店舗を移転させてもっと集客ができる飲食店を運営をしたいけど店舗の移転はどうやってやるの?と考えているオーナーさん必見。今回は、移転を検討しているが、良い飲食店向け物件の見つけ方がわからない!店舗移転でのコツや注意点を知りたい!という方に向けて解説します。
飲食店の店舗移転とは?
店舗移転とは、今出店しているお店を一度閉店して、違う場所でお店を開店させることを示します。運営側としてはお店自体を引っ越しのつもりで手続きをしていても、行政への届け出は「閉店」の取り扱いになります。その点を注意して手続き関係を進めてください。飲食店を運営するにあたり、手狭になってきたから移転をしたい、席数を増やして売上を増やしていきたい、今よりも人通りのある場所へ移転して集客状況を改善させたい、という課題が出てきたら一度移転を検討する時期かもしれません。飲食店は、例えば商店街にお店を出すのか、住宅街にするのか、その場所やエリアにいる人の属性によって集客状況が変わり、売上が大きく変わると言っても過言ではありません。住宅や会社の事務所と同じ感覚で物件を借りるよりも場所選びが重要になります。
飲食店向け店舗物件の探し方
立地選びは、そのお店の売り上げを大きく左右する最重要項目です。たくさん人通りのある通り沿いに店舗を構えたいという希望はどの店舗オーナーも考えていることでしょう。まず一番初めに覚えていただきたいことは、人気エリアの1階路面の店舗物件は表立って出てくることが少なく貴重な情報ということです。例えば、店舗を撤退する側が次の入居者を紹介したり、人気エリアの物件は申し込み待ちがあるのでオーナー側が募集をかける前に連絡をしてしまったりと、すぐに埋まってしまうことが多いからです。オーナーの立場からすれば、家賃収入を途絶えさせたくない都合を考えれば当然のことです。そんな中でも、より良い立地選びをする時のちょっとしたコツと店舗向け物件の内見でチェックすべき部分を解説します。
地元の不動産屋に通う
よっぽどのコネやツテがない場合は出店したいエリアにある不動産屋にいきましょう。中でもできるだけ長く経営されている不動産屋へ訪問することをお勧めします。不動産業の設立年数を調べる方法は以下の通りです。
- 希望のエリア内にある不動産屋をGoogleなどで検索してある程度目処をつける
- 目処をつけた不動産屋のウェブサイトを見て、そこに記載してある不動産業の免許番号を確認
- 免許番号の()の中に記載されている数字に5をかける
不動産業の免許は5年に一度、更新をしなければなりません。その更新回数が不動産免許番号を見て()の中の数字となるのです。そのため、この数字に5年をかけた数字がその不動産業の設立年数です。(1996年以前は3年に一度の更新でした)数字の数が多いほど不動産業を始めてから長いので、その界隈の情報通と考えられます。できるだけ長く不動産業を営んでいる業者に空室情報を聞きに行きましょう。
卸業者に聞く
出店したいエリアにビールのサーバーを卸している酒屋や食材を運ぶ卸業者からも情報を得ることができます。なぜかというとお店の閉店日が決まっていれば、お店の仕入れの契約解除日を前もって知らされるからです。そのため卸業者には店舗の移転情報がより早く集まってきます。しかし、これも先ほどの不動産屋と同じく、貴重な情報のため卸業者に電話をかけてもすぐに教えてはくれません。例えば、近隣の飲食店に頻繁に通い仲良くなり、その後、その界隈の卸業者を紹介してもらうことや、街の酒屋に情報収集のため通うなどの関係性作りをすることが情報をつかむコツです。
内見の時に注意すること
