何かと細かい手続きが多い事務所移転の手続き関係。移転の手続きは確実に行わないと行政からの重要な書類が届かなかったりと後でトラブルを招きかねません。今回はそんなトラブルが起きないように、事務所の移転に関わる手続き関係の方法をまとめました。
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抜けのない手続き(届出)を行うならオフィス移転前に準備をしよう
オフィス移転後の届出や手続きを怠ると、当然ですが業務に支障が出てきます。例えば、郵便局に転送届けを出し忘れてしまうと、移転した後に旧オフィスのビルに入居者がいない場合、郵便局も誰も気づかずにそのままポストに郵便物が残っていた、ということもあります。そうなった時の郵便物探しは規模が大きい企業ほど大変になってしまいます。
移転スケジュールと共に届出や手続きの計画を立てよう
業務に支障がきたさないよう手続き関係はオフィス移転前にスケジュールを立てましょう。移転に関する届出は、提出期間が決まっているものが多いので予定は立てやすいです。また、特に注意したいのは、各企業の業種による許可証や免許の住所変更です。
オフィス移転前の手続きや届出
では時系列に沿って必要な届出の説明をしていきます。
旧オフィスの解約手続き
移転が決まったら、ビルオーナーやビルの管理会社に事務所の引っ越しの届出をします。建物によって解約の手続きが多少異なることがありますので、退去の手続きをする時には必ず賃貸契約所の「退去」について書かれている項目を全て読んでください。賃貸契約書内で必ず確認することは以下です。
- 退去の申し出をしてから何ヶ月で退去が可能になるのか
- 原状回復工事の条件
特に原状回復工事についてはビルオーナーや管理会社の指定業者が工事を行うのかどうかが書かれているかを確認してください。工事業者の指定がなければ自社で手配しなければなりません。
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インターネット/電話回線の住所変更についての手続き
インターネット回線がすぐに利用できるように、新オフィスが決まった後に回線工事をする必要があります。新オフィスの管理会社にインターネット回線工事をする時の注意事項はないかをあらかじめ聞いて工事の手配をしましょう。春や秋の引っ越しシーズンは工事業者が混み合っている場合があるので、できるだけ前もって業者を手配してください。内装デザインを行う会社の紹介があるケースもあるので聞いてみると良いでしょう。
また、社内ネットワークを構築している企業は引っ越しに合わせてネットワークの移行を行わなければなりません。旧オフィスで利用している社内ネットワークの構築工事をした企業に問い合わせて新オフィスへのLAN移設工事の段取りを組むようにしましょう。
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消防署
オフィスの使用を開始する7日前に防火対象使用開始届出書を提出しなければなりません。この届出は内装工事業者が手続きをしてくれる場合もあります。内装工事をする場合は、業者へこの届出を行なってもらえるか確認しましょう。また、従業員が50人以上の事務所は防火・防災管理者選任届出書の提出が必要なので該当する企業はこの届出についても確認しましょう。
郵便局
郵便局へは転送届を前もって手続きすると良いでしょう。手続きの期限は公表されてはいません。転送届は移転先の郵便局により転送までにかかる時間が異なるので、旧オフィスの管轄である郵便局に問い合わせてみましょう。また、郵送料金が後払いになる後納郵便を利用している企業は旧オフィス管轄の郵便局と新オフィス管轄の郵便局での手続きが必要になります。
オフィス移転後の手続きや届出
移転後の手続きで注意したいことは、どの手続きを移転後から何日以内に行うのか?を把握しておくことです。引っ越し作業により、書類の場所などがわからなくならないように注意して梱包作業をすることも大事ですが、引っ越し直後は慣れない環境により、普段通りの業務や体制が整わないため、業務が抜けやすくなります。手続きの漏れがないように事前準備をしっかり行いましょう。
法務局
本店を移転した場合と、支店を移転した場合では手続きまでのタイムリミットが異なるので注意しましょう。本店移転の場合は、移転日から2週間以内に、支店の場合は3週間以内に届け出が必要になります。移転前と後で法務局の管轄が変わる場合は、どちらの法務局にも書類を提出する必要があります。
なお、稀に本店から移転し、住所を本店のままにし、新しい移転先を支店として手続きをしようとするケースがありますがこれはNGです。本店移転をした場合は、法務局に必ず届出をしましょう。例えば、社会保険庁からの書類といった行政関係の書類は本店に届くようになっているものがあります。この場合は、郵便局に提出する転送届けを出していても転送されません。移転手続きは手間ですが必ず行ってください。
税務署
税務署には移転後、遅滞なく異動届出書を提出しましょう。納税地が変更になる場合は移転前の管轄税務署にも届出が必要です。また、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書は移転して1ヶ月以内に提出が必要です。近年ではe-taxを用いてインターネット上で手続きが可能になりました。
ハローワーク
労働保険名称、所在地等変更届を移転した翌日から10日以内に、雇用保険事業主事業所各種変更届を事業所の所在地を管轄するハローワークに提出します。尚、ハローワークに求人を出している場合、自動的に住所が変わるわけではないのでハローワークにその旨を問い合わせて変更をしましょう。
都道府県税事務所
移転してから10日以内に事業開始等申告書を届出ましょう。都道府県税事務所の管轄には注意が必要です。例えば、千代田区と文京区は千代田都税事務所が区をまたがって管轄しているなど、分かりやすく23区別にはなっていません。引っ越し先の管轄を都道府県のウェブサイトで調べて確認しておきましょう。
年金事務所
健康保険と厚生年金の支払いについては、年金事務所に行き事業所の住所変更をします。旧オフィス管轄の年金事務所へ行き、オフィスを移転してから5日以内に適用事業所所在地名称変更(訂正)届を提出しなければなりません。
警察署
車を所有している企業は警察署に出向き車庫証明の住所変更の届出を出しましょう。提出の期限は特にないのですが、この申請を行わなければ原則、車両を保有することはできません。届出の漏れがないように気をつけましょう。
その他の届出
銀行やクレジットカード会社への住所変更はなるべく早く済ませましょう。手続きの際に必要な書類は各社で異なるため、オフィスの引越しが決まったらできるだけ早く届出をするようにしましょう。
事務所移転に必要な届出や手続きはご存知ですか【徹底解説】 まとめ
事務所移転の時に必要な届出や手続きに関して解説しました。会社移転に伴う届出はいずれも企業が業務を行うためには重要な手続きです。どのような手続きが必要かを事前に確認して抜けや漏れがないように準備して忙しない事務所の移転を切り抜けましょう。
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