう可能性があります。オープンスペースとそれ以外のスペースを区切るのが目的なため、オープンスペース内に仕切りを設ける必要はありません。
オープンスペースとそれ以外のスペースを区切った例
オープンスペースの導入が「働きにくくなった」と感じさせないようにしましょう。
コツ5.感染対策をする
オープンスペースを導入する際は、感染対策の検討も欠かせません。新型コロナウイルス感染症が蔓延して以降、誰しもが感染症に対して過敏になっている傾向があります。仕切りがないことでお互いに話しかけやすいのがオープンスペースの魅力ですが、一方で飛沫対策が難しいのも事実です。
コツ6.従業員の意見を取り入れる
そして、従業員の意見を取り入れたオープンスペースを作りましょう。従業員が一丸となって作り上げれば、オフィスにとって適切かつ、活気あるスペースに仕上がりやすくなります。そのために行うアンケートや聞き取りでは、回答してもらいやすい工夫が大切です。
<回答しやすいアンケートの例>
- 回答が選択式
- アンケートの目的を明確
- 回答に時間がかからない
- アンケートフォームが感覚的に使える
特に「解答時間の目安は3分」など、解答前に目安が分かるのは回答率を上げる秘訣と言えるでしょう。全員が活用しやすいオープンスペースになるように、導入前の情報収集をしっかり行ってください。
オフィスのオープンスペース例
最後に、オフィスのオープンスペースの事例を紹介していきます。どのようなオープンスペースにしたいのかをイメージしながら確認してみてください。
「喋る」スペースをまとめたオープンスペース
こちらは会議室の廊下にオープンスペースを作った例です。著者が勤務していたオフィスの執務スペースには会話ができるオープンなテーブルが等間隔で設置されていました。簡易的なミーティングができるのは便利だったのですが、デスクワーク中は他人の声に気を散らしていたのを覚えています。
≫ 会議室向けパーテーションはどれにすべき?選び方と事例4選
こちらの事例なら、会議室とオープンスペースの間をパーテーションで仕切っており、どちらのスペースでも「喋る」ため、多少の音漏れは気にせず会話ができるでしょう。「喋る」「喋らない」の違いでオープンスペースの設置場所を決めるのも一案です。
靴を脱いでくつろげるオープンスペース
こちらは靴を脱いでくつろげるオープンスペースで、休憩やカジュアルなミーティングに活用しやすい仕様です。靴を脱いで利用できるスペースは、寄りかかれるクッションなどを取り入れるとより心地よく利用できるでしょう。
寄りかかれるクッションの例
出典:TV枕L FCC-121BE/TV枕座布団付M FCC-120BR
リラックスに重きを置いたオープンスペースなら、画期的なアイデアが浮かぶかもしれません。
グリーンでリフレッシュ効果を高めたオープンスペース
最後に、グリーンを取り入れたオープンスペースの例です。ガラスパーテーションで仕切っているため、音漏れ対策をしつつ、グリーンをオープンスペース内外から楽しめます。交流を重視するオープンスペースには、レイアウト変更が簡単にできるキャスター付きのソファーやチェアを合わせると良いでしょう。
全従業員にとって効果的なオープンスペースを作ろう!
オフィスにオープンスペースを導入するメリットや成功のコツなどを解説しました。具体例も紹介したので、どのようなオープンスペースを作りたいのかイメージが掴めてきたのではないでしょうか。オープンスペースは基本的には仕切りを使わないスペースですが、エリア外への影響をなくすためにオープンスペース自体を囲う場合もあります。当社では、オフィスデザインから施工まで豊富な実績を積んでおります。オープンスペースのデザインや施工にお悩みの際は、ぜひ気軽にご相談ください。