執務エリアのレイアウトを変更する際、対向式と同じくよく採用されるレイアウトが背面式です。背面式は、多くのメリットもありバランスの取れたレイアウトです。本記事では、背面式レイアウトについてメリットデメリットや注意点、レイアウト事例など網羅的に解説します。
背面式とは
背面式とは、部署やグループのメンバーが背中合わせで着席するレイアウトです。お互い向き合った状態で着席する「対向式」と比較してコミュニケーションの取りやすさが少し劣りますが、プライバシー性が確保されるため、バランスの取れたレイアウトといえます。
背面式の4つのメリット
背面式レイアウトには多くのメリットがあります。ここでは、主な4つのメリットについて解説します。
メリット1:スペース効率が良い
背面式は、その他のデスクレイアウトの中で最もスペース効率の良いレイアウトです。机2列と通路1つのスペースのみで成立するため、狭いオフィスでも設置ができ、スペースを有効に活用できます。また、通路幅を広く確保することでプリンターやキャビネットなど共有備品を通路に設置することができ、小さな空間で業務が完結できる環境を作ることができます。
メリット2:プライバシーが確保できる
背面式レイアウトは壁に向かって着席するため、着席時に他の従業員が視界に入ることがありません。そのため、プライバシーが確保された状態で業務を行うことができます。ただし、規模の大きなオフィスにおいて、背面式の島が複数列必要な場合は、隣の島と対向型になります。そういった場合は、島ごとにパーテーションを設置することでプライバシーの問題が解消できます。
メリット3:コミュニケーションが取りやすい
背面式は、背中同士が向き合っていますが椅子を回転させるだけでコミュニケーションを取ることができます。対面式の場合はデスクを挟んで会話することになりますが、背面式の場合は間に障害物が無いため、コミュニケーションだけでなく資料の受け渡しなども容易です。簡単なミーティングも着席した状態でできるため、会議室やミーティングエリアに移動する必要もなく業務効率もアップにもつながります。
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メリット4:デスクの行き来がしやすい
背面式は、デスク同士の行き来がスムーズにできるため、一つのPCを見ながら打合せをしたり、上司に指示された資料の進捗確認をしたりといった業務が行いやすいと言うメリットがあります。また、通路を歩く際にメンバーに話しかけたりできるため、仕事以外のコミュニケーションも活性化されやすいといえるでしょう。
背面式の3つのデメリット
背面式はメリットの多い優れたレイアウトですが、デメリットもあります。ここでは、3つのデメリットについて解説します。
デメリット1:通路からPCの画面が見える
背面式レイアウトのデメリットとして、通路側からPCの画面が丸見えとなることが挙げられます。通路側に背を向けるレイアウトのため防ぐことが難しい問題です。これは覗き見防止フィルタで対策してください。完全には防げませんが、通路幅を広くすることでも少し緩和されます。オフィス面積に余裕のある場合は、検討してみましょう。
デメリット2:上長のデスク配置が難しい
背面式レイアウトは、対向式のように上長デスクを設置できません。そのため、一般的に端に座ることになります。規模の小さい会社で、全員の席を把握している場合は問題ありませんが、規模の大きな会社において、上長を訪ねてきた場合に席がわかりづらいという問題が起きてしまいます。解決策としては、デスクに名前を貼っておくことで、他部署の人からもわかりやすくなります。
デメリット3:全体の状況がわかりづらい
背面式レイアウトは、全員が背を向けており着席時は全体の状況が確認できません。メンバーの方はあまり問題ではありませんが、上長は、仕事を振ったり、担当者に資料を渡したりとメンバーとコミュニケーションを取る機会が多くあるため不便に感じる場面が出てくるはずです。島の端にデスクを配置するか、スペースに余裕がある場合は島の一番奥に上長用の席を配置すると良いでしょう。
背面式レイアウトを採用する際の3つの注意点
背面式レイアウトは、対向式と同様にシンプルなレイアウトですが、採用する場合はいくつか注意点があります。ここでは、3つの注意点を紹介します。
注意点1:通路寸法の詳細検討
