オフィスを新しくして経営課題も改善していきたいとは思うけど、どんな経営課題がオフィス移転で改善できるのだろうと疑問に思っている方は必見です。今回はオフィス移転で改善できる4つの課題と注意点を解説しました。
課題の洗い出しはオフィス移転を計画する時の初めの手順
会社の引っ越しを考えた際にまず最初にすることは、オフィス移転で解決したい課題が何かを明確にすることです。経営課題が既にあり、その解決のためにオフィス移転を実行するという企業は少なくありません。なぜ課題を洗い出す必要があるのでしょうか?それは、最終的な課題を解決するための二次的な通過点となる問題を確認する必要があるからです。例えば、現オフィスが手狭になり移転するときは、単純に「今よりも広いオフィスに引越しをする」という課題を解決するのみではスムーズな移転はできません。その席数を配置できる規模の事務所探しはもちろん重要ですが、実は新入社員が入社する前に移転が完了していることも重要です。なぜなら移転元に新入社員が入ったばかりで移転となると社員への心身的負担はもちろんのことコストの負担も大きくなります。
オフィス移転で解決出来る4つの課題
では、オフィス移転で解決出来る代表的な4つの課題をみていきましょう。この4つ課題が今の経営課題に上がっていなかったとしても、副次的な効果も併せて解説します。これらの効果も念頭においてオフィス空間作りの参考にしてください。
①離職防止
オフィスを社員の働きやすい環境に整えることは、社員満足度の向上により離職防止につながります。具体的な一例として、休憩室を充実させ休息を取り入れやすい環境を作ることがあげられます。特に女性の多い企業や、これから女性を多く採用したい企業は検討してはいかがでしょうか。女性の従業員に関しては、トイレが男女分かれていることはもちろんのこと、トイレに小物入れやお化粧直し、歯磨きをするドレッシングエリアまで設置すると、より満足度が高くなります。男性からすると、お化粧直しや歯磨きなど女性のトイレの使い方は想像があまりつかないはずです。この女性向けのオフィス作りはあくまでも例え話ですが、離職防止を考えたオフィス作りを考える場合には社内アンケートを取り従業員目線でのオフィス環境の改善点を考えると良いでしょう。
また、社員にとってオフィスが所在するエリアも重要です。通勤がしやすいことはもちろんですが、繁華街や酔っ払いの多い地域など、治安の悪い場所に通勤を望む人は多くはありません。社員が健全に働ける環境をオフィス内だけでなく、オフィス外の環境も含めて考えることは社員の仕事に対する満足度やモチベーション向上に繋がります。
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②リクルート/人材採用
オフィス空間を作ることは、その企業のイメージ作りやブランディングに影響を与えます。面接に来た候補者が、もし暗いエントランスを通って会議室に通された時でも、その企業で働く明るいイメージがもてる、といった人は多くはないでしょう。他方、港区や中央区など名だたる有名企業が立ち並ぶエリアに事務所を構えることは『その有名企業と並んでいる』という企業ブランディングになります。基本的には優秀な人材はどの企業に行っても重宝される傾向があります。『できるだけ優秀な人材を採用したい』『採用面接に来る人材のレベルアップを図りたい』と考える企業にとって『この企業で働きたい』と視覚的に連想させるようなオフィスづくりは経営課題の改善策の一つになります。
③モチベーション向上
オフィス移転における社員のモチベーションを上げる要素は2つあります。
従業員のメンタルヘルス
先にも述べた、休憩室やラウンジスペースなど気分転換ができる場を作ることにより、従業員のストレス緩和に寄与します。オフィス作りにこだわるGoogle社には昼寝ができるナップルームがあるのは有名な話です。また、企業によっては軽食ができるカウンター付きのラウンジスペースを作ることが例としてあげられます。業務のオンとオフをつける、従業員に休むことを許可する、ということから常に緊張した状態からのストレス緩和を期待できます。現オフィスのスペースに余裕があれば休憩室やラウンジを新設することで解決できますが、社員の業務中に工事を進めることはあまり現実的ではありません。
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生産性を向上させる
リモートワークが普及して以来オフィスの在り方が問われるようになりましたが、オフィスの良さはなんと言っても仕事をする空間に特化していることです。例えば、仕切りで区切られているスペースやビデオ会議用のスペースがあることにより、周りを気にせずビデオ会議に集中することができます。リモートワークはどこでも仕事ができる、というメリットはありますが、家族が多い自宅など、場所によっては機密性の保持や集中できる環境でないこともあります。だからこそオフィスがどの環境よりも仕事がはかどる場所であるという位置付けをして環境作りをすると良いでしょう。
④コミュニケーションの活発化
例えば、ビジネスフォンを販売する部署と、企業向けに福利厚生を販売する部署は販売するものは違えど、サービス対象者は同じであり一般的には総務部、もしくは経営者です。こういった部署同士は、新たに新規営業をするよりも、すでに取引のあるクライアントに自社の新サービスを薦めることで効率的な営業活動となります。このように、つながりのなかった社員同士で顧客紹介ができるイノベーションに期待し、部署内だけでない社内の横のつながりを促したいと考える経営陣は多いです。
マグネットスペースとは言葉通り人が磁石のように集まる空間です。マグネットスペースはインフォーマルでフランクな雑談が誰でも行えるスペースです。ドリンクコーナーや立ち話ができるカウンター、リラックスしながら雑談をするためソファを置いたりと形は様々ですが本質として誰でも気軽に話しができる雰囲気を作ることが重要です。マグネットスペースと名前を聞くと少しオシャレな印象ですがイメージが湧きません。イメージがしやすいのは給湯室での立ち話でしょうか。「話をするために集まる」のではなく「何かをするついでに話ができる」空間作りでわざとらしくなく、自然と会話を促せます。
オフィス移転で起こる注意点とその対策
あらかじめオフィス移転によるネガティブな産物を知っておくと前もって対策をとることができます。以下の2つのポイントに注意して計画を立てるようにしましょう。
モチベーションが下がる人もいる
雰囲気がガラッと変わり、その雰囲気を好まない社員もいます。また、旧オフィスの方が自宅に近い人もいるでしょう。福利厚生としてドリンクやスナックコーナーを充実させたい人もいれば、そういったものは不要で、その分利益を給与に反映させて欲しい社員もいます。会社に人が多ければ多いほど、意見や主張はたくさん出てくるものです。多くの意見が出てきたとしてもブレずに意思決定をするために、解決したい課題の優先順位を決めておくことが重要です。
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オフィスの維持コストが上がる可能性がある
優秀な人材の確保のため利便性の良い場所に事務所をかまえる、休憩室を作るため想定の規模より広めの事務所にするといった場合、当然ですが賃料は上がります。固定費は売り上げが上がっても下がっても必ず支払いが生じるものなので、できれば節約したいところです。休憩室を作りたいけど、固定費はそんなにあげられないのならばフリーアドレスにして、全日出勤ではなく週の50%を出勤にする、など方法はあります。高みばかりを望むのではなく、あくまでも身の丈にあった予算の範囲内で希望を叶えられる物件を探し、新オフィスを追求しておきましょう。
【オフィス移転で経営課題を改善】4つの課題と注意点を解説【まとめ】
事業はやればやるほど課題が山積みになります。物理的な観点から解決できることを一つ一つを解決していくスモールステップを踏みながらより良い事業を推進させていってください。