まず、店舗がここにあるというサインの看板を出して良い場所を仲介不動産業者に確認してください。オーナーによっては外観をそこなう、他の入居者との兼ね合いで看板を小さくしか出せない、などの都合がある場合もあります。店舗は外から見たときの存在感があればあるほど、店舗の前を通る人への宣伝になります。これは必ず確認してください。次に、ビルの入居者を確認しましょう。飲食店が入居しているビルの場合は、その集客具合やその業態をみてください。その店舗の集客状況は、今後の集客状況の参考になります。また、他の店舗とご自身のお店に来る利用者の相性も見て集客の相乗効果になるか、もしくは反対に悪影響になるかもそこから推測してください。例えば繁華街では、ターゲットが女性の飲食店であるにも関わらず、男性向けの風俗店がビルの上層階に入っている場合には、オーナー側が入居を許可しても店舗運営として可能かは不明瞭です。立地問題によっては最悪の場合、お店の運営にとって死活問題となります。内見前に仲介業者に確認するか、ウェブサイトで入居者を事前に確認すると良いでしょう。
店舗の閉店手続き
以下は大まかな開業する時の手続きを記した表です。店舗を移転すると運営自体は継続されていますが、入居していたテナント自体は無くなるので営業許可を取った保健所などの行政機関に廃業届け(現店舗閉店のため)を出さなければなりません。なお、引越しの際は6〜3ヶ月ほど前もって物件を出ていくことを伝えなければならないので、その期間を必ず確認してスケジュールに入れてから移転準備の手続きを進めましょう。
行政関係 | ・保健所へ廃業届と営業許可証の返還(警察署に営業許可書を出していた場合は警察にも返還) |
物件やその他の契約関係 | ・物件は何日前に解約予告を出さなければならないのか (解約予告と原状回復の部分については移転準備前に必ず確認してください) ・厨房機器など、リース関係の解(飲食店なら食材などの仕入れ契約も) |
顧客への案内 | ・移転する日程をチラシやウェブサイトで知らせる |
店舗の開店手続き
次の表は移転先の大まかな開店手続き一覧です。注意したいのは保健所の営業許可証についてです。営業開始の届け出をしてから、保健所の人が店舗を確認し、衛生的に問題がないかを調査する手順が発生します。そのため、届け出をしてからすぐに許可証がもらえるわけではありません。内装工事の施工日程が決まり、完成から逆算して最低でも約10日前には保健所に届け出に行きましょう。
行政関係 | ・保健所への開業届と営業許可を取る ・補助金や助成金、融資を受ける場合には必要書類を揃える |
物件やその他の契約関係 | ・物件の契約、内装工事の手配、食器や調理器具の準備 |
顧客への案内 | ・潜在顧客への周知 ・プロモーションイベントを行う場合はその準備 |
店舗を移転するときの注意点
周辺の店舗との関係性を出店前に作っておく
商店街や地元のテナントが多いエリアに出店する場合の注意点です。これから地域の一員として店舗運営をすると言う意思表示として、古くからあるテナントへのご挨拶をお勧めします。地域性が強いエリアは近所の口コミが集客に影響する場合があります。不動産仲介業者の中には商店街の理事長をやっている方を教えてくれることもありますが、地場に根付いた不動産仲介業者ではない場合には、そのエリアで一番最近出店したお店へ聞きに行ったり、ご近所付き合いをしながら情報収集するということも店舗を移転する際のコツの一つです。
退去費用を節約する方法を考える
当然のことながら退去費用がかかります。特に店舗の場合は原状回復工事に費用がかかります。中でもスケルトン(何も内装が施されていない状態)での退去は、何もない元の状態へ戻さなければならないので、廃棄費用がかかるため、店舗以外、例えばオフィスの原状回復工事より費用が多くかかります。飲食店向け物件の大抵はスケルトンでの退去ですが、退去費用をできるだけ抑えたいところです。そういう時は、次に入居する店舗向けに今の内装のまま(居抜き物件として)退去をさせてもらえないか、物件オーナーに交渉してみましょう。
飲食店の店舗移転とは?物件選びのコツや手続きを徹底解説【まとめ】
これまで読んできたくださった方は、店舗の移転はあまり容易ではないと感じた方もいるのではないでしょうか。地元色が強いエリアであればあるほど、その関係性作りを必要とするところが住まいの引っ越しと異なる難しい点です。店舗移転では、移転の経験値が少なければ少ないほど『下準備としてのリサーチ活動』が成功をさせる秘訣です。根気よくリサーチを重ねて、お客様に愛されるお店作りをしてください。