背面式は、スペース効率の良いというメリットがありますが、通行に支障がないような通路を検討しなければ使い勝手の悪い空間になってしまいます。通路幅は、デスク間の距離で最低でも1600mm以上は必要となります。
注意点2:コンセントの位置を検討
背面式レイアウトは、コンセントの配置が重要となります。机同士がくっついておらず列が独立しているためコンセントは最低でも2系統必要となります。壁際にコンセントが無い場合は、増設もしくは最寄りのコンセントから延長ケーブルにて床を這わして配線を持って行く必要があります。
注意点3:隣席同士のプライバシー性
背面式レイアウトは、対向式と同様に隣席との距離が近くなるためプライバシーの確保が課題となります。プライバシー性を確保するためには、卓上パーテーションの設置や、キャビネットの設置により壁を作る方法が一般的です。予算がある場合は、横幅の拾いデスクを使用することで、物理的に隣席との距離が遠くなります。
背面式レイアウトで押さえておくべき寸法
デスクサイズ | 1200mm×700mm程度 |
着席時の机と椅子の距離 | 400mm~450mm程度 |
1人が通れる通路幅 | 600mm程度 |
2人がすれ違える通路幅 | 1200mm程度 |
2人が余裕を持ってすれ違える通路幅 | 1600mm程度 |
デスクサイズ
一般的なデスクサイズは、横幅1200mm、奥行700mmとなります。メーカーによっては、サイズが異なりますので、レイアウトを行う際は、設置予定のデスクサイズを把握する必要があります。新しく購入する場合は、カタログやメーカーのホームページに記載されていますので、必ず確認しましょう。
着席時の机と椅子の距離
着席時の机と椅子の距離は400mm~450mmとなります。一般的な距離ですので、体の大きな人や、ゲーミングチェアなど大きな椅子に座る場合などは、これより広いスペースが必要となる場合もあります。また、急いでいる時など、椅子をデスク下に収納せずに席を離れた場合は1000mm近く椅子が出てきますので、400mm~450mmはあくまで参考としておきましょう。
通路幅
通路幅は通行する人数により異なりますが、600mm~1600mm以上必要です。大人の肩幅は450mm程度なので、600mmの通路幅があれば一人が通行可能です。1200mm程度あれば、2人がすれ違えますが一人は体を横に向ける必要があります。2人が歩きながらすれ違える寸法は1600mm以上です。通路幅1600mm以上あればかなり余裕を持って通行できるでしょう。
背面式レイアウトの事例
背面式レイアウトといっても、様々なレイアウトの方法があります。ここでは、背面式レイアウトの事例を4つ紹介します。
事例1:狭小オフィス型
狭小オフィス型は、スペース効率が良いというメリットを最大限に活かしたレイアウトです。机を両側の壁に寄せ、真ん中を通路とすることでオフィス面積を有効に活用できます。スペースに余裕がある場合は、奥に上長席を設置したり、コピー機など共用の備品を配置することも可能です。
事例2:複数列型
複数列型は、中規模以上のオフィスに有効で、背面式の島を並列に配置したレイアウトです。注意点としては、そのまま配置するだけでは対向式と変わらないため、パーテーションにてグループや部署ごとに区画する必要があります。
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事例3:4人1組型
4人1組として背面式の島を作るレイアウトです。少人数の部署でも使用ができることと、通路が増えるため他のデスクへアクセスがしやすいというメリットがあります。
事例4:ブーメラン型
ブーメラン型は、ブーメランデスクを背中合わせで配置したレイアウトです。向かい合わせで3つ設置する場合もありますが、こちらのイメ―ジ図のように背中合わせで配置することでグループごとの空間を強調することが可能です。
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背面式はバランスの取れたレイアウトでおすすめ
本記事では、背面式レイアウトのメリットとデメリット、具体的なレイアウト事例を紹介しました。デスクレイアウトの中では、最もバランスの取れたレイアウトで、スペース効率が良いだけでなく、適度にプライバシーを確保しつつコミュニケーションが取りやすいという特徴があります。背面式レイアウトの中でも、様々なレイアウト方法が存在するため、オフィスの形状や面積、会社の状況に応じて適切なものを採用すると良いでしょう。